※このイベントは終了いたしました。
「百姓」というと、農業従事者のことのように感じますが、本来の意味はたくさんの屋号≒職業を持っている、というもののようです。それぞれが何役も担うことで、地域社会を維持してきました。
たとえば、以前訪れた口永良部島では、自分の家は自分で建てられるようになったら一人前、という文化が今でもあります。それは島の中に大工専業の方がいらっしゃらないから、自分の家は自分で建てる、ということになったのだと思います。
離島では、そこに住んでいる人の数よりも、求められる役割が多いため、一人何役も担いながら、島の社会生活を維持しているところがあります。たとえば一人で水道屋 兼 貝細工職人 兼 果樹農家 兼 林道整備というように。
ただ、高度に専門分化した現代では、離島のような特殊な環境でなければ、一人何役も担う必要性は少なくなりました。世界に一人しか作れないものがあったとして、インターネットで注文することもできます。
そんな現代において、百姓というのはどういうものなのでしょうか。
株式会社くさかんむり代表、相良(さがら)さんは茅葺き(かやぶき)職人です。
阪神淡路大震災の経験をされて「食べるものくらい自分で作れなあかんわ!」と思い、お百姓さんになりたいと思ったそうです。
その後、茅葺きに出会ったことで、30姓くらいにまで広がったそう。民家や文化財の修繕のほかにも茅葺きの先進地であるオランダで学んだ手法や考えを活かして、京都の森で行われるアートイベントに出店したり、店舗の内装や什器をつくったり。
そして、今は一人で百姓になるのではなく、「みんなで百姓できればいい」と考えていらっしゃるようです。面白いのは、現代の百姓の100には、実に様々な仕事の可能性があるということ。現代の百姓という生き方について、一緒に考えていこうと思います。
※現在、くさかんむりでは「茅葺きの建物を活用したまちづくりを行う人」の募集も行なっています。よろしければこちらの記事もご覧ください。
(参加方法)
今回は<オンライン無料視聴>のみです。オンライン視聴される場合はYouTube LIVEをご覧ください
相良 育弥(さがら・いくや)
兵庫県神戸市北区淡河町を拠点に、空と大地、都市と農村、日本と海外、昔と今、百姓と職人のあいだを、草であそびながら、茅葺きを今にフィットさせる活動を展開中。平成27年度神戸市文化奨励賞、第10回 地域再生大賞 優秀賞、ジャパンアウトドアリーダーズアワード2020 優秀賞
ナカムラ ケンタ(なかむら・けんた)
生きるように働く人の求人サイト「日本仕事百貨」代表。シゴトヒト文庫ディレクター、グッドデザイン賞審査員、IFFTインテリアライフスタイルリビングディレクターなど歴任。東京・清澄白河「リトルトーキョー」「しごとバー」監修。誰もが映画を上映できる仕組み「popcorn」共同代表。著書『生きるように働く(ミシマ社)』。2020年には事業承継プロジェクト「BIZIONARY」スタート。