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一生モノの、一瞬

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

卒業式の日に配られた、一冊のアルバム。

教室での何気ない一日。行事やクラブに打ち込む姿。ページをめくるほどに、その学び舎で過ごした日々が蘇ってくる。

そんな一瞬一瞬を凝縮したアルバムは、この世に二つとない宝ものだと思います。

サンショウ株式会社は、幼稚園から大学、専門学校までの卒業アルバム制作を手がけている会社です。

今回はこちらで、卒業アルバムの営業から企画、撮影、編集、そして販売までを一貫して担う人を募集します。

経験は問いません。ここで働く皆さんも未経験からはじめた人が多いそうです。

カメラで切り抜いた一瞬が、いつか誰かのかけがえのない思い出となる。そんな仕事だと思います。

この日伺ったのは、サンショウの北大阪営業所。

豊中市へは、阪急・梅田駅から電車に乗って15分ほど。駅を降りて住宅街をしばらく歩いた先に、サンショウの北大阪営業所はある。

チャイムを押すと、社員の皆さんが元気よく迎えてくれた。室内にはカメラ機材やアルバムがぎっしりと並んでおり、にぎやかな印象だ。

そんな営業所をまとめているのが、所長の町田さん。今年で32年目となるベテランで、時折カメラを手にしながら話してくれた。

「もともとは、福岡の呉服屋で販売の仕事をしていました。出来上がった商品を売っていたこともあって、自分が撮った写真でつくったアルバムを、自分の手で販売できるというところに惹かれたんです」

「それにアルバムって、末長く残るものでしょう。そんな大事なものを、営業から撮影、販売まですべて自分で自由につくれる。未経験の不安よりも、楽しみのほうがずっと大きかったですね」

福岡の本社で経験を積んだのち、より大きな市場に出ようと大阪に営業所を設立したのは30年前のこと。たった2人ではじまったこの営業所も、今では17名が働くように。

現在、北摂エリアを中心に一年でおよそ150校のアルバムを制作しているという北大阪営業所。

サンショウでは、一人の担当者がアルバムの完成まで責任を持つ。そのため、社員の皆さんは一人あたり15校ほど担当しているそう。

所長の町田さんもまた、今でも現役で撮影に出ている。

撮影のコツを聞いてみると、集合写真や個人写真は基本の撮り方があるものの、そのほかの写真はカメラマンが自由に采配できるとのこと。

いい表情を撮るためには、知識はもちろん、何よりも経験が欠かせない。

「たとえば、体育祭であればまずプログラムを見ながら『リレーではバトンタッチの瞬間を、騎馬戦だったら上半身をアップで撮る』と計画して、逆算しながら立ち位置や動きを決めていく。そのコツさえ掴めるようになれば大丈夫ですよ」

一方で、文化祭など、生徒の素の表情を撮るコツはまさに十人十色。被写体に話しかけながら撮影する人もいれば、じっとカメラを構えてタイミングを待つ人もいる。

写真には、技術よりも、カメラマン一人ひとりのシャッターを押すまでの積み重ねのほうが大きく反映されるのかもしれない。

すると、町田さんから意外な言葉が。

「実は僕も、理想通りに撮れることのほうが、まだ少ないです」

町田さんのようなベテランでも?

「もちろん。一瞬の表情を狙って『これだ!』というものが撮れればうれしいけれど、実際はリレーのゴール手前だったり、下を向いている、なんてことも多い」

「現場は常に動いているから、完璧を求めたらとても難しいんです。自然な表情を引き出すにはどうすればいいかを、自分なりに考え続ける必要がある。そこが面白いんですけれどね」

そんな町田さんが「いちばん好きな仕事」と話すのが、小学校の個人写真撮影だ。

個人写真とは、クラスごとに一人ひとりのバストアップの写真が並んでいる、お馴染みのあのページ。

「親御さんや先生が『この子、こんな笑顔をするんだ』とか、子どもが大人になったときに見返して『僕、こんなに笑ってたんだ』って思ってもらえるような写真を残したい。純粋無垢で、大きく口を開けて笑っても絵になるでしょう。そういう時期ってあっという間で、その瞬間にしか撮れないんです」

「僕も童心に帰った気分で『もっと笑かしてやろう!』ってね(笑)上手くなりたい、というよりもひたすら夢中だった。30年近く、この瞬間が何よりも楽しくて」

付き合いの長い先生たちにも「個人撮影をする町田さんは本当に楽しそう」と言われると笑う町田さん。地域に根付いて仕事をするうちに、先生たちとも付き合いが深くなり、転勤先の学校で新たに問い合わせの連絡を受けることもあるのだそう。

「時を経るごとに、関係が広がっていく。子どもたちの前でも、先生たちの前でも自分らしくいられるというか。仕事をするときの自分が、自然体なんです」

町田さんの隣で話を聞いていたのが、坂上さん。ところどころ冗談を交えながら表情豊かに話してくれる方だ。

「大学卒業を前にして、何か面白い仕事がしたいなって考えていて、写真の経験はほとんどなかったけど、カメラで仕事をするというのがいいなと思ったんですよね」

入社後は、先輩社員に同行しながら、仕事の流れや撮影技術を学んでいく。少しずつ出来ることが増えていくと、次第に一人で現場を任されるように。

アルバムで使用する写真は、秋冬の行事をのぞけば、その多くを一学期中に撮り終える。

そのため、4月から7月まではほぼ毎日撮影に出ている。ゴールデンウィーク以降は修学旅行シーズンにはじまり、林間学校、体育祭、それに個人写真。出張も重なるため、家に着いたときにはヘトヘトになっている日も多いそう。

そうして撮影がひと段落した冬に、新年度に向けた営業をはじめる。

サンショウの仕事は、継続契約が8割で、新規で獲得するのが2割ほど。アルバムを持ち歩きながら、担当エリアへ飛び込み営業をしていく。

営業のコツはあるのでしょうか。

「実は、お会いしてすぐにアルバムを見せることは少ないです。いきなり契約をお願いするのではなく、まずはサンショウという会社を信頼してもらえるよう、少しずつ関係を築いていきます」

契約を結んだ学校には、撮影から集金まで、一年で20回から50回ほど訪れることになる。いいアルバムをつくるには何よりも信頼関係が欠かせない。

ここで、坂上さんが印象に残っている先生について教えてくれた。

「先輩がつくったアルバムで、すごくいい一冊があったんです。『自分のアルバムもこれくらいだったら幸せだろうな』と思って、ことあるごとに眺めていて。そしたらある年、自分がその学校を担当させてもらえることになったんです」

その学校から依頼されたアルバムは、通常よりはるかにページ数が多い100ページのもの。

必要な写真はぐっと多くなるし、中身は以前のクオリティから決して落とせない。プレッシャーを感じながらも無事に完成させ、納品の日を迎えた。

「帰ろうとしたところで、ふと年配の先生に呼び止められて。『教師生涯でつくってもらったアルバム全部のなかで、坂上さんにつくってもらったこの一冊がいちばん良かった』と言っていただいたんです」

卒業アルバムというものは、内容よりも、訂正や間違いがないことのほうが重視されやすいのだそう。それだけに、坂上さんにとってその先生の言葉はいつまでも忘れられないものとなった。

「それまでは『見て!これ自分の撮った写真』って言えることがアルバムをつくるモチベーションでした。でもあの言葉をきっかけに、こんなふうに喜んでもらえるアルバムをもっと届けたい、と思うようになって」

「どんどんやりがいが大きくなっていくというか。自分のなかにある『面白い』という輪が、少しずつ広がっていくんですよね」

最後に話を聞いた遠藤さんは、明るい笑顔が印象的な方。学校で子どもたちに「遠藤さん!」と話しかけてもらえるというのも納得だ。

学校が大好きだったという遠藤さん。学校に関わる仕事をしたいと考えたとき、思い浮かんだのが写真屋さんだった。そこから写真に興味を持ち、専門的に学べる大阪の大学に編入する。

サンショウには、学生時代にアルバイトで訪れたことがあった。その縁がきっかけとなり、入社を決めた。

実際に働きはじめて、いかがでしたか?

「やっぱり生徒さんと関わるのがすごく楽しくて。でも、その気持ちだけではしんどいことも多かったです。何でもやれることが魅力だったけれど、営業に出ると緊張してしまうし、大事な撮影の前日もうまく撮れるか不安で。最初の1年は、辛さと楽しさの間でずっと揺れ動いていました」

それでも事前に『この仕事は、3年続けてようやく面白さがわかる』と説明され、覚悟はしていた。

「その言葉を聞いたとき、私も『1年で簡単にゴールが見える仕事はしたくない』と思ったんです。その思いが頭にあったから、しんどくてもまずは3年頑張ってみようと思って」

そうして3年間、無我夢中で走り抜けた。いま振り返ると、仕事を理解できるようになったのも、学校との信頼関係ができてきたのも、やはり勤めて3年ほど経ったころだったという。

「今は、先生や子どもたちと関係を築きながら、一生手もとに残るものをつくれることが何よりも面白い。最初は大変なことも多くて、くじけてしまいそうになるかもしれません。でも、自分なりの『この仕事の面白さはここ』という答えを、必ず見つけられる仕事だと思います」

そんな遠藤さんにも、忘れられない一冊がある。昨年担当した、小学校六年生のアルバムだ。

「その学校には、頻繁に撮影に行っていて。アルバムを納品したあと、用事があって学校に行ったんです。すると一人の生徒さんがアルバムを持って駆け寄ってきてくれて『遠藤さん、フリーページにひと言書いて』って声をかけてくれたんですよ」

「これまで仕事をしてきた5年間で、コメントを書いてほしいと言ってもらえるのは初めてだったんです。『私が書いていいのかな』なんて、思わず感極まってしまって。心を込めて書いたの覚えています」

その生徒にとって遠藤さんは、「学校のカメラマン」以上の存在だったのかもしれない。

そんな光景が生まれるのは、もちろんいいアルバムをつくっているというのもあるけれど、何より遠藤さんの人柄が大きいのだと思う。

「正直、周りにはもっとお給料の良い人もいるし、こんなに汗をかかなくてもいい仕事もたくさんある。でも地元に帰ったときに友人と仕事の話をしていると『仕事の話をしているときの表情がいいよね』と言ってもらえるんですよね」

「そのたびに、ああ、やっぱり自分はこの仕事が楽しいし、好きだなって思うんです」

実は、この記事で使われている写真もすべて、サンショウの皆さんが撮影してくれたものです。

ファインダーをのぞく横顔や、アルバムを眺める眼差し。そのどれもが真剣で、思わず背筋が伸びる。

誰かの一生ものをつくる仕事は、きっと自分の一生ものの仕事にもなるのだと思います。

(2018/01/12 取材 遠藤真利奈)

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