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人と人が出会い、つながることで、何かが生まれる。そういった価値観や場所の重要性は、世の中でずいぶん広がったように思います。
でも具体的にどんな場所にすればいいんだろう。どんな人に来てもらえばいいんだろう。
ひとつひとつチャレンジしながら、これからつくり上げていく場所があります。
住友商事がオフィスを構える大手町プレイス。このビルの地下にコワーキングスペースが生まれようとしています。
オープンは4月。住友商事が中心となり、社内外のさまざまな人が出会い、新たなものをつくり出す。そんな“実験の場”が生まれます。
今回は、その運営を担うコクヨ&パートナーズのスタッフとして、運営に立ち上げから関わってくれる人を募集します。
仕事内容は、受付業務や利用者への対応、イベントの企画などさまざま。そして何より大事なのは、人と人をつなぐ場づくり。
いろんなことを試しながら動いていくこの場所。決められたことをやっていくというよりは、走りながら考えることが多いと思います。
人と人をつなぐことに興味がある人。そしてそれを楽しめる人にとっては、とても魅力的な仕事だと思いました。
大手町の駅を出て、ビル街を抜けていく。歩いて数分のところに現れたのが、大手町プレイス。昨年完成したばかりのオフィスビルだ。
ここには、住友商事の本社が入っている。
今年で100周年という節目の年を迎える住友商事は、さまざまな全社的プロジェクトを進めているそう。その一つが、2年前に立ち上がった“22世紀プロジェクト”。
住友商事のこれまでの歴史を振り返り、これからの100年をどうつくっていくか。それを考えるために、社内のさまざまな部署から希望者を募り、現在、国内では18人のメンバーがアンバサダーとなり運営しているそう。
プロジェクトのテーマである『見たこともない世界を創る』を実現するために、「人と人をつなぐ場をつくりたい」と話してくれたのは、中心メンバーである守谷さん。
普段は経理部で働きながら、プロジェクトメンバーとしてコワーキングスペースの設立に関わっている。
「住友商事の歴史を改めて学んだり、社内の人にインタビューしたりして。それで出てきたのが、『もっと会社の外に向かっていく動きをしていきたい』といったことだったんです」
どうすれば外に向かっていくきっかけをつくれるのか。
具体的な案として出てきたのは、社内外のいろんな人が集まれるようなスペースをつくろうということだった。
「社内でも部署が違うと『こんなおもしろい人がいたんだ』っていうことがあったりして。その可能性を社外にまで広げることができたら、すごくおもしろい場所になると思うんです」
「普段会わないような人と触れ合うことを通して、考え方の軸を増やしたり、視野を広げたりできる。そんな場所になったらいいですね」
22世紀プロジェクトは、収益を目的とする商社本来のビジネスとは異なる文脈から出てきたプロジェクト。
どんな場にするか実験しながら進めていくことができるし、そこに来る人もいろんなことを試していける場所になる。
直接的なリターンはすぐにはないかもしれないけど、それが許される土壌がある。
そういった場があることの大切さは、守谷さんも感じたことがあったそう。
「ゼロワンチャレンジっていう、社内でビジネスアイデアを募集する企画があったんです。そのとき『空港で洋服のレンタルビジネスをすることで、誰もが手ぶらで旅行できる時代を実現したい』というアイデアを出しました」
社内のコンペでは不採用だったものの、このコワーキングスペースのプロジェクトを進めるうちに、予想外のところで芽が出ることに。
「どういう場所にするかを考えるために、社外の人も交えてアイデアを話し合う場を、実験的につくったことがありました。そのときに洋服レンタルの話をしたら、おもしろいねって拾ってくれる人たちがいて」
「航空会社と一緒に考えてみたら、実現に近づくんじゃないかとか。新しい視点をもらったし、『あきらめないで、もうちょっと考えてみたら?』って言ってもらったのがうれしくて」
社内だけでは埋もれたままだったかもしれないアイデアが、人とつながることで新しい動きを見せていく。
そういった出会いができる場にしていきたいと話す守谷さん。
「社内にも社外にも、『本業とは違うけどこんなことが実現できたら』という思いを持っている人ってたくさんいると思っていて。そういう人たちのオアシスのような場所にしていきたいと思いますね」
社内外の人を広く巻き込んで、化学変化を起こす。そして新たなコミュニティや文化づくりまでつながっていく。守谷さんたちは、そんな場づくりを目指している。
走りながら考えるなかで、社内から「これも加えたらいいんじゃないか」という提案も出てきた。
その一つが、スタートアップと呼ばれる起業家の人たちを集めること。
彼らに対する投資や、いろんな出会いによる事業の広がりを目指していく。
もともと住友商事では、海外を中心にスタートアップが成長していくシステムの構築を事業としてやっていたそう。それをコワーキングスペースでも実践できたら、さらにおもしろい場所になるんじゃないか。
そうして加わったのが、スタートアップとの化学反応的な場づくり。これを担当している新事業投資部の中橋さんにもお話を伺った。
「単純にスタートアップの人たちが来るだけの場所ではなくて、ビジネスモデルについてアドバイスしたり、企業や人を紹介したり。そういう虎の穴のような役割をしていきたいんですよ」
「住友商事だからそできるコンテンツというのを考えていて。『ここに行けばこんなことができるんだ』っていう魅力的なものにしていけるように試行錯誤しています」
たとえばどういうものでしょう?
「海外展開をしたいというときのサポートをするとか。あるいは海外のスタートアップを呼んできて、新しいきっかけをつくるとか。こういった海外にも拠点があるということは私たちのアドバンテージだと思ってます」
住友商事だからこそできること。それを強みとして生かしていく。
いろんな可能性がある場所になりそうだけど、細かいところはまだまだ走りながら考えている途中。
運営してくれる人は、どのような人がいいでしょう?
「ほかの場所に行って感じるのは、職場の雰囲気はもちろん働いてる人も明るかったり、フレンドリーな感じがしたり。なのであんまり事務的な感じではなくて、少しフランクに感じられるほうが、場の空気的にもいいのかなと思ってます」
「あとお節介系の人みたいな(笑)。『こうしたほうがいいんじゃないか』とか、気がついたことをとりあえず言ってみる。こういう場所ってやりながら改善してつくっていくものだと思うので、一緒に考えていけたらいいですね」
いろんなことを試していく実験の場。住友商事と一緒になって、やりながらつくっていく。そして人と人をつなぎ、何かを生み出す。そんなことが大切になってくると思う。
働く人は、具体的にどのような仕事をしていくことになるのだろう。
運営を担当するコクヨ&パートナーズの下瀬さんにも話を伺った。
下瀬さんは現在、ヤフーが運営するコワーキングスペース「LODGE」の運営責任者をやりながら、今回のコワーキングスペースの立ち上げにも関わっている。
「基本的には受付の業務、問い合わせ、クライアントの方とのやりとりとか。細かいことだと机を拭いたりする清掃の部分もあります」
「そういった基本的なコワーキングスペースでやる業務とプラスして、人と人をつなげる動き。お話をして、聞き上手にいろんなことを話してもらうということも必要になってくると思いますね」
利用者が入れ替わっていく場において、ずっとそこにいるスタッフの雰囲気が、場所の雰囲気を左右することになると話す下瀬さん。
「当たり前のように挨拶をするとか。話しやすい環境とか雰囲気って、すごく静かな場所よりも、ちょっとガヤガヤしてたほうが話しやすかったりするじゃないですか」
「声帯を慣らすというか、『こんにちは』って言って『こんにちは』って返してくれたりすると、二言目が出やすくなる。そんな雰囲気づくりは本当に大切です」
具体的にはどんなことをやったらいいのでしょう?
「たとえば、今私が働いているLODGEでは、『Break Time LODGE』というイベントをやっています。毎週水曜日の3時にスペース内のキッチンに行くと、ヤフーの社員やほかの利用者さんと一緒に話せるというイベントです」
「利用者一人ひとりに、『ぜひイベントに来てくださいね』と声をかけるようにしています。2年ほど運営をやってきて感じたことなんですが、人と人をつなげるって自然発生的には起きないんですよ」
自然発生的には起きない?
「自然と誰かが声をかけて何かがはじまるっていうのは、ほとんどなくって。ただ施設としての場所をつくればいいわけではなくて、私たちがいかにつながる雰囲気や場づくりをしていくかだと思います」
何かを起こしたいと思ったとき、待っているだけでははじまらない。
だから、今回できるコワーキングスペースで働くのも、目的や目標に向かって、積極的に行動を起こせる人がいいと思う。
すぐにはできなくても、まずはそういう接し方をしてみたいという意識を持つことからはじめてみるといいかもしれない。
「LODGEで働いていると、自分はコクヨの人間なんだけど半分ヤフーの人間でもある、みたいな感覚になってくるんですよ」
「新しくできる場所もそれくらいの気持ちで。同じ目線に立って、住友商事さんがやりたいと思っていることに共感することからはじめていくのが良いと思います」
ここで働く人たちは、最初に住友商事の人から会社の歴史や現在の課題、そしてプロジェクトの思いを伝えてもらう機会がある。
それを共有し、同じチームとしてひとつの場所をつくり上げていく。その場所を通じて、出会い、つながり、可能性が広がる。それは利用者だけでなく、スタッフとして働く人にとっても同じだと思う。
名前についても、走りながら考えている真っ最中。
今はこのプロジェクト全体に思いを込めて『未来ラボ』と呼んでいる。このままかもしれないし、これから働く人と一緒に試行錯誤していくかもしれない。
100年後やもっと先の未来のことをなんでも語れる場として。そしていろんな人たちにとって、試しにやってみて失敗してもいい実験の場として。
走りながら考えて、新しい場所をつくっていく。
まだはじまったばかりの実験の場に、ぜひ参加してみてください。
(2019/01/17 取材、2019/3/27 再掲載 稲本琢仙)