パーソルテンプスタッフ株式会社
連結従業員数:72,905名(うち奈良180名)
事業内容:労働者派遣事業 、有料職業紹介事業
北海道と福岡に次ぐサテライトオフィスを奈良に開設した、パーソルテンプスタッフ株式会社。2022年に求人情報と登録スタッフとのマッチング業務を行う「奈良ジョブコーディネートセンター」と事務処理を行う奈良オフィス「事務センター」を開設した。
当初は30名採用の予定が、事業拡大に伴い180名を採用することに。
オフィスは、近鉄新大宮駅から徒歩で約10分。奈良市役所の近くにある。
「奈良ジョブコーディネートセンター」の主な仕事は、求人情報と登録スタッフをマッチングすること。関西、中部、そして東日本の業務を行っている。
迎えてくれたのは、大阪支店を経て2024年4月に奈良へ異動した後藤さん。
「前職は接客業でした。2015年にパーソルテンプスタッフへ転職しました」
後藤さんにフロアを案内してもらうと、女性が多いことに気づく。スタッフの90%を占めるという。20代から50代まで、年代は幅広い。役職を務める女性の割合も高い。スタッフの70%が奈良県在住で、奈良市内はもちろんのこと、吉野方面からも。京都・大阪から通う人もいるとのこと。
「奈良ジョブコーディネートセンター」の開設にあたって募集を行うと、予想以上の応募があったそう。応募者数だけでなく、一人ひとりの意欲も高いことがわかった。
「まじめで、計画性をもち仕事に臨む人が多い県民性だと思います」と後藤さん。
結婚している女性の就業率が低い奈良県。学校卒業後に、大阪や京都ではたらき、育児・出産。子育てと仕事を両立したいという思いから、未経験で事務職をはじめた人も多い。
その一人が、奈良市出身・在住の稲葉さん。
2022年のセンター立ち上げ時に応募。2024年4月からは、関西エリアのリーダーとして、10名のスタッフをとりまとめている。
「家庭と両立しながら、奈良で働きたかったんです。前職は接客でしたが『もしかしたら』と可能性にかけて応募しました」
仕事はマニュアル化がきちんとなされており、一人ひとりの業務範囲が明確になっている。そのため、なじみやすかったという。
「職場環境がすごくいいんですよね!」と続ける。
「育児の状況によって、在宅勤務に切り替える日もあります。ダブルワーク、子育て時短勤務、個人事業主。いろいろなはたらき方をする人がいるなか、スタッフ同士でフォローしあって休み合う。『お互いさま』という風土がありますね」
「オフィス空間も魅力です。広くて、きれいで、出社すると充実感がある。これで社食があったら120点満点です(笑)」
社内のラウンジで、スタッフがいっしょにお昼ごはんを食べることもある。仕事を超えて楽しく話せる関係がうかがえる。
「わたしは、お昼はちょっと出かけて空気を入れ替えたいタイプだな。周りには飲食店や奈良市役所の食堂などもあります」
そう話すのは、上村さん。稲葉さんとは同期で、橿原市から通勤している。
「ここはワークライフバランスがきちんとしていて、仕事環境がホワイト。だから働きやすい。一人ひとりを尊重しながら、メンバー同士の仲もよいです」
入社後は関西エリアのジョブコーディネートを担当したのち、東日本エリアのリーダーを務めた。現在は、オフィス全体をよりよくするため自ら課題を見つけ、プロジェクトとして取り組んでいる。
以前は大阪に通勤していたこともある上村さん。転職のきっかけに、こんな思いがあった。
「わたしは芸術がすきで、地方創生に関心があります。奈良で働きながら、このまちをよくしたいと思ったんです」
転職3年目を迎える今年。直接仕事で奈良に関わる機会が限られるなか、あるプロジェクトを企画することに。
それが、2024年11月に開催した「はたらくマルシェ」。稲葉さんを含む5人のリーダーとともに、2024年度の集大成として取り組んだ。
そこで奈良市から紹介されたのが、トライアル・サウンディング。公民連携で公園などの公共空間を利活用する事業だ。奈良県最大のターミナル駅である大和西大寺駅前にある「サンワシティ西大寺横芝生広場」をイベント会場として活用できることとなった。
地方創生にくわえて、スタッフ一人ひとりの職歴を活かす機会としても位置づけた。
「オフィスの未来像を描いたとき、はたらく一人ひとりの自主性をより活かせる場をつくりたいと思いました。社内からも『やってみたら』と、任せてもらえることになりました」
「春先から動き出したのですが、準備って大変なんですね。企画書づくり、社内稟議、当日の進行。奈良市さんには、いろいろと協力をいただけることになりました。会場設営に必要となる備品のレンタル。また、奈良市内に設置されているデジタルサイネージでの広報もしてもらえたんです」
イベント当日は、大人向けの「はたらき方のタイプ診断」や「キャリア面談」に加え、子どもも参加できる「仕事ゲーム」も企画した。上村さんたちは「奈良にはどんな仕事がある?」と話し合いながらカードを制作していった。準備を進めるなかで、あることに気づいた。
「テンプスタッフにはいろいろな職歴の人がいて、一人ひとりがいろいろな“得意”を持っていたんです。みんなの力を合わせて迎えたイベントは、年代を問わず訪れた人が楽める一日になりました」
業界をとわず、いかに人に必要とされる存在であり続けるのか。そのヒントは、まちの声にあるのかもしれない。
職場の人たちと「職場以外の関係」をつくり、まちを舞台にあたらしい価値を生み出す。そこで手にする経験は、他では代えがたい価値となる。そのとき、社員にとって会社はなくてはならない存在となり、会社は“まち”にとってなくてならない存在となる。
そんな職場が奈良に増えていくといいなと思います。
(2024/11/20 編集 大越はじめ 撮影 奥田しゅんじ)
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