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THE=“これこそは”
デザインマニアの
プロダクト問答

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

そのブランドの名前は、声に発するとただ一音「THE」といいます。

グラスにシャツ、カトラリー、洗剤、折りたたみ傘、醤油差し…。

THE SHOPは、ひとつのカテゴリにつき1種類ずつ、「これこそは」と思える定番の一品だけを集めたお店。

定番というと、シンプルで明快に感じるかもしれませんが、多くの人が納得できる普遍性を追求するのは難しい。

さらにユーザーの納得感だけでなく、つくり手にも負荷のないものづくりを求めて。商品の商品開発やセレクトを続けてきました。

今回は、新しく渋谷にできる「THE SHOP SHIBUYA」で働く人を募集します。

お店での日々の業務はもちろん、デザインに対する強い興味と意欲があれば、ゆくゆくはTHEで扱うもののセレクトやバイイング、商品開発に携わることもできます。

デザインの意義を本気で追求したいなら、きっと手応えを感じられるチームだと思います。

東京駅・丸の内口を出てすぐ。日本郵便の手がける商業施設・KITTEは回廊のように、ファッションや雑貨などのショップが並んでいる。

エスカレーターで4階へ上がってすぐのところに、THE SHOPというサインが見える。

最初に話を聞かせてくれたのは、THE株式会社の代表である米津雄介さん。

THE株式会社は2012年に、米津さんとgood design companyの水野学さん、中川政七商店の会長である中川政七さん、プロダクトデザイナーの鈴木啓太さんの4人で発足した。

「ブランドの起点は課題解決に向かう意識。必要以上に新商品を求められる産業のあり方への疑問とか、生活者としてのフラストレーションが、商品開発のきっかけになることもありますね」

たとえばショップの人気商品のひとつ、「THE 醤油差し」。

醤油差しというと、定食屋などでいつもトレイやおしぼりとセットで置かれているもの。従来は、液だれするという不便さを受け入れることが前提となっていた。

その違和感を解消するべく、青森県のつくり手と共同で2年をかけて“絶対に液だれしない”醤油差しを開発。形状や素材、サイズ感にもこだわり、どんな料理の席にも合わせられるものを目指した。

こんなふうに、日常のなかでつい受け入れてしまいがちな小さな違和感をきっかけに、企画が生まれていく。

不便さとはちょっと違うけど、「ちょうどいいのがない」というフラストレーションから生まれたのが「THE GLASS」。

「僕は個人的にこれが一番好きなんです。ショート、トール、グランデって、コーヒーショップのサイズと同じ3サイズがあって。販促活動はほとんどしていないんですけど、年々売上が伸びているんですよ」

THE GLASSの特徴は、一見しただけでは特徴を言い表しにくいこと。いつどこでつくられたかもわからない。不思議な存在感のグラスだ。

言うことがない。定番って、そういう「文句無し」ということなのかもしれない。

「僕らは、THEっていう記号みたいな存在でありたいと思って。どうしてもデザイナーズブランドみたいに見られがちなんですけど、たとえば洗剤のように、これまであまりデザイナーが手がけてこなかったものも意識的に取り入れています」

すでに世の中に定番として最適なものが存在するジャンルについては、あえて開発はせず、そのまま紹介する。

「新しいものを生み出すっていう活動は世の中に対しても責任がある。だからこそ慎重になりますね。美意識や、機能性、経済、地球環境、つくり手への負担、それらをクリアしなければ、定番としては紹介できないんです」

デザイナーの主観や好みではなく、誰もが納得する普遍的なものづくりを目指す。

なかなか難しそうですね。

「そうなんです。THEは、ものをつくって売るというより『最適と暮らす』という考え方の提案をしている会社なので、『最適』とか『定番』ってなに?ということをあらゆる面から議論しないといけない。ショップのスタッフにこそ、その議論に参加してほしいんですけど、簡単ではなくて…」

と、言いますと。

「ショップスタッフにも、新しいセレクト商品を発掘して提案するバイイングや、できれば開発に関われるように声をかけてきたんですけど、突き詰めて議論していくうちにお互いが疲弊してしまって。本当に難しいですね」

米津さんは、組織の課題も包み隠さずに教えてくれる。

どうすればショップスタッフから専門家として社内でのキャリアチェンジができるか。

スタッフがもっとお客さんとの接点を大切にできるように、売上など数字の管理はオフィスに委ねてみてはどうか。

ブランディングや広報、商品企画に関わるためには、どういう学びや仕組みが必要か。

それぞれが自分の興味や習熟度に合わせて長く働けるように、考えを巡らせている。

きっと、デザインやプロダクトに対しても、とことん考える人なんだと思う。本気で議論してみたいという人には、楽しい職場なんじゃないかな。

「僕自身、ほかのボードメンバーと話すのが楽しいんですよ。みんなものすごい知識量ですから。スタッフの子達にも、そういう環境をとことん利用してほしい。僕らを論破するくらい、本気で考えられる人に会いたいんですよ」

米津さんが今後育てたいと思っているのが、「“もの”なら私に聞け」というほどの専門家。

その「ショップエキスパート」として働いているのが、オープニングからお店を支えてきた宮内さん。

「学生のころは美大で建築を勉強していました。人の考えやイメージを空間に反映するデザインに興味があって。つくり手はどう考えてこの形や素材を選んだのだろう?というように、デザインの背景を掘り下げるのが好きだったんです」

この「掘り下げて考える」という姿勢があれば、キッチン用品やファッションなど、自分にとって新しいジャンルのものに出会っても、戸惑うことはないという。

「ショップで働く人に求められているのは、なぜこれが定番なのかということを、言葉で説明できる力。特にユーザーとしての実感は、お客さんが一番知りたい情報なんじゃないかと思いますね」

THEのショップで働くスタッフには、THEの商品を実際に使ってみるために、通常の社員割引以外に福利厚生として年間10万円分もの購入補助がある。

何度も使ったり、衣服であれば洗ってみたり。日常の生活シーンを通じて実感できる良さを伝えていく。

仕事の時間だけでなく、プライベートで過ごす時間も“もの”への興味を持ち続けることが大切だという。

「今ショップの制服になっているこのエプロンは、僕がプライベートで博多に行ったときに見つけたものなんです。制服として提案したら採用されて、商品として販売もしています」

「ほかにも、提案が採用されたものは結構あって。たとえば、ビルケンシュトックさんのコルクでできたインソール。足本来の理想的な形に整えることで、足を疲れにくくする。ビルケンシュトックの創業当初からあるもので、まさにこれこそはって言える商品なんですよ」

入社してからこれまで、宮内さんは積極的に新しい商品の提案を続けてきた。最初はボードメンバーが求めているものがわからなくて、ダメ出しを受けたり、却下されたりするものも多かった。

「それでも食らいついてやってきましたね」と、宮内さんは振り返る。

ダメ出しが続いて、もう考えるのをやめたいと思うことはなかったんですか。

「僕はこの仕事をはじめる前から、普遍性とはなんだろうとか、優れたデザインってなんだろうとか、考えていくのが好きだったんですよ。やっぱり、仕事だからっていう義務感でやっていると、難しいかもしれないですね」

ひとつの商品に対して、使用感やメーカーの歴史、材質など、エピソードが次々に出てくる宮内さん。その知識量の多さに思わず感心してしまう。

宮内さん自身も、楽しんで話してくれているのが伝わってくるから、こちらも安心していろいろ質問してしまう。

「この会社の経営陣はデザイン分野の人たちなんですけど、いいものをつくるだけじゃなくて、ちゃんとどうやって伝えて売っていくか考えている。デザインを仕事にしたい人には、つくり手に欠けがちな経営リテラシーをちゃんと身につけられるいい機会になると思います」

現在、東京のお店をまとめているのは、去年新卒で入社したという白石さん。

宮内さんのように、とことん“もの”を追求するエキスパートに対して、店舗マネジメントを担う「ショップマネージャー」は“人”にフォーカスする仕事。

入社してわずか半年でショップマネージャーになったという白石さんに、今の気持ちを聞いてみる。

「研修を終えて正社員になるタイミングで声をかけてもらって。期待もしていただいているし、頑張ろうかなっていう前向きな気持ちでやっています。スタッフの方たちはすごく個性的で、頼もしいです」

「うちは、ショップスタッフそれぞれの接客の仕方に関しては寛容で、全員が同じ情報を丸暗記するという感じではなくて。人によって、お勧めするポイントや視点は少しずつ変わってくると思います」

もともと大学では考古学を勉強していたという白石さん。THEのものづくりには、デザインや機能だけでなく、歴史的な観点も含めてものの良さを語れる魅力があるという。

「このポストカードは紙の縁に金の箔がついているんです。手帳とかでもよくありますよね。あれは、汚れや日焼けから紙を守るために17世紀ごろからはじまったデザインなんですよ。印刷されたメッセージもいろんな種類があって。僕はこの『I AM IN TOKYO』っていうのが好きですね」

“ものが好き”ということは共通していても、どこが好きか、どう好きかは十人十色。

それぞれのスタッフらしいアウトプットができるチームにしたいと、白石さんは言う。

「同じように、お客さん一人ひとりにとっても自分なりの『定番』の考え方があるかもしれない。だから、あまり押し付けにならないように気をつけています」

「商品について覚えることはたくさんありますが、あんまり難しく考えなくても大丈夫。どんな分野でもいいので、自分なりのこだわりがあって前のめりに話せる人であれば、ショップマネージャーとしてはウェルカムです」

決められた商品を売るのではなく、ショップスタッフ自身も「定番ってなんだろう」と繰り返し問い続ける。

デザインを仕事にするうえで欠かせない、「これこそは」を見抜く力を鍛えられる職場だと思いました。

(2019/5/15 取材 高橋佑香子)

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