ゐ処をひらく
2023/3/20
3月20日 月曜日
まだまだ咲きそうにないなとみていた梅が、すでに大分散っていた。
暖かくなってきてそれだけで有り難いけども、春はどことなく取り残されたような気持ちになるのが少し困るところだ。

そんなザワザワした気持ちの中、ゐ処のある集落、永源寺に住む絵本作家のおじちゃんの個展がやっているというので観に行ってきた。
個展の名「痕跡」。過去の作品からピックアップしたものが展示されているとのこと。
久しぶりだなあこの感じ、と思いながら静かなギャラリーの中へ入ると、あ、「ようこそ、ようこそ」。
そして、おじちゃんからのメッセージ。

・・・
ボクの絵を見てくださった方々の多くは、口をそろえて「なんだ!これは?訳がわからん」と言ってくださいます。実は絵を作ったボク自身もそう思っています。
そんな訳のわからん絵をいろんなやり方で作ってきて、わかったことが1つあります。
それは、どんな絵であれ、絵は絵の具と筆によって作られた「痕跡」である、ということです。
画面に作られた痕跡、画面に残っている痕跡を目で追って・・・楽しんでいただけたらと願っています。
・・・
思わずふっと笑ってしまったと同時に、妙に腑に落ちた。

わたしが高3の時に通っていた画塾の先生には、なぜそこにこの色を置くのかといったことを、全て説明できなければいけないと言われた。けれどそれは、不正解でもなければ正解でもなかったのかもしれない。
あの時、何故あんなに自分は嬉しかったのか、怒ったのか、悲しかったのか。
振り返ると、まさに自分でも訳のわからんことだらけ。なるようになるということだろうか?
分からないままに、胸はすっとしてギャラリーを後にした。
『ゐ処をひらく』は、日本仕事百貨のメールマガジンで紹介してきた『山のサハラさん』シリーズの続編。全国を旅するように働いてきた店主の佐原さんが、滋賀・永源寺で開業した飯屋『ゐ処』をいとなむ日常を綴った日記です。