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「北海道に戻ってくるときから、将来は北海道知事になるんだって言っていて。高い志を持って発信することで笑われることもあったし、悔しい思いもたくさんしました。だけど10人のうち1人くらいは本気で応援してくれる。一緒に目指そうぜっていう仲間がいる。そういう人たちと仕事をしていきたいと思っています」
そう話してくれたのは、ノースアンビシャスの田中さん。創業して4年目を迎えようとする今も、北海道を背負っていくという気持ちはそのままに、進み続けています。
株式会社ノースアンビシャスは、北海道を舞台にWebや映像などクリエイティブの制作やマーケティング、まちづくり、採用のコンサルティングなど、さまざまな仕事を展開しているベンチャー企業。
コアメンバー3名に加え、フリーランスや副業で関わる15名ほどのパートナーとチームをつくりながら、日々仕事をしています。
今回はあらたなコアメンバーとして、事業を創るプロデューサーやWebディレクター、Webマーケッターを募集します。ある程度スキルがあって事業を任せていけるような、頼もしい人を探しています。
仕事を通して仲間を増やしながら、ともに北海道を熱くしていくのが仕事です。
2月の札幌は、想像通りの雪景色。
ノースアンビシャスの事務所へは、最寄りの地下鉄南北線北18条駅から歩いて7分ほど。マンションのドアを開けると、爽やかな雰囲気の3人が出迎えてくれた。
まずは代表の田中さんに、話を聞かせてもらうことに。
「僕は北海道生まれ北海道育ちで。子どものころから生徒会長をやったり、クラスのリーダーみたいな役割を買って出る子どもでした。なんでしょうね、昔から漫画に出てくるリーダーとか、幕末の坂本龍馬や戦国時代の真田幸村とか、主人公的なやつが好きなんですよ」
冗談を織り交ぜながらもハキハキと話をする田中さんは、現在28歳。
ノースアンビシャスを起業したのは4年前のこと。若くして起業するまでに、どういう経緯があったのでしょうか。
「大学進学を機に東京に行ったんですが、大学は自分の居場所じゃないと感じ、入学式の時点で辞めようと思いました。好きな本の著者に連絡をとったり、経営者に会いに行ったり、政治家の勉強会に参加してみたり。気になる人がいたら会いに行くような生活をしていたんです」
「そうしているうちに、たまたま同じ北海道出身で会社を立ち上げようとしている方と出会いました。最初は丁稚奉公みたいな感じで出入りするようになって、結果的には会社の創業から携わらせてもらう経験をしました」
そのベンチャー企業では“身近な人からファンを増やす”という価値観を大切にしながら、当時流行りはじめたSNSやWebを使った企業の採用やマーケティング支援やコンサルティングを行う会社。
インターンとして関わりはじめた田中さんも日々変わる状況のなかで、気がつけば社長の右腕としてさまざまなことを経験。22歳でグループ会社の代表を任されながらも、最終的には故郷の北海道での独立を決める。
「東京の会社では、自分がなにをやりたいのかを常に仲間に発信し続ける環境があって。僕自身ずっとぶれなかったのが北海道。いつか北海道を背負うリーダーになるんだって思い続けていたんです」
北海道を背負う。大きな野望ですね。
「僕、昔から思い込みが激しいんですよ。将来の北海道は俺にかかってるって、勝手に思い込んでいて。政治家になりたいわけではないんですけど、北海道を引っ張るリーダー、北海道を経営するんだって思いがあって。まずは北海道で伝説になる会社をつくりたいんです」
大きな夢をさらっと語る田中さん。名を馳せようとギラギラしているわけでもなく、口先だけで話しているような感じもしない。
まっすぐに、自分の信じていることを口にしているといった様子。
「といっても最初はなにをするか決めていなくて。あたらしく挑戦した事業も、失敗したこともたくさんありました。行き着く先は、どれも北海道の価値を高めていくこと。仕事をしながら北海道を知って、自分なりに考えていけばいいかなって。そうして必死にやっているうちに、多くの人からチャンスをいただいてきたんです」
たとえば、北海道庁が推進していた「北海道150年事業」のWebサイトや動画を制作したり、道内の信用金庫と提携して地域を紹介する映像を制作したり。
Webマーケティングや映像制作など、東京での経験を活かしながら、できることを中心に仕事をつくってきた。
仕事を通して気がついたことは、北海道には魅力もあると同時に、たくさんの課題もあること。そして同世代でも思いを持ってがんばる仲間もたくさんいるということ。
「北海道は日本の縮図だと言われていて。札幌への人口一極集中や少子高齢化、インフラ維持など、多くの社会的な課題がある地域です」
「それでも地域の中には、愛情を持って未来を真剣に考えている人がいるんです。外から正解を持ってきたり、求めるものではないんだなって。たとえば少しだけ見せ方を変えたり、ちょっとしたことを整理するだけで、地域の魅力はもっと高まるし、町の未来はきっと良くなるんです」
今関わっている仕事のひとつが、スノーリゾートで有名なニセコ町で、2030年以降も持続可能に発展するまちづくりのプロジェクト。
観光客の増加に乗じて乱開発が行われている中で、人間にも経済にも、そして環境にも良い町をつくることをテーマに、あらたな挑戦がはじまろうとしている。
田中さんはそのなかで、単にマーケティングを仕掛ける人でも、外部のコンサルタントとして関わっているわけでもない様子。プロジェクトチームの1人として、一緒に町の未来を考え、北海道でも課題を解決していく一つのモデルにしていこうと考えているそう。
「今の僕らの事業のベースは、自治体や企業のマーケティングやプロモーション、採用のコンサルティングといったクライアントワークです。最近は受託のみならず、さまざまな組織の一員として、事業の根本から一緒に考えるようなことも増えてきました」
「これまでの事業も伸ばしていきたいし、同時に、あたらしい事業やプロジェクトもスタートさせていきたい。事業を通じて北海道の課題を解決し、結果、北海道の価値をどう高めていくか。それが僕らの目指すところです」
そんな田中さんとともにノースアンビシャスを創業し、一緒に会社を経営してきたのが小坂さん。
しゃきっとした田中さんとは対象的に人懐っこい感じの方で、主に映像やコンテンツ制作の事業を担当している。
田中さんとの出会いは、前職のベンチャー企業。独学ではじめた映像制作のスキルを活かして、コンテンツづくりを担当していたそう。
映像のスキルがある程度身についたころ、社内で事業再編があり、田中さんが代表を任されていたグループ会社のメンバーに。
異動してすぐに、会社の方向性を一緒に考えていく合宿が開かれた。
「クライアントのためにコンテンツをつくるということの前に、自分たちがどうしたいかを一緒に考えたんです。未来を話し合える仲間がいるっていうことが、すごく楽しくて。そこから、田中とやっていこうって思うようになりました」
その後田中さんは独立し、北海道へ。小坂さんも自然な流れで移住することを決めたそう。
「正直映像に飽きていたところもあって、北海道ならではの新規事業をやろうとしていたんです。だけど本当に向いてなくて。数字が読めないから事業も考えられないし、挑戦してみたテレアポも嫌になっちゃうし。映像をつくっていれば人に喜んでもらえるのに、なにやってるんだろうって」
「それである日、やっぱり映像やりたいって田中に話して。わがままですよね。そうしたら、映像の仕事をつくってきてくれたんです」
久しぶりに取材に出かけたのが、北海道のオホーツク地方にあるサロマ湖。ここで牡蠣の漁師さんたちに話を聞いて、3分ほどのインタビュー映像をつくる仕事を任された。
「雪がまばらに降るなかで、仕事の様子を見せてもらったり、話を聞かせてもらったり。これがかっこいいんですよ。漁師さんも竹を割ったようにまっすぐな人たちで。夜は公民館みたいなところでとれたての牡蠣を食べながらビールを飲んで。やっぱり俺、北海道で映像をやっていこうって思いました」
「最初はよそ者が来たって警戒されることもありますよ。だけどこんな感じなんで、話をしているうちにいろいろ聞かせてもらえます。あとは一緒に酒飲んで、一緒に玉置浩二を歌えば一気に仲良くなれる。北海道に来て、コミュニケーションがよりリアルだなって思ったところはありますね」
コミュニケーションがリアル。
「たとえば人口2,000人の町とかに住んでると、コミュニティが決まっているわけですよね。日々顔を合わせるわけだから、ある程度コミュニケーションをとらないと生きていけないじゃないですか。だからこそ、人間らしさを感じるというか」
小坂さんが得意なのは、人の話を聞いてストーリーをつくること。昨年は林業に携わる人を取材した映像が、SDGsを伝える映像として賞を受賞したそう。
ひとりで黙々と向き合ってきた映像の仕事も、今はチームをつくり、チームで対応できるように試行錯誤しているところ。
「クリエイターとしてひとりでやっていると、限界が来るんです。人とやらないと成長できないんですよね。最近ようやく、人と一緒に仕事をするおもしろいと思えるようになりました」
「僕らの仕事はまず、クライアントの事業が成功しないといい仕事をしたとは言えません。信頼してくれる人の期待に応えていく。僕にとって、田中の夢を実現させることも、大切な仕事のひとつだと思っています」
そんな2人を支えているのが仲本さん。
会社のバックオフィス系の役割を担いながら、企業の採用支援事業を担当している。
沖縄出身の仲本さんが北海道に来たきっかけは、田中さんとの結婚だった。
「田中は根っからのマーケッターで戦略家。小坂は完全なる天才肌。才能の塊みたいな2人に田中の妻になるっていうかたちでジョインして。自分はなんの役に立てているんだろうって、モヤモヤしていた時期もありました」
「もちろん一緒に仕事をしてはいるんですけど、それぞれ自分自身でマネジメントをしています。小坂が自分でチームをつくって映像事業を動かしているように、プロジェクトや事業をまるっと任せられるようなマーケッター、Webディレクターに来ていただけるとうれしいです」
さまざまな事業を、それぞれが担っていく。一見バラバラのように見えるノースアンビシャスの仕事に共通するものはありますか。
「私たちの仕事って、対お客様っていうよりは、その組織の人になったつもりで進めていくんですよね。そのぶん熱量があるというか。自社とクライアントの立場や利益を分けて考えるようなスタンスの人には、合わないかもしれません」
「3人ともそうなんですけど、for youの精神、クライアントや地域のためにっていう気持ちが強いんです。小坂や私は自分たちのことを差し置いて、相手のためにってやりすぎちゃうくらいで。それが良くも悪くも、私たちの特徴だと思います」
共感できる事業、志をともにできる人と一緒に仕事をつくる。
田中さんのまっすぐな北海道への思いが、仲間、そして仕事を引き寄せているように思います。
ここでチャレンジすることにいい予感がしたら、まずは3人に会いに行ってみてください。
(2020/2/13 取材 中嶋希実)