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「個人も会社も、成長できるような環境を大事にしたいです。とどまることはあんまりいいことじゃないと思っているので」
コトブキは、公園の遊具や街のベンチ、駅前の案内板など、公共空間に欠かせないさまざまなものを製造し、販売している会社。
今回は、2021年度の新卒者を募集します。入口は技術職と総合職というふたつですが、根っこではものづくりや新しい取り組みを面白がれる、前向きな気持ちを共有している会社だと思います。
コトブキの本社があるのは、浜松町駅を出て線路沿いに3分ほど進んだ場所。
中に入り、スタジオのような大きな部屋へと案内してもらう。新作のベンチや遊具が並ぶ空間で、代表の深澤さんが「おひさしぶりです」と笑顔で迎えてくれた。
深澤さんとお会いするのは、今回で2度目。半年前に技術職を募集して、いい採用につながったみたいだ。
コトブキの創業は1916年。当初はイスを中心としたメーカーだったのが、1970年、大阪万博の会場にベンチを納入したことをきっかけに、公共空間向けベンチの製造・販売が主な事業へ。その後、案内板などのコミュニティサインや公園の遊具など、公共空間に関わるさまざまなものを扱うようになった。
深澤さんが社長に就任したのは、今から8年ほど前のこと。ものづくりの伝統を受け継ぎつつ、組織内の制度や業務フローなど、さまざまなことを変化させてきた。
「社長になる前からずっと変わっていないのは、みんなが楽しくやれる仕組みをどうつくるかっていうことなんです。そのために会社のミッションをでっかく掲げて、みんなで向かっていこうってことを意識してやってきました」
パブリックスペースを賑やかにすることで人々を幸せにする。
遊具やサイン、ベンチなど、たくさんの人が日常的に利用するものをつくってきたコトブキ。創業から100年以上受け継がれてきたものづくりへのこだわりに加え、ここ数年はものづくりの先を見ることをとくに大事にしているという。
「会社としてのミッションがようやく根づいてきて、売上とか数字だけじゃない拠りどころをみんなが感じられるようになってきたと感じています。今はいろいろなチャレンジが生まれていて、たとえば横須賀の公園を自分たちで企画運営するプロジェクトがはじまっています」
公園の運営?
「簡単に言うと、公園に広いデッキをつくって、その上にいろいろなコンテンツを乗せることができる仕組みをつくるというものです。映画を上映したり、スケートリンクにしたり、サウナカーを呼んでサウナを楽しめるようにしたり。公園を今よりもっといろんな世代に利用してもらえるようになったら素敵だよねって」
「賑やかにするためには、ものを置くだけじゃ足りない。こんなことやってみようよって動きやすい状態をつくることが、本当の意味でぼくらのミッションを実現することにつながると思うんです」
残念ながら、公園運営の企画はコロナウイルスの影響で現在保留になっているそう。パブリックスペースの在り方が根本から変わっていきそうな状況のなかで、変化をおそれずにできることをしたいと話す深澤さん。
「大事なのは、変化を受け入れて成長したいという気持ちだと思っていて。たとえば、むずかしいプロジェクトを100馬力で乗り越えた人がいるとする。次に似たようなプロジェクトに挑戦するとき、おなじ100馬力で乗り切ったら、それって成長していないと思うんですよね」
「一度経験したことは90馬力で乗り切って、残りの力を別のことに充てるとか、+αの提案をできるほうがいい。その繰り返しが成長なんですよ。ただ同じことをこなすんじゃなくて、自分から成長していきたいっていう人だったら、この仕事は楽しいですよ」
実際に、ものづくりの現場に身を置く方にも話を聞いてみる。
紹介してもらったのは、入社して16年目になる佐野さん。屋外に設置する歩行者向けの案内標識の設計を担当している。
「わかりやすいものでいうと、駅の改札を出てすぐにあるマップですね。駅周辺の地図と現在地が描いてあるサインです。ほかには、矢印と一緒にこのお寺まで何キロですって書いてある誘導標識とか」
「地図のグラフィックとかは別の部署が担当しているので、わたしはサイン本体の設計を担当しています。カタログ商品では対応できない要望があったときに新しく図面を書いて、お客さんに提案する仕事ですね」
大学時代には、プロダクトデザインとグラフィックデザインを勉強していたという佐野さん。
人にとってわかりやすく、使いやすいものはどんな形、デザインなのか。大学で学んだ考え方は、コトブキでのものづくりにも生きているそう。
「公共空間に置かれるサインって、人に対して親切で、わかりやすいことがもっとも大切なんですよ」
たとえば、と説明してくれたのが、見本として置いてあったサイン。自転車専用道に置くためのものだそう。
「少し離れた場所からも見やすい文字サイズにしたり、目立たせたい部分のコントラストをはっきりさせるために、青地に白を配色したり。あとは自転車のピクトグラムですね。『自転車』って文字で書いてあるよりも、こっちのほうがわかりやすいじゃないですか」
「形状も、出っ張った部分があると自転車で横を通ったときに引っかかってしまうかもしれない。そういった不備がないように、いろいろな状況を想定して設計します」
たとえば大人が見やすい高さは160センチ前後だけど、子どもや車椅子の利用者にも見てほしい場所は130センチ前後に設定したり、人混みになりやすい場所は目線より高くなるように設置したり。さまざまな要素を鑑みて、設計に落とし込んでいく。
「考えることが多いのは大変ですけど、それがサインの面白いところかなって思いますね」
技術職で入社した場合、サインだけでなく、遊具や屋外用のベンチなど、さまざまな製品の設計・開発部門で働くことになる。
営業からまわってきたお客さんの要望と、カタログ製品の図面をもとに、CADソフトを使って設計を行うことが多いそう。
「どの製品をつくるときにも、会社のミッションがコトブキらしさのものさしになってくれているなと思っています」
コトブキらしさのものさし。
「この製品をつくることは、パブリックスペースを賑やかにして人々を幸せにすることにつながってる?って。一度立ち止まって考えるきっかけを、みんなに与えているというか…。数字だけじゃないものさしがはっきりしているので、コトブキの製品は大きくぶれないんだと思うんです」
サインだけでなく遊具やベンチも、一度設置されたら大抵は10年以上使われ続ける。たとえその10年で周囲の環境が変わったとしても、変わらず使い続けられる機能、デザインはどんなものか。
それを変わらず追求してきたからこそ、今やコトブキの製品はまちの風景の一部になっているのかもしれない。
「街を賑やかにすることを目指している会社なので、ポジティブで前向きな人が合っているのかなって思います」
「遊具やベンチ、サイン、いろんな製品に関わる機会があるので、ひとつのものづくりだけをしたいっていうよりは、いろんなものづくりの過程に興味があるとか、パブリックスペースを賑やかにすることがおもしろそうとか。そんなふうに俯瞰的に楽しめる人だったら、いろんな経験を糧にして働ける場所だと思いますよ」
最後に話を聞いたのは、PR推進室で働く寺田さん。2年前に新卒で入社した。
学生時代は木工の勉強をしていたという。ものづくりの企業でありながら、リアルな人の動きを生むことに価値を置いているところに興味を惹かれたそうだ。
「実は就活をはじめるまで、この会社のことを知らなくて。会社説明会に来たときにミッションを知って、なんかいいなって思ったんですよね」
遊具設計などいくつかの部署を経験し、現在はPR推進室で広報全般を担当している。
たとえば社外向けに制作している商品カタログも、毎年PR推進室が主導して作成しているもの。
2000点以上ある膨大な商品情報を、さまざまな部署とやりとりしながらカタログにまとめていく。商品数が多いので、つくるのにも時間がかかる。
「つくり手の思いを伝えるコラムをまかせてもらったりして。大変ですけど、自分が提案したものが形になったり、誰かにいいねって言ってもらえたりするのは、うれしいしやりがいになります」
ほかにも、営業資材のひとつであるカレンダーは、寺田さんが企画提案してつくりあげたもの。
江戸時代風のイラストに、コトブキの製品がさりげなく溶け込んでいる。
机の上に置きたくなるデザインですね。
「ありがとうございます(笑)。机に置きたくなるって思ってもらえるのがいちばんうれしいですね。営業さんからも好評で、お客さんとのコミュニケーションに少しでも役立てばいいなと思ってつくりました」
はにかみながら、さまざまな制作物を見せてくれる寺田さん。ほかにも、SNSの運用や社内報の作成など、扱っている業務は幅広い。
仕事を通してできることを増やしたい。本人の意気込みはもちろん、周りもその気持ちをゆるやかに促していくような空気があるのかもしれない。
「1年目はすごく臆病というか、こわがりだったんですよ。自分が提案してダメダメだったらどうしようとか、不安が先回りしちゃうような感じで」
「でもまわりの先輩方がやってみなよって後押ししてくれたり、あとから入ってきた後輩たちが物怖じせずにバンバン提案してくれたり。そういう空気があるので、自分にも心の余裕ができたというか、任せてもらったときに自信を持って応えようっていう気持ちが強くなりましたね」
寺田さんにどんな人に来てほしいか聞くと、前向きでいろんなことを楽しめる人、という答えが返ってきた。
最初から100%できなくても、楽しみたい、チャレンジしたいと思える人であれば、自ずと前に進んでいける場所なのだと思う。
一人ひとりが成長できる環境で、日々新しいチャレンジを続けてきたコトブキ。
自分たちのものづくりが街の風景をつくり、にぎわいを生み出す。そのワクワクを楽しめる人に、ぜひ応募してほしいです。
(2020/3/26 取材 稲本琢仙)