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楽しく、まじめに
はつらつと
石と墓のこれから

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生き生きと働く人たちがいれば、会社の雰囲気も活気づいていく。

株式会社生田化研社(いくたかけんしゃ)で働く人たちと話すなかで、何度もそう実感することができました。

生田化研社は石材用品専門の商社。大理石や墓石を扱う会社向けに、接着剤や研磨剤、工具などを販売しています。

創業から一貫して関わってきた石材業界をもっと盛り上げようと、「墓詣で」というプロジェクトも開始。新しいお墓参りのかたちを提案する商品を企画・販売しています。



今回募集するのは、事務スタッフ。受発注業務や請求書の発行、問い合わせへの対応など、事務や経理の仕事全般を担当します。

新しいプロジェクトがあるとはいえ、石材用品って派手な業界ではなさそうだし、淡々と仕事をこなしていく雰囲気なのかな。そんな想像を、いい意味で裏切られる取材になりました。


大勢の人で賑わう池袋駅の西口。歩いて10分ほどのところに、生田化研社の本社がある。そんなに駅から離れていないのに辺りは静かな住宅街で、なんだか不思議な感じがする。

案内してもらった応接室で、まず5代目社長の大塚さんに話を聞く。



「生田化研社は東京、茨城、山形に事務所を構える社員25人の会社です。石材関連用品に特化した商社として、創業から68年目を迎えました」

「僕たちが扱うのは石そのものではありません。大理石や墓石にまつわるもの全般、という表現が正しいですね」

山から切り崩した石を切断するカッターやツヤを出すための研磨剤、20キロの石でも支えられる強力な接着剤といった特殊な商品から、ヘルメットやマスクなどの一般的な作業用品まで。

主なお客さんは、ビルやマンションの外装に石材を貼りつける施工会社と、墓石を販売する小売店。生田化研社で注文すれば、工事にまつわるもの一式がすべて手に入るように商品を取り揃えている。



「ずっと需要が安定している業界で、うちも無借金経営ができています。ただ、今がちょうど過渡期で、建物はコストを重視して石を貼らなくなってきているし、お墓離れも進んでいる。お墓参りに行く人がいないとか、そもそもお墓を持たないっていう流れもありますよね」

「ずっと好調だったから、時代の変化に合わせて生き残る努力が、業界全体で足りなかったと思っていて。縮小していくのを黙って見ているくらいなら、この産業を盛り上げることができないか、チャレンジしてみようと思いました」

そんな想いから1年前にはじめたプロジェクトが「墓詣で」。

デザイナーと協力して、お墓参りの道具を手づくりするキットを自分たちで企画。ワークショップに参加してオリジナルの提灯や線香をつくることで、お墓参りに楽しいイメージを抱いてもらうことを目指している。



アパレル出身のスタッフがコスチュームの着こなしを提案したり、盆栽好きなスタッフが和のテイストの商品デザインを提案したりと、社内でも楽しみながらこのプロジェクトを進めている。

「ただ、あくまで会社の土台は石材関連の卸業です。墓石が売れないことには、生田化研社が扱う関連商品も売れないので、一般の人に石やお墓に少しでも興味を持ってもらって、業界を長く続けていくことが目的です」

墓詣でのチームに入っているスタッフは、普段の仕事と並行してこのプロジェクトに取り組んでいる。新しく加わる人も、まずは業界や商品のこと、事務の仕事についてしっかり覚えたうえで、こうした新しい取り組みにも関わってほしい。



和気藹々とした雰囲気の会社だけれど、最初からそうではなかったという。

大塚さんが生田化研社に入社したのは31歳のとき。当時、社内では最年少だった。

旧態依然とした社内の仕組みを整えようと、新しいシステムを導入したり、人事制度を整えたり。

「もともと大手企業で働いていたから、楽勝だろうと思って入社したんです。でもそんな態度じゃ、受け入れる先輩たちも歓迎できないですよね。やり方が変わることに反発して、退職した社員もいました」

「社長を引き継ぐ数年前に、僕が主導で新しい社員を採用することができて、世代交代が起きはじめたんです。今までの反省があったから僕は社員を大切にしようと思ったし、若手が増えていったことで、組織がすごく活発でいい状態に変わりはじめました」



より良い組織にしていこうと、大塚さんが意識的に行ってきたのは、社員を人として魅力的に育てること。

「商社はものをつくれないので、働く人たちが商品なんです」

「社員に大事にしてほしいのは、とにかく素直でいること。失敗しても素直に受け入れて、褒められたら素直にお礼を言う。そうするようにずっと指導してきましたし、今後も伸ばしていきたい部分ですね」

毎月の営業会議でも、売り上げの進捗よりも人としての在り方を話すことのほうが多いという。

ほかのスタッフへの仕事の頼み方が雑だったり、やってくれた仕事に対して感謝がおろそかになっていたりする姿を見たら注意する。

一方で、新規受注や仕事で活躍した報告を受ければ、全社員に伝わるかたちで褒めるようにしている。

「たとえば、全社員が入っているLINEグループがあって。そこで、彼がこういう受注をして、それはこんなにすごいことなんだってちゃんと共有します。承認することって大事だと思うんですよ」

「認められると、自分から動くようになるので、会社の雰囲気も活発になっていきます。本当に人が資源の会社なので。挨拶とか基本的なことでも、人と人との結びつきをバカにしないで、大事にしてくれる人が集まっていると思います」


続いて話を聞いた業務部の田原さんも、大塚さんに近い感覚を持っているみたい。



「誰かが受注したって聞いたら、みんなが惜しみなく褒め合うんです。お誕生日には『おめでとう』って言うし、毎朝の『おはようございます』とか、お客さまが帰られるときの『ありがとうございました』とかの挨拶も、心を込めてできていると思います」

「相手のことを思いやったり、素直に認めたりするのが社内ですごく自然になってきています」

業務部の中心的ポジションを担ってきた田原さんは、この夏で退職予定。これから入社する人は、田原さんの後任となる。

事務の仕事は、まずどんなことからはじめるんだろう。

「最初は受注の仕事からですね。電話やファックス、直接のご来社で日々いただく注文内容を、社内のシステムに入力する。それを続けているとだんだん商品のことがわかってくるので、次に電話を取ったり、ご来社のお客さまの対応をしたりと、仕事の幅を広げていってもらいます」

取り扱う商品の数は1万点を超える。田原さんも、いまだにはじめて聞く商品名があるほどだそう。



「よく出るものとそうでないものに分かれるので、メインの商品をまずはしっかり覚えてもらえれば、まったく問題ありません。じっくり事務の仕事に取り組んでもらって、1年くらい経ってほかにもやりたい仕事が出てきたら、幅広く取り組んでもらえればと思います」

田原さん自身、今は広報の仕事も任されている。ほとんど稼働していなかったSNSを軌道に乗せたり、ソフトの使い方を覚えて自身で広告デザインをしたり。

「もともとは広告を外部に委託していたんですけど、もっといいアイデアあるのになあって。自分でイラストを描いて社長にアピールして、ソフトを買ってもらったんです」



すごく奇抜な広告ですね…!

「お客さんからの反響も大きいんですよ(笑)もともとは、家から近くて定時に帰れるからっていう動機で入社したんですけどね。いざ入ってみたらすごく面白くて、事務だけじゃなくてもっとやりたいと思うようになって」

どんなところが面白かったんですか?

「この業界って、大切な人が亡くなる悲しみも今生きている喜びも、生きていく上でのいろんな気持ちや人と人とのつながりがぎゅっと詰まっているんです」

「お墓を建てる職人さんからも、大事な人が眠るところを守る、いいものをつくろうっていう気概を感じて。毎日お墓の話をしていたら、自分の死生観についても考えるようになりました」

あまり馴染みのない墓石の業界。そんなふうに心が動くんだと、なんだか新鮮な驚きを感じる。

「あとは、中小企業ならではの面白さ。これやりたい!と思う仕事があれば、自分の力でそれを実現できるんです。人数が少ないからこそ、社員の想いを反映できる、懐の深さがあると思います」

バイタリティ溢れる田原さんの話を聞いていると、この後に入ることに少しプレッシャーを感じてしまいそう。

「私みたいにガツガツしてなくて良いんですよ。いろんな人がいるから良い組織になると思うし、その人の得意分野からまた新しい仕事が生まれるかもしれないし。事務の経験も要りません」

「ただ、人とのつながりを大事にできて、いろんなことを素直に吸収できる方がいいと思います」


最後に話を聞くのは、入社8年目の吉田さん。これから入る人は吉田さんから仕事を教わることになる。



「とにかく間違えない、確認を怠らない。当たり前のことなんですけど、毎日気をつけて仕事をしています」

自分のミスで部品が1つ足りなかっただけで、現場の職人さんはものがつくれなくなってしまうし、担当の営業スタッフにも迷惑をかけてしまう。その緊張感は常に持っている。

「入ったばかりのころに苦労したのは、とにかく電話!業界用語もわからないし、早口で荒々しい職人さんもいて、聞き間違えて迷惑をかけたこともありました」

「心強かったのは、事務の先輩たち。電話を聞いていて、私が困っていると横で囁くようにアドバイスしてくれるんです。SOSを出したら、すぐに誰か飛んできてくれたし。今は新人が1人いるので、みんなで手厚く面倒を見ていますね」

吉田さんは経理全般を主に担当しながら、墓詣での企画や、社内の販売管理システムの更新を担当している。

「みんなでアイデアを出した可愛いお線香の袋が形になったり、IT業界未経験なのに、なぜかシステム会社さんとの窓口になったり。思ってもみなかったいろいろな仕事ができるのは、難しいけれどありがたくて」



「何か任されたときに、『どうせやるなら楽しくやろう』って思える雰囲気の会社だと思います。宣伝の写真1枚撮るのにも小道具を用意したり、社員旅行の宴会で張り切って余興をしたり(笑)。何にでもノリ良く楽しめるし、それをよしとする社風がありますね」


取材を終え、出口に向かうと「お客さまがお帰りです!」と田原さんが一声。

その場にいた社員のみなさんが起立して、「ありがとうございました!」と挨拶してくれた。



活気の良い社内の雰囲気に、楽しそうにいろいろな仕事に取り組む人たち。

働く人の振る舞い一つひとつが会社をつくるんだと、身をもって感じた時間でした。

(2019/4/22取材 増田早紀)

5月30日(木)には、代表の大塚さんをゲストに迎えて、「しごとバー 新しい墓参りナイト」を開催します。普段馴染みのないお墓業界について、いろいろなお話を聞くことができると思います。ぜひお気軽にご参加ください。

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