求人 NEW

時が磨くファッション
ブリティッシュ・メイドの
ストーリーを伝える

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

上質なニットや、使うほどに味わいを増していく革製品。

イギリスの気候や文化が長い時間をかけて育んだアイテムには、トラッドな気品だけでなく、現代の生活やコーディネートにもフィットする魅力があります。

長く使えるようにデザインされた製品には、派手な主張はありません。

一方では、つくり手の工夫や、背景となった文化や歴史など、知るほどに愛着のわいてくるストーリーを秘めています。

今回は、そんなイギリス製品の魅力を伝えるウェブスタッフを募集します。

メーカーから輸入したファッションアイテムを販売するBRITHISH MADEのオンラインショップの運営担当と、コンテンツエディターの仕事です。

東京・表参道。

7月も半ばにさしかかった日のお昼過ぎ。暑い日ということもあって、行き交う人もラフなスタイルが多い。

駅から歩いて5分ほどで、BRITISH MADEを運営している渡辺産業のショールームに到着した。

迎えてくれたのは、代表の渡辺さん。ネイビーのジャケットには、水玉のポケットチーフがのぞいている。

少しトラッドな装いだけど、相手を緊張させるような堅苦しさはまったくない。そんなふうに自然で、自分らしくあることがイギリスらしいおしゃれの工夫なのだそう。

「イギリスの人たちにとってファッションは、外見を飾るものじゃなくて、内面を示すためのものなんです」

流行ではなく、自分が好きな色で選んだスーツ。手入れしながら10年以上履きつづけた靴。別人に変身するためではなく、自分を知ってもらうための表現として、洋服がある。

「あとは、その人らしいユーモアや遊び心を取り入れたり。人柄が出ているから似合うんじゃないかな」

もともと服地の卸売業だった渡辺産業が、製品を扱うようになったのは、1989年のこと。

きっかけはスコットランドのニットメーカーの3代目、アラステア・マッキノン氏との出会いだった。

「彼とは同い年で気が合ったんです。製品は初心者だったので、まずは縁を大切にしてみようと思って取引をはじめました」

アースカラーを基調として、洗練された色味のニットは、すぐに日本のバイヤーの目に止まる。その当時で3〜4万円の高級アイテムにもかかわらず、プラザ合意やセレクトショップの流行などの時流もあって、製品の卸売業としてのスタートは追い風だった。

ところが今から10年ほど前、次の転機が訪れる。

「ファストファッションの勢いが強くなって、僕らのやっているものが売れなくなってきたんです」

見た目がそんなに変わらないなら、安いほうがいい。そんな考えが広がる時代の中で渡辺さんたちは、本当にいいもののことをきちんと伝える必要性を感じはじめた。

「僕らが本当にやりたかったことは、イギリスの人やもののよさを、自分たちの言葉で直接伝えることだと気がついたんです」

こうして生まれたのが、直営店であるBRITISH MADE。現在全国に7店舗と、オンラインショップを運営している。

ものを売るだけでなく、それぞれのブランドが大事にしていることを伝える場でもある。

「革製品の手入れのことや、スコットランドの田舎に住んでいる職人のおじいちゃんのこと。“イギリス製”というブランドではなく、『いいな』と共感できるストーリーを伝えたいんです」

渡辺さんの話を聞いていると、私もイギリスでものづくりをしている人のことを、もう少し聞いてみたくなった。

「彼らはまず合理的です。長く使えるものをつくるっていうのも、そのほうが結局はコストパフォーマンスがいいからなんですよね」

「あとは、ものだけじゃなく人とも長く付き合うっていう価値観を持っている人たちだと思います」

渡辺さんもその考えに影響を受けてきた。

「彼らには立場や肩書きが違っても、平等に認め合う関係がある。メーカーも日本のような、“お客様は神様”という意識はありません」

お客様のために。渡辺さんもかつてはそんな責任感から、夜遅くまで残業することも多かった。

「イギリスの友人にはいつも『そういう働き方は滑稽だ、早くやめろ』と言われていました。一方で、僕自身は残業をしていることが、仕事に打ち込んでいる、仕事ができる人間の証しで、ある意味かっこいいと思っている面もあったんです」

イギリスの人から見るとおかしいと感じる日本人の働き方。

渡辺さんがその意味を理解したのは、社員が疲れた表情で働いているのを見たときだった。それ以来、少しずつ考えを改めながら、生活の面も豊かにできる働き方を探っているのだそう。

表面的にイギリスのスタイルを真似するだけでなく、いいものを育む考え方も学びながら、製品の魅力を伝えていこうとしている。

ウェブサイトは、コンテンツを通じて製品の背景を伝えることができる媒体でもある。

オンラインショップの運営を担っている林さんにも話を聞いた。

「ウェブコンテンツなどを通じて、売り上げにつながる計画を考えるのが仕事です。小売店の店長みたいなものですね」

前職では不動産関係の会社で、ウェブやパンフレットの制作をしていた。

「納品したあとで自分のつくったものが、ユーザーにどう届いているかわからなくて。ウェブが事業にどれだけ貢献しているか、もっとリアルに知りたいと思ってこの仕事を選びました」

ユーザーのニーズが、売り上げとして数字で表れるオンラインショップ。

ときには電話での問い合わせに対応することもあり、前職では距離を感じていたユーザーの声を直接聞くこともできるようになった。

お客さんのリアクションを直に受け止めながら、店舗として実績があげられるように考えていく。

「ずっと、売り上げを伸ばすためには、新商品の特集が必要だと思っていたんです。ただ、それだと短期的な売り上げで終わってしまうこともあって」

そんな悩みを抱えていたとき思わぬ反響があったのが、定番の革製品の経年変化について紹介するコンテンツだった。

化学染料を使っていない革製品は、使っていくうちに色が濃くなっていく。長く使うことで増す製品の魅力は、ブランドが一番大切にしていることでもある。

お客様が求めているのは目新しい特集ではなく、BRITISH MADEが訴え続けてきた本質的な魅力のほうだった。

「それがわかって、すごく新鮮な気持ちでした。お客様が何を求めているかをちゃんと探って、相手の目線で伝えていきたいなと思います」

コアなファンだけでなく、はじめて見た人にもわかりやすく。

写真のイメージでかっこよく演出するより、商品のことが正しく伝わる表現を大切にしている。

「5万円の靴を高いと感じてしまうのは、やっぱり、価値を正しく伝えられていないからだと思います。意外な工程で手作業が入っていたり、つくり手の工夫があるから高い品質が実現できる。それを、きちんと伝えたいですね」

メーカーの担当者が来日したり、普段からやり取りをしている企画担当者に話を聞いたり。卸売から始まった会社だから、ものづくりの現場と距離が近い。

新しい発見の多い環境の中で、新しく入る人にも色々挑戦をしてほしいと、林さんは考えている。

「誰かの業務を引き継ぐというより、新しい提案をしてくれる人がいいですね。SNSとか、いろんなツールを活用できると思います」

製品の魅力を伝えるために、何ができるだろう。

オンラインショップのコンテンツづくりに関わっている松井さんにも話を聞いてみた。

文章を書くことはもちろん、撮影やレタッチ、バナーのデザインも含めてコンテンツを一からつくっていく。コンテンツのテーマも、商品の入荷情報やイベントレポートなど多岐にわたる。

松井さんがウェブの仕事をはじめようと思ったのは、あるブログがきっかけだった。

「中目黒にある洋服屋のスタッフさんが、定番商品のジーパンを毎日履いて、それが育っていく様子を写真で紹介するブログをやっていたんです」

毛羽立ちや色合いなど、小さな変化を毎日写真で紹介する。そのブログがきっかけで、松井さんはそのお店でジーパンを何本も購入して愛用するようになったそう。

「言い回しとかもおもしろくて、商品のことを心から楽しんでいるのが伝わるんです。その洋服が本当に好きな人から買うほうが楽しいですよね」

当時、別の洋服屋さんで働いていた松井さん。ブログやウェブコンテンツを通じて商品の魅力を広く発信できることに魅力を感じて、この仕事を選んだのが3年前。

制作してきたコンテンツの中で特に好評だったのは、革靴の選び方を紹介するもの。

「同じメーカーでも製作に使う木型によって、選ぶべきサイズが違うんです。このコンテンツでは、スタッフに実際に靴を履いてもらいながらサイズを検証していきました」

履き比べたのは、1886年に創業したメーカー、ジョセフ・チーニーのドレスシューズ。

靴底の切り替えなど、オーダーメイドのような仕様がちりばめられている。軍のニーズに応えられる屈強なミリタリーラストなど、カジュアルなものもつくっているブランドで、松井さんも普段から愛用しているのだそう。

「製品によって、つま先の向きや、ノーズと呼ばれる部分の長さ、幅の広さや甲の高さ、そんな微妙な違いがあって。だから、ある製品ではUK7っていうサイズがちょうどいいという人でも、別のでは小さめのほうがいいこともあります」

自分にフィットするのはどのサイズなのか、ちゃんと説明されないとわからない。店員と話すことができないオンラインショップでは、判断が難しい。

それを可視化させるため、普段履くスニーカーなどのサイズを基準に、様々なモデルでちょうどよいと感じるサイズを、複数のスタッフで検証する。

試着ができないというオンラインショップの弱点をカバーするだけでなく、店舗で買い物をするときの参考にもなる。

松井さんがたまに店頭に立つと、「ウェブのコンテンツで見たんだけど」と、製品の問い合わせを受けることもあるそう。

「ウェブで見て、手に取りたい、身に付けたいと思ってもらえるように伝えるのが僕の仕事だと思います。長く愛される定番の製品にも、いろんな視点で新しい発見をしたいです」

つくり手や素材のこと、製品の背景まで深く知ることを楽しみながら伝える。

長い時間の中で育まれたイギリスのファッションだからこそ、そんな向き合い方が合っているのかもしれません。

(2018/7/11 取材 高橋佑香子)

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