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人や風景、暮らしの変化を
肌で感じながら
街へ仕掛けるデザイン

“デザイン”が活躍する場は、ここ数年でとても大きく広がっている気がします。

それは単に仕事の数が増えているということではありません。

たとえば建築なら、図面を引くだけでなくそもそも企画から関わったり、その後の運営やまちづくりにまで携わったり、奥行きが増してきています。

そんなふうに、幅広い領域でデザインの力を活かしたいと考えているのなら、この会社はいいかもしれません。

日本海に面した京都・舞鶴にある大滝工務店。住宅やマンション、公共施設や店舗に寺社など様々な建築を手掛けてきた、街の老舗工務店です。

いわば現場で“つくる”ことが専門だった大滝工務店は、3代目の若社長に代わってから、自ら企画し地域へ仕掛けることをはじめました。

今回新たに設計チームをつくり、ゆくゆくは設計事務所としての独自展開を視野に動き出そうとしています。

この大きな転換期に、設計者を募集します。

 

京都駅から特急列車に乗って西舞鶴駅へ。

さらに車を10分ほど走らせたところに大滝工務店の手掛けた、KAN,MA(カンマ)がある。

庭に開かれた縁側が気持ちいいL字型の木造平屋。中を覗くと、カフェスペースでは赤ちゃんを抱いた家族連れや2人組の女性たちが、お茶をしながらゆったり過ごしている。

奥にはベッドや家具の置かれた泊まれるショールームがあり、カフェ利用者がふらっと見学をしたり、家を建てたい人から相談があったりするそう。

「最初は土日だけ相談窓口を設ければいいかなと思っていたら、今はほぼ毎日見学される方がおられるんです。そこから新築とかリフォームの仕事が生まれていて、会社のブランド向上にものすごく寄与しています。カフェも順調で、予想以上の実績を生んでいますね」

そう話すのは、代表の大滝さん。

KAN,MAは大滝さんが発起人となってはじまったプロジェクト。

地域工務店の経営コンサルを手がける中嶋さんと、アソブロックの代表であり、ヒト・モノ・コトに関わる“世の中の編集”をする団遊(だんあそぶ)さん。その2人と共にプロジェクトを練り上げ、3人で立ち上げた会社『小さな広場』がカフェスペースの運営を担っている。

設計は建築家の横内敏人さん。ほかにもコピーライターやデザイナーなど、様々な分野のプロフェッショナルが携わった。

「これだけ洗練された空間って、このあたりでは他にないと思うんです。2年前に日本仕事百貨さんの募集で入ってくれたスタッフたちも本当によくやってくれていて」

「ただオープン前はすごくナーバスだったんですよ。盛大にコケたらどうしようかと、すごく不安で」

たしかに、このあたりは街の中心地から外れていて、用事がなければ来ないような場所だと思う。駅前のほうがもっと良い土地や空き家があった気がする。

「ここはうちの会社が昔から持っていた土地なんですよ。ずっと遊休地になっていて、最後の負の遺産でした」

負の遺産?

「ええ。僕が帰ってきたとき、会社は過去からの借金に苦しみあえいでいる状態だったんです」

大滝工務店は大滝さんのお祖父さんが創業した会社。

昔から腕の良い大工を社内で抱え、大滝さんのお父さんが継いだ後は戸建てやマンション、オフィス、店舗、社寺文化財、福祉施設など多種多様な建築を手がけ、地元では知られた老舗工務店だった。

ところがバブル期を過ぎてから仕事が年々減り、売上は全盛期の3分の1に。2代目のお父さんが病で倒れてしまい、東京の大手企業でSEをしていた大滝さんが舞鶴に呼び戻された。

「親が継がんでええって言ったから、就活を頑張って会社に入ったのに。だけどいろいろ考えて、しこりをずっと残したまま生きていくより、チャレンジしてみようかなと思って」

経営や建築についての知識も経験もない。数年間は必死で業務改善に努め、土地を売ったり、リストラの決断を迫られることもあった。

次第に業績が上向き、少しずつ余裕が生まれるように。

そんななか大滝さんは、地元の有志でKOKINというチームをつくり、新しい活動をはじめた。

「東京に比べたら舞鶴はサードプレイスがないし、ユニークなことをやっている人も少ない。要は僕自身が物足りんかったわけです」

「もっとかっこいい街にして、いろんな人との輪をつくって楽しく暮らしたい。建築を題材にして、街の暮らしを楽しくする活動をKOKINではじめたんですね」

café&bar FLAT+は商店街の一角にあった空き店舗を改装してつくった、日替わり店長のお店。

お手伝いしてくれる人をワークショップ形式で募ってみると、意外にも役所の職員や高専生、地域の小学生まで、たくさんの人が集まってくれた。

さらに新聞やテレビにも取り上げられ、オープニングには100人以上が訪れた。

家・職場・学校だけではない第三の場所を、多くの人が求めていることに気づけたという。

「KAN,MAをはじめたのは、ここに村をつくろうと思ったからなんです」

村を?

「結婚してそろそろ自分の家を建てようというときに、土地を一から探すんじゃなくて、使い道のなかったこの土地に建てたらいいんじゃないかと。1200坪もある広い土地なので、せっかくなら何かやりたい」

「広場があって、お店があって、家がある。そんな村を一からつくりたいと思ったんですね」

KAN,MAの向かいには既に大滝さんの自宅が建っている。建築家の横内さんが設計したKAN,MAのテイストを受け継ぐ、フラッグシップモデル。

今後は残りの土地を分譲住宅として販売していく予定で、既にひとつ契約が決まり工事が進んでいる。

「KAN,MAにしてもKOKINにしても、ライフワークであり、使命感のようなものを感じていて」

使命感、ですか。

「工務店とか建築会社って地域の暮らしに与えるインパクトが大きいんですよね。だから日々勉強して、レベルアップしていかなきゃいけない責任がある。請負業に留まっていちゃダメで」

自ら仕掛けないと。

「そう。地域に仕掛けて、地域の暮らし文化をつくっていくことが大事なんじゃないかな」

ゼロから企画を練り、信頼できる仲間と一緒に運営する。そこには設計や施工管理だけを担う仕事とはまた違った面白さがあるのだと思う。

ここで大滝さんがKOKINで手がけたプロジェクトを紹介してくれた。古民家を再生したレンタルスペース宰嘉庵(さいかあん)。

KOKINの拠点でもあり、昨年には宿泊のできるゲストハウスとしてリニューアルオープンした。

「週に2組は断るほど人気で、満室が続いています。ここの管理を任せている女の子がもうパワフルで、めちゃくちゃ生き生きとやってくれているんですよ」

「場が与えられたら活躍できる素養のある人って舞鶴にもたくさんいて、ものすごく力を持っている。今度はその子のために会社を興して、次の物件をつくろうかと話をしているんですよ」

距離がすごく近いなぁ。

「そうなんですよね。人や暮らしが目の前で本当に変わっていくというか。街の変わっていく様子が手に取って分かる感じなんです」

「街がカッコよくなって、暮らしが楽しくなるように。大滝工務店はいろんな仕事をやっていきたい。ただ何をやるにしてもデザインが必要なんですね。だから新しく設計を任せられる人を募集しようと考えたんです」

現在、大滝工務店で設計を担当しているのは大滝さんただひとり。KAN,MAのおかげで仕事は増え続け、手一杯な状態なのだそう。

そこで新たに設計チームをつくることにした。既にひとりベテランの方の中途採用が決まっていて、その人はチーフのポジションになるそう。

基本的には大滝工務店が請負う仕事の設計が一番のボリュームになるという。木造住宅や店舗、公共建築や寺社など、関わる仕事の幅は非常に幅広い。

それに加え、KAN,MAの分譲住宅の設計も担当する。企画から提案するような仕事も、機会を見て増やしていきたい。

「KAN,MAとKOKINのおかげで、普通の工務店じゃないという認識が広まってきているので、ある意味チャンスかなと。実際、面白いことをやっているからって、銀行だった古い建物のリノベーションを丸ごと任せていただいたことがあるんですよ。今は美容院を設計しているところです」

ゆくゆくは設計事務所として独立することも視野に入れ、独自に仕事を取ってくるような組織を目指すという。

そう考えると、新しい設計事務所の中核メンバーを募集しているようなものかもしれない。

大滝さんはどんな人に入ってもらいたいだろう。

「んー… 新しいことにチャレンジしたい人、かな」

「アトリエみたいにトップが言うことを設計するんじゃなくて、裁量を持って自由にやってほしいです。地域でこんなことをしたいっていう意欲を持って動いてもらえたらと思うし、僕もそんな場をちゃんと提供できるように頑張ります」

 

裁量を持って自由にやれる仕事は、きっと楽しいと思う。

ただ、それができるようになるまでには実績をつくって社内外の信頼を得ることも必要だろうし、日々アンテナを張って勉強することも欠かせない。

次に話を聞いたのは、現場監督のふたり。入社18年目の川﨑さんと入社5年目の伊東さん。

川﨑さんは昨年から新たに設計を学びはじめたという。

「KAN,MAを設計した横内先生は京都で開かれる建築塾の講師のひとりでして、社長もそこへ行って勉強したんですよ。それである日、横内先生と打ち合わせしているときに社長がいきなり『今度は川﨑を行かせますので』って」

「ええ!?と思ったけど、まぁ騙されたと思って行ってみようと」

どうでしたか?

「すごく楽しかった(笑)自分の知らない世界を教えてもらうことって、歳を取るとそんなにないじゃないですか。2年目は自分からお願いして、また通っているんですよ」

大滝工務店はここ数年で様々なことが大きく変わってきた。それこそ川﨑さんを含めたベテランたちは当初、突然やってきた大滝さんを認めることができなかったそう。

「僕らは先代にお世話になったっていう想いがあったので。今は力になろうと思ってますよ。彼のすごさはそこかな。人がついていけるようにしてくれるというか」

その話を受けて、「社長からガツガツ来るんですよね」と伊東さん。

「KAN,MAでどんなイベントやってみたい?と聞かれたり。積極的にコミュニケーションしてくれるから、会社の目指していることが理解できるんです。会社に入ったころに比べたらずっとアットホームな感じになってきたかな」

ふたりにどんな人に来てほしいか聞いてみると、「コミュニケーションが取れる人」とのこと。「うっとうしいくらいでもいい」そうです。

まずはKAN,MAを訪ねて、大滝さんと話してみてください。設計を活かしてできることが見つかると思います。

(2018/10/12 取材 森田曜光)

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