求人 NEW

落ちこぼれても
リストラされても
この力で生きていくのだ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

何をするにも誰と生きていくにも、手に職をつけることは必要だと思う。

スキルを身につけることで、暮らしが安定したり人生の選択肢が増えたり。今回募集する仕事では、そんな経験ができると思います。

島根県津和野町にある株式会社Next-E(ネクシィ)は、企業の人材育成やインターネットを活用したビジネスの研究などに取り組む会社です。

事業の中心となっているのは、コンタクトセンターを拠点としたサービス。電話やメール、チャットを利用しながら企業や製品を使うお客さんとコミュニケーションを取り、問題解決に努めます。

今回募集するのは、ここでコミュニケーターとして働く人。

基本となる電話対応はもちろん、ITの知識や専門的なソフトの使い方を覚えながら、お客さんの話を聞いたり、ときにはマーケティングの支援を行ったり。役割は柔軟に変わっていきます。

経験はなくても大丈夫。地に足をつけて、生きていく力を身につけたい人に知ってほしい仕事です。


萩・石見空港から津和野までは、車で約40分。

「山陰の小京都」と呼ばれ、城下町の面影を残す町並みは、雪が降り積もると風情があって美しい。

町の中心部から車で15分ほど山道を走ると、大きな建物が見えてきた。

扉を開けると、天井が高くて気持ちのいい空間。もともとは養蚕の資料館兼体験館だった場所をリノベーションしたのだそう。

「こんにちは」と声をかけてくれたのが、代表の小林さん。誰に対しても垣根なく、穏やかな雰囲気を持つ人だ。

小林さんは東京でコンサルティング会社を手がけている。

なぜ、津和野でコンタクトセンターを立ち上げるに至ったのだろう。

「僕の友人でもある創業メンバーが、島根県の出身なんです。もともと将来は海外でビジネス展開をしていきたいと考えていたんですけど、その前に日本の地方を元気にすることも大事じゃないのと助言をくれて。確かにその通りだなと思いました」

まずは島根県内で拠点を探していたときに、企業誘致に前向きだった津和野町長と出会った。

国内外から年間100万人もの観光客が訪れるものの、人口減少や高齢化は津和野も例外ではない。

町内には大学や専門学校がないため、高校卒業後子どもたちは町の外に出て行くことになる。そこからどうやって町に人を呼び戻すのかが大きな課題だ。

「教育の場と働く場をつくることが大事だと、私は思っていて。そうすれば若い人の職の選択肢が増えるし、UIターンをするときにスキルがないという状態を防げる。身につけた知識や技術を生かせる仕組みをつくれば、町の活性化にもつながると思うんです」

経験の有無に関係なく、知識を蓄えれば一人前になれるような仕組みをつくりたい。

そんな想いから、2015年にコンタクトセンターを開設する。

受けているのは、東京の企業からの仕事が中心。企業の電話受付業務代行から、iPhoneやAndroidなど電子機器の法人向けサポートデスク、ときにはマーケティングのサポートまで踏み込んでいくことも。

「コミュニケーターが疲弊するような仕事は受けないようにしています。たとえば、なかなか売れないような商品を1日何百件と電話で案内し続けるとか、アポを取り続けるとか」

「そうではなくて、しっかりとした商品説明が必要なものや、ITのスキルが必要なもの。技術や知識をつけて、さらに自分の頭で考えながら働いていけるようにと考えています」

最近では、ケーブルテレビにディスカバリーチャンネルという番組を提供している会社のマーケティングも支援しているのだとか。

世界的に利用されているマーケティングツールを駆使しながら、新しいお客さんを開拓したり、より効果的にキャンペーンを打つためのデータを集めたり。縁の下の力持ちとして、営業を支えている。

こうして聞いていると、イメージしていたよりもかなり柔軟に働いているみたい。その甲斐あってか、長く勤めている人も多いのだとか。

それにしても社員が学ぶこと、知識や技術を身につけていくことにとても積極的な会社だと思う。

なぜそこまでしてくれるんだろうと率直な疑問を投げかけてみると、小林さんから衝撃的な言葉が。

「実は私、会社をリストラされたことがあるんですよ」

え!それはどうして…?

「商社でわりと早く役員になって、上の方に対して率直過ぎるくらいに意見を言ってしまって。業績ばかり考えて、まわりの人の気持ちが見えていなかったんでしょうね」

そのとき気づいたのは、自分が社会の仕組みについて何も知らないということ。

「お金のことも会社経営のことも、一人になってみると何もわからなかった。サラリーマン時代はそんなこと意識しなくても、給料日に銀行に行けばお金が入っていましたから」

「学ぶことって大事なんだなって強く感じたんです。一方で自分がこういう経験をしたから、学校で落ちこぼれても、リストラされても、本人のやる気と教育の場があればキャリアはつくっていけるという信念があります」

ネクシィでは18歳から65歳まで幅広い年代の人が働いている。その9割は、未経験でコミュニケーターの仕事を始めた。

抱えている背景はそれぞれありながらも、しっかりとお金を稼ぎ、知識をつけて生きていけるように。懐深く迎え入れてくれる姿勢をあたたかく感じた。


そんなネクシィでキャリアをスタートさせたのが井川さん。

もともと島根出身で、大阪の専門学校を卒業後、東京で就職。ホテルやレストラン、カフェなどで働いていた。

「以前の仕事は立ち仕事ですし、体力的にもずっと続けるのは難しいかなと思っていたんです。それに子どももいるので、時間に融通が利いて長く続けていけるような仕事を探していました」

そんなとき偶然見つけたネクシィの求人に興味を持ったそう。

「これまでデスクワークの経験がなかったので、最初は8時間座り続けることで肩が凝ったり、目が疲れたり。そのあとは技術面ですね。パソコンはもちろん、会話のスキルを身につけるのが少し大変だったかな」

研修で経験を積みながら、少しずつ技術を上げていったという井川さん。

お客さんと接するときに心がけていることはありますか。

「意識しているのは、お客さまが話しやすい空気をつくることです。聞かれたことだけに答えるのではなくて、どんなことを考えているのかできるだけ感じとるようにしています」

「無理に引き出さなくても、『そういえばこれも聞きたかった』『本当はこれも困っていたんだけど』とひとつでも多く話が聞けると嬉しいし、お互いに自然と理解し合えることが面白いです」

たとえば、ある商品のサポート窓口を担当したときのこと。

お客さんから、商品に不具合があるのではないかと連絡が入ったものの、メーカー側はサポートの範囲外だと言う。その間に井川さんが立って、問題の解決を目指すことに。

「どちらの言い分もわかるんですけど、最終的にどこに落とし所を見つければいいのかとても悩みました。お客さまとは1週間近くずっとやりとりをしていましたね」

商品の状態や、どんな使い方をしたかなど一つひとつ丁寧に聞きとった結果、商品の交換に至ったそう。

もちろん状況によっては、どれほど井川さんが調整しても結論が変わらないこともある。それでも双方が納得出来るように、丁寧なコミュニケーションを心がけているという。

「電話では、コミュニケーターの判断に委ねられている部分が大きいですね。マニュアル通りにいかないことも多いので、自分で考えて対応していくことになります。だから良い意味で、妄想できる人が向いていると思います」

妄想、ですか。

「この人はどんな状況で電話してきているのかなとか、今こういうことを思っているのかなとか。少し想像ができると提案できる選択肢も広がるので、電話を受ける側としても気持ちが楽になるんじゃないかな」

「ここでは一本一本のお電話に、大切に出られるような感じがします」

そうやって人と関わっていくのは素敵なこと。

入社後コミュニケーターとして2年間働いたのち、現在はコミュニケーターを取りまとめるスーパーバイザー(SV)として働いている。

経験がなくても井川さんのように目の前のお客さんに誠実に関わっていくと、自然とスキルとキャリアは身についていくんだろうな。


「ここではお客さまに対するサービスマインドの研修から始めます。土台をしっかりつくっていくというのが、私の考えです」

そう話すのは、SVの江端さん。井川さんと同じく、大切なのは“心”の部分だと話す。

「ときにはこちらに一切非がないにもかかわらず、お客さまに怒鳴られてしまうこともあります。それでも感情的にならずに気持ちを切り替えて、プロとしてのプライドを持つ。そのための心構えというところでしょうか」

「お客さまに対して前向きに向かえないと、長くは続けられないですから」

目の前で相対していないからこその難しさもたくさんある。冷静に対処できるよう、うまくいかないときの対処法も同僚に伝えているとのこと。

その後、電話応対やコミュニケーション技術の研修を受け、SVや同僚とのロールプレイングを重ねる。約1ヶ月かけて独り立ちの準備をしていくそう。

江端さんは札幌の大手コンタクトセンターで働いた経験を持つ。だからこそ目指すのは、誰もが働きやすい環境だ。

「休憩室や冷蔵庫の使い方のルールを決めたり、社内で日経新聞が読めるようにしたり。些細なことですが、整備することで余計なストレスがなくなったり、新しい知識が得られたり。イベントの企画もいろいろ考えているんですよ」

クリスマスやハロウィンパーティ、社員の家族を招いた職場訪問も企画しているのだとか。

「普段家族がどんなふうに働いているのかがわかれば、相互理解が深まったり、子育てに協力し合えたりすると思うんです。工夫を重ねることで、みなさんが楽しく働けることが、私のやりがいにもなっています」

まわりの人たちを積極的に巻き込みながら、気持ち良く楽しく過ごせる方法を見つけている江端さん。そのあり方は、普段の生活でも大切なものだと思う。

「札幌では毎日ジムに通っていたんですが、こちらにはないんですよ。役場の人に相談して地元のフットサルチームに入れてもらいました。休みの日には、馴染みのお蕎麦屋さんに顔を出します」

「自分だけじゃなくてまわりと一緒に生きているっていう感覚が強くなりましたね」

コンタクトセンターというと、単調な毎日を想像する人もいると思うけれど、町の中で生まれるつながりも、仕事の幅もどんどん広がりつつある。

先日は町内の高校で、コンタクトセンターの仕事を伝える授業を行ったそう。

「授業後に、生徒から『将来の選択肢がひとつ増えました』と言ってもらって。やってよかったなと思いましたね。思い切ってやってみてよかったです」


ネクシィで学べることは、きっと将来どんな仕事をするにせよ役に立つときがくることだと思う。

一人の社会人として、ちゃんと食べていける力を身につける。そして、それを後押ししてくれる仲間がいる。

この場所で働くことは、自分の選択肢を増やすことにもつながると思います。

(2019/1/28 取材 並木仁美)
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