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瀬戸内ではじめる
人と人が
丁寧に向きあうための仕事

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

広島県福山市。

備後地方の中心都市であり、瀬戸内のおだやかな気候に恵まれたこの街に、産業支援機関「福山ビジネスサポートセンターFuku-Biz(フクビズ)」があります。

「産業支援」と言ってもいろんな形がありますが、この場所で行われているのは事業の相談対応。

Fuku-Bizには、中小企業の経営者や個人事業主の方など、事業に関してさまざまな悩みや課題を抱えた人たちがやってきます。そんな一人ひとりに対して、専任のアドバイザーが丁寧にヒアリングし、売り上げアップや創業のための具体的な提案をしていきます。

なるべくお金をかけず、アイデアの力で流れを変えていく。そんな考え方のもと、相談は無料で何度でも可能。評判は口コミで広まって、先々まで相談の予定が入っているそうです。

今回募集するのは、アドバイザーの人たちを支えるオフィスアドミニストレーター。いわゆる事務職ですが、相談者の受付をしたり、進捗管理をしたりと、日々訪れる人と向き合っていく仕事でもあります。

裏方として、窓口の顔として。幅広いはたらきでFuku-Bizを支える人がそこにはいました。

(新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンラインにて取材を行いました。なお、現地の写真は提供いただいたものを使用しています)


約束の時間になり、パソコンでビデオ通話をつなぐ。

今回は3人の方がオンラインでつないでくれるとのこと。「ハウリングしないように、オフィスで離れて話しています!」と、写真を送ってくれた。

右手前で話しているのが、Fuku-Bizセンター長の高村さん。

「実は昨日から本格的にオンラインでのご相談を受け始めたタイミングで。今後はこうやって画面越しにお話を聞かせてもらう機会も増えていくと思っています」

Fuku-Bizが設立されたのは、2016年の12月。福山市を中心に、広島県東部と岡山県西部を含む備後圏域のさまざまな事業者の相談を受けてきた。

相談件数は、3年間でなんと約7,000件。相談者の多くは地域の中小企業の経営者や起業希望者で、内容は売り上げアップや販路開拓など十人十色。最近だとリモートワークに関する相談や、新型コロナウイルス関連の補助金や助成金の申請相談も多いそう。

「わたしともう一人の常駐アドバイザーで、一日にそれぞれ5、6件ほど相談を受けています。ほかにも、ITやデザイン系の専門家や、普段は社労士として働いているアドバイザーも在籍していて。それぞれの強みを生かしながら相談に応えていますね」

「最近だとコロナの影響もあって、週に一回、福山市役所で臨時の出張相談所を開設しています。困難な状況や不安な気持ちを抱えている事業者さんが多い今だからこそ、ぼくたちにできることがあると、あらためて感じているところです」

高村さんたちアドバイザーが大切にしているのが、相談者の話を丁寧にヒアリングし、相談者自身が気づいていないような強みやセールスポイントを見つけること。

その強みを生かすことで、時間とお金をできるだけかけずに状況を変えていく。その提案力が、Fuku-BizのようなBizモデルの特徴だ。

「たとえば…」と高村さんが話してくれたのは、ある就労支援施設から受けた相談案件。

もともとは地域の縫製会社と連携して、障がいのある方がつくったグッズを販売していたそう。

ところが、グッズの卸先が閉店することに。施設内に自分たちで販売場所をつくるべきか、別の販路を探したほうがいいのか、アドバイスがほしいという相談だった。

単純に考えると、売り場づくりや販路開拓のアドバイスをするのが妥当な相談内容。しかし高村さんは、話を聞いていくうちにある強みに気がついたそう。

「話を聞いていくと、着物の修復やクリーニングをする染め物のプロだった方が、施設の職員さんにいらっしゃることがわかって。過去にアパレルブランドの仕事を受けていたほどクオリティが高いというのを聞いて、じゃあそれを活かしていったらいいんじゃないかと思ったんです」

「それで提案したのが、社会貢献型の染めかえサービスでした」

社会貢献型の染めかえ?

「そうなんです。染めを依頼する側は、障がいのある方の社会参加を応援できる。それに就労支援施設の事業なので、民間の価格競争に左右されず、比較的安価にサービスを受けることができます」

「施設にとっては新しい事業展開になるし、障がいのある方にとっても、自信にもつながる。関わる人みんながハッピーになれる取り組みだと思いました」

プロジェクトの名前は、「Re:STORY」。染めかえを通して、人もモノも、新しい物語を紡いでほしいという思いを込めた。

この取り組みは多くのメディアに取り上げられ、アパレルブランドからの受注も増えたそう。最初の相談内容にとらわれず、なにが強みなのかを丁寧に探っていくことが、よりよい結果につながる。

「売り上げのような、数字としての結果にこだわるのはとても大切です。一方で、ぼくらの提案を通して事業者さんが喜んでくれるっていう、数字ではわからない部分も大事だと思っていて」

「事業者さんの喜びを自分のことのように感じられる人じゃないと、ここでの仕事は続かないと思うんです。今回募集する人は直接相談に対応するわけじゃないですが、ぼくらアドバイザーとおなじ目線で、相談者さんと一緒に前へ進んでくれる人が来てくれたらうれしいですね」


次に話を聞いたのは、もうひとりの常駐アドバイザーである池内さん。

池内さんは2017年からアドバイザーとしてFuku-Bizに着任。それ以前は外資系ファッションブランドの社長などを歴任してきた。

「母が尾道の出身で、瀬戸内の雰囲気には思い入れがあったんです。いつかこの地域に行きたいなと思っていたときに、Fuku-Bizのアドバイザー募集を見つけて。行くなら今のタイミングだと思って応募しました」

瀬戸内海に面する福山市は、気候も穏やか。ほどよく都会で、暮らしの面でも満足しているそう。

印象に残っていることを聞いてみると、100%メイドイン福山のデニムブランドを立ち上げるサポートをした話をしてくれた。

「実は福山市って、江戸時代から繊維産業が盛んなんです。海外の大手ジーンズブランドがデニム制作を発注しているほど、高い技術を持つ事業者が集まっている地域で。世界的にもめずらしいんですよ」

高い技術力はあるものの、つくる製品の多くは大手ブランドのOEM。福山のオリジナルブランドはほとんどなかったという。

「OEMが多いぶん、福山がデニムの一大産地ということは地元の人にもあまり知られていなくて、もったいないなと思っていたんです。ちょうどそのときに、福山市内のセレクトショップのオーナーと縫製事業者さんが、それぞれ別の相談でFuku-Bizに来ていて」

「話を聞くと、ふたりとも福山オリジナルのブランドがあったらいいのに、と話していたんですよ。このふたりをつなげたら新しいものが生まれそうだぞと思って紹介したところから、事業がはじまりました」

意気投合したふたりは、ほかの事業者も集めてオリジナルブランドをつくることに。池内さんも一緒にブランドのコンセプトを考え、半年ほどで100%メイドイン福山のデニムが完成した。

地元だけでなく、テレビや雑誌を通して全国的に取り上げられ、話題になったそう。当初は福山市内のいくつかの店舗だけで販売していたデニムは、今では大阪や東京、海外にも少しずつ出荷をはじめている。

「モノ自体はもともとよかったんです。それをこうやってたくさんの人に知ってもらえたのはすごくよかったし、なにより関わってくれた事業者さんの意識が変わったことが一番うれしくて」

意識が変わった、というのは?

「これまでOEM中心で、依頼されたものをつくるのが仕事だったけど、地域の事業者で連携すれば自分たちでも1から新しいものを生み出せるんだって。気づくきっかけになったんですよね」

「俺たちまだまだやれるじゃんって、自信が芽生えたのを、目の輝きから感じるんです。その姿を見れたのはすごくうれしかったし、やりがいになりますね」


事業者の成果を、自分の喜びにつなげる。言うのは簡単だけど、そのためには真剣に事業者と向き合うことが必要なのだと思う。

今回募集するオフィスアドミニストレーターは、そんなふうにアドバイザーが事業者と向き合える環境を整えていく仕事だ。

今まさにその役割を担っている沼波さんにも話を聞いてみる。

東京で接客販売やWeb広告の仕事に20年ほど携わったのち、昨年からFuku-Bizにやってきた。

「もともと地元が福山市の近くだったんです。東京で長く働いて、そろそろ地元に戻りたいなと思っていたタイミングで、日本仕事百貨でFuku-Bizの求人を見たのがきっかけでした」

「自分の仕事が誰かの役に立つ、ということがわかりやすい環境だなと感じたんです。そこが一番惹かれたポイントでした。事務職でありながら人と多く関わる仕事なので、前職での経験も活かせるなと思って」

相談依頼が来たら、まず沼波さんたちバックオフィスの担当者が応対する。どういった事業をしてきて、これからどうしていきたいのか。相談の概要をヒアリングし、アドバイザーのスケジュールと照らし合わせて日程を調整。

ヒアリングした内容はアドバイザーに引き継ぎ、場合によってはアドバイザーとの面談に同席することもあるそう。

「最初緊張していた人も、相談が終わったときにはホッとした表情になっていることが多くて。そういう姿を見れたときは、自分もうれしいですね」

ほかにも、月間の相談件数をまとめて報告書をつくったり、相談内容をデータベースに記録したり。アドバイザーが相談に集中できるように、環境を整えるのもバックオフィスの大切な仕事。

公的な機関だからこそ、数字としての結果がはっきりわかるようにしておくことも大切なのだという。

すると、その話を聞いていた高村さんが「沼波さんはエクセルに恋してるんですよ」と一言。

沼波さんも「エクセラーって呼ばれたりしましたね」と返す。

「昔の形式の書類って、見づらかったり使いづらかったりするものがあるじゃないですか。それを直すのが得意なんです。使いやすくなったって言われたら、してやったりみたいな(笑)。そういう小さい満足を積み重ねるのも自分はたのしくて」

「些細な作業かもしれないですが、アドバイザーをサポートすることが、結果的に相談者さんにとってのメリットにもなると思うんです。小さいことでも、今の状態に満足せず改善していこうっていう気持ちは持ってほしいなと思いますね」


アドバイザーとバックオフィス。役割は違っても、ひとつのチームとして事業者に向き合っていくみなさんの姿勢が印象的でした。

自分の仕事が誰かを支える。それがうれしい。根っこにある想いに共感した人は、ともに気持ちよく走っていけると思います。

(2020/4/17 オンライン取材 稲本琢仙)

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