求人 NEW

草にあらず、木にあらず
京から広げる
竹の可能性

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

まっすぐで、しなやか。そして美しい。

竹には古くから日本人が親しんできた、特別な魅力があると思います。

箸や籠、笊(ざる)など、竹は生活道具として日本人の暮らしに寄り添ってきました。農薬を使わず4、5年で成長することから、環境に優しい次世代の素材としても注目されているそうです。

そんな竹の可能性を追求し、時代に合わせた竹製品をつくり続けているのが、公長斎小菅(こうちょうさいこすが)。1898年の創業から竹一筋でものづくりを続け、竹工芸の枠を超えたさまざまな製品をつくり出しています。

今回は、ここで竹の新たな可能性を探っていく仲間を募集します。職種は、企画営業や生産管理、店頭での販売など。

公長斎小菅が大切にしていることは何なのか、そしてどんなふうに変化し、これから進んでいくのか。まずは働いている人の想いを知ってほしいです。



京都駅から地下鉄烏丸線に乗り換える。烏丸御池で降り、そこから歩いて10分ほど。油小路通の一角に公長斎小菅のオフィスはある。

伝統を感じる雰囲気に緊張しつつ、案内されたのは4階のショールーム「竹巧居(ちっこうきょ)」。

数え切れないくらい、たくさんの竹製品が並んでいる。

「数が多いので、なかなか整理しきれないんですよね」と話すのは、代表取締役副社長の小菅達之さん。公長斎小菅の5代目にあたる方。

「1898年の創業以来、竹一筋にものづくりをしてきた会社です。いわゆるメーカーでありながら、代々職人ではなく、プロデューサーという立場でさまざまな商品を企画して製造・販売してきました」

プロデューサー、ですか。

「プロデュースって、『生み出す』っていう意味があるんです。その生み出し方にもいろいろあって、代々の社長がそれぞれのキャラクターに合ったものづくりをしてきました」

たとえば、現社長である達之さんのお父さんは、デザイナー気質が強い人。独自にデザインを学んで、新しいスタイルの花籠など、多くの製品をつくり出してきた。

一方で達之さんは、会社に新しい風を入れて変化を起こすことで、これまでにない竹製品をつくってきたそう。

「以前は商社で働いていて、15年前に家業に入りました。当時は工芸品を扱うお店がどんどん減っていった時期で。うちは売上げの9割以上が卸売だったこともあり、本当にしんどかったんです」

「とにかく営業に出て、車でいろんなところを回って…。一週間で2、3千キロ走ることもありました。ただそれを続けているうちに、今までと同じようなものをつくって同じような売り方をして何が変えられるのかな、と思うようになったんです」

これから生き残っていくためには、会社の殻を破っていく必要がある。そう感じた達之さんは、それまで社内だけで行ってきた商品開発を外部のデザイナーと共同で行うことを決意する。

初めての試みに、最初は社内の理解も得られなかったそう。向かい風のなかでも、絶対に良いものができるという確信を持って進めていった。

そして完成したのが、minotake。

竹の曲線を生かした美しさと、手に馴染む持ち心地を併せ持った食の道具。しゃもじとして使える大きいものや、ジャムやアイスなどを掬うさじベラなど、竹道具の新しい形を生み出した。


ほかにも、イタリアで仕入れた革と、竹を編んだ編組(へんそ)を合わせた財布も、達之さんが中心となってつくり上げたもの。

伝統的な竹工芸の技術を詰め込みつつ、現代の暮らしに合うモダンな製品を生み出している。

「僕らの一番根っこの部分には、竹の価値を高めたいっていう想いがあるんです」

竹の価値を高める。

「笊(ざる)や籠、お箸…竿とか笛もそうかな。全部竹冠なんですよ。日本人の暮らしって、竹がなければ成り立たなかったと思うんです。でも、竹って材料的には安いし、素材としてのイメージでいうと、価値は高く見られていないと思うんです」

「その価値を僕らは上げていきたい。日本人にとって大切な素材であるからこそ、竹の持つ魅力を表現していきたいんです。『竹の価値を高める』ことに終わりはないと思うし、時代が変わろうと、それを追求しつづけることで世代や性別、国境を超えて愛される『なくてはならない』モノを生み出すことができるんじゃないかと思います」



次にお話を聞いたのが、達之さんと一緒に変わりゆく公長斎小菅を支えている、野口照生さん。勤続20年のベテラン社員で、社内の様々な仕事に関わってきた。

今は営業の仕事をメインにしているそう。

「本人が覚えてるかわからないですけど、僕は副社長が来たときに、100%応援するっていう話をしたんですよ。会社を良くしていきましょうって」

以前は呉服店に勤めていたという野口さん。そこでの商売に対する考え方に違和感を感じ、公長齋小菅へやってきた。

「やっぱり京都が好きっていうのが大きいんやと思います。嵯峨野に住んでいたので、竹は身近で京都らしいと感じたし、京都に貢献できるんじゃないかと思ったのが最初のきっかけですね」

入ってみてどうでしたか?

「実際に働いてみると、“竹”という素材の部分がこの会社のメインなんだなと感じました。たとえば、京都の職人さんが京都の竹を使ってつくるっているんだろうなとイメージしていたんですが、そうではなくて」

「うちで製作している商品は京都に限りません。竹の素晴らしさを伝えるべく、全国にいる職人さんにそれぞれの得手不得手を吟味した上でつくってもらっているんです。竹にこだわりながら柔軟にものづくりに取り組む姿勢が、すごく新鮮で印象的でした」

たとえば、竹を編む編組(へんそ)を専門とする職人さんもいれば、お箸やスプーンをつくる竹工を専門とする職人さんもいる。扱う商品一つひとつにこだわって、お客さんに届けていく。

「営業の仕事も、お客さんのところに足繁く通って、電話とファックスでやりとりする時代から、今はメールとかLINEを使うようにコミュニケーションの形が変わってきました」

「やり方は違っても、つながってるのは人と人ですから。その根っこの部分は変わらないと思ってやってます。職人さんに対してもそれは同じですね」

今回は、商品の供給を管理する生産管理も募集する。今は専任で担当する人がいない状態だそう。

定期的に生産現場を訪れ、職人さんと直接コミュニケーションをとりながら細かな仕様を決めていく繊細さや柔軟さ、商品をしっかり供給できるように計画通りに進めていくマメさの両方が求められる。

「個人的には、まずは供給するための仕組みを整理整頓できる人っていうのが大前提だと思っていて。その上でコミュニケーションを円滑に回していくことで、会社がうまく動いていくと思うんです」

難しい仕事だと思う。けれど、ものづくりに興味がある人にとっては、その過程全体に関われるおもしろい仕事になりそう。ゆくゆくは、現場で得た発想を生かして企画にも関わってほしいとのこと。



野口さんをはじめとする営業や生産管理を支えているのが、営業事務担当の宍戸志帆さん。日本仕事百貨を通じて昨年新卒で入社し、2年目を迎えている。

「大学時代に9ヶ月くらいイギリス留学をしてたんです。そのときに、日本の伝統工芸が持っている繊細な美しさをあらためて感じて、伝統工芸に関わることを仕事にしたいと思うようになりました」

「たまたま実家には竹製品がいっぱいあって、生活のなかで馴染みがあったんです。雑誌で公長斎小菅の商品を見たり、自分で調べたりしているときにちょうど日本仕事百貨さんで求人を見つけて、応募しました」

宍戸さんは普段、営業事務として取引先とのやりとりや、受注から発送までの手続き、電話対応などの業務を担当している。

「基本は取引先の人とのやりとりが多いんですが、一般のお客さまからのお電話もあって。多いのは籠バッグについての問い合わせですね。長く使っていただくものなので、修理のご依頼があったりするんです」

「そのときに、どう使っているかというお話や、使って良かったという感想を聞かせてもらうと、すごくうれしいです。普段お店に立っているわけではないので、そうやって生の声を感じることができるのはありがたいですね」

メールを中心に海外とのやりとりもあるため、英語ができるに越したことはない。問い合わせを通して、日本の竹製品が海外で求められていることを日々実感するという。



取材を終えて、会社から車で10分ほどの場所にある公長斎小菅の京都店を見せてもらうことに。

竹の魅力を表現するために生まれた公長斎小菅の商品を、お客さんにしっかり伝えられるように。そのための媒体として達之さんがプロデュースした。

2011年に京都店、昨年には大阪店もオープン。今年は東京にも出店する予定があるという。

店舗があるのは三条河原町。三条通りに面していて、観光客を中心に人通りも多い。

店内はギャラリーのような洗練された雰囲気がある一方で、竹の質感や照明のあたたかさが感じられる。背筋がすっと伸びつつも、ほっとするような感じ。

商品を単純に売るだけではなく、竹の魅力を伝えることで竹の価値を高めたい。達之さんが受け継いできた想いが詰め込まれている。

「京都は風光明媚で美しい場所がいっぱいあるんです。そういう美しいものを見てきはった人に、このお店でも特別な体験をしてほしいという思いでプロデュースしました」

販売スタッフの方にも話を聞いてみると、ここで働きはじめてから「竹でこんなものもできるんだ」と驚くことが多かったという。日々、竹の可能性を肌で感じている。

こんなエピソードも教えてもらった。

「あるときニューヨークから来た若いカップルのお客さまがいて。話をしたら、私たちはこの公長斎小菅のお店に行きたいから、日本の中でも京都に来たんだって、そう言ってくれはったんです」

横で聞いていた達之さんは「そんなこと言ってくれる人がいらっしゃるのは、プレッシャーですね(笑)。前向きなプレッシャー」と笑う。伝えたい想いは、このお店で確かに伝わっているように感じる。

達之さんは、どんな人と働きたいですか?

「家族でも友人関係でも一緒ですが、やっぱり仕事って人と人やと思うんです。それぞれの考え方を尊重して、お互い信頼してやっていく。信頼関係が前提にあるからこそ、自分たちの仕事の可能性を信じていけると思うんで、人と人の関係性を大事にできる人かな」

「あとは、まだ20人くらいの会社なので、主体性を持って仕事をすればいろいろな機会と経験を通して成長してもらえるんじゃないかと。うちに来てくれた人は、職業人としても一人の人間としても成長する、そんな場所になれたらええなと思ってます」

静かに熱く、気持ちを込めて語る達之さん。

伝統を大切にしながら、竹の新しい価値を生み出していく。ここで働くことで、自分の可能性も広げていけるような気がしました。

(2019/5/21 取材 稲本琢仙)

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