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住まいを語り合う

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自分にしかできない仕事って何だろう。時折そう考えることがあります。

人によって答えは違うかもしれないけど、まずは相手のことをじっくり考えて、贈りものをするように働いてみる。

そうするうちに見えてくるものなのかもしれないな、と感じる取材でした。

今回ご紹介するのは、茨城県つくば市にある工務店、カイテキホーム

市内を中心に、注文住宅やリノベーション、さらにガーデン・エクステリアまで幅広く手がける会社です。

こちらで、ガーデン部門のスタッフと設計士を募集します。とくにガーデン部門は未経験でも大丈夫。

どちらもお客さまのパートナーとして、生涯の住まいをつくりあげていく仕事だと思います。



つくば駅は、北千住駅からつくばエクスプレスで50分。

駅で車に乗り換えて大通りを進むと、15分ほどでカイテキホームの事務所が見えてくる。

事務所はグリーンやインテリアが置かれた暖かな雰囲気。

すれ違うスタッフの皆さん全員が、目を合わせて挨拶してくれる風景が新鮮だ。

こちらでまずお話を伺ったのが、社長の石塚さん。

柔らかな笑顔と物腰が印象的な方で、社長に就任するまでは営業職としておよそ200組ものお客さんと向き合ってきた。

石塚さんがカイテキホームに入社したのは16年前のこと。

それまでは上場企業のグループ会社で、照明器具の設計士として働いていた。

「安定した企業に入れば安泰だと思ったんです。でもいざ働きはじめると、自分の設計した商品を使うお客さまに会う機会がほとんどなくて。お客さまの近くで仕事をしたいと思うようになりました」

そうして数年後、転職を決意する。未経験の住宅業界を選んだのには理由があった。

「次は会社の看板を借りるのではなく、自分ありきで仕事をしたかったんです。それなら住宅だなって。人生でいちばん大きな買いものだから、ネームバリューだけで売れるような仕事ではないはずだと」

「それに当時のこの会社は、まだ年間数棟と小さかった。何もない土壌で大きな仕事をするほうが面白いと思ったんです」

ただ、待ち受けていたのは試行錯誤の日々。

林立する住宅会社のなかで、自分たちらしさの確立を迫られるようになる。

「お客さまの言葉をそのまま図面に落とし込んだ時期もありました。20畳のリビングが欲しいと言われたらその通りに設計して。お客さまも理想の家ができたと喜ばれるんです」

「でもこれでは私たちがいる意味がないし、プロとは言えないなって。最適な住まいをつくるには、その広いリビングで何をしたいかこそ引き出すべきだったんです」

こうして、お客さんとの対話の中で最適な住まいを形づくるという現在の提案型スタイルが確立。同時に、信頼関係もより一層大切にするようになった。

「たとえば、初回の打ち合わせでは図面やお見積りは出さないんです。まずは家づくりについてお話する中で、私たちのことを知ってもらう。質問にもじっくりお答えします」

そうしてお互いをよく理解した上で、共感してもらえた人とだけ契約を交わす。

一歩踏み込んだ提案もできるようになり、より満足度の高い住まいを提案できるようになった。

この取り組みが功を奏し、会社は年間40棟ほどを手がけるまでに成長する。

さらに1年前には、営業職が兼任していたガーデン・エクステリアを、専門部署『ESTINAつくば』として新設した。

「本当に良い外構とは、住宅同様にお客さまの『こういう生活をしたい』という思いを叶えるもの。専門部署を立ち上げたのも、プロとして提案に責任を持ちたかったからです」

「良い住宅、良い外構。この二つがあってこその良い住まいだと思うんです」



そんなESTINAつくばの担当者が、坂入さん。こちらの質問に、一つひとつ丁寧に答えてくれる方だ。

以前は都内で調理の仕事をしていた。つくばに住むお姉さんを訪ねるなかで、大学や研究所など、様々な人が混じり合うこの街に魅力を感じるように。

「建築に興味を持っていたこともあって、6年前に住宅の営業職として入社しました。つくばだったら土地をのびのび使った家づくりができると考えたのも理由の一つです」

「そうして営業職として外構も担当するうちに、外構も質を上げたい、提案から施工まで一通りやってみたいと思うようになって」

ちょうどそのころ、会社がガーデン・エクステリアのフランチャイズ、ESTINAに加盟することを決定。

坂入さんはその立ち上げから任されることとなり、現在は唯一の専任スタッフとして働いている。

施工数は、新築とリガーデンを合わせて月に3〜4件ほど。ヒアリングから引渡しまで一貫して担っている。

「仕事はまずヒアリングからはじまります。ただこの時点で具体的なイメージを持っている方は少なくて、希望をお聞きするとナチュラル、シンプルと説明される方が多いです」

抽象的なイメージを、どのように具体化していくのでしょうか。

「お庭でどんな生活がしたいか、具体的なシーンを聞くようにしています。たとえば以前、お子さんと遊ぶため広いウッドデッキが欲しいと言われたことがありました」

「けど、もしかすると雑誌などのイメージでそう言っているだけで、お客さまにとって最適な外構はウッドデッキではないかもしれない。広いウッドデッキが欲しいと考えられた背景を会話の中で探っていきます」

最適な提案は、お客さんの言葉を鵜呑みにしては生まれない。言葉の裏面や、現実面も冷静に考える必要がある。

「ウッドデッキの盲点の一つが溝の多さです。バーベキューをするにも焼き台の脚が挟まってしまいますし、人気のビニールプールも天然木のデッキに置くと痛みを早めてしまう」

「実際に住んでから、やらなければよかったと思われてしまうのが一番悲しくて。そんなことがないよう、『デッキをこうしたら、こんなこともできると思います』など具体的なイメージを提案して、その反応を見ながらプランに落とし込んでいきます」

このとき坂入さんが提案したのは、外構に占めるウッドデッキの割合をあえて小さくするプラン。

タイルデッキを加えることで、バーベキューの焼き台やプールも安全に置ける。さらにウッドデッキは斜めに複数段カットすることで、子どもも座りやすくなった。

「お客さまがはじめに想像されていたお庭より、もっと色んな使い方をしてほしいと思い提案しました。どのお客さまにも、プラスαの提案をしたいんです」

そうして完成したプランは、職人さんによって施工される。

現場に足を運び、滞りなく工事が進んでいるか管理をするのも仕事の一つ。そのため職人さんとのコミュニケーションは欠かせない。

「正直、最初は現場に行くだけで緊張しました。でも少しでも私という人間を知ってもらいたかったので、軽い声がけや世間話を地道に重ねていって。するとちょっとした相談もしてくれるようになったんです」

ちょっとした相談?

「ええ。たとえば壁面にタイルを貼るとき『角をまいたらもっときれいに見えるけど、どうする?』とか。現場の知識は職人さんのほうがずっと上なので、私の知っていること以上の提案をしてくれるんです」

「職人さんとコミュニケーションできなければ、いいものは決してつくれない。信頼関係を大切にできる人がいいですね」

そんな坂入さんがさらに力を入れていきたいと考えているのが、ガーデンをより身近に感じてもらうためのワークショップ。

現在は2ヶ月に一度のペースで、樹木医さんに植栽の剪定を学んだり、生花店のオーナーさんにフラワーアレンジメントを教わったりと様々な展開をしている。

「お庭づくりを考えている方はもちろん、どなたでも来やすく、それでいてプロから学べるような場を心がけていて。ワークショップをきっかけに、会社を知ってもらえたらと」

新しく入る人とも、これからワークショップを含め、事業をどう発展させていくかを一緒に考えていきたいという。

「この一年は、ビジネスとして成立させるための基盤をつくる時間でした。これからはいいお庭をつくるのはもちろん、もっと自分たちの色を出せるよう常識にとらわれずにアイディアを出し合いたいですね」

そのため、新しく入る人も未経験で大丈夫とのこと。

知識がなくても本当に大丈夫でしょうか。

「覚えるべき建築知識も基礎的なもので、そう難しくはありません。ただ、家の中から見た庭の眺めや、窓に対する植栽の高さなどを考えるためには、図面の読み取りの力は欠かせない。勉強は必要ですね」

「私ももともと未経験です。困ったことや分からないことは相談してほしい。ここで一緒にお客さまのお庭の持つ可能性を広げられたらうれしいです」



「お客さまの潜在的な思いを考えて形にするのは、僕たちも同じです」

そう話すのは、設計士の遠藤さん。現在は月に3件ほど担当している。

前職は現場監督。図面を描く経験はあったものの、転職直後は苦労したそう。

「ここでは設計士がヒアリングも行います。言われた通りに線を引くのでは務まらない。会話の中でお客さまの生活を想像できなければいけません」

想像する。

「はい。LDKにリビング、寝室などの要素は一緒です。でも要素を構成するストーリー、つまり導線やデザインは一人ひとり違う。最適なものを会話の中から探していくんです」

なかでも印象的だったと話してくれたのが、3年前に手がけた一軒家のこと。

「家づくりをとても楽しみにされているお客さまでした。ただ一つ心配してらしたのが、北向きの土地ということ。ともすれば玄関がとても暗くなってしまうんです」

かといって道路から家までの導線を無理に変更してしまうと、かえって不便になってしまう。

そんなジレンマを解決するきっかけとなったのが、お客さんとのふとした会話だった。

「ヒアリングでは、趣味や休日の過ごし方など、図面には直接関係ないような話もよくしていて。あるときぽろっとおっしゃった『木を見る生活っていいですよね』という言葉がヒントとなったんです」

遠藤さんが提案したのは『明るい玄関』。

入り口とは反対側の南面に大きな吹き抜けを用意して、ガラスをはめ込む。心配していた日当たりの解決はもちろん、見上げると南面に植栽した緑が目に入るサプライズもほどこした。

お客さんはその提案を喜び、ほぼ原案通りに着工が決まったという。

「後から聞くと、やはりプランが決まるまでは不安だったそうです。だから最後に『何でも言える関係になれてよかった。設計士っていい仕事ですね』と言ってもらえたことがうれしくて」

「どこまでも終わりがない仕事だなって。ちゃんと勉強し続けないといけないですね」

お客さんの希望や考えを汲み取りながら形にしていく。そのためには、相手への想像力が大切なのかもしれません。

そうして形づくっていったものが、誰かの一生ものとなるのはうれしいことだと思いました。

(2018/03/08 取材 遠藤真利奈)

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