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メンテナンスサービス職、と聞いてどんな仕事をイメージするでしょうか。細やかな作業を黙々とする印象もあるかもしれません。もちろんそういった側面もあるけれど、今回紹介する仕事はただ同じ作業を続けるようなものではありません。
むしろ、現代の暮らしやニーズに合わせてフレキシブルに変化していく。だからこそ、長く続いてきたものを守り続けていくことができる。八清はそんな会社だと思います。

住宅をはじめ、シェアハウスや旅館など、さまざまな物件を企画。
シェアハウス内の交流を深めるためにイベントを催したり、旅館のコンテンツとして外国人向けのサービスを提供したり。建物のハード面だけでなく、ソフト面にも力を入れて京町家や京都のまちの価値を高めようとしています。

設計・施工経験がある人や不動産の管理会社にいた人はもちろん、水道、電気、ガスなどの設備のメンテナンスをしていた人も。
リノベーションの現場に直接関わったことがない人にも、ぜひ飛び込んでもらいたいです。
京都市・地下鉄四条駅で下車。
この日はあいにくの雨模様。傘をさしていると、細い京都の通りはすれ違うのも一苦労だ。
駅から歩いて5分ほどのオフィスで待っていてくれたのは、専務取締役の西村さんです。
「僕らの会社って、他の会社が面倒くさいと避けてきたことを好んでやってきているのかなと思うんですよ。中古物件は今でこそ当たり前ですけど、当時は保証がきかないというイメージがありました。さらに痛んでいる京町家であり、工事のしにくい路地の奥ですからね」

八清はもともと、西村さんのひいおじいさんが呉服の卸問屋として創業。その後、繊維産業から不動産へと業態を変え、不動産業の中でも新しいチャレンジを続けてきています。
「会社としては、丁寧で親切に商売をするというところと、“おもしろいことをやろう”という方針は創業当初から変わっていません」
たとえば、買い取った古い家を現代的な暮らしができるようにリノベーションしてブランド化したり、パン工房や作陶など暮らす人が自由に工夫できる工房スペースを備えた物件を手がけたり。
「最近では、レンタルスペースみたいに、イベントで町家を使えるようにしたりとか。僕は前職でエンジニアとして働いていたので、その経験を生かして映像とアートを融合した新しい宿も考えているんですよ」
古いものを、ただ守るというスタンスでは京町家は残らないし良くなっていかない。
固定観念にとらわれず、こんな物件はつくれないかな?と考えて、実際につくってみる。八清のおもしろさは、そんな柔軟性にあると思う。
社内の制度も、より新しいアイディアを生みやすいよう変化してきた。
「プロデューサー制度という、物件の仕入れから企画、工事や販売まで一貫して担当するシステムをつくりました。十人十色で自分の面白いと思う商品をどんどん企画していける。一貫しているから、お客さまのリアクションも見えるんです」
そのほか、人事評価制度をリニューアル。NPOでコミュニティ運営を手がけていたスタッフや、ウェブに強いスタッフなど異業種からの採用も積極的に行っている。

今回募集するメンテナンスサービス職を担当する鈴木さんも、八清の個性に惹かれて入社したひとり。
「ホームページを見たときに、販売している物件の括りは“京町家”というものしかなくて。一軒一軒の個性が強いし、京町家に携わることにも興味をそそられましたね」

入社前と後では、会社のイメージは変わりましたか?
「修理だけをやると思って入ると、修理以外の仕事がたくさんあるので戸惑うかもしれません。お客さまや社内とのコミュニケーションができないと、自分が携わっている仕事もうまくいかないので」
その言葉通り、メンテナンスサービスの仕事内容は本当に幅広い。
販売物件や賃貸物件のメンテナンスはもちろん、自社物件の完成検査、空き家やシェアハウス・宿の定期管理、さらに会員制の有料メンテナンスサービス「八清サポートクラブ」の管理・運営、広報誌の作成など。

効率性を考えれば、もっと分業すべきだと思う人もいるかもしれない。けれど、お客さんに対して「いい家でいい生活をしてほしい」と思うと、自ずと関心の幅は広がってくるようです。
「定期管理や完成検査は月に2〜4件ほど。やはり一番多いのは、建物のメンテナンスです。日によりますが、大体一日に4件くらい。基本的には、社外に出っぱなしで常にどこかの現場にいることが多いですね」
建物のメンテナンスは、京町家ならではのものも多い。たとえば古い建具の調整や、屋根の点検。いくつかの建物が連なった連棟式の京町家では、隣の家からねずみやいたちなどの小動物が入り込むことも。それぞれの相談に合わせて、補修を行うという。

「わりと守備範囲が広いので、電気や水回りから、大工さんがやるような相談までいろいろございます。自分たちで補修できるもの、専門業者にお任せするものとこちらで振り分けをしていきます」
「クレームに対応することもありますが、不具合を直すと『ありがとう』と言っていただけることが多いです。そういう意味では、精神衛生上いい仕事をしているかなと思います」
日々単調な作業が続くのかと思っていたら、「そうでもないんですよ」と鈴木さん。
先日は、ペットの猫が脱走しないよう、飼い主さんと一緒にしつらえをつくったのだとか。
「二階の物干しスペースに家出防止の木枠と、室内にはキャットウォークをつくったんです。簡単な絵を描きながらイメージを共有して。猫との生活を楽しんでもらえるようにいろいろ考えたんですが、いざつくってみると猫が意外と使ってくれなくて…親の心子知らずとはこのことですね(笑)」
ただ「これをつくってください」と依頼されるのではなく、「こういうのはどうですか?」と自ら提案もする。ものづくりの職人としても、楽しみながら働けているよう。

過去には、大手ハウスメーカーでの営業や工務店として工事を請け負った経験もある鈴木さん。ひとつとして同じものがないリノベーション物件だからこそのやりがいも感じているという。
たとえば、水道のカランひとつとっても、外国製のものやTOTO、LIXILのカラン。無数の選択肢が存在する。
「現場に行ってから合うものを持ってくると二度手間になってしまう。僕はそれが嫌なので、どんな情報が事前にあれば一度で直せるか、その仕組みを考えていく。それをニヤニヤしながらやっているんです」
自分なりに考えていくことが楽しい?
「はい。失敗しながらでも、自分なりの仕組みをつくってコミュニケーションをとっていく。でもそれを新しく入る人に水平展開するつもりもなくて。それぞれが自分のやり方を見つけてもらえればいいと思います」

それを『めんどくさい』と思うか、『ここまでやっていいんだ!』と楽しめるか。そこが大きな分かれ目になるんじゃないかな。
隣で、鈴木さんの話を頷きながら聞いていた青山さんにもお話を伺う。

「営業って売ったら終わりですけど、我々の仕事はそこからはじまるので。鈴木のように、お客さまとしっかりコミュニケーションがとれる方にきてほしいと思います」
「なぜなら、メンテナンスサービスがお客さまと八清をつなぐ、窓口になるからなんです」
窓口。
「そうです。中には、一度購入された物件を転勤になったから賃貸で貸すとか、売却するという方もいらっしゃいます。そういうときに、直接お客さまと接する彼らが『八清さんに相談してよかった』と言われるような人じゃないと、もう一度八清に頼もうと思っていただけないと思います」

自分なりに技術を身につけつつ、安定して働けるのは大きな魅力だと思う。
まずはしっかりと目の前の人の困りごとに応えられるように、メンテナンスの仕事を覚えること。興味があれば、その先には八清だからこそできる仕事もある。
プロパティマネジメント部は、シェアハウスやコワーキングスペースなど自社物件の管理運用、お客さんからお預かりした賃貸物件の斡旋と管理が主なミッション。いかに付加価値をつけ収益を生み出すか、ソフト面の企画も考えていくことになります。
それはメンテナンスサービスも例外ではありません。
「何か問題が起きたらお宅に伺って直す、というようなマイナスのことから入るんじゃなくて、継続してその家での暮らしを楽しめるような仕組みもつくっていけたらいいですね」
たとえば、物件の購入者同士をつなげてコミュニティをつくることもできるかもしれない。
ベンチャーのような気質のある会社なので、自分次第で柔軟にプロジェクトを展開していけると思います。
取材を終えて振り返ってみると、八清の人たちは本当に自立している人ばかりだなと感じる。

自分の仕事にも、お客さんの求めるものにも。ここでなら、向き合っていけると思います。
(2017/10/25 並木仁美)