山のサハラさん
2021/6/6

6月6日 日曜日

山に帰ってきておよそ2ヶ月。冬休みを経てから、また同じ場所に戻ることで、自分の中の変化に気づくことがありました。

実は、前のシーズン、山小屋でどのようなモチベーションで働いたらよいか分からなくなっていた。

八ヶ岳に居られることは嬉しいけれど、いまいちこんなふうに働きたいとか、これがやりたいみたいなことが掴めず、もやもやしていた時期がありました。

そのもやもやを抱えたまま山を下り、冬にお世話になった京都の茅葺き職人さんに話してみたら、思いもしない言葉が返ってきた。

「俺なんて、モチベーションのモの字もないで。もう何十年とやってきて飽きた(笑)」

「モチベーションは、いずれは下がるもの。生きるのは何のためか、それが分からんくても生きていかなあかんのと同じで、何のために働くんか、分からんくなっても仕事せなあかん時もある。ほんまは、モチベーションがあることよりも、下がった時にどうするかの方が大切なんや」

「モチベーション以外で見つけていく段階に入ったってことやない?」

モチベーション以外かあ。

仮に今までのわたしのモチベーションが、自分自身が面白いと感じることだったとすると、モチベーション以外はきっと、同僚や友だち、家族や恋人といった周囲の人のことかもしれない。

相手に時間を使うことの充足感。その感覚が、今の自分なら分かる。

モチベーション迷子の自分=残念な自分かと思っていたけれど、ちゃんと前に進んでいる証だと背中を押されたような気がしました。

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「山のサハラさん」は、日本仕事百貨のメールマガジンから生まれたコンテンツ。全国を旅するように働く佐原真理子さんが綴る日記です。