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急がば贈れ

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自分のやりたいことを仕事にするにはどうしたらいいだろう。

多くの人が考えていることのヒントが見つかる取材でした。

東京都板橋区にある、E-WORKS(イー・ワークス)株式会社

建築内装をメインに、設計から現場管理、施工、その後のメンテナンスまで、トータルで行います。

とても自由なデザインで、見ているとワクワクしてくる。

そんな仕事が実現できているのは、目の前のお客さんに贈り物をするように、一つひとつの仕事に丁寧に取り組んでいるからだと思いました。

今回は、案件全体を管理する施工管理職と、設計デザインから会社のブランディングまでを手掛けるクリエイターを募集します。

 
池袋から東武東上線に乗り、3つめの大山駅で降りる。駅前の商店街を抜けて10分ほど歩いていくと、住宅街の中にちょっと雰囲気の異なる場所が現れた。

ここが、E-WORKSの事務所。自動車修理工場の跡地を、自分たちでリノベーションしたという。工務店というよりは、カフェのようだし、大人の秘密基地のような感じもする。

壁も、テーブルも、廃材を利用して、自分たちでつくったそう。

中に入ると代表の千葉さんが迎えてくれました。

千葉さんが、ものをつくる仕事にはじめて触れたのは21歳のころ。展示会のブース設営をする会社でアルバイトをはじめたのがきっかけだった。

そこで5年ほど働いたのち、バブル崩壊を機に、お兄さんの経営する不動産会社に内装建築部を設立。これが今の仕事をはじめる大きなきっかけとなる。

「あまり経験もなく1人で立ち上げたんでね。一つひとつ勉強しながら働いてました。そのときは、もう闇雲に、自分が生きるためにやってましたね」

仕事をこなしながら夜間の学校に通い、建築士やインテリアコーディネーターなど、7つの国家資格を取った。教えてくれる先輩はいなかったため、現場の職人さんの仕事をメモを取って覚えたという。

「とにかくいまを一生懸命やろうって仕事してきたら、そのうちスキルがついてきて、自分が思うように仕事ができるようになって。部署も大きくなっていったんですね」

不動産屋の内装部は、退去後に壁紙や畳を張り替えたりする原状回復の仕事が多かった。次第に、自分が面白いと感じる仕事がしたいと考えるようになった。

「どうせしんどいなら、自分が楽しいと思う仕事をしたいなと。それで、内装にこだわらずに、変わったものでも何でもつくるっていうスタンスで、3年前に立ち上げたのがこの会社です」

たしかに、E-WORKSのホームページには、おしゃれなリノベーション物件や、目を引くデザインの店舗の写真が多く掲載されている。テレビ番組でキャットタワーをつくる企画があったときに、設計を依頼されたこともあったんだとか。

「すごく楽しいですね。面白いものをつくる仕事をどんどんやっていきたい。施工する物件も、住宅なのか、店舗なのか、公共施設なのか、そういうこだわりはないですから」

どうして面白い仕事ができるようになったんでしょう。

「僕ね、ものすごく細かいんですよ」

そう言って、具体例として挙げていただいたのが「養生」。

これは内装工事をするときに傷や汚れを防ぐため、壁や通路をシートで覆うこと。本来の作業とは関係ない部分だが、シートと、そこに貼るテープの角が揃っていないのを、千葉さんは許さないという。

なぜそんなに厳しいのですか?

「お施主さんが現場を見に来たとき、現場がきれいだと印象がいいんですよ。しっかり整理整頓していると安心してもらえますね」

「それに現場がきれいだと、そこで作業をする人の気持ちも締まるんです。こんなきれいな現場、汚せないってみんな思うんでしょうね。養生なんてお金儲けできないんですよ。でも、全部つながるんです」

しっかり養生をすると、スムーズに工事が進んでいく。

たくさんの職人さんが出入りする現場でも、みんながきれいに片付けをして帰っていくようになる。

そうすると、結果的にお施主さんが喜んでくれるし、次の仕事にもつながっていく。

「あと、うちがすごい徹底してるのは、ホウレンソウですね」

報告・連絡・相談。

細部までこだわりが強く、毎週現場を確認に来るお施主さんと仕事をしたときのこと。

相手に合わせて、作業の進捗状況を写真に撮り、逐一メールで報告するようにした。

何か不安を感じる前に、こちらから連絡するよう心掛ける。そんなことを続けていたら、すごくスムーズに工事が進んでいったという。

「だんだんと現場を見に来る頻度が少なくなっていったんです。最後のほうは、千葉さんがそういうふうに言うんだったら間違いないよねって」

まず、お施主さんの気持ちになって動いてみる。すると、うまく回っていく。

「プロセスをすごく大事にしてますね。それは絶対にしなければいけないことではないけれど、仕事がスムーズに進んでいくし、みんな笑顔になるんです」

結果的に、お客さんがまた別のお客さんを紹介してくれることも多いという。

思いやりをもって、丁寧に目の前の仕事をすると、それがまた次の仕事につながっていく。

「やっぱり、妥協しないでクオリティを追及していくと、またご依頼いただけるんですよ。利益だけを追求していたら、きっとどこかでつまずくんです」

先日、引き渡し間近の検査で、お施主さんに天井の小さな汚れを指摘されたことがあった。その天井に塗ってあったコーティング剤は、少し擦っただけで跡が残ってしまうものだったという。

通常なら、汚れの部分だけ直すところだけど、千葉さんたちは天井全面を塗り直すことを選んだ。

すでにほかの工事は進んでいるから、また養生をしないといけないし、その作業を想像したら途方もなく感じてしまった。

「ここ逃げちゃダメなところだったから。みんなにも話して。塗装屋さん呼んで、費用もうち負担で全部塗りなおしました」

たしかにそれが正しいことだと思いますが、行動できない人のほうが多いかもしれません。

「そうなんです。だから、辛いんですよ。赤字になることもある。でも、つくることに絶対に妥協しないで真摯に取り組むと、やっぱり最後には評価してもらえるんですよね」

なぜここまでするのだろう。

すると千葉さんは「やりたい仕事をしたいから」と答える。

「僕がやりたい仕事って、楽しいもの、面白いものをつくることなんです。そういう仕事には、やっぱりエネルギーが必要なんですね」

「それに、お施主さんや職人さんとか、多くの人とも関わる。そういう人たちに好かれるためにも、エネルギーのある人じゃないと続かないかなと思います」

 
エネルギーがある、というのはどういう人なんだろう。

入社して約2年という橋本さんにお話を聞いてみた。

施工管理として働く橋本さんは、以前は飲食業界で働いていたという。転職を考えていたときに、友人に紹介されたのがこの会社だった。

まったく未経験の建築業界。

「入社前は、怖い人たちがオラオラしてるようなイメージがあったんですけど、全然そんなことはなく、いい意味で裏切られました。みなさん、掃除も細かくするし、気配りもすごいする」

仕事が大変だと感じるのは、時間的なところだという。

朝早くから夕方まで現場に居て、その後事務所に戻ってくるというのがいつもの流れ。

「基本的には、職人さんより早く現場に行って、職人さんよりも遅く帰ります。終わったら事務所で次の日の準備をするので、家に帰るのは大体9時、10時くらいですかね」

この日も自宅から現場に直行し、朝8時すぎには仕事をはじめていたという。この後、また現場に行くというから、体力がないと続かないだろう。

「大変ではありますけど、ありがとうございますっていうお客さまの一言で、すべてが報われます」

特に印象に残っている仕事は、世田谷区の一軒家の内装リフォーム。

壁面収納や間取りの変更、壁紙貼り換えなどを、各業者さんと協力のもとやり遂げた。

ところが、引き渡しの2日前に、壁紙に小さな傷があるのが見つかったという。傷を隠そうと自分で手直しをしたが、千葉さんの目はごまかせなかった。

「傷がついてしまったことではなく、なんでそんな対応したんだと怒られました。気づいた時点ですぐに報告すべきだったんですけど。その後壁紙の貼り換えをしてくれる業者さんを急いで探すことになって」

引き渡しまで時間がない中、付き合いの長い業者さんに無理を承知でお願いしたところ、お前のためなら行くよ、とすぐに来てくれたという。

「そのときにはじめて、仕事でうれしくて泣きましたね。無事間に合って、お施主さんにも喜んでもらえました」

これがきっかけでお施主さんからご親族を紹介してもらい、新たな依頼をもらうことができたそう。

妥協をしないで仕事に取り組むことが、また次の仕事につながっていく。

これから入る人も、そんなE-WORKS流のやり方を、肌で感じていくんだと思います。

橋本さんは、どういう人がこの会社に向いていると思いますか。

「将来を見据えて、先行投資をするような気持ちで働ける人ですね」

まだ新しい会社。何よりも自分の時間が大切だったり、すぐに高いお給料がほしい人なら、他の会社に行ったほうがいいのかもしれない。

「仕事は大変ではあるんですけど、ご依頼もどんどん増えていますし、僕ら働いている人間が会社をつくっている実感があります。働いていて、未来を感じられる会社です」

そう思えるのには、千葉さんの影響があるようです。

「とにかく実現力がすごいんですよ。1年前にやりたいと言っていたことが、いま現実になっている。だから、いま社長が言っている将来のビジョンが、数年後ほんとに実現するんだろうなってワクワクしますね」

やりたいことが現実になっていく。

それはきっと、千葉さんや社員のみなさんが、一つひとつの仕事を丁寧にやってきた結果なんだろうな。

ここで求められる仕事のクオリティは、きっと高いと思います。

けれど、いちばん大切なのは、相手を思いやる気持ち。それさえ忘れなければ、おのずと良い仕事ができるはずです。

一つひとつ、贈り物をするように目の前の仕事をしていくこと。

やりたいことを仕事にするためには、それがいちばんの近道なのかもしれません。

(2018/1/30 取材 増田早紀)
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