求人 NEW

偶発性と許容力
社会とつながる
ハブとしての建築

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

気持ちのいい仕事をしたい、と思います。

どんな仕事が「気持ちいい」のか。もう少し要素を分解するなら…

自分の気持ちに素直であること。相手を欺かないこと。仕事がこの社会をよくすると信じられること。見かけ倒しでなく、続いていくこと。

同い年の3人で立ち上げたという、京都の一級建築士事務所STUDIO MONAKAの仕事には、そんな気持ちよさを感じます。

たとえば、京町家をリノベーションするとして。その魅力や価値はどこにあるのか。どうすれば未来につないでいけるのか。オーダーにただ応えるのではなく、「そもそも」を問い、議論するところからMONAKAの仕事ははじまります。

そして、多様な職人やクリエイターとチームを組み、その持ち味を最大限に引き出しながら、一緒に空間をつくっていく。ときには建物を一切建てず、イベントを企画したり、芸術祭を裏支えしたり。対話や協働を通じて偶然に生まれるアイデアをおもしろがりながら、人の営みの背景となる場をつくり続けてきました。

立ち上げからもうすぐ5年。沖縄にも事務所をオープンし、ますます進化を遂げていこうというタイミングで、あらたに仲間を募集します。主に求めているのは、設計スタッフ。加えて、さまざまな分野に広がりつつあるプロジェクトのマネジメントを担う人、さらには経営企画や広報を担当する人も募集中です。

まずは京都の事務所で経験を積み、希望次第で沖縄の事務所で働くこともできるそう。今回は正社員採用が基本ですが、業務委託やテレワークなど、さまざまな関わり方のスタッフがいる会社なので、「こんな働き方もありかな?」と想像しながら読んでみてください。

 

京都駅前から市営のバスに乗ること、およそ40分。千本北大路というバス停で降りる。

市街地からは少し北に外れたところなのだけど、近くに金閣寺や大学、専門学校などがあるからか、乗り合わせる人も少なくない路線だった。

大通りの交差点を渡ってすぐのところに、横長の団地がある。1階部分にいくつかテントがせり出していて、バーや商店が並んでいる。その一角、「HIROBA」と書かれたスペースがMONAKAの事務所のようだ。

なかに入ると、共同代表のひとりである岡山さんが迎えてくれた。

「ここはパブリックスペースとして開放していて。保育園帰りの子が入ってきたり、将棋を指しにくるおじいちゃんがいたり、仕事で仲良くなった人が来てコワーキングしていったり。いろんな人が集まってくるんですよ」

第一印象は、なんだかとっても軽快な方。この軽やかさが、きっといろんな人を惹きつけているのだろうと思う。

まずはこの会社の成り立ちから聞くことに。

MONAKAの前身は、共同代表の森田さんと続けてきた「mono.」というユニット。そこへもうひとりの共同代表である仲本さんが加わり、2015年に一級建築士事務所として立ち上がった。

飛躍のきっかけとなったのは、インバウンドの需要拡大だったという。

「京町家をリノベーションしてお宿にするであったりとか、ブランドの立ち上げとか。当時はまだ、一棟貸しのプログラムや分散型のホテルがほとんど世の中になかったんですね。そういった流れのなかで、ぼくたちも成長させてもらって」

たとえば、立ち上げから関わっている「宿ルKYOTO」は、一棟貸しのラグジュアリーホテル。“暮らすように泊まる”をテーマに、和紙や水など、その土地にゆかりのある素材を取り入れながら空間をつくっていった。

5階建てのビルを丸々リノベーションしたシェアオフィス「GROVING BASE」では、市場リサーチやWebサイトの構築、オペレーションの組み立てまで、オーナーとともに1からつくりあげた。

京町家のリノベーションにはじまり、個人宅の設計や企業のブランディングなど、少しずつ仕事の幅を広げていったMONAKA。

手がける規模や領域が変わっても、変わらない軸がある。

「京町家だったら『長いスパンで見て、どう残していったらいいのか?』とか、シェアオフィスなら『どう運営していくのか?』とか。そういう議論は、むっちゃしますね。建てて終わりじゃなくて、事業や仕組みの部分まで一緒に考えたい」

完成してしまえば、建築はデザイナーや設計者の手を離れるかもしれない。けれども、その後もそこで暮らす人や働く人はいて、まちの一角にはその建築が存在し続ける。

だから岡山さんたちは、オーナーも交えてよく話し合う。ときには“建てない”という判断をすることも。

「京都の和束町に、d:matchaさんというお茶の生産から加工販売まで行われている会社さんがあって。100坪ぐらいあるスーパーをリノベして、カフェをつくりたいと相談をいただいたんです」

話を聞くと、もともとスーパーにあった機材を撤去するのも難しいほど、予算が限られているとのこと。

シンプルな外観をつくりつつ、内装にはあるものを使うことにした。

「段ボールを積んで、空間を仕切ろうっていうことで。みんなで行って、その場でいろいろ試行錯誤しながら壁を組み立てて」

お店は無事オープン。事業も少しずつ軌道に乗り、1年後には「茶畑の見える大きな窓をつけたい」という依頼につながった。

さらに最近は地域のリサーチを進めていて、和束町内の空き家の利活用も含めたエリアリノベーションにまで展開しつつあるという。

限られた条件のなかで、背伸びをせず、妥協もせずに、できることを積み上げていく。そんなふうに伴走するプロジェクトが多くなっている。

それと同時に、いつ芽を出すかわからない、種まきのような取り組みも増えている。「ほんとに、よくわからないことをやっててね」と岡山さん。

「夏至の日にカレーを食べる『夏至カレーナイト』っていうイベントをやったり、鴨川でカラオケしたり。あとは京丹後に3代続く工務店さんがあって。初代のおじいちゃんがうなるほどの木材コレクターで、倉庫に大量の一枚板が保管されてたんです。それに感動して、KUKU LUMBER LIVEっていうイベントを一緒にやったり」

「ビジネスラインの仕事もしつつ、デザイン未満の、生活のなかでの発酵みたいな。そういうことも定期的にやってますね。仕事につながっているかというと何とも言えないし、自分で自分の首をしめながら、という感じですけど(笑)」

芸術祭の運営や、お隣の滋賀県で立ち上げた団体「シガーシガ」の事務局など、大きめの案件も増えてきた。いよいよ手が回らなくなってきたため、今回は設計スタッフのほかに、プロジェクトマネジメントと経営企画・広報を担うスタッフもそれぞれ募集することになった。

それにしても、なぜそこまでしてさまざまなことに取り組むのだろう?

「建築は、社会をデザインする仕事だと思うんです」

社会をデザインする仕事。

「そもそも建築を、いろんな世界とつながる手段だと思っているところがあって。ただ建てることだけを考えるのに比べて、負荷が上がって利益率は落ちるかもしれないけど、できあがるものとか環境がよくなるなら、ぼくたちにとってそれはいいことなのかなと」

家も、オフィスも、通りも、店も。人はほとんど常に、建築に囲まれながら生活している。

建築と向き合うことは、人と向き合うこと。そして人と人が関わるコミュニティや、社会を考えること。そんな横断的な視点を共有しながら、人のさまざまな営みをおもしろがれる人こそ、ここでの仕事に向いているのかもしれない。

 

もともとアトリエ系の設計事務所で働いていた仲本さんは、MONAKAに加わって、仕事の進め方が大きく変わったという。

「以前はトップダウンだったのが、いろんな人と話し合いながら進めるようになって。フラットに関わるなかで、偶発的に新しい何かが生まれていくことに感動しましたね」

庭師、和紙作家、左官屋、照明環境デザイナー…。MONAKAには信頼のおける職人さんとのつながりがあって、その都度チームを編成して現場に臨むそう。

「どんな工務店さんにやってもらう場合も、『ここはこの職人さんを入れてください』っていう形でお願いして。そうすると、ぼくらと工務店さんとの関係だけではできないものができあがっていくんですよね」

「ひとりの力でえいやー!とやらずに、対話のなかで生まれる何かを拾っていく。日常生活のなかでも、そういう余白のある使われ方をしていく建築がいいな、と思います」

若くして独立したみなさんは、事務所としての色や作家性のなさが気になることもあるみたい。でも、“関わる人の力を引き出す”のは誰にでもできることではないし、むしろそれがMONAKAの個性とも言える。

この日も、最近知り合った金工作家さんと打ち合わせがあるというので、同席させてもらった。ざっくばらんに話しつつ、「じゃあこんなこともできますか?」「ああ、やったことないけど、たぶんできると思います。今度やってみましょうか」というように、自然と話が広がっていく。

職人さんにとっても、MONAKAと一緒なら、新しい技術や組み合わせに挑戦していける。互いに成長しながら、同じ方向へとむかっていく関係性を築けているから、チームとしていい仕事ができているんだと思う。

 

話し合うなかで、意見が割れることもきっとある。そういうときはどうするんだろう?

「代表が3人だとちょうどいいんです」

そう答えてくれたのは、森田さん。

「仮に2人の意見が対立したとしても、もう1人が客観的に判断できる。いいバランスで前に進めるような気がします」

一緒に働くスタッフも多様で、学生のアルバイトもいれば、結婚を機に移住したあともテレワークで働き続けている人、日本語を学びながら働くフランス人のスタッフもいる。

社内外でさまざまな人との関わりがあってこそ、多様な人を受け入れる建築づくりができているのかもしれない。

森田さんは、どんな人と働きたいですか。

「建築が好きなだけじゃなくて、いろんなことに好奇心のある人じゃないと厳しいと思います。『夏至カレーナイト…何それ?』ってなったら、たぶんついていけないと思う(笑)」

種まきのようなイベントや活動も、普段の業務に+αで行なっている。「○時間しか寝てない」というような厳しさとは、また違った意味で体力もいるんだろうな。

「あとは前に読んだ本で、広げ人と畳み人っていう考え方を知って。新しいことをどんどんはじめる広げ人と、それを拾って整理する畳み人。今回の募集で言うと、ぼくらが方針をまとめたことを、実務としてきっちり畳める人がいてほしいですね」

じつは、近々この団地の取り壊しが決まっていて、オフィスを移転することになるという。移転先でも、いろんな展開を考えているのだとか。

仲本さんは沖縄の事務所に本拠地を移すべく準備を進めているし、岡山さんはあちこちを飛び回っている。森田さんは実家の建て替えに取り掛かっているのと、最近拾った子猫の世話でいそがしい。

たしかに畳み人、必要そうだ。広がっていく過程もおもしろがりつつ、一つひとつ形にしていける人。

「自分のことかも?」と思ったら、一度話してみてください。コロナ禍で先の見えないなかではあるけれど、MONAKAのみなさんとなら、新しい景色をつくっていけそうな気がします。

(2020/7/21 取材 中川晃輔)
※撮影時にはマスクを外していただいております。

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