もっと、書きたい。本をつくりたい。文章と向き合っていきたい。
でも、それってどうやって?
会社で働くのか、独立するのか。そもそも、仕事にするべきなのか。
自分はこの先、どうしていきたいのか。
情報があふれ、多様な働き方が広がる今。私たちの前には無数の道が広がっています。
自分の人生と「書くこと」を、もっと重ねてみたい。
もしそう感じているなら、ぜひ飛び込んでみてほしい世界があります。
2025年9月から3か月間にわたり開催した、「文章で生きるゼミ」。
11期目となる今回は、リアル・オンライン合わせて100名ほどが参加。文章をなりわいとするゲストの知見をじっくり聞いたり、実際に執筆にチャレンジするなかで、「文章で生きる」ことについて考えてきました。
3か月を経て、いま何が見えているのか。
文章で生きるゼミ11期卒業生の3名が清澄白河のリトルトーキョーに集まり、今とこれからについて語り合いました。
写真左手から3名が本日の語り手のみなさん。一人は、京都からオンラインで参加してくれました。
聞き手は、写真の1番右手。「文章で生きるゼミ」11期卒業生のほしです。
ー改めて、自己紹介と参加した理由を教えてください。
よこいちさん:
普段は写真家として活動しています。
2025年からは"パーソナル編集者"というサービスに参画し、編集者としての活動もスタートしました。人がものを書いたり発信することに伴走するなかで、偶然Xで文章で生きるゼミの募集を見つけて。
写真を撮ること以外に、文章を書くこととそれに寄り添うことに向き合いたいと思い、参加しました。
はやしださん:
僕は、昨年からフリーランスとして場づくりの仕事をしています。ファーマーズマーケット、コミュニティスペース、文化体験イベントなどの運営・記録をしています。いろんなご縁が重なって、京都と滋賀を中心にさまざまな地域に足を運ぶようになりました。
いろんな人の話を聞いたり、地域の食文化に関わる中で、「よく見て、よく聞いて、よく行ってみて、言葉にできたら、なんか自分の仕事ってより素敵になるんじゃないかな」と思ったんです。
ちょうどその時、ゼミの募集について知りました。編集者の方のお話も聞いてみたいし、文章で生きようと思って参加する人たちのことが気になって。まだ僕自身が文章で生きるとは決めきれていなかったんですけど、まず参加してみることにしました。
もりさん:
Webメディアの編集者兼ライターとして、メディアをつくるところから数値を見るところまで、まるっと関わっています。
私も日本仕事百貨の読者のひとりで、実は去年の講座に申し込もうと思っていました。ただその時は仕事が忙しく、泣く泣く諦めて。半年前に転職をしてやっと時間ができたので、今年も開催されると分かり、これは絶対参加しよう!と応募しました。
ーゼミへの参加を決めたとき、不安や迷いはありませんでしたか?
ちなみに私は、平日夜にちゃんと通えるか?課題に追いつけるか?不安でした。
よこいちさん:
現地添削のコースが埋まらないうちに決断は急ごうと思った記憶があります。せっかくなら全部盛りでいこう、みたいな感じで。
はやしださん:
ライターを経験したことがないので、どこまで自分に活かせるんだろうかという不安はずっとありました。
もりさん:
私も現地参加は決めていたのですが、添削のありなしは結構迷いました。日々の業務がある中で課題をちゃんとできるのか不安だった。でも、結局最後は気合いで添削コースに申し込みましたね。もうやるしかないって。
ー講義は毎回、日本仕事百貨のナカムラケンタさんが聞き手となって、ゲストの知見を聞く時間でしたね。ゲスト講師のお話のなかで、特に印象に残ったものはありますか。
よこいちさん:
新文芸誌「GOAT」編集長を務められている三橋薫さんが印象に残ったかな。これまでの血が滲む努力がうかがえるようなバックボーンをとても感じました。実際、講義のあとGOAT買っちゃいました。
自分の感情を微分して、一歩引いて見てみること。どんなときに心が動いて、なぜそう感じたのか。それをじっくり考えて言葉にするといい、というお話でした。聞いていて『あぁ、確かに』と思いました。もともと自分を客観的に見るのは得意なほうなんですが、その見え方がさらにくっきりするような感覚があって、すごく響いたんだと思います。
もりさん:
私は、作家のひらいめぐみさんが「文字単価の仕事はしない」と話されていたのが印象的でした。書くことが好きだからこそ、一方的な仕事ではみじめな気持ちになってしまう。だから、生活基盤は別のお仕事で作り、文章の仕事は自分が納得できるものに絞る。
そう聞いて、驚きました。必ずしもライターで食べていかなくてもいい、という話にも納得して。バイトをしながら好きなことだけ書くという道を選んでも、ライターと言えるわけで。ライターの捉え方が広がったというか、独立像が変わりました。
はやしださん:
僕は、ナカムラケンタさんと、編集・執筆・コピーライターなど多角的に活躍されている角田貴広さんのお話が印象に残っています。
角田さんは僕の立場と近いところがあるなと。僕は今、さまざまな場づくりに取り組んでいるのですが、経験上点と点を結ぶ仕事っていいとこ取りのように考えてしまいがちです。でも角田さんはそうじゃなかった。
ただ「いいとこ取り」で考える人になるのではなく、引き受けた仕事をさらに自分で好き勝手に作り込んでみるとか。それは、ナカムラケンタさんの「根っこを届ける」という知見にも通じていて。非ライターの僕としては、アイデアを相手にどう伝えるか、その姿勢も含めて学べたのはよかったです。
ー座学全体の空気感はどうでしたか。
もりさん:
講座では、ナカムラケンタさんが、私たちが疑問に思っているところを引き出してくれていましたよね。「でも、○○さんだからできたんでしょ」とか突っ込んでくれて。ゲスト講師の方が一人で喋る感じかと思っていたので、こんなに掛け合いがあるんだと感動しました。
ーゼミ後半では、編集者と書き手がペアになって校正に取り組む「ぺアエディティング」にも挑戦しました。ひとつの画面で、書き手と編集者が、一緒に読みながら直していく。実際に取り組まれて、いかがでしたか。
よこいちさん:
ペアエディティングでは、自分の癖だなと思いながら直せていなかった部分を指摘されて。改めて、執筆の際にはより注意するようになりましたね。例えば、私は一文が長くなりがちなので、意識して短めに文章を切ろうとか。そういう細かな癖を認識して直そうと思えた。
はやしださん:
僕もすごい新鮮でした!
日本語って不思議ですよね。どこに形容詞を入れても、副詞を入れても、意味が通る。僕はその自由なところが好きなんですけど、編集者さんと一緒に直していると、「あ、この人にはこの文章の続きはこう見えるのか」という発見があって。
文章と文章を入れ替える前後の違いや、新たなパターンとで効果の違いを説明できる。それが本当にすごいなと。きっとこれまで量を重ねてきた人たちなんだろうなと思いました。
ーみなさんは、講座をきっかけに人脈や交流を広げる機会もありましたか?
よこいちさん:
やっぱり最初は探り探りでしたけど…そういえば、ゼミ開催の合間に散歩会をやりました。朝早く、隅田川沿いを歩きましたよね。2時間ぐらいずーっと(笑)
はやしださん:
そんなに歩いたんですか!(笑)
オンラインでも、ずっと交流の時間がありました。メンバーとの会話を通じて、これから文章で何していこう、と考えている人がたくさんいると知れて面白かったです。
もりさん:
やっぱり、ライティングや文章に興味があるとか、本が好きとか、同じ熱量を持った人に出会えるのはいいですよね。例えば、noteを更新したらみんな反応してくれたり。文学フリマでゼミ生と再会したこともありました。
ーゼミを終えて約2ヶ月。今改めて思うことや変化があれば教えてください。
よこいちさん:
ゼミでの学びや知見を振り返る時間を定期的に設けて、少しずつでも咀嚼して血肉にしていきたいですね。自発的に何かをしていかないと、受講した満足感だけで終わっちゃうので。
だから、まだ変わってないけど、変わろうと動いてはいるって感じです。
もりさん:
私は今回、ゼミを受けながらZINE制作も進めていました。ゼミでいろんな人の話を聞いて、「今やるか!」と思ったことがきっかけで。学んだ知見を自分の原稿にも反映しつつ、1冊の形に出来たのは大きな変化です。
あとは、独立へのイメージが変わったのは大きかった。例えば、独立のために今の会社ではここまで学ぼうと考えるようになったり、個人制作も続けて人脈を広げていこうと思ったり。独立も一つの選択肢と捉えて、ちゃんと準備しようと思うようになりました。
はやしださん:
僕は日記を書くようになりました。
今日思った些細なことや感動したことを、自分から聞き出して、言葉にとる。実際に取り組んでみると、結構鮮明に言葉が出てくるものだと驚きました。これまでは、写真を見て「あの時こんなことを思っていたな」と思い出しても、それをいちいち言葉にはしていなかったので。言葉ってあまり信用できないなとも思っていました。でも今は、言葉の捉え方も以前と違ってきた気がします。
そういう変化が出てきているのは、いいことかなと。
この積み重ねの先でまた、新しい変化があるんだろうなと思っています。
ー最後の質問です。もし今文章で生きるゼミへの参加を悩んでる人がいるとしたら、みなさんはなんと声をかけると思いますか?
よこいちさん:
この記事に辿り着いているってことは気になっているんだから、直感に従え!
一同:
よこいちさんは直感に従ったタイプですもんね!(笑)
よこいちさん:
そうですね、私は直感で飛び込んで、やっぱり良かったなと思った人なので。一歩踏み出してみる価値のある講座じゃないかと思います。
もりさん:
文章をちゃんと学び直すなら、自分が好きな文章を出しているメディアがいいなと。
私は添削コースを選びましたが、日本仕事百貨のインタビューって独特の雰囲気がありますよね。それはこの会社の人が勉強して染み付いているものであって、他では学べない。だから、編集者が直接教えてくれるのが良かった。例えば、ここで体言止めにするといつもみている記事のリズムみたいだな、とか。ペアエディティングのやりとりから、日本仕事百貨の型があるように感じました。一緒に実践したからこそ、編集者のみなさんが気をつけていることが分かったように感じます。
だから、日本仕事百貨の記事を読んで、好きだと感じるならおすすめ。
きっといいフィードバックがもらえると思います。
はやしださん:
そうですね…今ってなんでも調べられる世の中じゃないですか。その中で受講する良さってなんだろう、と考えてみました。
講座を振り返ると、ゲスト講師の方々も実は始めから成功しているわけではなかったですよね。牟田都子さんのお話もとても面白かった。校正の仕事に就いた当初は、自分はどうしても向いてない、でもこれでやっていくしかないと思っていた…みたいなエピソードもあって。みなさん、悩みながら今に至っていることがとても印象に残っています。
日本仕事百貨は、そんな努力してきた人々を取り上げているんだと思います。ゲスト講師のみなさんがどう文章に向き合い、悩んできたのか。それを連続的に知ることができるのは、このゼミの良さだと思いました。
ここは、「文章に向き合いたい」という気持ちを、受け止めてくれる場所だと思う。いつかこの会場で、同窓生として会えたら嬉しいですよね。
2026年9月にも、しごとゼミ「文章で生きるゼミ」を開催する予定です。
「文章」というテーマのもと、さまざまなプロの視点に触れたり、
言葉にまつわる当たり前を問い直したり。
足を踏み入れて、初めて見える世界がありました。
もしそんな場に興味があれば、ぜひ一度ゼミに参加してみてください。
(執筆:ほしかな_文章で生きるゼミ11期 卒業生)
▼過去のしごとゼミの詳細についてはこちら
・25年開催「文章で生きるゼミ」
・24年開催「文章で生きるゼミ」