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カフェに行くと、会話を楽しんでいる人はもちろん、集中して仕事をしている人の姿もよく見かけます。
リラックスしているオフの自分と、集中しているオンの自分。
どちらの自分でも心地よく過ごせて、つい長居してしまうような場所に、人は通いたくなるのかもしれません。
集中したいときも、リラックスしたいときも訪ねたくなる場所を目指して。今年の6月1日、JR横浜駅直結のJR横浜タワー内に新たなワークスペース「STATION SWITCH」がオープンします。
個人や法人を対象とした会員制のスペースで、ビジネス利用はもちろん、プライベートでも気軽に利用してもらえる場所を目指しています。
今回は、このワークスペースの運営スタッフを募集します。
受付業務やイベントの企画、会員さんとの日々のコミュニケーションなどを通じて、自然とつながりが生まれるような居心地のいい空間をつくっていく仕事です。
このワークスペースの企画を担当した㈱ジェイアール東日本ビルディング(通称:JEBL,以下、ジェイビル)、そして運営を委託されているコクヨ&パートナーズのみなさんにお話を聞いてきました。
JR新宿駅南口を出て、ビル街を歩くこと5分。ジェイビルのオフィスに到着した。
まずはじめにお話を聞いたのは、初期からプロジェクトに関わってきたジェイビルの芝原さん。
「今から6年前に、JR横浜駅直結の複合施設をつくることが決まって。そこにワークスペースを開設することになり、その企画をジェイビルが担当することになりました」
ジェイビルは、オフィスビルの運営管理を担う会社。
大型のオフィスビルを法人に貸し出すサービスを長年続けてきたなかで、オフィスや働き方の変化を感じているという。
「会社に来て働くのは、もはや当たり前ではなくなってきていますよね。働く場所も、時間も、選べるようになってきています。そんな時代だからこそ、より自由で柔軟な働き方に対応した、新しいワークスペースが必要だと考えました」
「とはいえ、ジェイビルにとっては初めての分野でしたので、ワークスペースに詳しい方に協力してもらおうと、コクヨ&パートナーズさんにお声がけをしました」
渋谷ヒカリエの『Creative Lounge MOV』をはじめ、さまざまな施設を手がけてきたコクヨ&パートナーズ。
そのノウハウをもとに、3年前から共同で施設の計画を進めてきた。
「3年前というと、世間ではすでにフリースペース形式でビジネス利用できるシェアオフィスが増えはじめていて。そのなかで、自分たちはどんな空間をつくるべきなのか、とても悩みました」
ワークスペースが入るJR横浜タワーは、26階建のうち11階までが商業施設で、そこから上はすべてオフィステナントの入居を予定している。
商業施設には、映画館やイベントスペース、屋外広場もある。きっとさまざまな目的の人たちが、ここをめがけてやってくるはず。
「ワークスペースができるのは12階と13階で、ちょうど屋外広場の真横に位置します。土日はお子さま連れからご年配の方まで、たくさんの人で広場が賑わうと思います」
「そういう場所にできるワークスペースだから、休日にも気軽に来てもらえるような空間にしたい。ビジネス利用とプライベート利用、両方に応えられる施設にしようと考えました」
プライベートでも、ですか。
「お休みの日、プライベートな時間であっても、何かに集中して取り組みたいときがあると思います。カフェでも、土日や平日問わず、自己啓発や資格の勉強、あるいは趣味の活動のために作業をしている人も多い。そういう目的でも使ってもらいたくて」
「それに、仕事中でもオフモードになることで良いアイデアが浮かぶ場合もあるし、休日にオンモードで集中して勉強したいときもある。その意味でも、ビジネス利用とプライベート利用、オンとオフが交差している空間にしたいと思いました」
仕事の日のオンとオフ、休みの日のオンとオフ。
この4つを自由にスイッチしながら利用してほしいと、施設の名前は「STATION SWITCH」に決まった。
でも、オンオフの切り替えって、きっかけがないとなかなか難しいような気もします。
「たしかに、オフィス内では気分の切り替えも難しいですよね。休憩中は一度外に出る、という人も多いかもしれません。スムーズにスイッチしてもらうために、STATION SWITCHではフロアによって利用目的を変えています」
13階では、私語は禁止。仕切りのついたブース席を多数用意し、オンモードで自分の世界に没頭できるようなつくりになっている。
一方12階は、リラックスできるように天井も高く開放的な空間に。
自由に会話してもいいし、コーヒーや軽食を楽しめるスペースもある。
フロアによって目的が明確だと、過ごし方にもメリハリがついてよさそう。
13階にいるときは互いに干渉しないし、12階で過ごしている間は知らない人でも話しかけてみよう、という気持ちになる気がする。
「各階の本棚に置く本も、種類をがらっと変える予定です。椅子や照明も少しずつ違いがあるので、その時々の気分によって、自由に使いわけていただけたら」
ジェイビルのみなさんにとってはじめての試みであるのはもちろんのこと、似たようなコンセプトのワークスペースはまだあまりない。思った通りにいかないこともあるだろうけど、試行錯誤の過程も一緒に楽しみながら場をつくっていけることが大切だと思う。
次に話を聞いたのは、芝原さんと一緒にSWITCHの企画を担当している荻野さん。
「昨年の10月から、このプロジェクトに参加しています。5月のオープンに向けて週に2〜3回会議があるのですが、一つひとつ、すごくこだわって進めていて、はじめは驚きました」
「無料のコーヒーサービスの導入も、半年ぐらい話し合って、この前ようやく決定しました。どんなサービスを、なぜ提供するのか。感覚ではなく私たちなりにきちんと理由を考え、全員が納得した上で結論を出すようにしています」
このサービスにも、コーヒーの香りやドリップの作業を通じてオンとオフのスイッチを切り替えてほしい、という想いが込められている。
今は、コーヒー豆をどこから仕入れるかでさらに議論が続いているところ。
「もちろん、今挙がっているアイデアがすべてではないと思っています。お客さまの声を聞きながら、STATION SWITCHをアップデートしていきたい。そのために、運営スタッフの意見がすごく大切だと思っていますので、会員さんのよき代弁者として、アイデアを出してほしいですね」
お客さんから直接リクエストを聞くのはもちろん、日々の業務や日常のなかにも、ちょっとした気づきの種は転がっているはず。
「人気の本や、よく人が集まる場所を観察したり、その理由を考えたり。そんなことから、施設をよりよくするアイデアを広げていってくれたらいいなと思います」
ここで働くスタッフは、具体的にはどんな仕事をすることになるんだろう。
「会員さんとの会話や利用案内といったコミュニケーションはもちろん、受付業務や予約の管理、契約手続きなど、事務作業も結構あります。加えて、積極的に会員さん同士をつなぐ役割もしてほしいですね」
オンとオフの役割をもつSTATION SWITCH。ビジネス文脈でのネットワーキングだけでなく、同じ趣味をもつ会員同士をつなげてもいい。
大人になってから、仕事以外で人と知り合うきっかけは案外少ないし、思わぬ出会いから視野が広がることもある。
運営スタッフは、そのきっかけをつくっていく仕事だと思う。
「会員さんには、自分の中にいるさまざまな価値観に思いをめぐらしたり、さまざまな人と交流することで、新しい生き方や働き方について考えるヒントを得てほしい。この施設を使ってどんなことができるのか、来ていただくスタッフさんと一緒に考えていきたいなと思います」
交流のきっかけをつくるためには、どんなことができるだろう。
ここから話に加わってくれたのは、コクヨ&パートナーズの加藤さん。
新規案件の立ち上げに携わってきた加藤さんは、その経験をもとに、STATION SWITCHにもサービスマネージャーとして関わることになっている。
ここでどんなふうに交流のきっかけをつくるのか、なにを仕掛けていくのか。
それを考えるにあたっては、コクヨ&パートナーズが運営している、ほかのスペースでのイベントや企画などが参考になるかもしれない。
「会員さんのニーズに合わせてどんどんアレンジを加えつつ、良い要素は取り入れていきたいと思っています」
「たとえば渋谷のCreative Lounge MOVでは、年に一度『MOV市』を開催していて。MOVを一日開放して、会員さんにワークショップや出店をしてもらうんです。その日は誰でも入場できるので、大人の文化祭みたいになるんですよ」
はじめて訪れる人にMOVについて知ってもらえるのはもちろん、会員さん同士も互いを知るきっかけになっている。
「あとは、会員さん同士の交流を目的に、パーティーやワークショップなどを企画しています。会員さんに協力してもらって、企画をたてることも多いですね」
ただ、イベントの企画は仕事のほんの一部。華やかさだけに目を向けていると、働きはじめてからギャップを感じるかもしれない。
「イベントの企画に比べると、事務作業は少し地味に感じるかもしれません。でも、すべての仕事を通じて、STATION SWITCHという場ができていく。ここへ来てくれる人にハッピーに過ごしてもらうためのものだと思うんです」
スムーズな対応や日々の挨拶など、ちょっとしたことの積み重ねが居心地のよさにつながっていく。
「あの会員さんいつもより元気ないなとか。些細な変化にも気がついて声をかけてあげられることが大切だと思っています」
「ここに来た会員さんが、『今日こんな事があったんだ』って話をしてくれたり『ただいま』って言ってくれたりする。そんな関係性ができたら嬉しいですね」
会員さんに何ができるだろう。何をしたら喜んでもらえるだろう。
そんなふうに考えて行動することから、関係づくりは始まるんだと思う。
「STATION SWITCHは、来てくれた人がいろいろなモードで過ごせる場所。スタッフも、仕事はもちろん趣味や学びの時間など、自分のなかにあるいろいろなスイッチの切り替えを大切にしてほしい」
「仕事とプライベートって、思いがけないところでそれぞれ役に立ったりもする。仕事以外に夢中になれるものがある人っていいなと思うし、今はそれがない人も、ここでたくさんの人と交流するなかで、新しい可能性に出会えるんじゃないかな」
「仕事はオンで、プライベートはオフ」と、はっきり分かれる二択ではなく、自分の意思でオン・オフを決めていく。
そんな空間にいるからこそ、面白いアイデアや思いがけない出会いが生まれるのかもしれません。運営スタッフは、そのきっかけをつくっていく仕事なんだと思いました。
(2020/02/20取材 鈴木花菜)