求人 NEW

渋谷で出会う
まだ知らないアジア
生まれ変わるまちから

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

再開発も終盤。少しずつ、新しいまちの形が明らかになりつつある東京・渋谷。

ここからスタートする、新しいブランドを紹介します。

手がけるのは、DEAN & DELUCAなど、本質にこだわった食のプロデュースを手がけてきた株式会社ウェルカム。

渋谷にできるホテルのレストランを1号店として、新しいプロジェクトが動き出しています。

テーマとなるのはアジアの食。ヨーロッパやアジアの国々を旅してきた料理人の境哲也さんが、日本の生産者からこだわりの食材を仕入れながらメニューを開発していく予定。

今回は、オープニングスタッフとしてキッチンやホールに立つ人を募集します。

まずはこの新しいお店のオープンに向けてやることがたくさんあるのですが、その後はひとつのお店にとどまらず、いろんな広がりを見せる可能性がある“プロジェクト”です。

ブランドを1からつくっていく草創期だからこそできる経験がたくさんあると思います。


訪ねたのは、神宮前にある株式会社ウェルカムの事務所。

食やデザインなどいくつものブランドを運営する、ウェルカム。ミーティングスペースでは、いつもいろんな人が打ち合わせに集まっている。

ここで話を聞いたのは、新しいブランドの立ち上げに携わるお二人。もともとDEAN & DELUCAで営業を担当していた中井さんと、総料理長を務めてきた境さん。

来年の開業に向けてプロジェクトチームが発足したのは2ヶ月ほど前のこと。今のところメンバーは二人だけなので、これから入るスタッフも一緒に中核を担うことになる。

レストランで提供する食のコンセプトは“アジア”。

最近も、二人でベトナム・ホーチミンへ視察に行ってきたという。どちらも旅好きであるという共通点を持ったお二人。

まずは中井さんに、レストランができる場所のことについて教えてもらう。

「我々がお店を出すのは、渋谷のホテルの中です。原宿から近いこともあって、きっと海外のお客さんもたくさん来るんじゃないかと思います」

これまでも様々なカルチャーシーンをつくりだしてきた渋谷。

ファッションやアート、まちを歩くだけでもいろんな刺激に触れられる。

再開発で生まれ変わったエリアに遊びに来る人に、いろんなバックグラウンドを持つホテルの旅行者も加わって。このレストランは、国籍も年齢もさまざまな人が交わりあう場所になるはず。

中井さんたちは、渋谷のまちづくりをするような気持ちで、このプロジェクトに向き合っているという。

「東京って、本当に小さな面積のなかにいろんなまちがあって、それぞれに個性が違っている。僕は仕事をするうえで、どのまちに身を置いて働くかっていうことをとても大切にしていて。この会社に入ったのも、まちづくり的な興味が強かったんです」

12年前、東京ミッドタウンにあるDEAN & DELUCAのショップの、オープニング店長としてウェルカムに入社した中井さん。

外食やブライダルの仕事を経て30代を迎え、自分でお店を持って独立するという別の選択肢も考えていた。

「でもやっぱり、大きな新しいお店の立ち上げに関わるってなかなかできないことだし、やってみたいと思って」

お店の運営や採用に携わるなかで、自分と同じように将来を考える若手の相談を受けることも。

「お店で働くスタッフのなかにも、将来自分で飲食店をやりたいっていう人は多いです。彼らにいつも言うのは、『その夢を叶えるためには、自分がつくろうとイメージしている規模より大きなお店で、経験を積んだほうがいいよ』っていうこと」

メニューを整えたり、オペレーションを一から考えたり。備品の調達にハウスルールづくり。

新しいお店の立ち上げには、ほかでは体験できない要素がたくさん詰まっている。

今回の場合は、ブランドの立ち上げでもあるので、一個の「お店づくり」以上の刺激もあるはず。

新ブランドが関わるのは、ホテルのなかのカフェとレストラン。

野菜たっぷりのモーニングビュッフェからはじまり、ランチ、ディナーと、1日のなかでサービスを変えながら食を提供していく。

「今回は、バーテンダーやソムリエのような、お酒に興味がある人にも来てほしくて。お店ではビールとサワーだけじゃなくて、ワインや日本酒、あとは泡盛ベースのカクテルにも力を入れていきたいなと思っています」

中井さんが見せてくれた、新しいお店の組織図にはまだ空欄がいっぱい。

キッチンにホール、これからここに新しいスタッフが入って、形ができていくんだなあ。

「お客さんだけじゃなくて、働くスタッフにも多様性があるといいなと思っていて。経験に応じて、アルバイトか正社員か入り口は選べるし、主婦や留学生など、いろんな個性を持った人の力でお店をつくっていきたいんです」

「ゆくゆくはイベントのディレクションみたいなこともお店のスタッフでできるようになるといいなと思っていて。イベントに合わせて、料理や飲み物を提供するとか。そういう企画の経験があれば活かすチャンスも多いと思います」

いろんな人たちがまじわる場所。

その中心にくる料理はどんなものになるんだろう。メニューの開発をしている境さんにも話を聞かせてもらった。

もともとはDEAN & DELUCAで地中海料理を手がけていた境さん。

アジア料理は、新しいジャンルへの挑戦ということですね。

「今回のお店は、タイ料理、ベトナム料理のように、特定の国の専門店というよりは、東から西までアジアの幅広い地域からいろんな要素を取り込んだ、新しいジャンルのアジアンダイニングにしたいんですよね」

「映画の『ロスト・イン・トランスレーション』みたいに、西洋から見たアジアみたいな視点で表現できたらおもしろい。だからスタッフも、西洋料理とか日本料理とか、いろんなジャンルで調理を経験してきた人と一緒にやれたらいいなと思っていて」

異国としての日本やアジア、その食文化。たしかに、ホテルに泊まる旅行者にとっても、渋谷によく遊びにくる人にとっても、新鮮な体験になりそう。

境さん自身、旅することが好きで、これまでヨーロッパやアジアなどいろんな国や地域の食を体験してきた。

スーパーに並ぶ食材からハイエンドのレストラン、屋台、家庭料理に至るまで、いろんなものを現地でインプットしていく。

「料理を学びはじめたのはフランスだったから、最初はアジアの料理にはあんまり興味がなかったんです。パクチーも嫌いだったし(笑)。ただ、フランス人の親方にはじめてバンコクに連れて行ってもらったときは衝撃的でしたよ。テイストの力強さとか、人のエネルギー、おいしいっていう感覚が全然違うんです」

それは、スパイスとかの力でしょうか?

「うーん、それもあるんですけど、なんでしょう。うまく言えないですね」

本で読んだり、頭で想像したりするのとは違う旅の体験。境さんが旅先で撮ってきたという写真には、鮮やかな食材の映える料理と一緒に、現地の人の営みが写り込んでいる。

その土地の気候や風土のなかで育まれた食文化。

新しいメニューを開発するときは必ず本場に足を運ぶというのが、料理人としての境さんのルールなのだそう。

同じ食材でも地域によって、少しずつ違う料理になって親しまれているのがおもしろいという。

そんな境さんが、今からお店をつくっていくためのキーワードとして考えているのは、お米とクレイポット、つまり土鍋だ。

「どちらもアジアの広い地域で共通して使われている食材と道具なんですけど、使われ方がそれぞれの国で違っているんです。たとえば土鍋だと、日本のような煮炊きはもちろん、炒めたり、蒸したり、いろんな広がりがあるアイテムなんですよ」

「お米のほうも、ご飯や麺だけじゃなくていろんな食べ方がある。砕いてサラダに入れたり、ライスペーパーを戻さずにそのまま使って食べたり。お店ではフォーも出したくて、ゆくゆくはスピンアウトしたフォーのお店ができてもおもしろいかなと思うんです」

これからまずお店がひとつできたら、そこからデリのお店へと展開したり、瓶詰などの製品をつくったり、もしかしたらオリジナルの土鍋の開発という展開もあるかもしれない。

料理や接客だけでなく、うつわなど、食にまつわる関心は活かすチャンスがありそう。

本場のものをコピーするだけでなく、日本だから表現できるアジアの味。

境さんは、いろんなメニューに使うお米を、新潟の生産者さんから仕入れる計画を立てている。

「海外からのお客さんも多いと思うので、そういう日本の食材のよさも知ってもらえたらなと思っているんです」

これまでもDEAN & DELUCAのデリや、イベントなどでもアジア料理を手がけることがあったという境さん。

タイのさつま揚げをつくるときには“バイマックル”という柑橘系のハーブの代わりに鹿児島産レモンの葉っぱを刻んで使うなど、日本の味覚をアジア料理に取り入れる方法を探ってきた。

何かを再現するだけではないからこそできる工夫。

キッチン担当として入る人も、ゆくゆくは一緒にアイデアを出せるといいかもしれない。

メニューのフレームは境さんが中心になって考えていくものの、それを味わうための空間はみんなでつくっていく。

「僕たちはキッチンにいて、お客さんのリアクションが頻繁に見られるわけじゃない。だからホールスタッフが見たり聞いたりすることがヒントになることも多いんです」

「これから入るスタッフは、新しいブランドを一緒に立ち上げていく仲間だから。僕たちとは違う視点とか興味を持った人が来てくれると、いい化学変化が起きるんじゃないかと思うんですよね」

自分たちの思いを届けるだけでなく、まちや人からも刺激を受けながらブランドは育っていくはず。

1年後、10年後、どんなブランドに成長しているだろう。今から楽しみです。

(2019/11/29 取材 高橋佑香子)
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