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わたしはこれで十分
必要なだけの
灯りをともして

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

兵庫県芦屋市。

六甲山麓から流れる清流・芦屋川のほとりに佇む、一軒の建物があります。

窓からは、空間を照らすやわらかな灯りがぽつぽつと見える。あたりは住宅街。ここもお家かな?と思いきや、実は、オリジナルの照明をつくって販売している「フレイム」という会社のアトリエ兼ショールーム。

決してアクセスがいいとは言えないこの場所をめがけて、お客さんはやってきます。

「照明を通じて人の心を豊かにするってことを、ただただやりたいんです」

そう話すのは、株式会社フレイム代表の神達(かんだつ)さん。奥さまと6人のスタッフ、愛犬のダグとともに、積み重ねるように暮らしと仕事を育んできました。

この小さなチームの、新たな一員となる人を募集します。具体的には、Webサイトがより使いやすくなるよう改善したり、新たなアイデアを形にしていったりする企画スタッフを求めています。

照明に詳しくなくても大丈夫。どちらかと言えば、ミニマルな価値観や“足るを知る”暮らしに関心がある人にこそ、知ってほしい仕事です。

今回、代表の神達さんのインタビューは、西村佳哲さん(『自分の仕事をつくる』著者)に聞き手を務めていただきました。きっかけは、おふたりが過去に参加されたインテリアや雑貨の合同展示会『ストッキスト』。当時、たまたま近いブースに出展していたそう。そこから10年の時が経ち、縁あって今回のインタビューとなりました。

なお、その後のスタッフさんのインタビューならびに記事作成は、日本仕事百貨スタッフの中川晃輔が行なっています。

 

神戸三宮駅から阪急神戸線に乗って芦屋川駅へ。

15分ほどの移動で、あたりの雰囲気はだいぶ変わる。三宮に立ち並んでいたようなビルの姿はなく、駅前にはこぢんまりとした商店街があるのみ。一帯には緑に囲まれた住宅街が広がっている。

川に沿って上流へと向かっていくと、やがてフレイムの表示が見えてきた。けれども、すぐに見つからない。

うろうろしていたところ、愛犬・ダグと散歩中の神達さんの奥さまがこちらに気づき、アトリエの方向を示してくれた。

うわあ、ここが…。なんだか絵本に出てきそうな場所だ。

木々に囲まれたアトリエ兼ショールームは、神達さん自ら設計して建てたもの。2階建になっていて、階下にご自宅があるという。

もともとは大阪・堀江に拠点を構えていて、ここに移ってきたのが9年前。

どうしてこの場所を選んだのだろう。

代表の神達さんが聞かせてくれた。

「堀江にいたときは、月100万円の家賃を払いながら夜中の2時まで働いて、朝7時8時には仕事に行って…っていう、その繰り返しで。『これを続けた先に幸せはあるのかな?』ってことを考えていたんですね」

ちょうどそのころ、友人の影響で山登りをはじめたそう。

肌で感じる風。山の匂い。

自然のなかで過ごす時間が、少しずつ長くなっていった。

「普段の生活にある豊かさを山に持っていこうと思うと、道具が増えるんですよね。そうじゃなくて、どんどん身軽になっていくほど、山と近くなれるんですよ」

近くなれる。

「たとえば、テントではなくタープを持っていく。タープは壁がないので最初は不安なんですけど、それによって風や匂いを直に感じられる。“削ぎ落としていくと本来の姿が見えてくる”みたいなことを、そこから意識しはじめて」

お店の規模はよりコンパクトにして、営業時間も短く。かつ、自然のなかで。

フレイムの照明を本当に必要としてくれる人だけに、丁寧に届けたい。

大阪や京都のほうまでバイクでまわり、1年半かけてようやく見つけたのが、この芦屋川のほとりの土地だった。

現在、ショールームは水〜日曜に開けていて、平日は完全予約制。

さらに、お客さん自身で見積もりをとれるようにしたり、商品の売れ行きを工場とリアルタイムに共有することで発注の手間を省いたり。ルーティーンワークのシステム化も進めている。

「今ぼくらがやらなきゃいけない事務作業って、ほとんどなくて。そのぶんの時間を、目の前で悩んでいるお客さんをサポートしたり、どうやって照明のよさを伝えていくか考えたりすることに充てたいんですよね」

余計なものを削ぎ落として、整理して。

会社としても個人の生き方としても、ここ10年近くの取り組みを通じて集大成が見えてきた、と語る神達さん。

一方で、日本国内における照明のレベルはまだまだ低いと感じているそう。

「北欧やヨーロッパの国々を旅していると、生活に照明が溶け込んでいて自然なんです。ところが日本に帰ってくると、違和感を感じて」

「素敵な雰囲気のお店でご飯を食べたとしても、家に帰れば煌々と蛍光灯が点いている。そんな場面を何度か見かけるうちに、一般家庭レベルで照明のよさを伝えていかないと、この先文化としての照明は根づいていかないなと思って」

そのひとつの足がかりになればとはじめたのが、照明の無料レンタル

フレイムの照明を、一定期間自宅で使ってもらうサービスだ。

照明の質感や特徴については、Web上でも正確に伝わるような発信を心がけている。とはいえ、実際の暮らしに取り入れてもらうことで、何より自分の生活がどう変わるかというイメージが膨らみやすい。

今回募集する企画スタッフには、こうしたアイデアを一つひとつ形にしていってほしい。

「企画にも2つあって。1つはWebをいかに使いやすく、想いが伝わるものにするかという、見えがかりのコミュニケーション。灯りのよさを伝えるコラムを書いて発信するとか、既存のサービスを磨いていくような仕事です」

「もうひとつは、対外的な企画で。たとえば設計者さんとタイアップして、ぼくらの照明を導入しつつ、夜にオープンハウスを開くとか。今はそういう形で暮らしのなかに照明を取り入れていく試みって、あまりないんですよね」

神達さんは、どんな人に来てほしいと思っているのだろう。

「照明に触れてきていない人もいいと思います。知識がありすぎると、セオリーやテクニックに走ってしまいがちなので。それよりも、人に何かしてあげたいという気持ちが強い方」

「仕事って、与えられてするものになりがちなんですけど、本来は能動的に生み出すものだと思うので。自分から考えることが好きな人とか、気遣いができるとか。そういうことのほうが大事だと思いますね」

単純に行動力があって、積極的で…という人を求めているわけではなさそう。

光が心にもたらす豊かさや心地よさのように、感覚的なことをしっかりと受け止められる人。そのうえで、Webや対外的な企画といった形に落とし込んでいく実装力もある人。

 

企画スタッフのリーダーを任されている大本さんは、まさにそんなイメージにぴったりの方だと思う。

大学卒業後からインテリアに携わる仕事をしてきて、フレイムに加わったのは4年前。

フレイムのどんなところに惹かれたのだろう。

「照明屋さんなのに、『あかるすぎなくていい』とうたっているところが面白いなって。自分のなかで、照明は“あかるくするもの”っていう考えが無意識にあったので。ああそうなんだと思って、どんどん惹かれていきましたね」

今は10畳の部屋に対し、40Wのスタンド1台で過ごしているという。

「自分はどれくらいのあかるさが心地いいのか、実践していったんです。これいらないな、って消していったら、家の中で煌々と照らさなきゃいけない場所がないってことに気づいて」

気づきを得る原体験となったのが、入社して最初に任された「灯りのカルテ」というサービスづくり。

いくつかの質問に答えていくと、自分の灯りの好みや傾向が整理できるというものだ。

「わたしはどんな順番で照明のことを考えているかなとか、感覚的な言葉だけだとわかりづらいから写真も入れようとか。神達さんと直接やりとりしながらつくっていきました」

何ヶ月も考えて構築したものが、振り出しに戻るようなことも。

自分の思考や感覚を見つめ続けるなかで、最終的に「答えを出さなくてもいい」という結論にたどり着いた。

「考えてみれば、病院のカルテも『症状』が書いてあるだけなんですよね。同じように、『感覚』の整理さえできれば、最後に決めるのはお客さん。そのことに気づけて、わたし自身も楽になった気がします」

ショールームに予約が入れば、接客にも回る。

照明を一つひとつ説明していく前に、大本さんは「どういう空間にしたいんですか?」と尋ねるそう。

「そこでハッとされる方も多いですね。照明の形や見た目から入る方は多いけれど、吊り位置やほかのインテリアとの関係でも、光の印象は大きく変わるので」

立った状態と座った状態では、光の見え方がまったく異なるので、椅子に座ってみるよう促したり。

たとえ空間のイメージをしっかり持っていても、転居してすぐは過ごし方のクセがわからないので、「まずは最低限必要な灯りを用意して、残りは暮らしながら必要と感じたところに配置してみては」と案内したり。

大事なのは、想像すること。

「ルーティーンワークはまったくないですね。自分で考えて能動的に動いていくことが常に求められるというか。その部分を責任として任せられる代わりに、評価してもらえる会社でもあると思います」

前職では、売り上げ目標やマニュアルに沿った接客に違和感を感じていたという大本さん。決まりきった仕事がない今の環境は、自由ともとれるし、シビアだとも言えると思う。

いずれにしても、のびのびと働いている様子。

「気持ちの面で健康的になりましたね。言っちゃいけないこととか、しがらみとか、そういうこともないですし。事務所も結構狭いので(笑)、誰が何をしているかはだいたい把握できる距離感で働いています」

「あとは犬もいますしね。うちの大切な一員です」

スタッフ同士の懇親会は、階下にある神達さんの自宅で行うことも。

凛とした緊張感もありつつ、どこか家族っぽさもある。不思議なチームだなあ。

代表の神達さんは、こんなふうにも話していました。

「愛犬と毎朝5時半には起きて、公園に散歩に行ったりするんですけど。たとえば夫婦でご飯をつくるとか、そういう何気ないこと。感じ方ひとつですごく幸せだと感じることを、やっぱり大切にしたいなって思うんです」

「ちっちゃい会社なんで。そういう価値観を共有しながら、自分をつくっていく。一緒に成長していけるような環境が、ここにはあってほしいなあと思いますね」

 

必要なだけ、必要なものを。

そういう選択を積み重ねていくことは、なかなか難しい。

いきなりうまくいくことばかりではないと思いますが、自分もそうありたい、と思う人に届いてほしいなと思います。

(2019/8/30 代表インタビュー 西村佳哲 スタッフインタビュー・記事作成・撮影 中川晃輔)

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