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山とデザイン
まちづくりとIT
ふたつの肩書きを持つ人たち

自然環境豊かな地域で働くデザイナー、地元で子育てをしながらものづくりをするクリエイター、山間部に事務所を構えるエンジニア。

クリエイティブな仕事をする人たちのフィールドは、どんどん広がってきている気がします。

鈴鹿山脈のふもと、のどかな田園風景の広がる三重県・菰野町(こものちょう)にも、一昨年新しくウェブ制作やデザインをする会社ができました。

株式会社エコムクリエーションは、三重県・菰野町の環境保全などに取り組むNPO法人ECCOMから派生した会社。現在デザインなどの仕事をしているスタッフも、NPO時代から継続してまちづくりや自然に関わる仕事をしています。

今回は、ここで一緒に働くデザイナーとウェブエンジニアを募集します。

もし興味があれば、NPOが担う自然に関わる仕事も担当することができるそうです。



名古屋駅から近鉄で30分弱。桑名の駅から車で事務所を目指す。

車中で話をしてくれたのは代表の内山さん。内山さんは、ECCOMの事務局長でもある。

まずは、環境保全やまちづくりのNPOだったECCOMから、デザイン会社が発足した経緯を教えてもらう。

「NPOのスタッフを増やしていくなかで、美大出身とかデザイン事務所で働いていた人が何人か集まってきたんです。それで印刷物とかウェブが内製化できるようになって、そのうち外部の依頼を受けることも増えてきたので、じゃあ事業化してやってみようかっていう感じですね」

デザインができるようになってからは、三重県総合博物館のミュージアムショップの運営やオリジナルグッズの開発に関わるなど、NPOとしても活動の幅が広がってきた。

「人との出会いで、1年前には想像もしていなかったような事業の広がりがある。そういうおもしろさがあるんですよね」

稜線のきれいな鈴鹿山脈。苗を植えたばかりの田んぼにその姿が映えている。

登山はもちろん、キャンプやランニング、サイクリングに訪れる人も多いのだそう。

花の名前やこの地で採れる農作物のことなどを聞きながら、駅から30分ほどで事務所に到着。「ここですよ」と言われた建物、外見は完全に民家。

なかに入ると、なにやら赤ちゃんの声が聞こえる。ここ、本当に誰かの自宅なんじゃないか…?と、階段を上がっていく。

二階に上がると、赤ちゃんがふたり。この日は産休中のスタッフが遊びに来ているのだそう。

なんともアットホームな雰囲気のなか、まずはアートディレクターの北住さんに話を聞く。

もともと名古屋でデザインの仕事をしていた北住さんは、日本仕事百貨を通じて5年前からECCOMで働き始めた。

たしか、そのときはデザイナーの募集ではなかったですよね。

「はい。自然に関わるお仕事がやりたくて、デザインできますから入れてください!って、半ば強引に入社したんです(笑)」

当時ECCOMではイベントなどの運営をしていたものの、自分たちでチラシやポスターをつくるといった広報の機能は不十分だった。

北住さんが中心となってデザインを内製化し、イベント運営と広報をセットで進めていった。その手法に共感した近隣の企業や自治体などからデザインの依頼が来るように。

依頼が次第に増え、NPOのデザインチームが独立するかたちで会社を発足。

デザインのほか、イラストや写真、ウェブなどを専門とするメンバーがいるので、紙媒体からウェブ、パッケージデザインまで、いろんなニーズにワンストップで応えられる。

NPOから分社化してから、東京などのクライアントも増えてきた。一方でキャンプや登山、自転車など、アウトドア関連の地元の事業者からの依頼は多いという。

「僕らの営業スタイルは『実行委員会に入る』っていうことなんです。地元で開かれるイベント運営にも関わりつつ、仕事をもらう。そのほうが予算とか内部の状況も分かってやりやすいんですよ。新しく入る人も、外に出て人と話すことが好きなほうがいいかな」

デザイナー自身が日々暮らしている地元のことだからこそ、できる提案もある。

たとえば、隣のいなべ市を含む全国8都市で共同開催された自転車レースのポスター。

「最初は自転車のかっこいい写真をモチーフにっていう話だったんですが、もうちょっと地元の人が一緒に盛り上がれるイメージを伝えたいなと思ったんです」

出来上がったポスターに描かれているのは、沿道に集まる人たち。いなべ市中心街へ向かう三岐鉄道北勢線の車両や畑仕事をしている人、特産品の豚など、まちの特徴が細かく描きこまれている。よく見ると、いなべのゆるキャラ・うめぼ〜やも一緒にレースを応援している。

海外の選手も来るイベントだからこそ、地元の人が自分ごととしてこのレースを意識してサポートしてほしい。親しみやすいイラストには、そんな狙いがあったという。

普段から身近で接している人のための仕事。なかなかマス広告では味わえない喜びですね。

「それはめちゃくちゃ思います。近所の人がポスター見たよって言ってくれるのもうれしいですし。若いときは都市部じゃないとデザインの仕事はできないと思っていたけど、実は田舎の小コミュニティでこそ、デザインの力が必要とされていると思うんですよね」

エコムクリエーションで手がけるデザインの仕事は、ほとんどが広告代理店を通さず、クライアントと直にやりとりして進めていく。

自分で仕事のペースを決められるから、深夜まで残業するようなことは滅多にないという。

さらに北住さんはデザインの仕事と並行して、森林セラピーや森の幼稚園などECCOM時代の仕事も継続している。

「都市部に住んでいると、連休がないと登山に行けないですけど、ここではなんと出社前にも御在所岳に行けちゃいます。隣町のキャンプ場に泊まって、翌日キャンプ場から出社してもいいし」

「アウトドアに関心がある人ならNPOのほうの事業にも関わってみたらいい。もちろんデザインの仕事ありきなので、山の仕事は必須じゃないですけど、土日のイベントの手伝いとかだったらちゃんと代休も取れますよ」

デザインの仕事を続けながら、仕事として山に通える。ちょっとうらやましいです。とはいえ、イベントの実行委員などいろんな仕事を並行していくのは大変ではないですか。

「たしかに、日中働いて夜また実行委員の会合に出るのは大変だと感じる人もいるかもしれません。まあ、僕は自分の入りたい実行委員にしか入ってないので(笑)、そんなに苦にならないというか」

仕事のペースを自己管理したりバランスをとったり、この環境を楽しむためには、きっと自主性が必要なんだと思う。



話を聞いていた席からふと顔を上げると、窓いっぱいに木々の緑が見える。

本当にいい環境だなあと眺めていると、イラストとデザインを担当している濱口さんが声をかけてくれた。

「たまに鳥が来て、枝にとまるとちょうど自分の視線と同じ高さになる。あの鳥はお腹のところが白いとか、足はこうなってるとか、間近に観察しながらスケッチできるんですよ」

濱口さんが三重県の鳥を描いたポストカードは、三重県総合博物館MieMu(みえむ)のショップで販売されていて、子どもにも人気の商品なのだそう。

もともとは博物館のショップで働いていた縁で、エコムクリエーションに入社することになった濱口さん。以前は絵の勉強をしていた。

デザインの図案で草花の絵を描くときも、ここには実物が身近にある。

都市部ではできないインプットが、デザイナーとしての表現にいい影響を与えることもありそうだ。

「デザインのほうは、まだ北住さんにチェックしてもらいながら進めているんですが、それでもいろんなことを任せてもらえて、ありがたい環境だなあと思います」



話を聞いていると、いつの間にか赤ちゃんの泣き声が聞こえなくなっていた。

ウェブエンジニアの山岡さんが眠った赤ちゃんを抱っこしたまま、器用にデスクワークをしている。

「僕は菰野町の出身で、地元のまちづくりに関わりたくてNPOに入社したんです。そのころもこうやって赤ちゃんを抱っこしながら、湯の山温泉駅の窓口で観光案内をしていました」

エンジニアとしての仕事がメインになった今も、蛍の時期にはガイドツアーをするなど、北住さんと同じくまちづくりの活動にも関わっている。

もともと電気や配管などのエンジニアをしていた山岡さんの担う範囲はかなり広い。

「僕は今フロントエンドからバックエンド、サーバーサイドからハードウェアのほうまで幅広くやっているんですが、今回求める人はいきなり全部できなくても大丈夫。能力に応じて仕事をお任せして、だんだん扱える分野を広げられるようレクチャーできたらいいなと思います」

「何かひとつでもいいから、人に負けないものを持っている人に来てほしいんですよね。それは、仕事の知識や技術じゃなくてもいいので。個性的な人というか、好きなものを突き詰めている人がこの会社に来たら、おもしろいんじゃないかなと思います」

山岡さん自身も、現在仕事にしているウェブの知識は中学生のころに独学で身につけたものだという。

日々変化していく技術や新しい情報をキャッチアップしようとする姿勢、自分で学んで深めていこうという素質はエンジニアにとって強みになる。

情報収集にはSNSなどを活用する一方で、地域で仕事をしていくためにはフェイストゥフェイスの関係性も大切。

「小さいまちなので、よそから来た人でも顔を合わせていくうちにだんだん身内のような関係性になってくる。やっぱり、どれだけ同じ時間を過ごしたかが大切なんだと思います」

クライアントとなる人たちのことをよく知っているからこそ、最適な提案ができることもある。

山岡さんが最近手がけた案件として紹介してくれたのは、近くにある「青川峡キャンピングパーク」のウェブサイト。

「クライアントが自分で更新していくサイトの場合は、誰が管理するんですかとか、ブログの更新くらいならできますかとか、状況を聞いておく。どんなに便利で最新の機能でも、使いこなせないものを納品しては意味がない。やっぱりお客さんの立場に立って考えることは大事ですね」

システムの操作に慣れていないパートスタッフでも、カレンダーページの設定や予約の管理がしやすいよう、使いやすさにも気を配りながらリニューアルを進めていった。

顔なじみのクライアントから、メッセージアプリで更新依頼を受けたり、アフターケアのために訪問したり。物理的な距離が近いということは、信頼を築きやすい理由のひとつなのかもしれない。

「田舎でも仕事はできる」と言うより、エコムクリエーションでの働き方は“ここだから”できること。

豊かな自然のなかで、まちの人のそばで。

2枚の名刺を持って働く人たちは、とても健やかに見えました。

(2019/5/23 取材 高橋佑香子)

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