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秘境で探る生き方

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

移住には踏みきれないけれど、地域と関わりを持っていたい。今の自分の暮らしや働き方を、見直してみたい。

そんなことを考えたことがあるなら、ぜひ知ってほしい取り組みがあります。

宮崎県は椎葉村ではじまる「Local LAB Shiiba(ローカルラボ椎葉)」です。

椎葉村は日本三大秘境のひとつ。豊かな資源や暮らしの知恵が残り、魅力的な人が多くいる村。

Local LAB Shiibaでは、地域に魅力を感じながらも、意欲や能力を持て余している人たちと地域の人たちが交わる場をつくり、そこから立ち上がる新しいプロジェクトをサポートします。

目指しているのは、「都市か地方か」の二択ではなく、地域の人と都市部の人がそれぞれの関わり方で力を合わせながら、未来の事業をつくっていく新しい共同体のかたち。

今年度は地域おこし協力隊をリーダーとして、2つのプロジェクトが立ち上がりました。

1つ目は椎葉村で暮らす人たちへの取材・記事作成を通して地域の魅力を発信するプロジェクト。2つ目は、地域での暮らしを問い直すシェアハウスづくりのプロジェクトです。

今回は、この2つのプロジェクトいずれかに参加するラボメンバーを募集します。

ラボメンバーの活動期間は1年。その間に最低3回は椎葉村を訪れ、取材やシェアハウスづくりのプロジェクトに取り組みます。普段は週に1回程度、Skypeなどを通して遠隔で椎葉村とやりとりを行うことになると思います。

ここには、自分で考えてみる、試してみる余白がたくさんあります。

そんな余白や出会いを受け入れ、一緒に楽しみたいという人に参加してもらえたらうれしいです。

椎葉村までは、熊本空港から車で2時間ほど。あるいは宮崎空港から、少ないながら電車とバスを乗り継いでも行ける。

“日本三大秘境”というから、人里離れた小さな集落を想像していたけれど、実際の椎葉村は東京23区の面積よりも少し小さいくらい。

そのなかで10の地区にわかれ、各地区に平均200人ほどが暮らす。それぞれ方言も文化も違うのだとか。なんだか共和国みたいでおもしろいなぁ。

そんなことを考えながら山道を抜け、まずは今回のプロジェクトリーダーの一人、朋美さんのもとへと向かう。

朋美さんの活動場所は、村内で使われなくなった老人ホームを改修してつくられたテレワークセンター「katerie(カテリエ)」。

元SEという経験を生かして、地元のお母さんたちと一緒に、場所や時間にとらわれない仕事のスタイルをつくろうとしている。

椎葉村に来ようと思ったきっかけから教えてください。

「夫がもともとトラック運転手で、休みが不規則だったんです。家族で過ごす時間をもっと増やしたかったので、一緒に農業やろうかなって。素人だけど農業に挑戦できて、ある程度収入があるのは、地域おこし協力隊かなと思ったんです」

「秘境」という響きに惹かれて興味を持った椎葉村。調べてみると、ユニークな取り組みをしている村だということがわかってきた。

たとえば地域おこし協力隊の募集にしても、椎葉村で培ってきた暮らしの知恵を次世代に受け継ぐ「椎葉百姓なりわい塾」を発足したり、雑穀を育てて販売・PRまで行う「雑穀女子」を募集したり。

村役場発行の情報誌、「ONLY ONE Shiiba」は美しい写真と文章で等身大の村民の暮らしが感じられる。

何を見ても、およそ役場っぽくないおもしろい村という印象だった。

そんな椎葉村に呼ばれるように、旦那さんとまだ8ヶ月のお子さんと一緒にやってきた朋美さん。村で出会った人たちに魅了されて、移住を決めたという。

「最初に椎葉を訪ねたとき、旅館で晩ごはんを食べたんです。おかみさんは『ゆっくり食べない(食べなさい)』って息子を抱っこしたまま20分くらい帰ってこなかった」

それは心配になっちゃいますね。

「都会なら青ざめると思うんですよ。でも、なんだか安心して。のぞいたら、旅館の人たちがみんなで息子の相手をしてくれていました。あぁいいなって。こういうところで子育てがしたい、自分もこういうふうに年を取っていきたいって思えたのが決め手かな」

ほかにも、村で暮らし始めると様々な出会いがあった。

椎葉村のトムソーヤこと尾前一日出(かずひで)さんは、村にUターンしてきた建築士。娘さんたちと一緒に、趣味でツリーハウスをつくっているのだそう。

「一日出さんは、娘さんたちに『自分の頭で考えろ』って組み立て方を教えないんです。私たちにもそうなんですけどね。全力で趣味をやりすぎて奥さんに怒られたりしています…(笑)」

手間暇かかるけれど、ここでは一つひとつ暮らしを自分の手でつくっていける。そのぶん、何をするにも対価としてお金が必要な都会での暮らしは、なんだか虚しく感じられたと朋美さん。

「みんな人間力が高いんです。宴会でどんなに酔っ払っても、おひらきになるときには必ず全員が片付けをする。おばあちゃんだけじゃなく、若い子もみんなそう。人との向き合い方が丁寧で、気持ちいいんですよね」

都会から見れば、不便さばかり目につくかもしれない。だけどむしろ生きる上で大切なことを知っているのは椎葉村の人たちなんじゃないか。

そんな椎葉村で暮らす人たちのことを伝えたいと考え、今回のプロジェクトを立ち上げた。

具体的には、椎葉村で豊かに暮らし働く「ローカルヒーロー」の魅力を伝える記事を作成し、椎葉村の情報を集めたWEBサイト上に掲載。

記事作成にあたっては、村内のテレワーカーのお母さんたちと今回募集するライターが2人1組で取材から撮影、執筆までを行う。

村にいない間は、Skypeなどを使った話し合いもできるし、「ONLY ONE Shiiba」をつくったデザイナーの小野さんが記事を校正し、アドバイスもくれるそうだ。

朋美さんは、どんな人に関わってほしいですか。

「椎葉のことは、知ればたぶん好きになると思うんですよ。食とか神楽とか、切り口もたくさんあって、いろんな人を受け止められる場所だと思うから」

「椎葉村のことやここで暮らす人について、自分なりにこれが聞きたい!という好奇心を持っている人だといいのかなと思います」

朋美さんの活動は、村内外に村の魅力を知ってもらう取り組み。もう一人のプロジェクトリーダーである村上さんはもっと直接的に、実際に人や文化が混じり合う場所をつくることに挑戦している。

訪れたのは川の口という集落。村上さんはここにある空き家をリノベーションして、自給自足をコンセプトにしたシェアハウスをつくろうと考えている。

「こんなボロボロで大丈夫かよ!?って心配になっちゃうかもしれないけど…よかったら中も見てみてください」と勧められ、家に足を踏み入れる。

築50年ほど。玄関を入ると、奥が囲炉裏のあるリビング。左側には広めの部屋があって、トイレとお風呂、キッチンがある。家のすぐ隣には、かつて牛小屋として使われていた小屋も残っていて、ここは管理人棟として使う構想だという。

15年間人が住んでいなかったこともあり、家は傷んでいて片付けも追いついていない状態。でも水は大家さんがご厚意で、山から引いてくれた。電気とネットも使えるし、家のまわりには使っていい畑もある。

基本的なインフラは整っているので、今後さまざまな過ごし方ができそうだ。

ところで村上さんは、どうしてここで自給自足の生活を実践したいと思ったのだろう。

聞けば、出身は愛媛県の松山市。上京し、20代の頃に舞台俳優を志すも挫折。その後アイルランドやスコットランド、北海道、岡山など各地に滞在し、農業系出版社や、瀬戸内海の無人島のカフェで働いたこともあるというユニークな経歴の持ち主だ。

「僕は百姓的な暮らしに憧れていて。お金を稼ぐためじゃなくて、生き方としての農に興味があるんです」

生き方としての農。

「お百姓さんは、畑を耕すことも、家を直すことだってなんでも自力でやってしまう。生きていこうとすると衣食住のことを全部やらないといけなくて、それを当たり前のこととして受け入れられているのがかっこいいなって僕は思うんです」

暮らしをアウトソーソシングしなくても、自分のことは自分でまかないたい。そうすることで「生きている手応えがほしい」と村上さんは話す。

だけど東京でも、建物をセルフビルドしたり、梅干しや味噌を自分で仕込んだりと、暮らしを自分の手でつくっていこうという動きは加速している気がする。わざわざ椎葉まで出てきた理由は何かあるのでしょうか。

「確かに、東京でもDIYのワークショップはあるし、僕も参加しました。でも断熱材の使い方を学んでも、帰ると結局自分のアパートは賃貸だし、そこで応用することは難しい。味噌を仕込んでも、自分の家で続けるかっていうと結局まわりはコンクリートで、ここで菌とか言ってもなって僕は思っちゃう」

「ワークショップというある程度お膳立てされた世界では実現できても、自分の暮らしに帰ってくるとなかなか結びつかない。そんなジレンマがあったんです」

なるほど。この場所では、自分の暮らしと否応なしに結びついてくるから、すぐ実践できる。

「誰にも頼らず、すべてを自給自足でまかないたいとは思っていないんです。たとえば仲の良い友達とチームで自給自足をするほうが絶対おもしろいし、衣食住だけじゃなく教育とかアート、娯楽も含めないと、暮らしは成り立たないと思っています」

「だからこの場所を心置きなく使ってもらって、今やっている暮らしを一度崩し、本当に自分に必要なものを拾い直していく。一緒に自給自足をアップデートしてみようっていう取り組みなんです」

村上さんはこの場所で、今回募集するラボメンバーと一緒に考えるきっかけをたくさん用意したいと思っている。

たとえばシェアハウスの設計から関わることはもちろん、集落の畑仕事に参加したり、薪でお風呂を沸かしたり。軒先から水源をたどるツアーを実施することも。

川の口集落には、地元の人たちが「都会と田舎の交差点」をコンセプトにつくった集落営農組織がある。その先輩たちに話を聞くこともできると思う。

自分はどういう暮らしを求めているのか、椎葉村での体験を通して考えを深めていけたらいい。実際に体験することで、新たな発見もきっとたくさんあるはず。

「僕はこのラボが、都市部の人と椎葉村とをつなぐ架け橋みたいなものだと思っていて。すでに道を切り拓いたパイオニアがいるわけでもなく、まだまだ僕らもはじまったばかりです。ただ、この先も椎葉にいるということだけは決めていて」

「一緒にここから始めてみる仲間。そんな人が来てくれたらうれしいです」

多様な生き方に触れることは、自分の生き方を見直す機会にもなります。

たとえ失敗しても、また考えて一緒にやってみよう。そんな余白を全力で楽しみながら、ラボで活動してみませんか。

まずはぜひ、説明会や5月23日に開催するしごとバー「はじめての自給自足ナイト」で、直接話してみてください。

(2018/4/9 取材 並木仁美)

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