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世界に届く器
足元は手づくり
変化ど真ん中で仕組みづくり

国内で生産される陶磁器のおよそ半数を占める美濃焼の産地、岐阜県土岐市で、60年の歴史をもつ光洋陶器株式会社。

これまではホテルやレストランなど、プロユース向けの洋食器を中心に製造。作業工程の自動化や機械化もいち早く進めてきたメーカーです。

脈々と歴史を重ねながら、ここ10年でその姿は大きく進化しています。

きっかけは、コーヒー器具の自社ブランド「ORIGAMI」。これが世界70カ国以上で愛される大ヒットに。数年前には、自社の敷地内にカフェとショップを併設した「KOYO BASE」をオープンしました。

プロの料理人を支える器づくりという軸は大切にしながら、食を楽しむ体験にまで。活動の幅を着実に広げています。

今回は、製造と出荷・物流、2つの部門で働く人を募集します。

たしかな歴史をもつ大手のスケール感。そして、過渡期である今だからこそ味わえる、仕組みをつくる面白さがあります。

 

名古屋から電車に揺られて45分。土岐市駅で降りる。

迎えの車に乗り込み、坂道を登っていく。車窓からは、点在する製陶所や窯元と、大きな煙突が見え隠れしている。

見晴らしのいい丘の上、広大な工場の敷地に出る。

本社兼工場のすぐ隣に立つのが、複合体験施設「KOYO BASE」だ。

扉を開けて階段を上がると、コーヒーの香りと、ランチを楽しむお客さんの明るい話し声に包まれる。

手前には、色とりどりの自社製品がずらりと並ぶショップが続く。

コーヒーをいただきつつ、名刺やカメラの準備をしていると、ちょうど代表の加藤さんが挨拶をしにきてくれた。

「やっぱり、取材にICレコーダーは使いやすいですか?」

聞けば、最近は地域の食文化をアーカイブするために、音や写真を記録しているのだそう。

現場からキャリアをスタートし、2020年に社長に就任した加藤さん。いま、光洋陶器という会社そのものを大きく変えようとしている。

転機は、約10年前のこと。

プロのバリスタたちと交わしたコミュニケーションから、自社ブランドのコーヒーウェア「ORIGAMI」をつくることに。

当時、コーヒーのプロが本当に納得して使える道具は市場に多くなかった。

「円錐型とウェーブ型、両方のフィルターに合うドリッパーがない」「ラテアートを描きやすいカップがない」などの、現場から聞こえるリアルな悩み。

だったら、自分たちの工場でつくってみよう。

抽出スピードを計算し尽くしたギザギザのドリッパーや、指にフィットし対流を生み出すカップを一から開発。

プロの要望に応えた機能性と、色鮮やかなデザイン。やがて世界大会のチャンピオンに愛用されたことをきっかけに、一気に海を越え、世界中から支持されるブランドへと成長した。

さらにサードウェーブコーヒーのブームに乗って、一般家庭まで広く届くように。

ORIGAMIのヒットにより、使い手と直接コミュニケーションをとる機会も一気に増えた。

外の世界とつながったことで、加藤社長は自社の足元にある矛盾に気づくことになる。

「世の中の仕事って、分業化されすぎているところがあって。うちも昔は、何十万個とカップをつくってきた人でも、実際に器をつかってコーヒーを飲む機会なんてなかったんです」

自分たちがつくった器が、どのように使われて、人を笑顔にしているのか。それを社員自身が実感し、作り手と使い手のつながりを体感できるように。

そうして生まれたのが「KOYO BASE」。

自社の器を使って地元の食材を味わい、気に入ったものを併設のショップで購入できる。さらに、器の絵付けやコーヒーの淹れ方を学べるワークショップスペースや、工場見学のコースまで備わっている。

「僕らの仕事ってお客さんが食を楽しむためにあるんだよね、ということが可視化されて、循環を回していく意識がより芽生えてきたんです」

地域の食文化を掘り起こす一環として、工場の裏手にあるお茶畑を活用し、自分たちでお茶を揉んで自社の器で飲むことを企画したりも。

「ただの製造業ではなく、器を通じて食を支える会社へ。会社としてのあり方や、手がける領域が大きく広がってきました」

製造や物流工程も自動化を進め、人間にしかできない技術を残していく。

「たとえば、編集の仕事もそうじゃないですか? AIを使ってラフにまとめつつ、最後は自分の手で整える。どっちかを否定するんじゃなくて、ゆるやかに領域をまたげる人。ハイブリッドな感性を持った人なら、今の光洋陶器は面白いと思いますよ」

 

光洋陶器のものづくりは、大きく二つの部門に分かれている。

まずは第1製造課。土を練り上げ、お皿やカップの形にし、乾燥させて素焼きするまでの土台づくりを担う。

そこからバトンを受けとる第2製造課では、釉薬で色やデザインを施し、高温で本焼きを行う。検品をクリアしたものが、出荷・物流チームへと渡っていく流れだ。

新しく入る人は、いずれかの製造課へ配属されることになる。

この日は、第1製造課の現場を覗かせてもらうことに。

案内してくれたのは、課長の長尾さん。地元・土岐市出身で、入社して20年になるベテラン社員だ。

現場を回りつつ、作業工程について教えてもらう。

「まずは機械で空気を抜きながら土を練って筒状にします。それをカットして成形機で形にするんです。それを乾燥させて素焼きにするまでが僕らの部署ですね」

「この工程も、だいぶ自動化して楽にはなりました。昔は重たい土をひたすら機械に入れたり、出てきたものを台車に積んだりと重労働でしたが、今はロボットが自動で積み替えてくれるんですよ」

一方で、機械にはどうしても任せきれない領域がある。

「たとえば、コーヒーカップの取っ手をつける作業。まだ土が柔らかいので、ロボットで掴んだり泥の接着剤の量を調整したりするのが難しくて、人の手で行っているんです」

「それに、相手にするのは土という自然素材。天気や気温、湿度で、土の硬さや乾燥具合が毎日違うんです。朝は順調でも、昼間になると急に乾燥の途中でヒビが入ったり、型から抜けなくなったりして」

トラブルが起きたときに、乾燥の風を弱めたり、型から取る前にエアーを入れたり、自分の引き出しを最大限活用して微調整する。

「20年やっていてもまだ難しいなって思うことがある。そこが奥深くて面白いんですよね」

日々のものづくりについて、とても楽しそうに話す長尾さん。外食先で自社の皿を見つけると、思わず「パパがつくったやつだよ」と子どもに自慢してしまうそう。

新しく入る人も、まずは機械を動かすオペレーターからスタート。

つくる製品に合わせて型を交換する「段取り替え」を行い、成形機で器の形にする。最初は簡単な形状のものから始め、徐々に難易度の高い大皿などへとステップアップ。

基本を身につけながら、日々変化する土の扱い方を体で覚えていく。

「今、外部の専門家と一緒に新しいロボットの導入を進めているんです。大きな固定ロボットじゃなくて、人の隣で一緒に動けるような、移動できるコンパクトなロボットで」

長尾さん自身、社内にある「CADクラブ」に遊び感覚で参加し、オリジナルのモンスターボールやカップをデザインして楽しんでいる。

土をさわりつつ、最先端のロボットやCADを面白がる。ハイブリッドにものづくりを楽しむ。

「陶磁器メーカーのなかでは珍しく、年間休日が120日もあるんです。給与水準も高いし、家族との時間もしっかり取れる。挫折しそうなときも、先輩たちがフォローしてくれました。僕もそうやって育ててもらったので、焦らず長い目で見ていきたいですね」

 

会社のあり方を転換したり、製造・物流工程における自動化を進めたり、順調な雰囲気を感じていたけれど、管理体制やインフラ整備が追いついていない現状もあるという。

「ぶっちゃけると、システム上の在庫管理とか数字の部分が、すごくアナログで…」

苦笑いしつつ打ち明けてくれたのは、出荷課の係長・天野さん。横で頷くのは、一昨年東京から移住し、企画調達部として現場のサポートをしている石川さんだ。お二人とも写真は苦手とのことで、遠目から。

「バーコードでの一元管理なんてないですし、入力はすべて手打ちです。本社と倉庫のシステムが連動していないから、売り上げの反映も手動でデータを取り込み、1日ほどのタイムラグが発生する。管理が追いついていないんですよ」

ただ、それを不満として終わらせないのが物流チームの面白いところ。

前職のアクセサリーメーカーで生産管理を担っていた石川さんは、製造と営業、両方の苦労がわかるからこそ、あえて部署間の調整役を買って出ている。

「これまでのキャリアで培った経験が、未完成な環境だからこそ、存分に活きているんですよね」

足りないインフラがあれば、自分たちで手を動かして環境を整える。

たとえば納期に余裕がある大口の注文は外注業者へ回し、急ぎのものは自社で取り組むといった業務の振り分けを行い、現場のパンクを防ぐ。

また、これまでベテランの記憶に頼っていた商品の保管場所を可視化するため、天野さん自らエクセルで在庫のレイアウト表を作成。新しく入った人でも表を見れば一人でピッキングできるようにした。

数年間手つかずになっていた棚卸しにも着手し、倉庫の整理整頓が少しずつ進み始めているところ。

現場で改善を進めているなか、本社としてもこの状況を重く受け止めている。

現在、出荷倉庫は3箇所に分かれていて、これが管理を難しくしている要因の一つであると考えた。そこで来年から数年後をめどに新しい管理システムを導入し、将来的には倉庫を一つにまとめる計画も進めている。

社内の課題を知ってもらったうえで、ギャップのない採用をしたい。

今回新しく入る人が、これらの課題に取り組むのは少し先。まずは最初の2〜3ヶ月は、ピッキングや検品、梱包といった日々の物流作業から取り掛かる。

国内外のプロユースから一般家庭のECまで、多岐にわたる注文をさばきながら、何百種類もある器やアナログな現場のやり方を体で覚えていく。

慣れてきたら新しいシステムの構築や、現場のルールづくりに一緒に携わっていってほしい。

これほどの過渡期にいて、どうして二人は悲観せず、前向きに現場に向き合えるのだろう。

素直にぶつけてみると、石川さんが力強く言葉を返してくれた。

「この場所にはやりがいがあります。すでにシステム化されて整った大きな組織で自分が埋もれてしまうより、大変でも自分を活かせる余白があるほうが絶対に面白いと思うんですよね」

「育てるのも僕らの仕事です。まずは日々の物流作業を体で覚えて、一歩ずつ一緒に仕組みをアップデートしていける人がきてくれたらうれしいです」

 

「食文化を支える」という大きなビジョンに向けて、最新のテクノロジーを導入しながら、技術を継承していく。

規模は大きいけれど、個人が関わる余白もあるのが面白い。手を動かしながら、仕組みについても考える。その両方に興味がある人に、おすすめです。

(2026/03/13 取材 田辺宏太)

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