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根っこのある生きかたを
ともにつくるカンパニー
共同から協働へ

人の価値観や考え方は、身近な人に呼応して変わっていく。

こんなふうに働きたい。暮らしをつくっていきたい。

もしもイメージがあるのなら、そんな仕事や生活を営んでいる人の近くへ行ってみるのが一番だと思います。

日本三大清流のひとつ、長良川の源流域に位置する郡上市。このまちで“根っこのある生きかた”をつくる、郡上カンパニーという取り組みがあります。

地域の人と外からの人、一緒になって事業をつくる「共同創業」のプログラム。これまでに2期開催していて、合計10のプロジェクトが動いています。

今回はその3期生、つまり、郡上の人たちと一緒に事業をつくっていく人の募集です。全部で7つのプロジェクトで、共同創業者を募集します。

“根っこのある生きかた”ってなんだろう。それに、共同創業って?

いろいろと気になることもあると思いますが、何らかピンときた方はぜひ読み進めてみてください。

 

名古屋駅から高速バスに乗り、郡上市を目指す。

まちを抜け、山に入り、川を渡って。少しずつ、木々の緑が濃くなっていくのを窓の外に感じながら進んでいく。

1時間半ほど揺られたころ、バスは郡上八幡城下町プラザに到着。すぐ近くの小高い山の上には郡上八幡城がそびえていて、戦国時代からこのまちを見下ろしている。

そこへ、取材前から連絡を取り合っていた岡野春樹さんが迎えにきてくれた。

昨年6月に郡上へ家族で移住。東京の広告会社に在籍しながら、ディレクターとして郡上カンパニーの運営を担っている方。

この日はちょうど各プロジェクトの進捗報告会があるということで、その会場へと向かうことに。

まずは車内で、この取り組みの全体像について聞いてみる。

「郡上カンパニーが目指すのは、『地元で何かはじめたい』という郡上の人と、『地域で新しいことに挑戦したい』という都市部の人が一緒になって事業をつくる仕組みです」

2017年度からはじまって、今年度で3期目。

たとえば、どぶろくをつくる農家民宿をはじめるプロジェクトや、デジタルファブリケーション×木工のプロジェクト、空き家を活用した宿運営のプロジェクトなど。地域の資源や課題に紐づいた10のプロジェクトが進行している。

「もともとは、人が育っていく学びの場であったり、キャリアの止まり木になるような場をつくっていこうよ、という発想からはじまっていて。じゃあ具体的にどんな場にしようかと」

「郡上でかっこいい挑戦をしている人たち、20人ぐらいかな。5日間かけて取材させてもらって。大事なことを抽出していくなかで、出てきたのが“根っこのある生きかたを、つくる”っていう言葉だったんです」

根っこのある生きかた。それって一体どういうことだろう?

「前提として、自分の心に素直であること。そして郡上のひと、自然、文化に根ざすようなありかたですかね。言葉だけではわかりづらいと思うので、まずは郡上カンパニーのメンバーに会ってみてください」

 

やがて車は会場に到着。

すでに報告会ははじまっていて、プロジェクトごとの発表が進められていた。

1期生は、一年半の活動の成果や現状を。2期生は、半年経ってみて、当初思い描いていたこととのギャップや展望を。それぞれのスタイルで語る。

企画してきた商品やイベントが形になったり、地域での関わりが深まったり。順調に進んでいることもある一方で、「プロジェクトパートナーとの関係がうまくいかない」「行き詰まっている」という声もあがった。

共同創業という形をとることで、移住者は地域に入り込んでいきやすい反面、意見が食い違って衝突したり、事業のオーナーシップが分散しやすかったりと、難しい側面もあるみたいだ。それに対して同期の仲間や事務局メンバーなどがさまざまな意見を交わす。

ともすれば、コミュニティは移住者だけの小さな輪に閉じがちだけど、地域の人たちや役場の人も同じ輪に加わっているのも面白い。

 

報告会後、会場近くの喫茶店「プチ」でご飯を食べながらもう少し話を聞かせてもらうことに。

集まってくれたのは、「どぶろく文化発酵人」プロジェクトの小野木淳さんとパートナーの吉田雄輔さん。

まずは小野木さんに話を聞いた。

東京・立川で焼き菓子の店をやっていた小野木さん。生まれが岐阜県羽島市で、郡上はお祖父さんの地元だった。

いろんな縁が重なり、移住することを決めたという。

「最初こっちに来たとき、プロジェクトはなんでもいいですって言ったんです。たまたま紹介されたのが吉田さんで、しゃべってみたらフィーリングが合って。それじゃあ、って決めたのがどぶろくのプロジェクトだった」

「目の前のこと、それが何であろうと、面白がれるかどうか。そのスタンスが大事だと思うんです」

プロジェクトに共感して。ぜひ、これを一緒にやりたいと思って…。

そんな応えをなんとなく想像していたから、小野木さんの言葉は意外だった。

じゃあ、今回のような募集は“きっかけ”に過ぎない?

「もちろん、ぼくもお菓子屋さんをやってて、発酵とかに興味はありましたよ。共同創業という形も、ぼくとパートナーの吉田さんではできることがまったく違うので、ありがたいなと思う」

「でも現状、ぼくがどぶろくの何をやってるかっていったら、吉田さんの横から茶々を入れるぐらい(笑)。まあ、それがお互いにとってプラスになっている確信があるので。楽しくやらせてもらってます」

この夏に宿を立ち上げ、米の栽培も自分たちではじめるなど、着々と事業を進めていっているおふたり。

小野木さんは知り合いのアーティストや作家を宿に呼び、イベントやライブを開くこともある。どぶろくの製造許可を得るための書類づくりはパートナーの吉田さんが得意だし、SNSでの投稿や外部との関係づくりは小野木さんが率先して取り組んでいるところ。

共同創業と言うと、ひとつのものを一緒につくっていくイメージがある。

けれどもおふたりのように、互いが独立して動きながら強みを活かしあう、そのひとつのきっかけとしてプロジェクトを捉えるといいのかもしれない。

 

「タスクが与えられてこなすだけなら、別にここでやらなくたっていいもんね」

隣に座っていた吉田さんが、そう言葉をつないだ。

「プロジェクトに振り幅とか遊びがないと面白みもないし、ガチガチに決められた仕事だったら、誰がやってもいい。そうじゃないから、外から人を呼ぶわけで」

自身も地域おこし協力隊として3年前に郡上にやってきた吉田さん。日本仕事百貨での募集がきっかけだった。

小野木さんとともに運営する宿「山ノひゃくせい」は、当時から吉田さんがフィールドとしてきた母袋という集落にある。

「協力隊のときに『この物件は民宿にしたらきっといいだろうな』って思って、職務放棄かもしれないけど、人が来ても紹介しなかった(笑)。いずれ自分で借りて何かやろうって」

宿をはじめたのは、どぶろくを製造・提供するのに拠点が必要だったから。

とはいえ、そのどぶろく自体もひとつの手段なのだそう。

「きっかけは米が売れないって話で。田んぼをやってる地元の人に聞くと、二束三文にしかならないと。なんでやってるの?っていったら、地域の景観と先祖伝来の土地を守るため。…いや、すげえかっこいいけど、辛くない?と思って」

「だったら、もうちょっと付加価値つけて売れるような仕組みをおれらでつくれないかな。自分でも米つくってみたいし。そんなはじまりでしたね」

暮らしはじめて3年が経った今では、地元の人からお墨付きをもらうほど、地域の文化や地理に詳しいらしい。

それにしても、吉田さんはなぜ、この地域にそこまで深い思い入れを感じているのだろう。

「やっぱり、それだけの恩をこの郡上に感じているというか。一番は人が面白いんですよね。気持ちのいい人が多くて」

郡上には、さまざまな仕事を組み合わせて百姓的な暮らしを営む人が多いそう。

先日の台風が上陸した日。まだ過ぎ去って間もない22時ごろに、地域のおじちゃんから「明日片付けるぞ」と電話があった。

「今風止んだところだぞ?と思いつつ。で、次の日には本当にきれいに片付くんですよ。壊れた道路も、倒木も。普通、業者が2〜3日かけて直すところを、勝手に自分たちでやっちゃう。そういうバイタリティというか、生きる力の強さを見ていると、まあ飽きないですよね」

プロジェクトを通じて実現したいことや、思い描く未来像もある。

ただ実際に現場に入ってみると、貢献できることよりも、享受することのほうが圧倒的に多いという。

自分が心からやりたいことを、やり抜く。身の回りで起きるよいことも悪いことも、まず受け止めて前に進む。

そんな地域の人たちのあり方こそ、郡上カンパニーの目指す“根っこのある生きかた”なのかもしれない。

 

再び、ディレクターの岡野さん。

「どうしたらそんな“根っこのある生きかた”をつくれるかなと考えたときに、一番手っ取り早いのがその土地で、しっかり『あそぶ』ことだなって」

あそぶ。

「プログラムの一年目は月イチで研修をやっていて。2日間のうち、1日は川で遊んだり、焚き火をしたり、山に行ったり、フィールドに入ることをすごく大事にしているんです」

「豊かな自然に存分にひたって一緒に遊ぶと、仲間とも本音で会話ができるようになるし、自分自身とも素直に向き合えるんですよね」

郡上は、日本三大清流のひとつである長良川の源流域。国内有数の豊かな生態系が残る地域だという。加えて、400年にわたって続く郡上おどりのような文化もある。

豊かな自然や文化、そして郡上の人たちと触れ合うなかで、自分の根っこが見えてくる。

「でも、この土地に根ざして養分を吸いとって搾取するばかりでは意味がないよな、とも最近思っていて。ゆくゆくは、自分たちがお世話になっているこの長良川の源流域の生態系を回復していくような、そんな取り組みにまでなっていくといいなって思います」

地域から受けた恩恵を、どう返していくか。それは、どのプロジェクトにも共通の目標なのかもしれない。

この日の夜は、空き家活用プロジェクトによって生まれたシェアハウス「タテマチノイエ」での懇親会に参加させてもらった。

お酒片手に鍋をつつきながら、各プロジェクトについての感想や意見が場に共有されていく。

昼間の発表にもあったように、それぞれが壁にぶち当たったとき、さらけ出せる場があることが郡上カンパニーのよさなのかな、と感じる。

カンパニーという言葉の語源は、「パンを分け合う仲間」。プロジェクトの壁を取り払って横に目を向ければ、デザイナーやアーティスト、不動産のプロや旅人など、いろんな経歴やバックグラウンドをもった人たちがいる。

この輪のなかに自分が入ったら、何ができるだろう。そんなふうにワクワクしたら、このカンパニーの一員に加わるのもいいと思います。

(2019/10/23 取材 中川晃輔)

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