ゐ処をひらく
2023/2/24
2月24日 金曜日
ゐ処の在る、滋賀県東近江市の永源寺という集落。そこに、絵本作家のおじちゃんがご夫婦で住んでいる。
そのおじちゃんが前に店へ昼飯を食べに来てくれた時、是非うちに遊びに来てよと言ってくれ、早速訪ねてみることにした。

雨降りの中、頂戴した手書きの地図を頼りに向かうと、赤い傘を差したおじちゃんが家の前で待っていてくれていた。車を停めて降りると「お〜!よく来てくれましたね〜!!」と手を広げ歓迎してくれた。
腹の底から湧き出るような笑い声と、快活なエネルギーに圧倒され、思わず跳ね飛ばされそうになる。けれど、足にぐっと力を入れて立つと、こちらもむくむく元気になっていくのが分かった。

「ようこそ、ようこそ」
はじめに通された客間に掲げられていた、おじちゃん手製の額。ようこそが二言も書かれている。
お茶や菓子も勧められ、すっかり深く椅子に腰掛けたら、皆で色んなことを話した。
「頑張るっていう言葉、どう思いますか?人にも自分にも、頑張れ、頑張れって簡単に言ってしまいがちだけれども」
「正直なところ、店を開いたばかりの身であれなんですが、頑張りたくはないなって思ってしまって。それより、ぼちぼちがいいな・・・」
「そらエライよ!!」

「洞庵」と名付けられた、これまた手作りの小さな茶室にも案内してもらった。
もう何杯飲んだか分からないお茶を、再びたっぷり淹れてもらい、また皆で日が暮れるまで話し込んだのだった。
近所に、こんな大人が住んでいる。
今居る場所で暮らす楽しみは、こうして深まっていくのだなあと思った。
『ゐ処をひらく』は、日本仕事百貨のメールマガジンから生まれたコンテンツ。全国を旅するように働いてきた店主の佐原さんが、滋賀・東近江市で開業した飯屋『ゐ処』の日常を綴った日記です。