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稼ぎ、人を育てる
世界一チャレンジしやすい
まちづくりの挑戦

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

世界一チャレンジしやすいまちをつくる。

そんなビジョンを描いて昨年4月に立ち上がったのが、宮崎県新富町に拠点を構える「こゆ財団」のみなさんです。

旧観光協会を母体とした財団法人で、町からふるさと納税の運営を受託。その寄附額の一部や特産品のブランディングなどであげた収益を活用し、起業家育成塾や編集者・ライターの育成プログラムを開催。町の人財育成に再投資することで、“世界一チャレンジしやすいまちづくり”を目指しています。

設立から1年半ほどの短い期間に、さまざまな挑戦を重ねてきたこゆ財団。

その取り組みをさらに加速させるため、新たな一員となる人を募集します。

募集するのは、同時進行していく複数プロジェクトの進行管理・運営を担うディレクターと、自社Web媒体の運営・コンテンツ制作を行うWebデザイナー。

人とモノ・コトをつなぎ、町でのチャレンジを支援する役割が求められています。

 

新富町までは宮崎空港から電車で約40分。東京・羽田空港を出発して、うまく乗り換えれば2時間半ほどで行けると考えると、だいぶ身近に感じられる。

宮崎市内へのアクセスもいい。のどかな景色を眺めていたら、あっという間に日向新富駅に到着した。

この町の基幹産業は農業で、キュウリやピーマンといった野菜やライチ、マンゴーなどの果物の栽培、畜産や養鰻も盛ん。また、沿岸部の砂浜には、産卵のために毎年たくさんのアカウミガメが上陸する。

駅から車で5分ほど移動し、こゆ財団の活動拠点であるコワーキング&オフィススペース「チャレンジフィールド」へ。

仕事やミーティングでの利用に対応しているほか、産業支援や移住の相談窓口の役割も担っている。

ここでまず話を聞いたのは、事務局長の高橋さん。

こゆ財団の立ち上げから関わってきた高橋さんに、これまでの歩みを振り返ってもらう。

「設立からの1年間は何も実績がないなかで、手応えやリアリティを自らつくりながら走ってきた感じがします。できるかどうかわからないことも、とにかくやってみようと」

まず取り組んだのが、町内の生産者がつくった国産生ライチのブランディング。

都内のカフェとコラボしたり、ライチを使ったビールや化粧品などの商品を開発したり。

1粒1,000円という高価格帯でのブランド化はさまざまな形でメディアに取り上げられ、こゆ財団や新富町が注目を集めるきっかけとなった。

また、こゆ財団が町から受託しているふるさと納税の事業は、納税額の一部を町への再投資に活用している。納税額が上がれば上がるほど、地域のために使えるお金が潤沢になるという仕組みだ。

生産者を丹念に取材したり、返礼品の魅力が伝わるように写真を丁寧に撮影したり。地道に工夫を重ねることで、財団設立前は4億3千万円だったふるさと納税額を、倍以上の9億3千万円まで伸ばしてきた。

「特産品のブランディングやふるさと納税によって得たお金は、この町をフィールドに挑戦したいという人財の育成に投資してきました。昨年開催した起業家育成塾では、20名の受講生のうち6名がクラウドファンディングに挑戦したり、起業する流れも生まれています」

今年は「地域を編集する学校」を開催。ソトコト編集長の指出さんをはじめとした講師陣のもと、3ヶ月にわたって編集・ライティングを学ぶプログラムで、全国からなんと100名を超える応募があったそう。

受講生の書いた記事は、こゆ財団の運営するメディアに掲載。町の情報発信にもつながっている。

ほかにも月に1回商店街で行う「こゆ朝市」の企画運営、空き物件のリノベーションやオーナーと起業家とのマッチングなど、多岐にわたる取り組みを展開しているこゆ財団。

この1年半のうちに、町内で起業する人や都市部との二拠点生活をする人、業務委託でこゆ財団とのパートナーシップを結ぶ人も表れはじめた。

とはいえ、まだまだ人が足りていないのが現状だ。

「事業のタネはたくさんあるんです。小さくてもいいので、ひとつずつ形にして地域経済を回していきたい。そのためには、主導してくれるプレイヤーをもっと増やしていく必要があります」

そこで今年の7月には、全国各地で起業家と地域のネットワークづくりに取り組むNext Commons Labと連携し、NCL宮崎を立ち上げた。

民泊オーナーや農業コーディネーターなど、10の事業を主導していくプレイヤーを募集。NCLのノウハウを活かし、起業をサポートする。

今回募集するのは、ディレクターとWebデザイナー。

ディレクターは、町のキーマンとプレイヤーをつないだり、同時進行していく複数プロジェクトの進行管理をしたり、ときには相談相手になったりする存在。

Webデザイナーは、自社メディアやふるさと納税サイトの運営、コンテンツ制作やディレクションなどを通して、こゆ財団の取り組みを発信していく役割を担っている。

「正社員もいれば、業務委託のパートナーもいます。その人ごとに見合う働き方をぼくらも一緒に考えていきますよ」

タネをまいて終わりではなくて、目を配り、水をやって育てていく。

地域のプレイヤーたちとともに、プロジェクトを育てていくような人が求められているのだと思う。

 

続いて話を聞いたのは、こゆ財団の設立を発案したメンバーである、執行理事の岡本さん。

「生まれも育ちも新富町で。昔は活気があったんですよね。商店や農家さんも一代目が多くて、みんながみんなプレイヤーで。そのころの人たちは賑やかだし、新しいことをどんどんやろうっていう勢いがあった」

「でも最近は、商売をはじめるのは難しいよねっていう空気がある。ぼくはずっと役場職員をしてきたんですけど、この町は今以上に面白くできるはずなのに、このまま日和見の状態が続くのはもったいないなと思って。思い切って行動を起こしたんです」

ふるさと納税の運営や特産品のブランディングなどを高速で進めながら、岡本さんは地域の人たちに対しても頻繁に説明会を開いてきた。

「町の人たちも、ぼくらが何をやっているのかよくわからないって人がまだほとんどだと思うんです。でも、少しずつ声がかかるようにもなってきていて」

駅前の土地や廃校、ゴルフ場を活用できないか?という相談が持ちかけられるように。

どうにかしたいと思っていても、きっかけを見出せない地域の人たちもいることがわかってきた。

「農業について言えば、農地はたくさんあるのに、高齢化や担い手不足が進んでいます。そこにIoTの技術を導入して、軽トラの荷台にパラソルを積んでドローンを飛ばし、あとはパソコンで遠隔操作するとか」

「そんな姿を目にすれば、農業やりたい!って子どもたちも出てくると思うんですよ。もちろん夢ばかり語っても仕方ないから、できるところから少しずつにはなりますけど。目に見えて面白い状況を早くつくりたいんです」

岡本さんは「儲かる農業研究会」を立ち上げ、若手農家を中心にネットワークを構築。

テクノロジーを導入した新しい農業を実践しはじめていて、実際に収量が20%上がったきゅうり農家さんもいるそうだ。

 

「意思決定はとにかく早いですね。プロトタイプをどんどん世に出してアップデートしていく感じです」

そう話すのは、日本仕事百貨の記事を通じて今年の7月にやってきた中村さん。

「代表と一緒に食事をしていて、これよくない?って思いついた30秒後には本当に発注をかけていたり。まずやってみようっていう精神はありますね」

東京のWeb広告代理店で働いたあと、地方でしっかり稼げる仕事をつくりたいと考えて新富町へ。

前職の経験を活かし、ここではマーケティングやふるさと納税の運営、特産品の企画開発やディレクションなどを担当している。

「宮崎県ってお茶の栽培も盛んで、日本一に輝いている茶園さんがあるんです。そこで栽培・加工された緑茶とほうじ茶のジェラートを、熱海のジェラート店さんと一緒に開発して。結構好評だったんです」

「でも、台風のときに冷凍庫が停電して在庫が全部ダメになってしまったこともありました。それは仕方のないことですけど、細かな失敗はとにかくたくさんあります」

はじめてのことに日々挑戦するなかで、ギャップや戸惑いはないのだろうか。

「当然ありますよ。未経験の分野に関わることも、地域との関わりにしても。ここにはいろんなバックグラウンドの人がいるので、ぼくも日々教えてもらいながらやっています」

「何よりも、そのギャップを飲んででもやりたいことがあるかどうかですよね。強い思いがあるなら、一度ダメでももう一度考えるでしょう。あとはもう泥くさくやっていくだけだと思います」

うまく進みはじめた事例の陰には、その何倍もの数の失敗があったはず。

それでもこゆ財団のみなさんは、「なんとかなる」と前を向き、また「やってみよう」と挑戦する。

その姿を見ているうちに、自分も何かできるんじゃないかと思えてくる。

この町には、そんなふうにいい挑戦の循環が生まれてきているのを感じる。

 

取材の終盤、「もうひとり会ってほしい人がいます」と高橋さん。

今年の8月に商店街にオープンした「KOYU CAFE」店長の永住さんを訪ねた。

旦那さんの転勤で各地を転々としたあと、生まれ育った新富町に帰ってきた永住さん。縁あってこゆ財団の立ち上げから関わってきた。

カフェのオープンまでにかかった期間はおよそ3ヶ月。

スピード感がものすごい。

「商店街にカフェがあったらいいなあ、とは思っていました。ただ、カフェにはお客さんとして行くぐらいで、まさかこの短期間で自分がやることになるとは思っていませんでした」

家具や内装、カウンターの高さや通路の幅など細部に至るまで、工務店とやりとりを重ねて、すべていいと思うものだけを選んだ。

カフェで扱う食材は新富町でとれたものがずらり。

「新富町のおいしいものを知ってほしくて。野菜も季節のフレッシュジュースも地元のもの。ライチティーはこゆ財団でつくりましたし、コーヒーは地元の珈琲店さんが焙煎した豆で淹れています」

7〜9月の暑い時期に開かれる「こゆ夜市」では、地元の漬物業者さんをゲストに迎え、お酒を飲みながら漬物の歴史や漬け方の話を聞き、試食もできる漬物バーを開催。単にカフェとして運営するのではなく、今後はこうしたワークショップも増やしていきたいそう。

今回の募集では、どんな人に来てほしいですか。

「この町の取り組みに共感してくれて、自分から楽しそう!と思って来てくれる人。やってみたいことがある人にはすごくチャンスのある町なので、迷わずにワクワクする気持ちだけ持って来てほしいなと思います」

なぜこの町に人が集まってきているのだろう。

豊富な食材や自然環境、都市部からのアクセスの良さ。

どれも理由のひとつではあるけれど、何よりもこの町で挑戦する人たちの姿が次の挑戦者を惹きつけているように思います。

“世界一挑戦しやすいまちづくり”への挑戦は、まだはじまったばかりです。

(2018/10/9 取材 中川晃輔)

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