しごとばーってどんなとこ③

素材
「しごとバー」をご存知ですか?

「職人」「NPO」「デザイン」など、さまざまな分野で働いたり活動したりしている方をバーテンダーとしてお招きして、お酒を飲みながらお話できるイベントです。虎ノ門・リトルトーキョー内のBAR「ジャノメ」で開催されています。

しごとバーはどんな方にもご参加いただけますが、「参加方法がわからない」「ひとりではちょっと入りづらい」という声を聞きます。

そんな人に向けて、しごとバーの様子をお伝えする「しごとバーってどんなとこ?」を日本仕事百貨のインターン生で企画しました。

全4回でお届けします。

*虎ノ門のリトルトーキョーは9月末クローズしましたが、移転先の清澄白河でも同じような場をつくり、しごとバーも続けていきます。今後も、ぜひご参加ください。

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第3夜

リトルトーキョーに到着。

通り側の大きな窓から中を覗くと、会社員という雰囲気ではないスーツ姿の人達が立ち話をしている。

なかに入り、カクテルを片手に店の奥へ進むと、優美な男性たちが一列に並んでいました。

今夜のしごとバーは「ホストナイト」です。

ゲストは歌舞伎町のホストクラブ「Smappa!GROUP」会長の手塚マキさんとスタッフさん4人。一番左は日本仕事百貨のナカムラです。

たくさんのお客さんが集まり、ホストのスタッフさんがテーブルごとに分かれてホストナイトがはじまりました。

わたしは手塚さんのテーブルへ。手塚さんはホストの「しごと」についてお話してくださいました。

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「水商売は、コレを売っているんじゃない」と、マキさんがお酒を指しながら一言。

「カッコいい!じゃあ何を売っているんですか」とナカムラ。

「時間とか心地よさとか、形にならないもの。モノを売るとかってよりも、万屋でもあるのかな。悲しいときには慰めてくれるし、うれしいときには一緒に喜んでくれる相手だったりする」

「お酒を売るにしても、結婚式で売るのと葬式で売るのって全然違うじゃん。それをちゃんと見定めて売ったり、時間をつくってあげる感じが水商売かな。だからお酒をゴリ押しして売るわけじゃない。ホストクラブとかで売るお酒ってツールになっちゃっているけど、実際にはコレを売っているんじゃない」

ホストの接客は、友人や恋人に贈り物をするときのように、その人がどう喜んでくれるのかを考えることに近いのかなと思いました。そしてお客さんはお酒ではなく、そんな人との楽しい時間にお金を払っている。

場の雰囲気をつくり、目の前の人との関係を築くことがホストの仕事なんだと知りました。

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「基本的にホストをやるやつらって一生ホストをやりたいなんて思っていない。ひとりもいない。とりあえず金稼いでなんかやってやろうって、一千万貯めればなんかできるだろうぐらいしか考えていない。簡略的な考えを持っている人しかホストにならないけど、それはやっぱ変えたくて」

マキさんはもともとホストへの憧れはとくになく、「普通と真逆のことがしたかった」と話していました。

「最近、職業ホストっていうのを結構言っているんだけど。一生懸命ホストやった奴らって大体がバカを見ちゃう。でも一生懸命やったら、きっと車や保険だって売れるだろうし、いくらでも仕事あると思うの。ただ、みんなヘタだから、ホストで頑張って売れた奴らはいい人生が待っているみたいにしたい。それはホストだからってよりも、俺がやってきた仕事だから、いい仕事にしたい」

Smappa! GROUPでは月に一度、歌舞伎町でゴミ拾いをする「夜鳥の界」というボランティア団体も立ち上げています。その発起人がマキさんだそうです。

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「ホストナイト」に来たお客さんは、ホストクラブに行ったことがない人ばかり。

「何でホストになったの?」「ホストをやる前は何をしていたの?」「実際に札束が机にポンと置かれるの?」などの質問が上がっていました。

ホストの新人教育を担当しているスタッフの方は、以前はコンタクトレンズを販売していたそう。ほかにもソムリエの資格を持っている方や、会社の広報を担当している方もいて、ホストの仕事の本音をお客さんに話していました。

広報担当の方がSmappa!GROUPの社内報「TOTONOE MAX」と写真集を見せてくれました。どちらも社内向けにつくられているそうです。

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写真集はマキさんの独断と偏見により選ばれた写真が載っていて、見てみるとカッコいい写真ではなく、コールの写真、ホスト同士がふざけ合っている写真、閉店間際なのかとても疲れた様子の写真など、「ホストクラブの日常」を感じました。

ちなみに、この2冊はリトルトーキョーに置いていって下さったので来店の際に見ることができます!

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「そろそろ閉店です!続きは歌舞伎町で!」とナカムラのかけ声とともに、今日のしごとバーも終わりが近づいてきました。まだまだ話足りない!といったお客さんもいましたが、歌舞伎町にも行ってみたくなったのはわたしだけではないようです。(後日いきました!)

閉店後に「また、しごとバーで会いましょう!」とマキさん。

次回の「ホストナイト」、乞うご期待です!

(2015/8/17 田中楓)