山のサハラさん
2020/4/20

4月20日月曜日

今日は、今シーズンを共に働く小屋番11名が集合した。明日から、3~4人ずつ3つの山小屋に分かれて暮らしと仕事を共にしていきます。

わたしは、1年ほど前にもこの小屋で働いていて、今回一緒に働く人の中には、はじめましての人も、おひさしぶりの人もいる。

これからずっと、同じ屋根の下。人見知りなもので緊張するけれど、きっと大丈夫。もしも性格や価値観が合わない人がいたとしても、こんな山の上では共存していく他に道はない。笑

下界の暮らしではまず出会わないような人とも、出会えるのが山だと思います。

ふと、すでに退職している、一人の小屋番を思い出す。人生で、特に濃い時間を分けあったと言える人。

彼とは、およそ3年間同じ小屋で働きました。写真ではこんなしてふたりで笑っているけれど、一緒に働く中でどうしようもないくらいぶつかったことが何度もあった。

仕事が終わって家に帰れるならばいいけれど、ここは八ヶ岳。ケンカをしたって、朝飯、昼飯、夕飯でさえ一緒。頭を冷やす間もなく、お互い黙ってご飯をかきこんだり。

けれども、てんやわんやな大忙しの夏や、-20℃の厳しい寒さの冬。一緒に幾度と難局を乗り越えた彼は、いわば同志のような存在です。

言い合ったその時は、受け止め難かった言葉たち。今思えば、本気で伝えてくれたことが、じんわり自分をあたためてくれる。

仲良しとは違うかもしれない。あなたのそういうところが大嫌いだと話し合う先に、はじまる仲間という関係があること。

今更ながら、ごめん、ありがとうと思う日です。

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「山のサハラさん」は、日本仕事百貨のメールマガジンから生まれたコンテンツ。全国を旅するように働く佐原真理子さんが綴る日記です。