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こんなこんにゃく、
あったんだ!
ともに夢描く仲間求む

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

群馬県昭和村。

こんにゃく芋の生産量日本一を誇るこの地で、いま一人の若い農家さんが挑戦をはじめています。

こんにゃく芋農家4代目の石井邦彦さん。こんにゃく芋の生産にとどまらず、『どうしてもどうしても食べてもらいたい生芋こんにゃく』と名付けた手づくりこんにゃくも製造しています。

「こんなうまいこんにゃくがあるってことを知ってほしいんです。栽培だけで完結したくない。一度食べてもらったら、このこんにゃくはうまい!って絶対にわかってもらえる自信があります」

商品の注文も増えてきて、今後はより多くの人にこんにゃくを知ってもらうために、ワークショップなどを通じたPR活動にも力を入れていこうとしています。

国内はもちろん、海外まで届けたい。

こんにゃくに情熱を傾ける石井さんと一緒に働く人を探しています。

 

こんにゃく芋農家さんから連絡をもらった、と聞いたのは数日前のこと。

そういえば、こんにゃくってどうつくられているんだろう? そんな興味もあって取材を担当させてもらうことにした。

群馬県・沼田駅に到着したのは、東京を発って2時間ほど経ったころ。駅前でタクシーに乗り込むと、15分ほどで「石井メイドオリジナル」とプレートがかかった小さなプレハブに到着。

そっと扉を開けてみる。

目があったのが石井さん。この会社の代表で、連絡をくれた方だ。

「無事に着けましたか。遠いところすいません、ありがとうございます」

今日は冷えるから、と温かいお茶をいれて足元にストーブを置いてくれた。こちらの言葉も「うん、うん」と頷きながら聞いてくれる。ちょっとコワモテかも、と緊張していた気持ちはすぐにほどけた。

聞けば32歳で、二人目のお子さんが生まれたばかりなのだそう。

「こっちに戻ってきたのは6年前です。長男なんですけど、人生やったもん勝ちだ!ってけっこう自由に過ごしていて。20代前半はずっと海外にいました」

どうして戻ってくることにしたんだろう。

すると石井さんは、少し考えてから話しはじめる。

「ぼく、昔から農家が嫌いだったんですよね」

「なぜかっていうと、やっぱり世界が狭い。それに周りの大人が口を揃えて大変だって言うんですよ。ぼくはそんなことよりも、もっと外に出て違うことをやりたいと思って」

そうして短大を卒業後にカナダに留学。

さらにそのまま北米、南米、ヨーロッパにアジアと、世界中を旅して過ごした。

「それで、ペルーのタキーレ島ってところでお世話になっていた時期があって。そこの子どもたちと仲良くなったんです」

その中に、マリオという3歳くらいの男の子がいた。

「ふつうの子なんです。帽子をかぶって、トレーナーを着て、靴もちゃんと履いている。それなのに口の中だけがボロボロで。歯がほぼないんです」

母親に話を聞くと、淡水魚や草ばかりを食べる自分たちを哀れんだ旅人が、ポケットのチョコレートやキャンディを与えているからだ、と知らされた。

「だったら歯を磨けばいいじゃんって話したら、わたしたちは歯を磨いたことがないって言うんですよ。歯ブラシもない、磨き方もわからない。だから一生磨かないって」

「今まで虫歯になったこともなかったから、当然なんです。でもやっぱり、こいつかわいそうだなってすごく思って」

この子のために、何かをつくってあげたい。

そう思ったとき、ふと浮かんだのがこんにゃくだった。

「こんにゃくはグルテンもカロリーもないし、形も自由に変えられる。その国の食生活や文化にフィットしたものをつくれるんじゃないかって思ったんです」

「それに自分はこんにゃく芋農家の4代目で。もしかすると、マリオに何かを届けられるチャンスがあるかもしれないって」

しばらく海外を巡ったのち、6年前に帰国した石井さん。

まずはこんにゃく芋の栽培からはじめたそう。

「こんにゃく芋って、すごく手間がかかる作物なんですよ。春に植え付けて秋に収穫。これを3回繰り返すんです」

えっ、どういうことですか?

「タネ芋から赤ちゃん芋が出てきたら、持って帰って次の春にもう一度畑に植える。また秋に収穫して、春に畑に植えて。3年かけて、ようやく美味しいこんにゃくの原料になるんです」

赤ちゃん芋は1年で5~10倍の大きさになり、2年目はさらに5~8倍に成長する。こんにゃくづくりに最適な3年目の芋は、重さにして1玉1kgにもなるのだとか。

石井さんは、一通り栽培を学んだ4年目にいよいよ加工に踏み出した。

「けっこう反対されました。周りにやっている人もいなかったし、売る先あるの?って。ないです、でも売ります、やると決めたらやりますって」

「もうやっぱり、栽培だけで完結させたくなくて。こんにゃくなんか全部一緒ってイメージを変えたかったんです」

イメージを変えたい。

「ぼくが知ってるこんにゃくって、ほのかに芋っぽい味がして、香りがあって。野菜だから当然、旬もある。本当においしいこんにゃくって、食べたら違いが絶対にわかるんです」

「そのことをしっかり伝えたかった。自分たちが手をかけてつくったものを、ちゃんとお客さんまで届けたいって思いがすごくあったんですよね」

目指したのは、「本当にうまい」手づくりこんにゃく。

畑で採れた芋を持って、こんにゃくづくりが大好きな親戚のおじさんのもとに通う日々がはじまった。

「最初につくったこんにゃくは、もう食べられなかったですね。なんだこれ?って(笑)」

「こんにゃくは芋と水と凝固剤でつくるんですけど、うちの芋にぴったりな配合を見つけるのが大変で。でも自分で、こうやったらどうだろうって想像しながらつくるのはすごく楽しかったんですよね」

最初に出来上がったのは、味付きのこんにゃく。

ところが、試食してもらったバイヤーにこてんぱんに言われてしまう。

「こんな商品なんかどこにもあるって。もう悔しかったですよ。どうにかうまいこんにゃくをつくりあげて、パッケージも面白くして持って行ってやるって」

そうして完成したのが『どうしてもどうしても食べてもらいたい生芋こんにゃく』。

芋を小さく切って、ミキサーにかける。粘ってのり状になったら鍋に移して、水と一緒に手で混ぜる。伸びが出てきたら、水に溶かした凝固剤を入れてしっかりとかき混ぜ、バットに移して形を整える。

多くのこんにゃくが、芋から抽出したこんにゃく粉をもとに機械でつくられるのに対して、石井さんは生芋と手づくりにとことんこだわった。

「そのバイヤーさんにも食べてもらったら、これうまいなあ!って。すごくうれしくて。ああ、ぼくはこっちで行くべきなんだなって」

こっちで行くべき。

「ぼくは農家として、原料からしっかりつくって、最高の状態で美味しく提供したい。そのためには機械でも味付きでもだめで。最高の原料でつくったこんにゃくで勝負するのがうちの一番の良さだと思ったんです」

「だから、食べてもらうのが一番なんです。ちょっと待っていてくださいね」

待つこと10分ほど。石井さんが2枚のお皿を持って戻ってきた。

「色付きのこんにゃくは、ちょっと味付けをしてごま油でさっと炒めて。本当はお刺身がオススメなんですけど、体が冷えちゃうから。白色のこんにゃくは、メープルシロップで味付けしました。どうぞ、どうぞ」

ありがたく、まずは色付きのこんにゃくからいただく。ほのかに透き通っていて、爪楊枝で持ち上げるとぷるんと揺れる。

口に入れると、もっちりとしていて、噛むとほんのり芋の香りがする。臭みはまったくない。

真っ白なこんにゃくも、さっぱりとしてわらび餅のよう。つるんと喉を滑って、おやつにちょうどいい感じ。

うん、すごくおいしいです。

「ね!もう、うまいって言われるだけで本当にうれしいですもん」

「うちのこんにゃくは高いんです。1パック300円もする。でも逆にいうと、一丁80円くらいでスーパーに並んでいることがおかしいんです。農家がいて、製造業者がいてって考えたら、そんな価格じゃ出せない。絶対に」

いいものには、きちんと理解してお金を払う。

こんにゃくにも、そんな“当たり前”をつくっていきたい。

「こんにゃくの後ろには、こんにゃく芋と、農家さんがいるってこと。そしてこんなにうまいこんにゃくがあるんだってこと。それが伝わるなら、ぼくはなんでもやりたいんです」

昨年からは商談会に出始めて、実際に食べてもらった人からの注文も増えている。

さらに東京にある群馬県アンテナショップ・ぐんまちゃんちに入る和食『銀座つる』で腕をふるう板長からも「群馬で一番おいしいこんにゃく」とお墨付きをもらった。

3月23日には東京でこんにゃくをつくるワークショップも開催。今後は、こうした発信の機会もどんどん増やしていきたいという。

そして売り上げが目標額に到達したら、いよいよ海外向けの新商品づくりも始める。

石井さんは、こんにゃくからいろんな可能性を広げようとしている。

とはいえ、日々の仕事は地道なもの。いきなり華やかな展開が待っているわけではない。

「たとえば生産は、春に土づくりをして植え付けをして、夏はトラクターに乗って消毒剤を撒いて。秋はずっと収穫で、冬は倉庫で芋の選別です」

「今の時代、畑で働いてくれる人って、すごく貴重なんです。体力的には大変かもしれないですけど、精神的な負担をかけるつもりはないです」

加工を担っているのは、現在石井さん一人。人数が増えれば、そのぶんワークショップや催事にも行けるようになると思う。

「加工をはじめて3年目。これからさらにPRしていかないとって思っています。ぼくも外に出るのが好きなので、色々と一緒にチャレンジできたらいいですよね」

「やっぱり、食べてもらうまではちょっと下に見られているんですよ。でも一口食べたら顔が変わるんです。気持ちいいですよ。よっしゃ!って思う。だから、まだまだこれからやれると思うんですよね」

取材を終えて、石井さんに駅まで送ってもらうことに。

石井さんが車を取りに行っている間、一緒に働いているご家族やアルバイトスタッフのみなさんと話して待つ。口々に「あの人、こんにゃくが本当に好きなんです」と笑っていて、石井さんが周りから慕われていることが伝わってきた。

そのことを本人に伝えると、ちょっと照れながらこんなことを話してくれた。

「ぼく、本当にね、一緒につくりたいんですよ。“俺たちのつくるこんにゃくがどんどん広まってさ…”なんて一緒に妄想してくれる人がいたら、めちゃくちゃ楽しい仕事ができるんじゃないかって」

前向きに、情熱的に取り組む石井さんの横顔はかっこいい。

石井さんと一緒に夢を追いたい、と思える人を待っています。

(2019/03/04 取材 遠藤真利奈)

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