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「実は私、シェアハウスって苦手なんですよ(笑)。何でも一緒って、いやになっちゃいませんか?」株式会社Rバンクの取締役、金子さんの口からこの言葉を聞いたとき、正直言って驚いてしまいました。
なぜなら、Rバンクは女性専用シェアハウス“Rシェア”を10年近く企画管理運営する、シェアハウスのプロ集団だからです。
確かに、それまで知り合いではなかった人と一つ屋根の下で生活するのは、簡単なことではないように思えます。
金子さんが率いるRバンクのシェアハウスは、人の存在は感じるけれど、べったりでもなく、お互いにちょうどいい関係を保ちながら生活ができるのが人気の理由。
そこには、心地よい距離感を保つスタッフの仕事が欠かせません。
今回求めているのは、現在50棟あるシェアハウスの管理・運営をするスタッフです。不動産や建築の経験がなくても、ゆくゆくはシェアハウスの企画まで携わることができるそう。
住む人も、そこで働くスタッフも。大人な心地よい関係がここにはあるように思います。
渋谷駅から歩くこと数分。都内のどこへ行くにも好立地なビルのなかに、Rバンクのオフィスはありました。
受付で待っていると、廊下からにぎやかな女性の笑い声が。現れたのはシェアハウスの企画・管理チームのみなさんです。なんとRバンクのスタッフは、全員女性なのだそう。
まずお話ししてくれたのは、シェアハウス事業を統括する金子さん。
金子さんはRバンクの立ち上げメンバーの1人です。女性が働きやすい環境をつくりたいと、学生時代から起業を夢見ていたのだそう。
とても女性的に見えて、ときには豪快に笑ってみせるチャーミングな方です。
「Rバンクの“R”は、“蘇る” “リノベーション”“物事が新たに変わる”という意味の“Re”からとりました」
金子さんはRバンクを立ち上げる前は大手ディベロッパーに勤めていた。
仕事は華やかではあった。でも、味わいのある建物の多くが有効活用されず、マンションにかわっていく。特に歴史的な建物の多い横浜支社にいると、仕事への疑問はどんどんふくらんだ。
ついに、ディベロッパーの仕事を続けつつ、横浜市に建築物の維持をうったえる非営利活動を始めた。
「歴史的な建物で行なうアーティストのイベントを企画して、人の出入りを増やす。そうすることで新たに文化的な場所がつくれる」
「建物を有効活用する仕組みを考えることが、今後必要とされるんじゃないかなと思って。これが起業のきっかけでした」
まずは不動産仲介や古い建物を、リノベーションして運用する会社としてRバンクをスタート。
不動産の運用方法の一つとして、シェアハウスの企画と管理運営がはじまった。女性向けシェアハウス事業のRシェアは、今では50棟の物件を扱うRバンクの主な事業になっている。
とはいえ、金子さんご本人はシェアハウスが苦手だと言う。
ずっと同じ時間、同じ空間を共有するのは、自立した大人の女性にとっては少ししんどいんだとか。
「だからこそ、私たちが大事に思っているのはつかず離れずの関係です」
つかず離れずの関係?
「入居される皆さんは、交流だけを求めてるわけじゃないんです。安全性や費用、いろんな理由でシェアハウスを選んでいる」
無理に入居者の関係をつくることも、スタッフができあがったコミュニティに入っていくこともしない。あくまで自然発生的な交流が生まれればいいと思っている。
距離感を大事にしているのには理由があるそうだ。
「こちらからイベントを企画して、にぎやかで楽しいね、というシェアハウスもあるかもしれません。でも、私たちは物件の管理者として、間違っているときには『それは違いますよ』と説くようなこともしないといけない」
仲良くなりすぎたせいで生まれる甘え。それによって起こるトラブルもある。
たとえば共有のスペースに私物を置く人がでてきたり、入りきらない靴を人の靴箱に入れたり。
「とくに女性の方はコミュニケーション力が高いですから、何かトラブルがあった際には発言力のある人の意見が通りがち。それではよいコミュニティとは言えません」
シェアハウス内のよい距離感をつくるために、スタッフは1人ひとりと公平に、ときには厳しさをもって向き合うことが大事なのだそう。
その考えは、金子さんが考える建物の企画にも活かされている。
キッチンやお風呂場の収納スペースは1人ひとりきちんと区切る一方で、共有スペースはひとつにまとめるわけではなく余白をつくろうとしてみたり。
たとえば、それはふらりと一人で訪れて、自分の時間を持てる屋上のような空間。
「入居者どうしの心地よい関係性づくりが、結局オーナーさんの利益を守ることにもつながるのかなって思ってます」
「そのために私たちは常に中立の立場で、信頼されなければならないんです」
このあとは、物件ごとに管理を任されるコーディネーターの皆さんにお話を伺います。
まずはシェアハウスの管理チームで、リーダーをされている亀田さん。
小柄で可愛らしい見た目だけれど、お話ししてみるとキリリと頼れる印象です。
「コーディネーターは新しい物件ができたら、家具の搬入や家電の用意を行います。次に募集です。金子と相談しつつ、賃料を設定して、自社サイトとシェア住居を紹介するサイト『ひつじ不動産』などで募集を行います」
新しく入る方はまず、亀田さんのチームに入り3ヶ月は研修を受けることになる。
独り立ちしたら、まずは募集の仕事から。入居希望の方を内見にご案内します。
繁忙期には、日に4件ほどまわることも。
この内見のご案内も、大事な関係づくりの時間です。
「実家から独立するのでわくわくしている方もいれば、ストーカー被害に遭われていたり、同棲を解消するから引っ越すというナイーブな方もいらっしゃる」
「異なる事情やお人柄にあわせたコミュニケーションをとるようにしています。そこでも踏み込み過ぎず、でも信頼を得られるような距離感を目指しています」
基本的には物件ごとの管理担当が内見の案内をする。ときには条件がお客さまの希望どおりだったとしても、シェアハウスの雰囲気に合わないと感じたら正直にお伝えして、違う物件をご紹介することもある。
一日の終わりには会社へ戻り、入居の申込み、クレームや建物の不具合がある物件のオーナーへ報告をする。
「私は見た目が幼いので、入居者さんに“亀ちゃん”とかって呼ばれたりするんですけど、こちらからは敬語は崩さずあまりフランクにならないようにしています」
印象的だったというある物件の話をしてくれた。
はじまりは入居者全員から嘆願書が出されたことだったそう。内容は、Rシェアの規約にある“入居者以外の宿泊を禁止する”という項目を無くしてほしいという意見だった。
「気持ちは分かりますけど、意味のない規約はないんですよね。お友達であったとしても、ほかの入居者さんからしたらその方は他人ですから、何かトラブルが生まれるかもしれない。入居者さんどうしで揉めてしまうのは悲しいことですし」
そのときは毅然と話をすることで理解をしてもらえたという。蓋を開けてみると、1人の声の大きな入居者がほかの人を巻き込むかたちで出された嘆願だということもわかった。
「距離感を大事にするのは、やはりオーナーさんの持ち物を預かっているという責任感と、どの入居者さまにも気楽に暮らしてほしいという思いから。ドライというわけではないんです」
入居者どうしのトラブルによる退去がほとんどないことや、留学や転勤で退去してもまた戻ってきてくれる人が多いところからも、心地よい環境がRバンクのシェアハウスにはあるのがわかります。
ここで働くとしたら、どんな人が向いているでしょうか。
「ほとんどがコミュニケーションの仕事です。人と人のあいだに立つ仕事。人が好きじゃないとつらいと思います」
「繁忙期はいそがしいことも多いので、オンオフを切り替えられる人がいいでしょうね」
入社して2年の望月さんにもお話ししてもらいます。
望月さんは、入社するまで不動産の経験は一切ありませんでした。
入ってみてどうですか?
「こんなに外にでる仕事だと思っていなくて。結構重い荷物を持って、一日中歩くこともあります。真夏はそれがつらかったですね。でも運動部でもなんでもない私も慣れちゃいました」
えへへ、と笑う望月さん。これだけは、と言って教えてくれました。
「あるスタッフはニュースレターをつくりたいと声をあげて実際に担当していたり、私もチラシやマップ、名刺をつくらせてもらったり。声をあげると挑戦できる雰囲気があると思います」
最後にご紹介するのは清水さん。
4年前の日本仕事百貨の記事を見て入社された方です。以前はまちづくりや建物のコンサルティングの仕事をしていました。
「前職で、企画段階では良かったのに運営してみると持続しない建物を結構見てきました。だからRバンクの『管理無くして企画なし』っていう部分が、すごく納得できたので入社しようと思ったんです」
シェアハウスの企画は、最初から担当できるわけではありません。まずは、建物の管理を知るところから。1年ほどで、金子さんと物件のコンセプトを考えたり、アシスタントのようなかたちで参加することができるようです。
「物件の企画は華やかそうに見えますが、周辺の賃料を表にまとめたりとか、結構地道な作業も多いです」
「でも、建物が生まれ変わって、自分たちでソフトの部分を考えた物件に入居者さまが入るところまで、すべてを見られるのはおもしろいし、やりがいにもなってます」
Rバンクのスタッフは、今は10人ほどだそう。みんなで箱根や屋久島に行ったり、金子さんお手製の料理で食事会をしたり、なんだか家族のようです。
「女性ばかりの会社で、仲は良いけれどみんな群れないですね。個性が立っていて、1人行動が平気な人ばかり」
「個人で外に出てることが多いからかな。牛丼でも立ち食いそばでも、1人で食べられますっていう人じゃないとむずかしいですよ(笑)」
取材した日は、保育園のお迎えのため早めに帰宅するママさんスタッフにもお会いした。女性ならではの助け合いが”当たり前”という空気がここにはある。
スタッフの間に感じられるベタベタとしない心地のいい距離感は、Rバンクのシェアハウスのなかにも通じるように思います。
大人な距離感で、なんだか健やかに働けそう。そんな予感を感じたら、ぜひ応募してください。
(2017/10/23 遠藤沙紀)