島のサハラさん2021/4/6
4月6日 火曜日
とうとう、小笠原を発つ日となりました。
東京行きの船は港から離れ、父島がどんどん小さくなっていく。
職場で親しくなった人たちに、それぞれへもっと伝えたいことがあったような。別れ際、握手なんかじゃなくて、思いっきりハグしたらよかったや・・
笑顔で手を振りながら、引っ込んでいた寂しさが、一気に溢れてきたことが分かりました。
この3ヶ月、多くの人たちと出会い、楽しい時間やしんどい時間、様々な時を共にしました。
人も、仕事も、小笠原も、好きなところもあれば、嫌いなところもある。わたしとそれらの関係性も、良い時もあれば、悪い時もありました。
ただ、好きか嫌いか、自分にとって良い人か悪い人か、仕事ができるかできないか、たった一点の見方や出来事の連なりによって、白か黒かの選択はしたくありませんでした。
その時、その場所だったから生まれる、何かを共有することができた。
だからきっと、次に同じ人と会っても、同じ仕事をしても、同じ場所へ戻ったとしても、二度と同じことなんて無いのだと感じます。
けれどもそれは、悲しいことじゃない。
あの時、あの時間が、たしかに在りました。
もう、父島は見えなくなってしまった。
しばらく離れられずに海を眺めていたけれど、船内へ酒を買いに行くことにした。
「山のサハラさん」は、日本仕事百貨のメールマガジンから生まれたコンテンツ。全国を旅するように働く佐原真理子さんが綴る日記です。