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個性派から王道まで
応え続けた宝石店
新たな景色を描くとき

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「うちのスタッフはみんな、なんとかお客さまの気持ちに応えたいと動く、本当にいいやつばっかりで。ジュエリーも人も大好きなんです。だからこそあらためて、アダンにしかないセンスでお客さまに質の高いサービスを提供していきたいと思います」

そう話すのは株式会社フジモリの代表、藤森さん。

フジモリが運営するADAM(アダン)は、三軒茶屋に小さな工房とお店を構えるオーダーメイドジュエリーの専門店です。

創業以来40年以上、変わらないスタイルでオリジナルジュエリーの製作販売、リメイク、修理などを手がけてきました。

そんなアダンは今、変革のときを迎えています。これまでのブランドイメージを一新し、お店づくりや商品づくりをゼロから始めようとしている。

今回はこのリブランディングにも関わるジュエリーアドバイザーと事務スタッフを募集します。

アダンが大切にしていることは何なのか、そしてどんな変化をしていくのか。まずはこのお店のことを知ってほしいと思います。



東急田園都市線・三軒茶屋駅を出ると、アダンのお店はもう目と鼻の先。

駅から歩いて1分ほどのところにある、少しレトロなビル。ドラッグストアやレストランと一緒に、アダンのお店が入っている。

代表の藤森さんは、とても穏やかな空気を持っている方。「近くにある工房もぜひ見てください」と、ものづくりの現場にも連れて行ってくれた。

「アダンは父が始めたお店で、私で2代目になります。父は親戚の鍛金作家さんに弟子入りして鍛金を学んでいたんですが、その先生の勧めでパリに留学して。5年間パリの美術大学で勉強したんです」

藤森さんのお父さんが工房を開いたのは、30歳のとき。

日本独自の金属加工技術と、ヨーロッパの彫金技法。学んできたことを組み合わせて、オリジナルジュエリーの製作と販売を始めた。

日本と海外の技術にはどんな違いがあるのでしょうか?

「日本の彫金は、かんざしとか帯留めをつくる飾り職人の流れから、より細やかで精緻ですね。ヨーロッパは金属を手の力で彫り進める技法だから、力強さがあると思います」

通常はワックスと呼ばれる蝋の型に金属を流し込んでつくる手法が一般的だけど、アダンでは金属の塊をのばし、ヤスリ・タガネ・糸鋸などの工具で丁寧にフォルムをつくり上げていく。

それは熟練した技術があるからこそできることなのだという。

「あるとき百貨店から声がかかって、それからオリジナルの結婚指輪をつくるようになったんです。当時の結婚指輪はシンプルなデザインのものしかなかったので、彫りや飾りを入れたりして。かつデザインごとに名前をつけたものがヒット商品になりました」

見せてもらったのは「Setagaya Ring」。

その名の通り、アダンが親しんできた世田谷の街の名前がついたリングコレクションで、三つのダイヤが入った「Sancha」や駒沢公園の植物をイメージした「Komazawa」など、街の様子がそれぞれ異なるテクスチャーで表現されている。

20代、30代のカップルに人気で、出会った場所のリングをマリッジリングにする人も多いそう。

今は代表として、ユニークなジュエリーづくりに取り組む藤森さん。以前は後を継ぐことは意識しておらず、IT企業に就職しサラリーマンとして働いていたそう。

「ITの仕事をしていてもなんだかしっくりこないなと感じていて。やっぱり自分の興味はものづくりにあるんだなと再認識したんです。イタリアのフィレンツェに留学して、戻ってからはこのお店を引き継ぐ形で参画しました」

「父の代から変わっていないのは、自分たちのセンスで自分たちにしかできないものづくりをしていくっていうところ。僕は、この仕事は美容師さんにすごく近いんじゃないかなと思っていて」

美容師さん?

「もちろん流行もあるんですけど、その人に似合う髪型はその人だけのもので。すごく技術のある人に頼めば思い通りになるわけでもなく、ずっと長く付き合ってきた美容師だからこそわかることもある」

「ジュエリーも、すごくパーソナルなものなので。結婚されるお二人の思い出や、おばあさまから引き継いだ想いがこもっていたりします。そういったお客さまの想いに耳を傾けて、どんな提案をするかは、我々の個性や人間性によって変わってくる。まさにマニュアルがない仕事。それが面白さかなと思っています」

だからこそ、修理やリメイク、オーダーメイドジュエリーの製作販売などお客さんからの様々なオーダーに応え続けてきた。

最近出店したシンガポールの店舗も、順調に成長しているとのこと。

「ただ、国内ではやはり昔のようにジュエリーは売れなくなっていますし、ほかのお店との差別化も難しい。今後はよりアダンらしさを出していければと思っています」



新しいアダンらしさを見つけるために、「中心になって頑張ってくれているんですよ」と藤森さんから紹介してもらったのが、アドバイザーの正田さん。

これからどんなお店にしていくのか。みんなで話し合いをしていくために、ベースとなるアイデアを考えているところだそう。

正田さんが掲げるテーマは「どこに置いても絵になる、小さな存在感」。

「うちのジュエリーをつけていることでちょっと空気感が変わったり、置いてあるときにもハッとするような瞬間があったり。そんな心地よい存在感をつくっていきたいなという思いがあります」

ブランド名も変え、店舗も移転する。世田谷で物件を探しているところなので、実際に新しいお店がオープンするのは来年以降になる予定だ。

アダンを運営しているスタッフは、職人さんたちをのぞくと正田さんを含めて3名と少人数。さらに日々の運営と同時並行でブランディングを進めていくので、簡単なことではないと思う。

一方で、それは自分たちでお店をゼロからつくっていけるまたとないチャンスでもある。

正田さんたちと新しいお店づくりに意見を出し合うことはもちろん、新しく入る人はジュエリーアドバイザーとして、基本的な仕事を覚えることから始めてほしい。

アダンのジュエリーアドバイザーの特徴は、お客さんの話を聞いたアドバイザー自身がデザイン画を描き、お見積もりや工房の職人さんとのやりとり、出来上がったあとのお渡し作業まで一貫して進めていくところ。

「一人で対応することで職人さんに想いも共有しやすいですし、細やかな対応ができるんですよ」

たしかに。でもデザイン画を描くのに、本当に未経験でも大丈夫ですか…?

「私は美術を学んでいましたが、彫刻科だったのでジュエリーについては何も知識がない状態で入って。デザイン画の描き方はあらためて学び直したんです」

社内にはジュエリーコーディネーターの資格を取ったり、デザインのスキルを身につけたりすると、昇給できる仕組みもあるそう。

「最初は覚えることも多くて大変かもしれませんが、技術はなんとかなります。画力よりも必要なのはお客さまが何を望んでいるか汲み取れる力だと思います」

ジュエリーやオーダーは一つとして同じものはないので、7年間働いてきた正田さんでも、未だに初めてのことがたくさんあるという。

そのほかにも売上の入力や外部の業者さんとのやりとりなど、地道な仕事も皆で分け合いながら働いている。

忙しい業務のなかでも、お客さん一人ひとりの要望に丁寧に寄り添う。そんなアダンの姿勢がうかがえる話を聞いた。

60代くらいの女性から依頼を受けて、リングをデザインしたときのこと。

「複数の古いリングから、大小合わせて20粒ほどの石を取り外し、組み合わせて一つのリングにしたいというオーダーだったんです」

ボリューム感があり、人差し指につけてもかっこよく、着物にも似合うもの。

そこから先は正田さんに一任されることに。

まずはお客さんのリクエストにあった“着物”を手掛かりにデザインをスタートさせた。柄を調べているうちに、唐草紋様のように柔らかい雰囲気の柄が多いように感じたという。

「ただ、そのお客さんは物静かでクールな印象もある方。柔らかな柄とのバランスをかなり悩んだんですけど…私に任せてくれるんだから、自分がかっこいいと思えるデザインにしようと思いました」

正田さんは、線を何本も組み合わせた有機的な模様を提案し、お客さんにはとても喜んでもらえた。

「これから新しいコンセプトでお店をつくり変えても、ものづくりの丁寧さや、一人一人に柔軟に対応することは変わりません。ただ、今後はもう少しお店の軸のようなものを考えていきたいと思うんです」

軸ですか。

「はい。このブランドに任せたいと思える理由みたいなもの。それがないと、またお願いしたいと思ってもらえないし、つくっている私たちも、何を目指せばいいのかわからなくなってしまいます」

「ブランドとして長く続けていくために。まだうまく言葉にできないけど…みんながいいなと思うところを擦り合わせた軸をつくって、それをベースに愛情を持って関わり続けられるお店を目指したいなと思うんです」



アドバイザーと二人三脚でジュエリーづくりをしていく職人の佐藤さんにもお話を伺う。

ものづくりのときには、どんなことに気をつけていますか。

「お客さまにとって何が一番理想の形なのかを、汲み取って形にしていくことを目指しています。なので、すべてデザイン画の通りにつくっていいかというとまた違って。絵だけでは伝わらない使い心地や機能性まで想像しながらつくっていますね」

「デザインによってつくり方も柔軟に変えていきます。ワックスと地金の加工を組み合わせることもあって。たとえば花びらの風合いを出すにも、いろんなやり方があるんですよ」

高度な技術は変わらず、今後もアダンのものづくりの根幹を支えていく。

その上で、お客さんの想いに応えたいという気持ちが何よりのやりがいになっているという。

「もう15年目になりますけど、溶接するときには気づくと息が止まっているくらい今でも緊張しますね。お金だけでは測れない価値があるものなので、修理によって蘇ったり、思い通りのものに仕上げられたりするとすごくやりがいを感じます」

工房はお店から歩いて5分ほどの場所にあるので、いつでも職人さんと直接話すことができる。

この構造で大丈夫か、この留め方は実現できるか。できないならイメージに近づけるにはどうしていけばいいか。納得できるまで相談し合ってアダンのジュエリーは生まれています。



正田さんも佐藤さんも、目の前のお客さんの想いに応えるために、そしてブランドを愛してもらえるように、自分にできることを考えながら動いている。

決まっていないことも多い、このタイミングで仲間に加わることに不安を感じる人もいるかもしれません。

ただ、完成された場所を支えていくよりも、お店が生まれ変わるまでの過程を知って、自分もチームの一員としてつくり上げていくほうが、きっとその後も自分ごととしてお店に関わっていけると思います。

お店の軸ができて、そこに今ある技術や想いが加わる。どんなお店になっていくのか、今からとても楽しみです。

(2019/2/14 取材 並木仁美)

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