屋根の上のサハラさん2020/12/21
12月21日 月曜日
「筋がええなあ、職人に向いとるぞ」
職人さんの横で作業をしていたら、仕事ぶりを褒めてもらった。うれしい反面、変化を好む性分の自分には、ひとつを極める職人のような仕事は不向きだと思っていたので驚いた。
「自分には才能がないと思うことに才能があるもんやで」
当の職人さんはというと、アホみたいに毎日同じことをやっていたから茅葺きができるようになっただけで、自分にはなんの才能も無いといいます。
「職人の世界では、才能が無くったってきちんと伝統を継承していけば、先人たちのおかげで飯が食えるんや」
職人さんが茅葺きの見習いを始めた頃、俺が伝統を守ってやると意気込んでいたそう。けれど本当は、自分のほうが伝統に守られていたんだよなあと話してくれました。
美山では雪が降る日が多くなってきた。
この場所で、職人さんたちと一緒に過ごす日々も、あと少しでおわりです。
すっかり仲間に入れてもらった今日、お別れが近づいていることに寂しさを覚えます。このご縁、きっと長く続きますように・・
年明けには東京湾から南に1,000km、いよいよ小笠原諸島へ渡ります。
何もない島での無人島料理人という仕事にちょっと緊張しているけれど、遠足の日の前日のようにドキドキしている。
次回は、島からお便りします。
「屋根の上のサハラさん」は、日本仕事百貨のメールマガジンから生まれたコンテンツ。全国を旅するように働く佐原真理子さんが綴る日記です。