コラム

愛をもって進む

しあわせな転職ってどんなものだろう?

答えは人それぞれで、きっと正解はありません。

コラム「しあわせな転職」では、日本仕事百貨の記事をきっかけに転職した人たちを紹介していきます。将来的には、コラムの一部をまとめた書籍も出版する予定です。

どんな想いで仕事を選んだのか、その後どんなふうに働いて、生きているのか。それぞれの選択を知ることで、自分にとっての「しあわせな転職」を考えるきっかけになればうれしいです。

株式会社GOODTIME コミュニティマネージャー・梅澤愛以さん

たった5人で、これまでにない場を実現させていく。立川の「SORANO HOTEL」、品川の「THE CAMPUS」、愛媛の「ITOMACHI HOTEL 0」などの立ち上げを手がけ、現在は東京・豊洲の再開発プロジェクト「豊洲セイルパーク」にあるシェア企業寮「TAMESU」の企画・運営を行っている株式会社GOODTIME。2025年に入社し、コミュニティマネージャーとして働くのが、梅澤愛以さんです。

わたしの名前、梅澤愛以って書いて「うい」って読むんです。「愛を以つ(もつ)」と書いて、ウイ。

海外とかに行ったとき名前をすぐ覚えられやすいようにって、父がつけてくれたんですよ。フランス語の「Oui(はい)」は由来の一つ。

今振り返ってみると、わたしの根っこにある一番の価値観って、この名前に込められた愛とか幸せとか豊かさみたいなものなんじゃないかなって。

小学生からずっとバレーボールに打ち込んできました。強豪校で揉まれ、大学では日本一も経験したんですけれど、私は決して華やかなエリートではありませんでした。バレーボール人生の9割は、辛かった気がします。チームのなかでも、ずっと怒られ役で。でも、ずっと失敗して、ずっと挑戦し続けてきたから、失敗することが怖くなくなったんですよね。だから、失敗を恐れずに、何度でも挑戦できるようになりました。

大学生のときに東日本大震災があって、被災された方の役に立ちたいと強く思うようになって。卒業後は仙台のチームに入って、働きながら子どもたちにバレーボールの魅力を伝える復興支援活動を3年間続けました。

その間も、3年後は絶対に海外でプレーすると決めて、公園でテキストを開いて英語の勉強をしていたんです。そうしたら、たまたま通りかかった方に声をかけられて、英語を教えてもらえることになって。

ボーイフレンドとかでは全くなくて!変なご縁だな、と思いますよね(笑)。友人と話すような感覚で、そっちのほうがやっぱり英語って身につくんですよね。後々わかったんですけど、その方東北大学で英語に関する教鞭をとっている教授の方で。

ほかの人がいろいろ考えて手を引くことも、まずやってみる。失敗慣れしてるから、いくらでも行動できるんだと思います。

その後は念願だったロンドンへ渡ってバレーボールをして、帰国後に結婚、出産。その後は専業主婦をしていました。

そんなとき、ふと祖母から「このままじゃいけないよ」と言われたような気がして、自分に何ができるだろうと考えました。

私は下町で生まれ育ったので、お神輿や町会の行事といった、下町の温かいまちづくりをずっと見てきました。だから、いつか自分もまちづくりに還元したいという想いがあったんです。

そこから地方創生やまちづくりのプロジェクトに関わるようになり、インバウンド関連の仕事をするようになりました。

ただ、仕事を進めるなかで、お金の使われ方に違和感を覚えるようになってしまって。みんなが一生懸命働いて納めた税金が、必ずしもまちの人のために還元されていないように見えて、苦しくなってしまったんです。

もっと本質的に、ちゃんとお金を使ってまちの人を笑顔にする仕事がしたい。そう思って次の道を探していたときに、知人に紹介されたのが日本仕事百貨のGOODTIMEの記事でした。

「僕らの会社って、何をしているか、まだ言葉を探している途中で。『施主さんの叶えたい場づくりの代行』と言えばいいかな」

「誰も経験したことがない。だから正解がないんですよ。間違いを恐れず、仮説を立ててトライしていく。これに尽きると思います」

『たった5人が 前例のないまちを ともにつくる』より

事業主であるIHIさんや三菱地所さんのような大きな組織と、たった5人のチームが、前例のないまちを本気でつくろうとしている。そのワクワクはもちろんですが、何より嘘がないなって感じたんです。

それまでの仕事では、どうしても自分たちを必要以上に大きく見せたり、着飾ったりする言葉に触れる機会が多くて、どこか疲れてしまっていたんです。だからこそ、「まだ言葉を探している途中」って言葉が、ものすごく新鮮で、嘘がなくて、胸に刺さりました。

「38歳を自分のキャリアの第1ピークに持っていきたい」っていう人生設計が自分の中にあって、GOODTIMEに出会ったのが35歳のとき。ここでなら、絶対に面白い挑戦ができる。そう確信して、すぐに応募したんです。

 

いまは豊洲セイルパークにあるシェア企業寮「TAMESU」のコミュニティマネージャーを担当していて。入居者の方々がなんでも相談し合える仲間みたいな関係性ができたらいいなと思って、日々動いています。

実際やっていることは、寮母さんみたいな。豊洲のまちに愛着を持ってもらいたくて、駅から徒歩5分くらいの老舗お米屋さんから毎月お米を仕入れて入居者さんに提供したり、豊洲市場まで漬物を買いに行ったり。イベントの企画もするし、消防や廃棄物の施設管理もすべてやっています。

企業寮に必須な「廃棄物管理責任者」の資格を取りにいって、ゴミの清掃会社の方と日々打ち合わせを重ねたこともあって。ただゴミを捨てるだけで終わらせたくなかったんですよね。せっかくだったら工場見学もしたいなと、ゴミについて学んで、いまはそれをどう入居者の暮らしに落とし込むか、企画中です。

この間、ラウンジでお寿司パーティーを開きました。異なる企業に勤める社会人たちが、ご飯を食べながらたわいもない話をして。そうしたら、自然と「私、実はこんな事業しててね」って会話が生まれていったんです。

私がイメージしていたのはまさにこういう風景で。入居者さんが自発的につながっていく姿を見たとき、本当にうれしかったですね。私、人の笑顔を受けとるのが好きなんだって改めて気づきました。

行政の方、商業施設の運営管理をしているみなさん、掃除のおばちゃんから警備の方まで、本当にいろんな人と関わって、みんながいることであの場所が成り立っているのを感じるのが、すっごく楽しいんです。まちづくりって、こんなにも深いんだなって。

ちっちゃいことですけど、私はバレーボールをやってきた人間なので「お疲れ様です!」「こんにちは!」って大きな声で挨拶します。半年くらい続けたら「梅澤さんが入って空気が明るくなった」と言ってもらえるようになって。場づくりって、やっぱり人間そのものから滲み出るものだと思うんです。

最近、入居者さんから「ここでの暮らしがすごく楽しいです」と言っていただけて。

食と住と働く場所が近くて、そこに仲間がいる。この型を広げていくことで、社会課題の解決につながるのかなと実感しています。

平成元年生まれの私は、この間37歳になりました。自分のなかで、キャリアのピークを38歳に持ってきたい、という目標を掲げています。

あとは、自分の姿を通して伝えたいことがあって。

女性でも、お母さんになっても、ライフステージが変わっても、働くことやキャリアを絶対に諦めないでほしい。コミュニティマネージャーはどうしても女性が長く続けにくいという声も聞きますが、働きたくても働けないと思い込んでいるお母さんたちに、諦めない姿勢を見せたいんです。

人生は一度きり。私のキャリアが、誰かの背中を押すきっかけになればいいな。そのためにも、これからも失敗を恐れずに、たくさんの人の笑顔を受け取れるような新しい挑戦を続けていきたいです。

2026年5月21日 東京・豊洲 豊洲セイルパークにて
聞き手 田辺宏太

よろしければ、梅澤さんの入社のきっかけになった記事も、あわせてご覧ください。
『たった5人が 前例のないまちを ともにつくる』