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お金をかけず
地域と中小企業を変えていく
Bizのエンジン

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

日本にはおよそ380万の企業が存在します。

そのうち99.7%を占めるのが中小企業。働く人の割合でいうと、3人に2人は中小企業に勤めているのだそうです。

大企業の力が世の中を動かす、ということももちろんあるけれど、一方で大多数を占める中小企業の力が、歯車のように噛み合って大きなうねりを生むこともあると思います。

愛知県岡崎市にある岡崎ビジネスサポートセンター「OKa-Biz」は、マーケティングやデザイン、販路開拓やプロモーションなど、さまざまな角度から中小企業に眠る力を引き出し、具体的な成果につなげる産業支援拠点です。

OKa-Bizには、町工場やベンチャーなどの中小企業のみならず、NPOや農家さん、地元のママさんや、時には占い師など。日々さまざまな人たちが訪れます。

なかには、廃業する寸前で、一筋の光を掴みに来るような人も。

そんな一人ひとりの相談者にとことん向き合い、じっくりと話を聞いていくなかで、本人でさえ気づいていなかったセールスポイントを見つけ、次の一歩を踏み出すところまで伴走していきます。

今回募集するのは、OKa-Bizの企画広報コーディネーター。オフィスでの受付や電話対応、SNSやブログを通じた広報などOKa-Bizの顔になるような仕事から、相談案件の進捗管理やデータベース化、セミナーの運営などといったバックオフィス業務まで、やることは多岐にわたります。

一言で言い表すなら、「相談」以外の業務全般を担う重要な役割です。相談員が目の前の相談に集中できるよう、あらゆる面からサポートしていく。

直接の相談対応はしないものの、すべての案件を把握する必要があるので、結果的に自分自身の引き出しを増やすことにもつながる仕事だと思います。

 

愛知・岡崎。

自動車関連の製造業や繊維産業など、モノづくり産業によって発展してきた町。徳川家康生誕の地でもある。

名鉄東岡崎駅で降り、中心市街地を歩いて西へ進む。

OKa-Bizの事務所があるのは、駅から歩いて15分ほどに位置する図書館交流プラザ「りぶら」の一角。

図書館のほかにホールや会議室も併設しており、誰でも気軽に利用することができる。OKa-Biz主催のセミナーも、この施設内で行うことが多いそうだ。

はじめにお会いしたのは、センター長の秋元さん。身振り手振りを交えた秋元さんのお話はとてもわかりやすい。

「この6年間で、相談に来てくださる方の数はどんどん増えています。今ではひとりの相談員で1日に5、6件、ときにお昼休みもなく相談をお受けすることが日常になってまして。それでも1ヶ月近くお待たせしているような状況です」

地域の事業者数が減少していくなかで、2013年に新たな経済振興策として岡崎市と商工会議所が共同で設立したOKa-Biz。

開設当初の目標は月間50件の相談対応。初年度からその目標を大きく上回り、開設から6年目を迎えた2018年は月間200〜300件、年間で2947件の相談が寄せられた。

壁には過去に新聞やメディアに取り上げられた数々の事例が掲示してある。

それほどの人気が出るのには、いくつか理由がある。

まず、相談が無料であるということ。相談者は気軽にOKa-Bizを訪ねて何度でも相談することができる。

また、相談のハードルが低いにもかかわらず、売上アップや事業改善などの具体的な成果を次々に生み出したことで、口コミが広がったことも大きい。広告を出さずとも、過去の事例や利用者が新たな相談者を呼ぶ状態が生まれている。

そしてもうひとつ、相談員のみなさんが大事にしている考え方がある。

「基本的に、お金を使って何かを解決するという方法はとらないんです。お金をかけずに、知恵を使って流れを変えていく」

どういうことでしょう。

「たとえば、岡崎に創業65年の写真館があります。そこは72歳と78歳の大須賀さんご姉妹がやっている、昔ながらの佇まいの写真館でした」

従来のメインターゲットといえば、七五三やお宮参り、成人式の前撮りなど、若い世代のファミリー層が中心。ただ、最近は歴史ある写真館よりも低価格で全国展開している撮影スタジオを選ぶ人のほうが圧倒的に多い。

基本的には廃業しようと思っているのだけれど、好きな写真を続けられる方法は何かないだろうか。そんな気持ちで相談に訪れたのだそう。

「じっくりお話聞かせてもらうなかで驚いたのは、妹さん、50年前に東京の芸術大学の写真学科を卒業してるんですよ。当時女性でカメラマンってほとんどいなかった。つまり、女流カメラマンの草分けでしょう」

「で、お姉さんも以前は秋山庄太郎さんと一緒に写真展やってましたと。秋山さんといえば、日本のカメラマンの大御所。このふたり、すごい腕があるなってお話を聞くなかでわかってくるわけです」

そうは言っても、写真館の重々しい出で立ちも、高齢であることも、弱みでしかないと話すおふたり。

そこで秋元さんはこんなふうに投げかけた。

「大須賀さん、知ってます?最近シュウカツって言葉が流行ってるんです。就職活動?いや違います。自分のお葬式を自らプロデュースする人が増えているんですよ」

たしかに、「終活」に関するCMや広告を見かける機会は最近になって増えた気がする。

「60年、70年と同じように人生を積み重ねてきた同世代の、しかもたしかな腕を持った人にじっくりと話を聞いてもらいつつ、自分のお葬式に使う写真を撮ってほしい。そんな方に向けた新サービスをはじめましょうと提案したんです」

そう言って打ち出したのは「生前遺影撮影サービス」。たちまち地域メディアに取り上げられ、依頼が舞い込むようになった。

さらに「自分が元気なうちに家族写真を撮ってもらいたい」というように、遺影の撮影以外にもいろんな仕事の依頼が増えたんだそう。

「1ヶ月経ったころにお電話したら、今はいそがしくてOKa-Bizに行ってる場合じゃないって(笑)」

「それで、3ヶ月後に来てもらったんです。『秋元さん、あんたのおかげで自信が出た。いっぱい依頼も来るようになったし、キャノンの一番新しい高いカメラ買っちゃった』って。3ヶ月前には廃業しようと言っていた人が、ですよ」

こんなふうに、OKa-Bizの相談は売上アップや事業改善のみにとどまらない。

相談を通じて、その人の生き方働き方にまで影響を与えることもある。

「相談者ご本人が弱点だと思っていたり、気づいていない部分に真のセールスポイントがあったりします。それを捉えたら、具体的なシーンやターゲットを絞って提案していく」

ほかにも、町のお米屋さんが40種類のお米を毎日ブレンドの割合を変えて食べていることに着目し、お米のブレンドサービスをはじめたり、化学薬品専門の問屋さんの相談を受けて自由研究用のキットを開発したり。

問屋さんの案件はさらに発展して、液体の入った瓶にドライフラワーを閉じ込めるハーバリウムの作家さんとのコラボレーションが生まれたりもしている。

いずれの場合も、基本的にかかったお金は0円。知恵を使い、真のセールスポイントを捉えて流れを変えていくのがOKa-Bizのスタンスだそう。

「初回の相談は、ぼくか副センター長の高嶋が1時間の相談でだいたいの方針を決めちゃうわけです。その後どう展開していくかっていうときに、ITの専門家、デザイナー、コピーライター、あるいは中小企業診断士の相談員が週2日ずつ来てくれているので、案件に合わせてチームを組んで立ち向かっていくスタイルをとっています」

相談員自身の力がついてきて、連携も以前よりうまくとれるようになってきた。

また、急な予約変更にも対応できるよう、LINEの一斉送信と個別問い合わせを受けられる機能「LINE@」を活用したり、相談内容のデータベースの管理・運用方法を工夫したりと、以前よりも相談対応の効率は上がってきている。

今回募集する企画広報コーディネーターは、こうした相談以外の業務全般を一手に担うことで、相談員が目の前の案件に最大限集中できる環境をつくる仕事だ。

 

今まさにその役割を担っている松下さんにも話を聞いた。

東京の大学を卒業したあと、大手ゼネコンで5年間事務を経験した松下さん。

「もともとまちづくりに興味があったんですよ。建物を建てたり、インフラを整備することでそこに新しい人の流れが生まれる。それもまちづくりのひとつの方法だと思ったんです」

やりがいはあったけれど、次第にもっと直接的にまちづくりに関わりたいという気持ちが強くなっていったそう。

そんななか、日本仕事百貨で開かれた「ローカルコンサルゼミ」に参加。そこで講師だった秋元さんと出会い、OKa-Bizの存在を知った。

「OKa-Bizの取り組みに興味が湧きましたし、チャレンジするなら今だと思って。愛知県には一度も来たことがなかったんですけど、思い切って飛び込みました」

2017年の2月から働きはじめて、2年半。

実際に働いてみて、どうですか。

「やることは多いですね。1日20件にもなる相談内容をまとめてデータベース化したり、全相談員の状況を把握して進捗管理をしたり。受付対応や電話対応、セミナーの運営やプレスリリースの作成も行います」

現在は、これを松下さんともうひとりのコーディネーターである武田さんのふたりが中心となって回している。

「企画広報コーディネーターは、完全な裏方というわけでもなくて。受付や広報の役割もあるので、ある意味OKa-Bizの顔のような存在でもあると思います」

最初は「こんなことを相談していいのかな…」と不安げに受付にやってきた人が少しずつ自信を得ていったり、OKa-Bizのおかげで今があると伝えてくれたり。

相談者からの反応がダイレクトに返ってくることが、やりがいにつながっているという。

相談にはあらゆる業種、いろんな立場の人がやってくるほか、セミナーでは秋元さんのネットワークを通じて著名な方が講師を務めることも。

また、〇〇-Bizを全国に広げていく動きもある。OKa-Bizのモデルとなった静岡県富士市の「f-Biz」をはじめ、熊本県天草市の「Ama-biZ」や岐阜県関市の「Seki-Biz」などのすでに開設されているセンターに加え、準備中のものも含めると全国25箇所に拠点が生まれつつあるそうだ。

その先駆けとしてOKa-Bizで経験を積むことは、その人自身の引き出しを増やし、次のステップを考える際にもきっと役立つと思う。

「相談員は別の仕事もしながら関わっている方ばかりなので、オンラインでのやりとりは多いです。そういったコミュニケーションに抵抗のない方。それから、世の中の動きに敏感な方。文章を書くのが好きな方にも来ていただきたいですね」

ときにOKa-Bizの顔となり、またあるときはバックオフィスとしてチームを支える。

広い視野と細かな気配りが求められる仕事です。

Bizのエンジンとして、より力強くこの組織を前に進めていきたい人はぜひ応募してください。

(2018/1/26 取材 2019/10/15 更新 中川晃輔)

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