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気づいたら
何かが見つかる田舎町

「香春町(かわらまち)って、なにか特別なものがあるわけでないんですよ」

「里山の小さなまちで、博多にも小倉にも出やすい便利な田舎町。何もないからこそ、なんでもできるというのが、来てくれる人にとっての魅力だと思います」

福岡県の東北部に位置する香春町。

たとえば、地域の人たちをモデルに本格カードゲームをつくっている人がいたり、農業未経験の地元の若手が耕作放棄地を再生していたり。

仕事も暮らしも、自らつくりあげている人が多いです。

今回は、新しい人の流れをつくる地域おこし協力隊を募集します。

働く先は、一般社団法人カワラカケル。

協力隊員OBのふたりが2024年に立ち上げた法人で、移住・空き家にまつわる相談室の運営と、地域課題の解決に取り組んでいます。

新しく入る人は、イベントの企画実施にSNSでの情報発信、相談室の運営などを担当。卒業後はここで働き続けることもできるし、ほかのことに挑戦するのもOK。

3年後を見据え、自分のやりたいことを見つけて形にしていきます。

 

北九州空港からバスと電車を乗り継いで1時間30分ほど、採銅所(さいどうしょ)駅で降りる。

あたりは低い山に囲まれていて、のどかな雰囲気。新しく入る人は、駅舎のなかにある移住相談室を拠点に働くことになる。

「線路に沿って桜の木が植えられているので、春になるとさまざまな人が花見に訪れるんですよ」

まずは香春町役場の中村さんに、まちのことを教えてもらう。

 

「駅の名前にもあるように、昔は銅の産地として栄えたまちなんですね。あちらこちらに間歩(まぶ)と呼ばれる坑道があって、質のいい銅が採れていたそうです」

北九州市までは車で50分。福岡市までは70分ほど。立地はわるくないし、暮らしやすそうな里山。ただ、ほかの地域と同様に人口減少が進んでいて、まちをあげてさまざまな課題に取り組んでいる。

たとえば、廃校の利活用。旧小学校をコミュニティセンターとして活かし、朝市や太極拳講座などのイベントを開いている。

「今いるこの駅舎も、移住・交流の拠点となるような施設をつくろうということで、10年前にリノベーションしました」

大正時代から残る建物の雰囲気を活かし、新たにオープンしたのが “採銅所駅舎内第二待合室”。

歴代の協力隊たちが日替わりで常駐し、移住相談のほか、情報発信や交流イベントの開催などを通して、関係人口を増やしてきた。

「派遣先はカワラカケルの方々がいる『香春町移住・空き家相談室』になりますが、僕ら行政も一緒になって移住の課題に取り組んでいきます」

「地域おこし協力隊に求めたいのは、田舎暮らしを楽しんでくれる方。それが第一です。香春町を知らない人にこそ、まずは暮らしを楽しんで、その様子を発信してもらって。興味を持ってくれる方を増やしていってほしいですね」

 

移住促進の地域おこし協力隊として活動してきたのが、小野沢さん。

カワラカケルを立ち上げた一人で、香春町に暮らして8年目になる。

小野沢さんが募集を見つけたとき、「第二待合室の運営と移住者を増やす」というミッションはあったものの、自由度の高い募集と感じた。

「実際、着任してもそう感じて。それこそ本当に、1年目は遊んでていいんですよ」

「もちろん仕事はしますけど、大切なのは人脈づくり。何をするにも人脈がないとダメなので。とにかくまちに出て、みんなと友だちになって。面白いことしている人がいたら写真を撮って、香春町の暮らしが想像できるように、SNSで発信しました」

お友だちになったひとりが、かずら工芸作家のおばあちゃん。つくっているものは個性的で温かみのある作品だったけれど、あまり認知されていなかった。

そこで、かずら編みを習うイベントを開催。その情報は地域のメディアにも伝わり、やがておばあちゃんの密着取材が決まった。

ほかにも、地元の人から漆喰の知識や塗り方を学ぶイベントや、まちで採れた渋柿での柿渋づくり、多くの参加者を記録した狩猟体験イベントなど。

小野沢さんのほか、協力隊のメンバーそれぞれが興味関心のある分野からイベントを企画し、積極的に形にしていった。

「ただ、任期後のことを考えたときに、シンプルにもったいないと感じたんですよね」

もったいない。

「それぞれの隊員がイベントのノウハウや人脈を持っていて。その人が卒業すると、第二待合室の機能としては振り出しに戻ることが続きました。だったら、移住促進にまつわるノウハウを蓄積する団体をつくったほうがいいと思って」

そこで、もうひとりの協力隊OBとともに、2024年4月にカワラカケルを立ち上げた。

第二待合室を窓口として、移住・空き家にまつわる業務を行政から受託して事業を展開している。

移住の相談件数も伸びていて、立ち上げから1年間で91件もの相談が届くように。カワラカケルが受託する前は年間で40件ほどだったため、2倍以上も増えたことになる。

「定期的にイベントを実施したり、情報発信に力を入れたり。これまでの取り組みが芽を出して、興味を持ってくれる人が増えてきました」

関係人口を増やす取り組みも行いつつ、現在は「住まい」の環境を整えるべく、空き家の活用に注力しているところ。

空き家を売りたい、貸したい人の話を聞いて、現地調査に行き、図面や必要な書類をそろえ、役場の承認を得て空き家バンクのWebサイトに掲載する。空き家紹介ツアーも始めたところ、参加をきっかけに香春町へ移住する人も出てきたという。

新しく入る地域おこし協力隊は、まずは小野沢さんと同じように人脈づくりから。

日常業務としては、移住・空き家相談室での対応のほか、ブログやSNSでの情報発信と、イベントの企画運営など、一つずつ覚えていってほしい。

「課題は常に変わっていくので、自分で考えてゼロイチでつくっていける人だと楽しいと思います。次の課題も見えてきて、移住者向けの仕事紹介に取り組んでいきたい。ただそこに捉われず、自分の興味関心で挑戦してほしいかな」

小野沢さん自身、カワラカケルとは別に、好きだった写真で現在はカメラマンの仕事もしているという。

飄々とした雰囲気のある方だけど、熱い想いをもって常に考え、行動している人だと感じる。

 

そんな小野沢さんと共にカワラカケルを立ち上げたのが福羽(ふくば)さん。2023年度に協力隊を卒業した方。

「小野沢さんには極力、アイデアを出してもらったり、地域の人を巻き込んでイベントを開いてもらったり。最前線で自由にやってほしいんですね」

「だから法人化するときも、面倒くさい契約や事務関係は僕が担当してサポートしようって気持ちで進めてきました」

長年、大手の自転車販売会社で働き、多数の販売店をマネジメントする立場にいた福羽さん。北九州市に長く住んでいたけれど、もっと自然と近い場所で暮らしたいと思い、香春町に移住した。

「地域おこし協力隊って、まずはいかに地域に馴染むかっていうのが大変だし、大事なんかなと思います」

福羽さんが着任したときは、コロナ禍の影響もあり、思うように外出することが難しい時期。そのなかでも何ができるか考え、町内のコミュニティを紹介する冊子を編集した。

「小野沢さんが写真、一緒に協力隊として活動していた方がデザイン、僕が文章を担当しました。観光客向けではなくて、移住希望者向け。地域に住んでる人の顔が見えることによって、安心感も生まれると思ったんです」

グラウンドゴルフを楽しむご年配の方々や、子ども食堂を運営している人たちなど、取材を通していろんな人と仲良くなり、今では一緒に旅行する友だちもできた。

香春町の暮らしはどうですか。

「このまちのいいところは、自由なところ。庭でジョロキアとハバネロを育てたり、車が好きで友だちと旧車のオフ会をしたり。都会だとイヤなふうに思われたりするけれど、ここは人が少ないのもあって気兼ねなく集まれるというか」

「あとはみんな本当に応援してくれます。ここでゴミステーションが必要になったときも、地元の人が材料費だけでつくってくれました。その分野なら俺にまかせろ!みたいな人が多くて心強いです」

 

普段は不動産の仕事をしていて、アドバイザーとしてカワラカケルに関わっているのが加藤さん。

香春町の生まれで、現在は福岡市に暮らしている。ちょっと外側から見える香春町は、いかがですか?

「地元を離れている期間が長く少し不安もありましたが、地域でいろんな活動をしている方や多世代の方と知り合えて、とても楽しく過ごしています。カワラカケルや中村さんに地域の人を紹介してもらったり、仕事のことでも相談できたり。地域をよく知る人がいると、暮らしも、仕事も安心できますよね」

「『役場やカワラカケルの対応が心地いいから、安心して移住を決めました』とか。移住者さんからそういう話を聞くと、すごくうれしいですね。やっぱり移住の決め手は人なんだって。新しく入る人も安心して来てほしいし、この感じを未来につなげていってほしいです」

 

最後に、昨年4月から協力隊として活動している原田さんにも話を聞く。

お隣の北九州市出身で、新卒で大阪の内装デザイン会社に就職。地元の近くに帰りたい、地域に密着した仕事がしたいと、地域おこし協力隊に。

「日本仕事百貨の記事を読んで、人やまちの雰囲気が良さそうだなと思って。実際に来てみてもイメージ通りでした。都会の生活にストレスを感じていたので、山に囲まれた環境もすごく落ち着きます」

着任後は、もともと興味を持っていたという空き家活用のための取り組みに加え、関係人口創出に向けたイベントを企画運営。趣味の陶芸を活かして、ろくろ体験や干支である馬の置物をつくるイベントなどを企画した。

「これまで大変だと感じたことはそんなになくて。困ったら絶対誰かが助けてくれるからだと思います。イベントの企画も、最初はすごくハードルが高く感じていたんですけど、身近に教えてくれる人がたくさんいたのでありがたかったです」

「なにか一つでも、好きなことがある人が協力隊として来てくれたらうれしいですね。一緒に企画のアイデアを膨らませられたら、いい刺激になるなと思います」

 

香春町のみなさんは、まずやってみる。

それぞれがやりたいことや課題を見つけて取り組んでいるイメージがある。

率直に感想を伝えてみると、小野沢さんが思い出すように話してくれた。

「そうっすね。でもどこかで誰かの刺激を受けていて」

「たとえば、まちに暮らす友だちのヤスくん。『ずっと放置されている畑を見ていられないから』と言って、畑を全部借りて一人で耕して再生させたんですよ」

すごいですね。

「みんな好きにやりたいことやってるから、自分もなんかやりたいことないかなと考えるようになるし、きっとできるんじゃないかって」

もともとの性格もあると思うけれど、小野沢さんが挑戦できているのは、安心感もあるんじゃないかと思う。

身のまわりに応援してくれる人がいたり、一歩先で道をつくっている人がいたり。

お互いが影響しあって、いい循環につながっているのだと感じました。

(2024/12/20 取材 杉本丞、2026/01/13 更新 増田早紀)

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