コラム

1:3の卵焼きと五目焼き

これはしごとゼミ「オンライン仕事百貨の編集ゼミ」に参加された、熊川京花さんによる卒業制作コラムになります。

熊川さんがオンライン上でインタビューしたのは、同じく参加者の杉山佳代さん。「いま行きたい場所」というテーマで話してもらいました。

実家を離れて暮らしている杉山さん。地元のあるものが恋しいそうです。

実家に帰りたいなあ。今は仕事があるので東京で一人暮らしなんですけど、家族に会いたい。いつもの明石焼き食べたいなぁ。

貴味蛸(キミタコ)っていう名前の明石焼きのお店に家族で月1くらいで行ってて。実家から歩いて10分くらい。家族4人で行くときは、分厚い木の1枚板みたいなテーブルで食べます。

絶対頼む定番のメニューが、明石焼きの卵焼きと五目焼き。すぐ食べたくなるんですよね。とくにあの卵の味が好きで。家族で頼むときに配分があるんです。何年もずっと、半々で頼んでいたんですけど、それは私が卵を好きだったからだと最近判明して。実はみんな五目派だったんですよ(笑)優しいよね。だから最近は1:3になりました。

私の家族、本当にかわいい。

両親、私、妹の4人家族。まず、お母さんがおちゃめで最高。私、何回も繰り返し見ている動画があるんですよ。送るのでぜひ見てください。家族で佐賀の七ツ釜って言うところに旅行に行って、船で島々を観光した時のものなんですけど。船の上でタイタニックの曲を歌いながら無邪気に笑っているお母さんがもう、本当にかわいくて。

あとね、お母さんは最近料理がうまくなってきたんですけど、ひどいときがあって。お味噌汁が一番ひどかったなぁ。あさりとか入れるとじゃりじゃり。だしパックがお椀から出てくることもあるんですよ。お母さん、全くもう!っていうのが好きです。まずくても許しちゃう。本当にかわいい。

妹の話もしていいですか?この前、ドライな妹が自分から電話をかけてくれたことが、嬉しすぎて。しかも長話してくれたんですよ。大好き。

お父さんはね、私が美大でデザインの勉強をしていたのもあると思うんですが、いいと思うんだったら、買っちゃえばって、言ってくれるところが好き。だから買い物ではビビッと来たら買うようにしていますね。このソファーもそうです。色が激しくなくて、ナチュラル。布の質感が織っている感じ。木の色も好きだし、特にごてごてしていなくてシンプルなのが好き。割とビビッとくる率が高い家具屋さんがあって。そこで買いました。

私、こだわりはめっちゃ強いです、たぶん(笑)。買い物が大変ですね。家族としかショッピングしないかも。友達と一緒に行っても連れまわしてしまいます。本当に時間がかかるんですよ。小さいポシェットがほしいと思っても、ちょっと大きいとか、ポケットがもう少しあったほうが良いとか、迷ってしまって。たくさん見て回ったのに、最終的には条件から外れたものにビビッときてしまって。

お店自体の好き嫌いもあります。私、デパートの靴の置き方が好きじゃないんですよね。ブランドとか関係なく、ただ棚に並べただけな感じがして。だから逆に、お気に入りのお店だけを巡る買い物はスムーズにいきます。あとは、店員さん。同じ服屋さんでも、選んでくれる店員さんが違うと、買うか買わないか、変わったりします。似合わないものは似合わないってズバッと言ってくれる人が好きですね。

さっき話した貴味蛸(キミタコ)も、おじさんとおばさん、息子さんの3人家族で切り盛りしているんですけど、そこに他の人が入ってきて、味が変わっちゃったらどうしようって思ったり。きっと愛着が薄れるんだろうなと思う。「作っている人」が好きなのかな。

実は、自分の目利きはあまり信用していません(笑)。でも、お母さんの目利きはめっちゃ信用しています。明石焼き屋さんも、もともとはお母さんとお父さんが選んだものだったし。身近でセンスがいいっていったら、お母さんですね。

―――ねぇ、かよさんってもしかして人類の中で1番お母さんが好き?

ああ、もう…。そうなのかも(笑)かわいすぎる。

(聞き手・書き手:熊川京花、話し手:杉山佳代)

仕事百貨の編集ゼミは、伝えるよりも伝わることを大切にしながら文章を書いていくためのゼミです。オンラインで開催しているので、どこからでも受講することができます。

次回は12月の3日間で開講します。申し込みは2020年11月18日(水)まで。興味のある方は、こちらからお申し込みください。
※募集は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました(2020/11/19)。