求人 NEW

地球の一部として
食べ生きる
正しさへの探求

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「食って生きていく上でとても大切なことでしょう。それなのに正しくやればやるほど稼げない仕組みになっている。それがすごく悔しいし、チャレンジしてみたいところなんです」

そう話してくれたのは、tamaki niimeの代表である玉木さん。

tamaki niimeはショールをメインにつくっているアパレルブランドです。

兵庫・西脇で続く播州織を再解釈。コットンを育てるところから、糸を染め、織り、縫い、販売するところまでを自分たちで行っています。そして、すべてが1点ものになる作品をつくり続けています。

常識にとらわれず、自分たちが正しいと思えるやりかたを追求していく。

その姿勢を貫きつつ、新たに挑戦するのが食のプロジェクト。地球に感謝しながら、食べものをいただく場をつくることになりました。

料理人として自分で腕をふるう人も、猟師として食材を見つけることのできる人も、全体をコーディネートしていく指揮者のような人も。ディスカッションを重ねながら、プロジェクトを育てていく人を募集中。合わせて、グラフィックや映像などのデザイン、Webの制作、東京を拠点に営業を担当する仲間も探しています。
  
  

向かうは兵庫県西脇市。

大阪から電車を乗り継ぎ1時間半。車窓から見える低い山々を眺めているうちに、日本へそ公園という名前の駅に到着する。

「tamaki niime Shop&Lab」へ向かう田んぼ道を歩いていると、自転車ですれ違う中学生が「こんにちは」と挨拶して走っていった。
取材でここを訪れるのは半年ぶり。

来るたびに植物が増えたり、あたらしい看板ができたり。いい気がめぐる場所になるよう、日々変化しているのが感じられる。

扉をあけると、白い空間に浮かぶさまざまな色が飛び込んでくる。外ののどかさとは違う空気が流れていて、清々しい気持ちになる。

やわらかさを追求したショールや服が並ぶ空間を抜けて、織り機が働くスペースへ。

ガシャンガシャンと音が響く工房では、糸を染め、織り機を動かし、ミシンで縫うスタッフの姿。みんなテキパキ、無駄なく働いているのが伝わってくる。

空気のような着心地を追求したやわらかな生地づくり、自分たちで育てるオーガニックコットン、すべてが1点ものになるような染めや織りの工程など。ブランドを立ち上げてから13年、業界の常識にとらわれず、自分たちが正しいと思えるものづくりを探求し続けてきた。

次にはじまるのはどんなプロジェクトなのか、代表の玉木さんがニコニコしなが話してくれる。

「次はね、食です。食べものの循環を感じられるような、地球に感謝しながら食事ができるような場所をつくりたいんです」

玉木さんが“地球にやさしく”というテーマを掲げるようになったきっかけは、ヨガをはじめて「動物にも迷惑をかけない」という思考に出会ったこと。

どれだけいい作品をつくってもその過程でゴミが出てしまうこと、これだけものが溢れるなかでむやみに消費を増やしたくないこと。ブランドが大きくなってきたころ、今後の方向性について考え悩む時期があったそう。

そこで出した答えが、持続していくブランドであるために、地球になるべく迷惑をかけず循環の一部になるものづくりを実践していくことだった。

思い立ったら即行動。オーガニックコットンを積極的に使ったり、草木染めにも挑戦したり。玉木さん自身は、動物性のものを食べない生活を3年続けてみたこともあった。今は命の循環に感謝し、人にも地球にも優しい生活を目指しているそうだ。

今は農業にも力を入れていて、建物に併設しているtabe roomでは育てた野菜を使ったヴィーガンのまかないごはんを、お客さんもスタッフと並んで食べることができる。

新しい食の場は、その延長線上にあるプロジェクトなんでしょうか。

「私個人は動物性のものを極力食べないけど、素材を活かして料理ができるなら動物性のものを使ってもいいと思う」

「地球の一部として人間がどう食べていくといいのか。一緒に考えていくような場所にしたいんです」

新しい場所は、今駐車場として使っているスペースに建設予定。食事ができることを中心にしつつ、食べているものが循環していることが見えたり、tamaki niimeの思考を感じてもらえるような場所にしていきたい。

玉木さんはこの半年で、日本仕事百貨でも紹介したフードハブ・プロジェクトKURKKU FIELDSなどを視察。自分で農業の学校にも通いながら、どんな場所にしていくのがいいか考えているそうだ。

「KURKKUさんでは水牛が目の前にいて、あの子たちからつくったチーズを食べることができる。目で見えて、体感できるっていうのはすごくいいよね。牛さんたちがほんとにかわいくて、連れて帰ってきたいくらいだった」

これまで見てきたものを参考にしつつ、さまざまなアイディアを話してくれる玉木さんはとても楽しそう。

今のところ食堂的な機能がメインになりそうではあるものの、食について学べるスクールのような役割を持ったり、牛を飼って共生していくようなこともあり得るかもしれない。この取材を終えたあと、あたためていた卵が孵り、3羽の黒い烏骨鶏が仲間入りしているそう。

「これからの地球にとって、循環できる食のあり方みたいなものを追求していきたい。私もまだ答えを持っているわけじゃないから、どう続けていくのが自然な仕組みなのかを一緒に考えたいんです」

「環境のためだからって説教したり、苦しみながらやるのは違う。私たち自身もワクワクしながら、日々探求していきたいんです」

たとえば料理人として経験のある人が来てくれたら、循環を感じる料理はどんなものなのか考えるところからはじめてもいい。料理の経験はなくても仕組みをつくるのが得意な人ならば、お客さんがどんなものを見て、体感するといいのかを一緒に考えていきたい。

まだないものを形にしていくとき、大切なのは辛抱強くディスカッションを続けること。誰よりも好奇心と探究心のある玉木さんとともに、本当にいいと思える形を模索していきたい。

「うちのものづくりはスピード感を持ってやっています。クラフトっていう感じではないんだよね。とは言えtheアパレルっていうほど大量生産もしていない。食にスピードや生産性とバランスをとりつつ、自分たちがいいと思えるものをつくっていきたいんです」
「2021年の1月に、NEW shop & tabe roomがオープンします。これからの地球にとって循環していく食ってどんなものか、自分で探求しながらもチームをつくっていける指揮者のような人。料理ができる『がんちゃん』みたいな人に来てほしいんです」
がんちゃんは、染めの工程のリーダーとして働いているスタッフ。チームのことを考えつつ、自分自身も染めに対する探求を続けている人。

せっかくなので時間をもらって、話を聞かせてもらうことに。

学生のころはカメラの専門学校に通い、スケボーやBMXなどアクションスポーツをする人を撮影していたそう。スキー場でバイトをしながら、スノースポーツの技が決まる瞬間を撮っていた時期もあった。

「吹雪くと撮れないから、時間をつぶすものがないんですよ。それで編みものを教えてもらって、ニット帽を編んでいたのがものづくりに関わるはじまりです」

「だんだん糸を買ってるだけじゃつまんないなって。紡ぐところからはじめてみたり、染色をしてみたりして。どんどんおもしろくなって、自分でつくったものを知り合いの店に置かせてもらったりもしていました」

時間つぶしではじめた編みもの。そこまでのめり込んでいくポイントはなんだったんでしょう。

「世界に1つしかないものができる感じ。あとは時間がものに残るっていう感じかな。単純作業ではあるんですけど、紡いでる時間、その行為が楽しかったんですよね」

そんながんちゃんがtamaki niimeと出会ったのは、地元にあるセレクトショップ。美しさに惹かれるとともに、ひとつひとつ違うものをつくっていても流通に乗り事業として成り立っている秘密を知りたくなったそう。

スタッフを募集していることを知り、ここで働くことになったのが2年半前のこと。

「来てみたら経験者で染めをやってる人はいなくて。知ってる人に聞いたり、自分で染料屋さんに教えてもらいに行きながら、ようやくできるようになってきた感じです」

「基礎さえ落とし込めれば、なんでもありな世界なんです。それがすごくおもしろい。好きにやっていいよっていう会社の考え方も、肌に合ったのかもしれないですね」

今は3人チームで染めを担当。黙々と、そして手際よく、日々大量の糸を染めている。

そのなかで少しずつ染料の配合を変えてみたり、あえてむらができるように染めてみたり。1本1本違う糸をつくることが、すべて1点ものと言える作品づくりにつながっている。

tamaki niimeの作品づくりで求められるのは、日々必要な量を染めながらも、常に新しい挑戦を続けていくこと。

「勉強して、自分がやったことのない染め方をしてみるのはすごくおもしろいんです。だけどあるタイミングを超えると、本当にこれでいいの?って思うようになってくるんですよ」

既存のやり方では満足できなくなってくる?

「そう。たとえば藍染も世の中にはたくさんあるじゃないですか。それをtamaki niimeらしくしたらどうなるの?って考えていかないといけない」

「いかに濃くするかだと言われる藍染だけど、あえて浅く染めてみたっていい。染液につけるのが常識的だけど、スプレーでシュッシュって染料を吹きかけてみたんです。そしたらすごくおもしろい感じになった。すごく主観ではありますけど、やべーのできた!って瞬間はワクワクしますよね」

自分から外部のワークショップに参加したり、新しい染めの実験をしてみたり。がんちゃんは探求できる環境を活かして、とても楽しく働いているように見える。

「好きにしていいって、ある意味プレッシャーはありますよ。自由に探求させてもらっている分、結果が求められる。そこはある意味シビアな現場だと思います。社長はすごくストイックな人だから、ついていけずに辞める人もいます」

「でもプレッシャーがあることが、働くっていうことなのかもしれないなって。自分ができるかぎり探求をして、今のベストで返していく、常に更新し続ける。大変だけど、考えつづけるのは楽しいんですよ」

常識にとらわれず、正しさを貫く。

衣と食で分野は違っても、ものづくりに柔らかく、そしてまっすぐに取り組む仲間がいます。ともに新しい場をつくることにいい予感がしたら、ぜひ西脇に会いに行ってみてください。

(2019/3/26 取材、2019/10/25 追加取材 中嶋希実)
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