島のサハラさん2021/1/17
1月17日 日曜日
東京より南に1,000km
小笠原諸島は、父島にて日記を書いています。
年明け、正月気分が抜けぬ頃。船に丸一日揺られ、ようやく島に着いてから、もう1週間ほどが経つ。
本州では、雪がたくさん降っているようですが、こちらの気温は20℃前後と暖かい。秋に戻ってしまったような、はたまた春になってしまったような、おかしな感じです。
最初はなんだか心細くて、「あれ、こんなに寂しがり屋だったかな」と笑ってしまうほどでしたが、きっと今は大丈夫(な、はず)
そんなこんなで身体と気持ちを徐々に慣らしながら、いよいよ明日は無人島料理人デビューです。父島からさらに船で3時間ほど離れたケータ列島へと渡り、浜辺にテントを張って5日間のキャンプ生活を送ります。
デビューにあたり、わたしが小さな頃からお世話になっている幼なじみのお母さんに、LINEのやり取りの中で抱負を伝えた。
「これまでのスキルの集大成として、がんばってきます!」
すると、すかさずその人は、
「集大成なんて思わなくていいんだよ。食事の時はみんなに楽しく食べてもらえるように、あなた自身が笑顔で、明るく過ごしてね」
と、ふわりと掬ってきた。
そっかあ、頭の中は全くどんな料理をつくろうかということばかりで、自分を置いてけぼりにしかけていたかもしれないと思った。
料理は、調理中の料理人がどんな状態であったか、味やエネルギーのようなものとして凝固されると、ある人も言っていました。
怒っているわたしがつくる料理は辛くなり、悲しんでいるわたしがつくる料理はしょっぱくなってしまうかもしれない。
まずはなんたって、みんなに元気を食べてもらわなくちゃね。
「山のサハラさん」は、日本仕事百貨のメールマガジンから生まれたコンテンツ。全国を旅するように働く佐原真理子さんが綴る日記です。