山のサハラさん2020/4/17
4月17日
明日の今時分にはもう、標高2,000m超えの山の中なんだなあ。
東京の実家から、今居る栃木へ登山靴だけ送ってもらった。他の山道具や日用品も必要だけれど、東京には寄らず直行することに。しばらくは、あるものでなんとかしよう。
再び働く山小屋は、八ヶ岳にあります。長野県と山梨県にまたがる山塊で、麓には諏訪湖や清里高原。
新宿駅から特急あずさに乗って2時間ほどで茅野駅へ。そこからまた1時間くらい車を走らせたら、八ヶ岳の入山口に到着です。
わたしは、夏沢鉱泉という山小屋で小屋番をします。他にも硫黄岳山荘、根石岳山荘という山小屋も営んでいて、たまに違う小屋へ応援に行ったり食材を背負って歩荷(ぼっか)をしたり。
そもそも、山小屋で働こうと思ったのはなぜだろう。
新潟県は妙高市に、国際自然環境アウトドア専門学校という名の変わった学校があります。この学校へ入学したことで、山の世界を知ることに。
就活の頃。自分には、どんな仕事がしたいかが思いつきませんでした。けれども、どんな暮らしがしたいかということなら考えることができて。そこで、会社に就職する前に海外で暮らしてみたいと思い、まずは働いてお金を稼がなきゃ、というところから山小屋へ行き着いたのでした。
はじめは1年くらいで辞めようと思っていたけれど、山小屋が実家よりも快適かもしれないと感じるように。水や電気などは限られた環境だけれども、山での暮らしが好きとか嫌いとかの前に、身体のリズムに合っているのかもしれません。
そのまま長いこと山に居たいと思ったこともありました。しかしながら、下山することにしたのが去年の1月です。
婚期を逃すかも…と。スミマセン笑、それは茶化した理由ですが、やってみたい仕事が見つかったということや、山に居続けることで自分から薄れていく感覚があったからです。満点の星空にも心が動かなくなっていることに気づいた時、こりゃ山を下りようと思ったのです。
そんなことを経ての、再びの八ヶ岳。
ここもコロナの影響を受けており、山小屋の運営だってこの先どうなるかは分からない。正直今は、目の前の不安の方が大きいかもしれません。
けれども、無理に明るい気持ちをつくるのではなく、明るい気持ちでいられる状況を自分でつくっていこうと考えています。
ところで、入山前の最後の晩餐は、農家さん自慢の「コーンポタージュラーメン、コーンポタージュ付き」でした。
色々つっこみたかったけれど、元気をいただきました。
栃木の農家さんに感謝と別れを告げ、ぼちぼち山へと出発です。
「山のサハラさん」は、日本仕事百貨のメールマガジンから生まれたコンテンツ。全国を旅するように働く佐原真理子さんが綴る日記です。