コラム

いいチームってなんだろう
考え、語り、実践する
企業があつまる勉強会

日本仕事百貨はこれまで、2000以上の企業の採用に携わってきました。

さまざまな企業の方々にお話を聞くなかで、「採用してもすぐに辞めてしまう」「今までは簡単に採用できていたのに、応募すら来なくなった」というお悩みを聞く機会が増えました。

企業の想いに共感して入社した人が、やめなくてはいけない理由はなんだろう。社会的に人手不足が加速していくなかで、私たちにできることはなんだろう。

考え続けるなかで見えてきたのは、新しい人の採用のためにも、今いるメンバーといいチームを築くことの重要性。

「このチームで働き続けたい」と思えたり、それぞれが自分の力を最大限発揮できたり。そんなチームが増えていくことは、働く人にとっても、企業にとっても大切なことだと感じます。

日本仕事百貨は今年から、「いいチームを探求し、つなげて、広めていく」をミッションに掲げ、さまざまな事業に取り組んでいます。

その一つが、チームづくりに関心がある企業のみなさんと一緒に、いいチームについて考え、学び、実践する勉強会。

今回は、4月に行われた第1回目の勉強会の様子をお届けします。

 


2024年4月18日。

東京・清澄白河にある日本仕事百貨のオフィスビル「リトルトーキョー」。

平日にもかかわらず、12社19人のみなさんが足を運んでくれた。

飲食店やメーカー、医療機器の輸入など業種はさまざま。会社の規模も歴史も異なるけれど、いいチームを築いていく重要性を感じている人たちだ。

「はじめまして」と名刺交換をしたり、近況を話し合ったりと、みなさん交流を広げている。

参加者がそろったところで、日本仕事百貨の代表のナカムラケンタからご挨拶。

「採用が難しい時代になったなと感じています。昔は事業の目的をしっかりと伝えればご応募がたくさん集まった会社も、だんだんとそれだけでは厳しくなってきている」

「サービスや商品はすごく優れているのに、チーム内のコミュニケーションがうまくいっていないという理由で人が定着しない会社もあって。今いる会社のメンバーや組織がいいチームになっていくことが、採用の成功や従業員の定着につながっていくんじゃないかと考えています」

参加企業のみなさんも一言ずつ自己紹介をして、早速勉強会がスタート。

第1回目のテーマは、「いいチームとは」。

まずは、参加者それぞれが自分の所属している会社で「いいチームだな」と感じた経験を書き出してみる。

メモを見てみると、「普段はまとまりがないけど、ピンチのときは団結して乗り越えられた」「急にシフトに入れない人が出ても、入れる人が自然とカバーできている」など、いいチームだと感じる瞬間がたくさんある様子。

一方で、「熱量が部下と共有できていない」「他部署とのコミュニケーションがない」など、課題を感じている部分も。

その後は、5人ほどのチームに分かれて、意見を共有。各チームで「いいチームとはどんなチームか」「いいチームになるために必要な要素は」というテーマで話し合ってもらいました。

各チーム、経営者や人事担当者などさまざまな立場の人がいて、いろんな観点からの意見が出ているよう。

話し合いのあとは、各チームごとに内容を発表。

まず発表してくれたのは、北軽井沢でキャンプ場や宿泊型ミーティング施設の運営をしている有限会社「きたもっく」の土屋さん。

「僕たちが考えたいいチームは、『森』です。組織って、上とか下とかではなくて、共に生きるっていう関係性があるのがいいチームなんじゃないかって話になって。森って、木がたくさんありますよね。でも、本当は木だけじゃなく、その下に根っこがあって、微生物がいて、それらが複雑に絡んで美しい森ができている」

「美しい森では、見えないところでのコミュニケーションがすごく頻繁に行われていると思うんです。あと、森って大らかさがあると思っていて。大らかさを持ちながら、みんながほかの人に想いを馳せ合うことができる。そういう連鎖が起きることで、美しいチームになるんじゃないかなと思います」

一方、株式会社TOOLBOXの荒川さんのチームでは「方向性が一緒」というキーワードが。

「僕たちのグループは、個人商店的な考え方の人が多くて。みんなが一緒にスクラムを組むっていうのは、すこし暑苦しさを感じてしまう。それよりは、いい意味でそれぞれが独立しているけれど、同じ方向を向いていて、困ったときに助け合えるのがいいチームなんじゃないかと思いました」

「みんなが同じ方向を向くために、行き先が魅力的なことが大事だという話も出て。あとは、方向性は同じだけど辿り着くためのルートとか、手段はそれぞれ別々でもいい。それくらいがちょうどいいんじゃないかなと思いました」

ほかのチームからも「みんなが共感できる具体的な目標を共有している」とか「現場判断ができる」などの意見が。

いいチームについての捉え方はそれぞれだけれど、参加者のみなさんが真剣に自分たちのチームをより良くしたいと考え、向き合っている姿が印象的でした。

今回の勉強会は、「答え」を出すのが目的ではなく、一度立ち止まって、チームについて考えてみるきっかけづくり。

「いいチーム」について考えて、言葉にしてみる最初の一歩になったと感じます。

勉強会のあとは、リトルトーキョーの2階にあるレストラン「ブラインドドンキー」で懇親会。

美味しい料理やお酒を囲みながら、普段はなかなか話す機会のない他業種の人とお話する時間になりました。

部下や後輩との接し方や、今後取り組んでいきたい事業についてなど。懇親会を通しての気づきも多かったようです。

 


 

日本仕事百貨は、今後も勉強会を通じて「いいチーム」を考え、探求していきます。

今後は、新入社員の教育方法や人事制度など、具体的な課題について話し合う場や勉強会なども企画していく予定です。

いいチームとはなにか、とことん考え、実践していきたい。

そんな想いに共感する企業の方がいれば、ぜひ仲間に加わってください。