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クレイセラピーを知っていますか。クレイとは、汚染されていない大地深くにある土壌から掘り出される純度の高い粘土のこと。
ボディパウダーとして日常のスキンケアやベースメイクはもちろん、赤ちゃんのオムツかぶれの予防にも。虫刺されや火傷、ニキビ、肩こりなどにも日常的に使えるのだそう。

国際クレイセラピー協会は、正しい知識と技術を持ったクレイセラピストの育成とそのサポートを行う団体。今回はここで運営スタッフとして働く人を募集します。
セラピストのサポートやセミナーの開催、会報誌の取材・制作・デザイン。Webショップの企画運営など業務は多岐に渡りますが、経験や学歴は問いません。
自分たちの仕事を通して、社会にちょっと気持ちのいい循環を生む。そんな協会の仕事を、ぜひ知ってもらいたいです。
国際クレイセラピー協会は、東京とオーストラリアはブリスベンに拠点を置いている。
池袋駅を降り、歩くこと5分ほど。国際クレイセラピー協会の東京本部を訪ねました。
応接室で迎えてくれたのは、事務局長の勢田(せた)さん。昨夜は遅くまで、新しい会報誌の準備に追われていたのだそう。

やわらかな語り口で、真摯に応えてくれる。新しく入る人の上司になる方です。
国際クレイセラピー協会は、来年の4月で設立10周年を迎える。国内にあるクレイセラピーの協会としては最も長い歴史を持つという。
会員として所属するのは、協会の指定する試験を受けて、クレイセラピストの資格を取得した人たちだ。資格取得のため勉強中の人を含めると、現在協会に関わっている人は約2000人。
「会員の方は、学んだ技術や知識を仕事につなげたいという方が多いです。クレイセラピーの業界では、使う粘土の成分など、今もなお研究で新しいことが判明している状態。情報がどんどん更新されていきます」

なんとなく、協会の仕事というと既に決まったシステムに則って、事務的に同じ業務を繰り返していくイメージがある。
「もちろん、そういった業務もあります。でも、目の前にいる会員さんをサポートすることこそ、大切な仕事なんです」
「会員さんたちのニーズは日々変化していきます。課題に向き合いながら、ともに協力し合えるようなシステムを見つけられたらいいなと思っています。どんどん変化していきたいんですよね」
たとえば、会員さんたちの中には、セラピストとして働く機会がまだ少ない人たちもいる。
そこで外部からイベントの依頼などがあったら、それをセラピストに紹介する講師登録制度をつくった。
「なかでも協会主催のイベントは、すでに活躍している人だけでなく、活躍の場を探している人も講師として経験を積める機会にしたいと考えています」
そうすれば、仕事が少ない人にも働く機会を提供できる。さらに、その経験を活かして自分の教室やサロンでもワークショップを開催できるようになればいい。

会員さんの中には、ここで躓いてしまう人もいる。
運営上の問題点やどんな工夫が必要なのかわかっていない状態では、支援をしても焼け石に水。視野を広げ、新たな発想が生まれるような機会はつくれないだろうか、と勢田さんは考えた。
「それには、外からの刺激や知識を得られるセミナーに参加してもらうのが、一番いいんじゃないかと思ったんです。だから今すぐに参加費用が用意できなくても、セミナーに参加できる仕組みをつくりました」
具体的には、セミナーの費用を協会が一時的に立て替え、講師として働いた収入や、協会の運営するショッピングサイトで商品を買った際のポイントで後払いできる制度を実現。会員である間は、自分のペースでセミナー費用を返済していくことができる。

それにどうしてそこまで、会員さんのことを考えられるのでしょうか。
「一人ひとりの都合を聞きすぎると、組織として立ち行かなくなるので、もちろんすべてに対応できるわけではないんです」
「でも私たちのつくるサービスは、会員さんの個性や思いを実現していく手助けになるのかな?ということは常に考えていて。それを考えるからこそ協会が必要としてもらえて、私たちも生き残っていけるんじゃないのかなって思っています」
勢田さんたちの取り組みは、まるで種を蒔くようなもの。
使う・使わないは会員さんの自由だけれど、セラピストの人生に伴走するように、さまざまなサービスが用意されている。
結果的に、会員さんも協会も一緒に成長していける。
協会の中で巡る循環。それは協会と会員の関係性だけでなく、私たちが暮らす社会や自然にもつながっていく。
「クレイは大地に埋まっている粘土層を使わせていただいているので、人間がどんどん自然を崩壊させてしまうと動植物も私たちもクレイを使えなくなってしまいます。だからクレイを通して、あらためて人間の生き方とか、どういうふうに環境のケアもしていくのか、考えるきっかけになればと思うんです」

会報誌「EARTH」には、最新の研究結果などに加えて、勢田さんが自身で取材・執筆したインタビュー記事が毎回掲載されている。デジタルが苦手という勢田さんが、紙を切り貼りしたり図を描いたりして、構成やデザインもすべて手がけているんだとか。
今回新しく入る人には、その広報紙やホームページなどのデザインも一緒に考えることになる。勢田さんの指示を待つのではなく、どんなふうに表現すれば伝わるのかアイデアを出しながら、直接データを作成するところまで進めていってもらいたい。
経験はなくても大丈夫。大切なのは、勢田さんのように、まずは目の前の人のことを考え行動してみることだと思う。
続いて勢田さんと一緒に働いている、藤井さんにもお話を伺う。とてもさっぱりとしていて話しやすい方です。

「泥パックがあることは知っていましたけど、泥にもこんなに種類があるんだなって。もともと知らないものを知りたいという性格なので、とりあえずお話を聞いてみようと思ったのがきっかけです」
そこで勢田さんの枠にとらわれない柔軟な姿勢に興味を持ったことが入社の決め手になった。
「面接に来たとき、勢田さんの夢を聞いたんですよ。そしたら地球にとって良いことをしていきたいとおっしゃっていて。かっこいいな、一緒に働きたいなと思いました」
まもなく入社して3年を迎える。実際に働いてみてどうですか。
「最初は協会の仕組みや、会員さん向けのカリキュラムを覚えることに必死でした。仕事は皆さんから教えてもらえますが、自分なりにノートにまとめてみるとか、積極的に動いたほうがより早く覚えられると思います」
なかでも驚いたのは、2〜3ヶ月に1度開催されるセミナーの準備。前職でもセミナーを主催した経験はあったものの、これまで経験してきた座学形式のセミナーとは大きく異なっていたそう。
「ここではセラピストさんを育成するので、セミナーでも実際に施術が入るんです。たとえばボディマッサージなら、ベッドはもちろんクレイや細々とした施術用資材もすべて準備します」

東京の協会スタッフは5名と少数精鋭。普段はそれぞれが責任を持って仕事を分担しながら、セミナーの準備や運営などは一緒に行う。
前職でメールマガジンの執筆やお客さまサポートなどに携わってきた経験を生かして、藤井さんは、主にwebまわりを担当。協会で運営しているショッピングサイトの商品選びや商品の撮影、レイアウトの調整、メルマガの配信など幅広い業務を一人でこなしている。
「自分が工夫して撮った商品やメルマガに書いた商品を購入してもらえるなど、お客様から反応があるのは、日々うれしいですね」
自分なりに工夫する余地はたくさんある。一方で関わる人たちから刺激を受けることも多いのだとか。
「この前、会報誌の取材で西荻窪のカフェに行きました。自然料理家として活動する田町まさよさんにお話を伺って。この写真は私が撮ったんですよ」

栄養豊富で、消化にもいいすぐれもの。ミキは「お神酒」からきており、島の人が祈りを込めてつくり命をずっと支えてきた神聖なものでもあるそう。
「この話を聞いてから、自分でもミキをつくってみたんです。話を聞くだけだとただの知識ですけど、自分で体験することでわかることもたくさんある。お米を手でぐるぐると混ぜていくと、お米の手触りが変わっていくのが感じられてとても楽しかったです」
「いろんなものに触れるうちに、自分で動き出す、行動のスイッチみたいなものが押されているのかもしれないですね。自分でやりたいと望めば、勢田さんは受け入れてくれるし、刺激はたくさんあると思います」

新しく入る人も、知らないモノやコトとの出会いを楽しみながら成長していけると思います。
知恵や工夫を生きた情報として循環させることで、ここで働く人にとっても会員にとっても、少しずつ暮らしや社会はより良いものになっていく。
さまざまなことが分断されてゆく今の時代に、必要な仕事なのだと思いました。
(2018/8/28 取材 並木仁美)