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日常生活のなかで、食事をしたり出かけたりしたくなるタイミングは、人それぞれ違う。
ただ介護や看護が必要になると、身体の自由が効きにくいし、体調や安全のためにどうしても行動に制限がかかってしまう。
それは仕方のないことかもしれません。でも、「今の気持ち」に寄り添うことをあきらめたくない。
そんな想いで、看護と介護の両面から、その人の生活を支えている場所があります。

神奈川・湘南で2024年春に開所した「湘南ユイット」。
「看護小規模多機能型居宅介護(以下、看多機)」と呼ばれる施設で、「通い」、「泊まり」、「訪問介護」、「訪問看護」のすべてのサービスを提供。切れ目のないケアをしています。
今回は、看護師を募集します。
医療行為だけでなく、歩行練習や病院へ同行などの生活サポートにも関わる。マニュアルよりも、利用者さんの「今の気持ち」に寄り添うことを大切にできる仕事です。
あわせて介護士も募集しています。
平塚と小田原の間にある二宮町。
新宿からJRに乗って約1時間半。だんだんと景色がひらけて、海を眺めながら電車に揺られる。
二宮駅に到着後、スタッフさんの車で施設へ向かう。5分ほどで、白い2階建ての施設が見えた。ここが湘南ユイット。

入口で居合わせた介護士さんが元気よく挨拶してくれて、緊張もほぐれてきた。
事務室に案内してもらい、まず話を聞いたのは担当理事の小嶋さん。
湘南ユイットを運営している「社会福祉法人寿考会」でさまざま施設管理に10年以上携わってきた方。介護士でもあり、現場スタッフにも寄り添いながら見守ってくれている。

「僕たちが大切にしていることは2つ。ひとつは豊かさを大事にすること。もうひとつは今を大事にすることなんです」
「豊かさの感じ方は人それぞれですよね。利用者さんのなかには、明日ここに来られないかもしれない方もいる。だから『食べたい』とか、『会いたい』とか、今の気持ちを叶えるためにどうするか考える。それが豊かさを追求することだと思っています」
今の気持ちを叶える。
「ファミレスに行きたい」と相談されれば、体調を考慮しながら一緒にランチをする。「今日は早く帰りたい」と希望があれば、帰宅時間でなくても家まで送り届けることもある。
その1日が大切だからこそ、全力で目の前の人の気持ちに応えたい。

それぞれの人にあった介護のかたちが実現しやすくするためにも、湘南ユイットでは看多機というかたちを選んでいる。
利用回数が決められている通常の看護サービスとは違って、看多機は定額制で必要に応じてサービスを受ける回数や内容を選ぶことができる。だからこそ、個々のニーズに応じた柔軟な対応が可能になっている。
「たとえば、毎日訪問したほうが傷の状態を見やすいし、体調管理もしやすい利用者さんもいる。それがご家族の安心にもつながるという判断になれば、毎日訪問看護をすることもあるんです」
「訪問看護を受けている人が、デイサービスに来ることもあって。うちでは、すべて事業所の職員が対応しているから、利用者さんもいつもの顔ぶれの人たちと接するので、安心できますよね」
現在、利用者は約20名、要介護度は平均3.1。ALSなどの特定疾患を持つ人もいるという。

スタッフは介護士や看護師など15名ほどが在籍し、どのスタッフでもすべての利用者さんに対応できるよう、丁寧な引き継ぎをしているという。
一人ひとりに丁寧にサポートすることも大切だけれど、働くスタッフの負担も気になるところ。
「もちろん支援の質を落とさないことは前提に、マンパワーを考えながらお応えしています」
「一人ひとりに合わせるぶん、手間もかかります。でも、その積み重ねが信頼関係につながっていくんです。職員側も継続して関わるから、利用者の体調が整って安定していく様子もわかりやすい。それがやりがいにもつながると思うんです」
今回看護師として加わってくれる人は、利用者さんの健康チェックから傷の処置、ストマ管理などの日常的なケアや訪問看護まで、多岐にわたる業務をおこなう。
また入院していた利用者さんが退院する際には、病院の連携室の看護師とやりとりしたり、退院当日のお迎えに行ったりすることも。
医療行為に限らず、一人ひとりの利用者さんに向き合いたい人にとっては、やりがいを感じられる環境だと思う。
湘南ユイットの看護師は、現在4名。そのうち一人は産休中なんだそう。
どんな人たちが働いているんだろう。
「さっき、送迎で運転してきました。担当じゃなかったんですけど、バタバタしていたので私行くよ!って。そのくらい元気です(笑)」
明るく話してくれるのは、管理者であり看護師の岩佐さん。内科や重度心身障がい児の病棟、老人ホームなど、看護師として約20年、さまざまなキャリアを積んできた方。
湘南ユイットには、立ち上げ当初から関わっている。

「これまでの職場では、怪我をして車椅子や杖での生活になった方は、施設内にあるレストランやコンビニを利用するしかなくて。そこにもどかしさを感じていました」
もっと本人の意思を尊重できるようなサービスはないか。そう探していたときに湘南ユイットのオーナーから声がかかる。
「看多機なら健康状態に合わせて、ご本人のやりたいことを実現しやすい。加えて、看護師の育成にも興味があったんです。オーナーから『岩佐さんのやりたいようにしていいよ』って言ってもらえて。それで来ることにしました」
「看多機でしか叶えられなかったなと思う」と、教えてくれたのが、誤嚥性肺炎で入院していた方のこと。
うつ病も併発していて、入院先でせん妄の症状が現われ、入院継続が難しい状態に。奥さんと2人暮らしのため、在宅介護も負担が大きい。そこで湘南ユイットに依頼が来た。
「当初はとにかく『苦しい』と訴えられていて、主治医と連携して肺炎の治療をおこないながら、心理的な面でも安心感があるようにサポートしていました」
処置をするときはきちんと説明してから実施したり、夜間は様子を見に来る時間帯を事前に伝えたり。家族と相談し、面会回数を増やせるよう自宅にいる奥さんの送迎もおこなった。
目の前にいる人がどう過ごしたいか、心身ともに健やかであるためにはどう対応すればいいのか、今に寄り添い続けて考える。
その結果1ヶ月ほどで、熱も下がりいつも通りの生活ができるところまで回復。
「せん妄の症状もここではほとんど出なかったんです。ご本人も『ここにいるのが一番安心』とおっしゃってくれて。ユイットは生活の場が治療の場にもなる。ここだから叶えられことだと思っています」
手厚い支援ができるのは、チームの裁量が大きく、職員一人ひとりが判断しながらサポートきる体制だから。
「スタッフみんなもやりたいようにやってほしいって思っていて。決め事をつくらないようにしているんです。私は事業所の管理者ですが、職員の一人でもある。同じ目線で、みんなで考えるスタンスですね」

たとえば利用者の体調や気分を見て、「今日は歩行練習を中心にしよう」とか、訪問先でひとりでの食事が寂しいと話す方には、「一緒にお弁当を食べよう」とか。どう支援するかを職員が自分たちで考える。
ほかにも「吸引の物品をもう少し取りやすい位置に置きたい」など、環境面でも現場の声をもとに、みんなで仕組みをつくっていく。

「看護師だから医療行為しかしないんじゃなくて、その人の生活を支えるために自分ができることを考える。職員がそうしやすい雰囲気づくりも大切にしていますね」
一人ひとりが考え、動ける環境だからこそ、利用者に合わせた支援が自然と生まれていくのだろうな。
「私は、自由とかイレギュラーってあまり好きじゃないんです。でも岩佐さんのもとだったら自分がやりたい看護ができるんじゃないかと感じました」
そう話すのは、今年の8月に入職した看護師の鬼澤さん。以前は、大学病院に6年間勤めていた。

「前職ではチームリーダーを任されて、スタッフの管理もしていました」
「でも患者さんやご家族の状況を、自分の目で見て、耳で聞いて感じ取りたい気持ちがあって。だんだんジレンマが生まれたんですよね。それで転職を考え始めました」
以前から訪問看護に興味を持っていた鬼澤さん。転職エージェントの人に紹介してもらったのが、湘南ユイットだった。
「隣町の小田原にも看多機があって、両方見学に行きました。面接に来たとき、介護士さんが明るく迎えてくれて。岩佐さんの、利用者さんやご家族への対応や、話すだけで元気になるようなお人柄に惹かれて、応募を決めました」
働いてみていかがでしょう?
「看多機は利用者さんの暮らしに飛び込むことができる。事業所でも普段使われている洋服とか私物をできるだけ持ち込めるようにしていて。生活を支えて、その人らしさを尊重しながら働けているなと感じます」

「『オンコール』は、病院に勤めていたときには経験がなかったので、看多機で学んでいるところです」
オンコールとは、緊急時に備えて駆けつけられるよう自宅などで待機すること。
湘南ユイットでは、17時半から翌朝の9時半までがオンコールの時間帯。鬼澤さんは週2ペースで担当している。対応の必要がない日もあれば、多いときは1日に3件ほど電話がかかってくることもある。
「ご家族が利用者さんのご自宅に設置している見守りカメラを見て、『様子がいつもと違うから見に行ってほしい』と連絡があって訪問したり」
「夜勤をしている介護士さんから、経管栄養の器具が壊れたと連絡があったときは、電話口で代わりの方法を説明するとか。普段使っている器具は把握しているので、電話でも状況はイメージしやすいです」

病院だと、医師に報告して対応を決めていく。看多機では、クリニック受診を薦めるのか、緊急要請をするのか、看護師が判断する必要もある。
「まだ判断に迷うことばかりですね。その都度、岩佐さんに電話して、細かく相談させてもらっています。自由だけれど、放任しない。岩佐さんにも、周りの職員さんにも本当に助けられています」
一つひとつの判断が経験となり、看護の幅が広がっていく。
鬼澤さんは、どんな人と一緒に働きたいですか?
「たとえば『散歩に行きたい』と話していたら、危ないからダメと決めつけるのではなく、そのほうが気分も変わるかもね、と柔軟に考えられるような。その人の暮らしを考えたうえで、一般論にとらわれず前向きに受けとめられる人が合っていると思います」
取材の際、スタッフさんがぽろっと話してくれました。
「ここには、『困った人を見かけたら、声をかけずにはいられない』、そんな人たちが集まっていると思います」
人として、目の前の人を支えたい。
その純粋な気持ちが、看護と介護の垣根を越え、その人の豊かさを支えていくのだと思います。
(2025/10/03 取材 大津恵理子)


