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考え抜いて、応え続ける
想いを叶えるテント屋

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「テント」と聞いて、何を思い浮かべますか? パッと思いつくのは、キャンプ用の三角のテント。もしくは、運動会など屋外のイベントで日よけに使うテント。そんな人が多いかもしれません。 今回紹介する三鷹テントがつくるのは、それとはちょっと違うもの。ショップの入り口で、お店の顔となるようなテントです。 三鷹テントでは、デザインから製作、施工までを一つひとつ自分たちで行う。お客さんの「こんなものがつくりたい」という想いを形にするために、徹底的に考えて提案します。 建築やデザインの経験はなくても大丈夫。テントやものづくりの世界に飛び込んでみたいという人を歓迎します。
JRの三鷹駅からバスで10分ほど。 バスを降りて住宅街を少し歩くと、三鷹テントの看板が見えてきた。 オフィスの中に入ってまずお話を聞くのは、代表の菊地さん。最初はちょっと怖そうな印象だったけれど、話してみると気さくにいろいろなことを教えてくれる。 「私たちの業界のことって、あまり知られていなくて悲しいんですよ。この業界は全体で見たら斜陽産業だけど、ものづくりとしては決して悪い業界じゃないんです。競争は激しくないし、利益率も高い。デザインや裁縫が好きな人は、毎日できるしね」 三鷹テントは、もともと菊地さんの義理のお父さんが1966年に立ち上げた会社。菊地さんは、長く家具づくりの仕事に携わったのち、9年前に入社した。 地域の商店街が賑わっていたころは、八百屋さんや魚屋さんなど、ほとんどの店にテントがかかっていた。けれど個人商店の数が少なくなるにつれて、テント業界も衰退。 待っていたら縮小するだけの状況に危機感を持った菊地さんは、デザイン性の高い案件に積極的に取り組んだり、テント以外の案件にも挑戦したりと仕事の幅を広げてきた。 「いま営業活動はしていなくて、すべてホームページの問い合わせから仕事がはじまります。要望を聞いて相談にのるところから現場での施工まで、すべて一貫してやっています」 三鷹テントの社員は現在3人。長年働いてきた職人さんがそろそろ定年を迎えることもあって、今回募集をすることになった。 お客さんの相談にのるときは、どんなことを大切にしているんだろう。 「お客さんは『こんなものをつくりたい』っていう想いはあっても、具体的なイメージはできないんです。だから私たちが、つくりたいものを実現するためにはどんな取り付けがいいか、どんな仕上がりならかっこよくなるのかを考えていきます」 依頼はショップや個人宅から受けることが多い。設計事務所との仕事でも、相手はテントについて詳しくない場合がほとんど。 お客さんは完成形をイメージできないから、責任を持って提案する必要がある。 「たとえばお客さんが赤色のテントを希望しても、建物に合わないだろうなって思ったら、別の色を提案するんです」 「だって、言われた通りに赤色にして、『イマイチだけど自分が言ったからな…』なんてお客さんが思っていたら、気持ちよくないでしょう。別の色を提案して、『あなたの言う通りにやってよかったわ』って喜んでもらうのがプロなんです」 菊地さんの仕事への姿勢は、本当にストイック。プロとして仕事に臨む心意気が伝わってくる。 「僕はね、“だろう”を消さなきゃと思っているんです。なんとかなるだろうって気持ちでは、絶対に仕事を進めてはいけない」 そう思うようになったのは、過去に大きな失敗があったから。 以前は家具の設計の仕事をしていた菊地さん。あるとき、クライアントからの要望を盛り込んでいくと、量産するのは難しそうな家具の設計図ができあがった。 工場に相談すると、このつくりなら大丈夫とのこと。 不安に思いながらもその言葉を信じてつくりはじめたところ、結果的に量産体制が整わず、大きなクレームにつながってしまったそうだ。 「最初にどう仕事を進めるかって頭の中で考えて、不安があったら必ず調べる。絶対の自信がない限り、一つひとつ確認するんです」 「もし、無理を承知でやってくれって頼まれたら、できるかわからないけれどいいですかって了承を得てから引き受ける。それが最低限の責任だと思いますね」 すべてを簡単に「できる」とは言わないからこそ、真剣に考えているということがお客さんに伝わるんだと思う。 そんな仕事への姿勢が、いろいろな依頼につながっている。 最近取り組んだ案件で特に挑戦的だったのは、静岡県沼津の公園にある球体テント。 「民間の会社が公園を運営することになって、テントエリアをつくりたいと相談を受けました。木からテントがぶら下がっている写真を見せてくれて、こんなのがやりたいんですって」 地面に設置するドームテントの実績はあったものの、木から下げるのは初めての経験。できるかわからないけれど、と断った上で案件を進めた。 「最初、海外の球体テントと同じ構造で見積もったら、全然予算に合わない。床置きのテントの構造なら予算に合うから、試しにつくって吊り下げてもらったらうまくできたんです。不具合は出るかもしれないけれど、そのときはこっちで修正しますって伝えて」 その結果、このテントをきっかけにメディアの取材や新しい依頼を受けることも増えたのだとか。 責任の持てる範囲ならば、できることはなんでもやる。 ときにはテントに限らず、美容室の内装や、ショベルカーの運転席に使用するパーツの依頼を受けることも。 「できることをどんどんやっていくと、『どこに頼んだらいいかわからないので』って問い合わせがくるんです。一件一件時間はかかるけれど、仕事の幅が広くて飽きないから、同じ作業をずっとやることが苦手な人にはいいと思います」 CADやIllustratorといったソフトの使い方は徐々に覚えていけばいいので、心配しなくて大丈夫。何より大切なのは、いいデザインを提案するためのセンスや感性を磨くこと。 「せっかく買ってくれるんだから、素敵なものを提案しないといけない。常にいいものをつくりたいって気持ちを持っていてほしいかな。たとえば、休みの日にかっこいいテントを見かけたら覚えておくとかね」
次にお話を聞いたのは、入社3年目の相馬さん。 「僕も入社する前は、テントのイメージといえば、キャンプのテントくらいしかありませんでした」 前職は通信機器関連の営業。柔らかい雰囲気からは意外に感じるけれど、現場に入る仕事がしたくて転職したんだそう。 「前の仕事は、お客さんと接する機会は多くても、全体の流れの一部にしか関わることができませんでした。契約した後にお客さんがどう思っているのかまで知ることができない。『いつもここで終わりだな』と思っていて」 「最初から最後まで関わることのできる仕事がやりたかったんです」 そんなとき、インターネットで見つけた三鷹テント。ものづくりはまったくの未経験だった。 最初は、どんな仕事からはじめたんでしょう。 「テントの取り付け作業や打ち合わせに同行しました。ほかには見積書づくりとか電話対応とか、基本的なことから。CADの使い方も入社してから勉強しました」 希望していたとはいえ、やはり現場の仕事は大変だという。とくに夏場は、取り付けをしている数時間のなかで水を2リットル近く飲むほど。 「暑いのが苦手なので、夏は大変です。でも菊地さんがちっちゃい扇風機を買ってくれて、快適になったので助かっています」 スタッフそれぞれが現場の仕事までやる、というのが三鷹テントでの基本的な働き方。ただ、力仕事をするのが難しい人は、相談することもできる。過去に勤務していたwebデザイナー出身の女性は、現場には入らず、デザインと設計を中心に働いていたそう。 それぞれの得意分野にあわせて柔軟に働くこともできる会社だと思う。 現在は、1人で案件を担当することも増えている相馬さん。 とくに印象に残っているのは、靴屋さんの入り口に開閉式のオーニングテントを取り付けたときのこと。 「建物のタイルに穴を空ける必要があったんですけど、大家さんから許可をもらえなくて。穴が目立たない取り付け方を考え、取り外すときのことを想定してタイルの修繕業者さんも探して、やっとOKをもらえました」 希望通りにテントが設置できて、喜んでくれたお客さん。2年近く経った今でも連絡を取り合っているそう。 「一昨日も連絡が来たんですよ。『風が強いときに出していたんだけど、大丈夫ですかね?』って。ちょうど仕事で近くまで行ったので、様子を見に行きました」 そんなふうに関係が続いているのを聞くと、信頼されているんだなと伝わってきます。 「まだまだですよ。入社してから、自分は今まで、全然考えていなかったんだなってことがわかりました」 全然考えていなかった? 「あまり人に聞かないで、自分の頭の中だけで解決して動いていたんです。どこかで『ここまで考えればいい』って限界を決めていたのかもしれません」 「でも、もしそれで間違った方向にいっていたら、誰かに聞いたり調べたりしないと修正できないですよね。本当の意味で考えるってこういうことなんだって、この歳になって学びました」 自分のやり方で正しいのかを都度確認しながら、ベストな方法を考え抜く。菊地さんの仕事に取り組む姿勢から学ぶことは多い。 「ここで働くなら、ハートが強い人がいいと思います(笑)」 なぜなら、厳しい指導を受けることもあるから。 それを聞いていた菊地さんは、「そう?俺けっこうサポートしているつもりだけど?まあ強く言っちゃうときもあるけど…」とのこと。 師匠と弟子のような関係性を垣間見て、つい笑ってしまった。
「私はね、社員にはものづくりをするときに重要なことを教えているつもりなんです」 そう話すのは、再び菊地さん。 「テントに限らずものづくりを生業にしたいと思う人には、自分が持っているものを全部教えるつもりなので、どんどん吸収してもらいたいですね。だから追い抜かされないように、その人が成長する以上のスピードで自分もスキルアップしようと思っています」 「常に自分の仕事を高めようとしなきゃいけないし、お客さんが求めているものにちゃんと答えなきゃいけない。だって、それがプロでしょう」 こんなふうに言い切るのは簡単なことではないはず。実際に行動しているからこそ、自信を持って言葉にできるのだと思います。 お二人に直接話を聞いてみたい人は、ぜひ9月23日のしごとバーに来てみてください。 普段なかなか聞けないテントの話や、ものづくりに対する姿勢のこと。それから、お二人の師弟関係も垣間見れるかもしれません。 (2018/08/17取材 増田早紀)
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