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突然ですが、「常識」ってなんでしょう。みんながやっていること?変えてはいけない考え方?
社会で生きるために必要なこともあれば、だれかが決めたまま形骸化しているものもあるかもしれません。
「世の中が勝手に決めたルールじゃなくて、自分で考えて正しいと思うことを貫きたい。みんなでディスカッションしながら、私たちらしい常識をつくっていきたいんです」
tamaki niime(たまきにいめ)はショールをメインに展開しているアパレルブランド。作品はすべて1点もので、鮮やかな色彩とやわらかな着心地を大切につくられています。
今回募集するのはtamaki niimeらしいオンラインショップを構築していく「WEB革命チーム」、そして新しい事業をつくっていく「市場革命者」。
一般的な常識にとらわれず、自分たちが正しいと思うこと、そして地球にとっていいことを考える。熱い議論を交わしていく仲間を探しています。
兵庫県西脇市にある「tamaki niime Shop&Lab」に行くのは、半年前の取材以来。
新大阪で乗り換えてからの1時間半、前回の取材でまとめた「やわらかな革命」という記事を読み返す。
江戸中期から続く播州織の職人に出会ったことがきっかけになって、西脇にやってきたこと。
唯一無二のものづくりを追求していくなかで、やわらかなショールや着心地を優先した服にたどり着いたこと。
代表の玉木さんは世の中を健やかにしていくことに使命感を持っていて、農業や食にも挑戦している。そんな話をとても楽しそうにしてくれたことを思い出す。
田んぼに囲まれた「tamaki niime Shop&Lab」にたどり着くと、色鮮やかな作品と、にぎやかな織り機の動く音が出迎えてくれた。
前回の募集では販売スタッフの採用が決まり、すでに働きはじめている人もいるそうだ。
代表の玉木新雌(たまきにいめ)さんに、今回はどんな人を募集するのか聞いてみる。
「これだけの作品があることを、この直営店に来ないと知ってもらえないのはもったいないと思っていて。Webのバーチャルなところで、もっとtamaki niimeの世界観や作品を見てもらえたらおもしろいんじゃないかと考えているんです」
店頭に並ぶ作品はどれも1点もの。糸の染め方や混ぜ方、織り方を変えて生地をつくっていて、1つとして同じものはない。
唯一無二の存在になるため、お客さんから求められるものをつくるため。そしてなにより自分たちがワクワクするかどうかを大切に、ここまでブランドをつくってきた。
オンラインショップをつくろうと思ったら、既存のシステムを導入すればすぐにできることかもしれない。
どんなものを考えているんですか。
「tamaki niimeらしいオンラインショップってなんだろう。そこから一緒に考えていきたいんです。誰もやっていないものをつくって、オンラインのあり方から変えていくようなものができたら楽しいよね」
常識にとらわれず、自分たちらしいものを再定義する。それは服づくりでも続けてきたスタンスだ。
Webについては今社内に詳しい人がいるわけではないので、デザインができたりコーディングの知識がある人がいると心強い。
今回はオンラインショップを担当する人に加えて、「市場革命者」という役割を担う人も募集すると聞きました。
「フフフ、なんだそれって感じだよね。私たちはアパレルから農業、食に挑戦するところまで来ていて。この生き方に共感してくださる人がいたら、ぜんぜん違う分野にも取り組んでみたいと思っているんです」
服づくりを追求してオーガニックコットンを育てることからはじめたり、動物に迷惑をかけない生き方を実験するためにヴィーガンの食堂を運営してみたり。
枠にとらわれず、そのときにやってみたいこと、やるべきだと思うことへの挑戦を続けてきた。
新しいことに取り組む際に大切な軸になっているのは、地球にとっていいことかどうか。
作品をつくる過程ではやむを得ずゴミが出る。これだけものが溢れる世の中で、むやみに消費を増やしたくない。
自分たちがものづくりを続けていくためにはどうすればいいのか、悩んだ時期があったそう。
「たくさん買ってくれるのはありがたい。でもね、ストレス発散のために使わないものまで買って、ゴミが増えるのはうれしくない。売上に執着するわけでなく、回り回ってみんなが幸せになるような仕組みをつくらないといけないって思っています」
玉木さんに言わせると、地球目線で考えるのは玉木さんの“使命”。理屈ではなく、やらなければらないこと、という感覚なんだそう。
「市場革命者」として関わる人は、地球にいいビジネスをやっていけるならばジャンルは問わない。大切なのは挑戦する情熱と探究心。
tamaki niimeの器部門を立ち上げる作家さんや、家をつくる人。有機農業の実験をしていきたい人もいいかもしれない。
「宇宙船つくりたいんですっていう人がきたら、おもしろいやん!私もワクワクしたいし、ブランドとしても可能性が広がっていく。変なやつ集まれ!っていう感じかな」
どんな形になるかはわからないものの、いずれはその事業を持って独立するような人がでてきてもおもしろい。
「一緒に考えるし、私たちにあるノウハウや資金は提供します。自分で考えて、自分が地球をよくするためにこんなビジョンでやりたいんだっていう人を増やしたいんですよ」
現在もtamaki niimeの生地を提供して、作家さんと靴や服をつくることもある。
今回はさらに議論を交わし、一緒に考えていくような仲間に出会いたい。
「私がこだわりのあるものを作家さんにつくってもらうこともある。でもそれって、お互いにできることをするだけだから簡単やねん。熱い衝突をするわけではないんですよね。ないものをつくるためには、ディスカッションが必要だと思うから」
ブランドを立ち上げたころは、人と意見を交わすよりも自分がいいと思うことだけを貫いていた。
ふと、もし自分が死んだらみんなはどうなるんだろうと考えたときに、人を育てていくことの必要性を感じるようになったそう。
「世の中が決めた常識を考えもせずに享受している。それって大丈夫?っていう危機感があって。せめて自分が関わった人は、自分で考えて行動できる人になってほしい」
「言われたことしかできないっていう人間がこれ以上増えたら、世の中はよくならないですよね」
スタッフとも積極的に話をする時間をつくるようにしている。先日のミーティングで議論になったのは、「クリエイションとはぶっ壊すこと」という話題。
「いろんな意見があって、討論会みたいになったんです。そのなかで、クリエイションは脳内革命なんじゃないかっていう意見が出たの。あたり前だと思ってきたこと、頭のなかの常識を壊して、新しいものをつくりだすことなんじゃないかって」
その議論の火付け役になったのが、酒井さん。
ブランドを立ち上げる前からずっと、玉木さんとディスカッションを重ねてきたパートナー。
スキンヘッドにタトゥーというスタイル。
どんな人だろうと、最初はちょっとビビっていたのが正直なところ。
「暑いでしょ、カフェインは体を冷やしてくれるんです。アイスコーヒーでも飲んで涼んでください」
話をしてみると、場を和ませつつ細かな気づかいをしてくれる方だということがわかる。
「いわゆるトップクリエイターってどれ程のレベルなんやろ?って興味があって、リサーチがてらイギリスに行ったことがあったんです。そのとき実際に前線で活躍しているクリエイターに会うには会えたんですけど、結果、すごくがっかりしちゃったんですよね」
アイデアがどんどん湧き出ている、とんでもない人たちなんじゃないか。そう期待して会った人たちは、一生懸命勉強をしてアイデアを絞り出していたり、資本主義の流れに飲み込まれているように見えたそうだ。
「なんだ、これなら俺らでも世界とれるじゃんって、意気揚々と日本に戻ってきました」
「僕ね、すごく人を観察するんですよ。親父が理不尽に怒ったりする人だったから、人の言うことにすごく疑問を持つんですよね。気づいたら、いつでも常識を疑うような習慣が身についていました」
出会いは高校生のころ。玉木さん曰く「お互いの常識が違いすぎて、真逆の性格だった」そう。
「酒井と出会うことで、私が思ってきた常識ってすべてが正しいわけではないって知ることができた。世の中が勝手に決めたルールではなくて、今の自分が正しいと思えることを貫けばいいんだと思えるようになりました」
ブランドを一緒に立ち上げることになってからも、小さなことから大きなことまで、常に議論して「どっちが正しいか大会」を続けてきたという2人。
シャイで人とコミュニケーションをとるのが苦手な玉木さんと、言いたいことを察して人をつなげていく酒井さん。パズルのピースがはまったように、いいパートナーであり続けている。
「玉木は自分がやりたいだけだからって言うけど、10年以上前のアパレル業界で今の業態を想像できるって、やばくないですか。僕は彼女が指し示してくれた道を、いかによりよい形で進んでいけるかを構築する役割です」
「玉木はね、僕にとってずっと進化し続ける唯一の人なんです。一緒にいても飽きないんですよ。正直、天才ですよ。なにをやらせてもできちゃうんです」
すると横で聞いていた玉木さん。
「そんなことないよ。人としゃべることは苦手やし、顔は覚えないし。あと、パンはできなかったよな」
「そうそう、パンづくりにはまって1日に何回も大量のパンを焼いてたことがあって。おいしく焼けるまでつくりつづける。まあ周りは迷惑でしたけどね。本当に純粋で、どこまでも探求していくんです」
今日は週に1度の全体ミーティングの日。閉店作業を終えたスタッフたちが、食堂に続々と集まってくる。
ミーティングはいたって真面目な雰囲気。「はい!」と手を挙げて、それぞれが進捗状況を報告していく。
「社長」とみんなに呼ばれる玉木さんは、おどけて話をしていた雰囲気とは違って、経営者の顔。ときにはビジネス的に考えて、厳しい指摘をすることだってある。
まもなく2時間が経とうとしているミーティングの終盤に、酒井さんが手を挙げて話はじめる。
「みなさん、成功できる人とできない人の違いはなんだと思いますか?」
こんなふうに、みんなが考えるきっかけをつくっていくのも酒井さんの役割。
その後もチームとしての考え方や仕事の進め方について、さまざまな意見が飛び交った。
常識にとらわれず、深く考え、あきらめずに意見を交わす。
それはワクワクする冒険であると同時に、辛い時間でもあるかもしれません。でもその時間は、働く上での自信につながっていくはず。
この仲間たちと議論を交わし、世の中をあっと驚かせるクリエイションを生み出す。壮大な挑戦にいどむ人からの連絡をお待ちしています。
(2018/6/28 取材 中嶋希実)