求人 NEW

なくても生きていけるけど
日々を豊かにしてくれる
洗練と柔和の着地点

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

機能、デザイン、耐久性…。

ものの「よさ」には、さまざまな側面があります。

万人に好かれる人がいないように、完璧なものなんてないと思うのだけど、SUSgalleryのプロダクトはどこから見ても「いいなあ」と思ってしまう。純チタン製のタンブラーやボウルなど、不思議な魅力をもったテーブルウェアを発信しているブランドです。

チタンは、飛行機や潜水艦の外壁にも使われるような、とても硬い金属です。身の回りではメガネやアクセサリーのほか、人工関節に使用されるなど、人体との相性がとてもいいんだそう。

ただ、硬いので加工が難しい。金属加工で栄えてきた新潟・燕の技術力と、現代的なデザインの融合が、絶妙なバランスのものづくりを成り立たせています。

そんなSUSgalleryの直営店は、東京・日本橋の「コレド室町3」内にある一店舗のみでした。今回、10月に予定している東京・青山の旗艦店オープンを前に、新しくスタッフを募集します。

いいものだから、自信をもって届けられる。シンプルな健やかさを感じる仕事だと思います。

 

地下鉄の三越前駅直結の、コレド室町3。2階のワンフロアは、日本のいいものを扱うさまざまな店舗が並んでいる。

白い壁や木製の什器で構成された、あたたかな印象のお店が多いなかで、ひときわ目を引く空間。ここがSUSgalleryのお店だ。

今から55年ほど前に、ステンレス製の業務用厨房商品の製造・販売からスタートした事業。現会長の「チタン製の酒器をつくりたい」という想いから、試行錯誤のすえに誕生したブランドがSUSgalleryだった。

強度が高く、軽くて錆びにくいチタン。工業製品やアクセサリーに使われることはあっても、タンブラーに使っている会社は、当時どこにもなかった。

魔法瓶のノウハウを応用したタンブラーは真空二重構造になっており、断熱性が高いので、温冷どちらでもおいしく飲めるのだとか。

製品の特徴について、スタッフの車井さんがいろいろと教えてくれる。

「これしか使わないっていうお客さまもいらっしゃって。ぼくも自宅で使っていて、たしかに重宝するんです。結露がほとんど出ないので、紙ものが多いデスクにも気にせず置いておけますし」

「このディスプレイの氷は、お店がオープンする午前11時から入れてあるんですよ」

えっと、今が17時だから…6時間も! 常温でこんなに残るんですね。

「閉店まで残ることも多いですね。逆に熱いお茶などが入っていても、タンブラーを持った手には熱を感じないので、気づかずに飲んでやけどしそうになることもあります(笑)」

とあるコーヒーブランドは、氷が溶けて薄まるのが嫌で出していなかったアイスコーヒーを、SUSgalleryのタンブラーに出会ってから出すようになったという。こだわりの強いプロからも、その品質は認められているみたいだ。

巨大なプレスの機械で形をつくり、溶接や真空工程を経て、磨きをかけてゆく。

色合いや表面の凹凸など、一つひとつ表情が異なっている。色の違いは塗料を重ねているのではなく、酸化被膜という透明な膜の厚みをナノレベルで調整することによって実現しているらしい。シャボン玉が光の当たり具合によってさまざまな色に見えるのと同じ原理なのだそう。

寸分の狂いなくつくりたいという職人のプライドと、チタンの特殊な加工ゆえに表れる一つひとつの個性。それらのせめぎ合いのなかから、絶妙なバランスのプロダクトが生まれている。

「職人たちは、日々汗を流しながらつくっていて。店舗に入るスタッフも、必ず一度は工場見学に行きます。こういう工程で、こんなに巨大な機械を動かしてつくっているんだということが見えると、お客さまへの説明のしかたも変わってきます」

もともとはIT関連の仕事をしていたという車井さん。どんな経緯でこの会社に転職したのだろう。

「ITの仕事って、ひとりでパソコンと向き合う業務が基本で。自分のやっていることが何につながっているのか、なかなか見えてこなかったんですよね。それもあって、人と直接関わる仕事がしたいと思いました」

SUSgalleryの製品を使ったことはなかったものの、シンプルなかっこよさに惹かれた。

販売職希望で入社し、店舗で働きつつ、オンラインストアの立ち上げも担当。前職のスキルや経験を活かしながら、新しいことにも挑戦できるところに魅力を感じたそう。

現在は営業を担当していて、新しくオープンするお店では再び店頭にも立つ予定。今回募集する人も一緒に働くことになる。

まったくの未経験からはじめた販売の仕事。実際にやってみて、どうでしたか?

「もちろんはじめて経験することも多いですが、商品自体にストロングポイントがたくさんあるので。自信を持ってお客さまにお届けできるのがいいところだなと感じています」

ものを売る仕事において、それを心からいいと思えるかどうかは、大事なポイントだと思う。本当に好きなもの・いいと思うものなら、自然と言葉に熱が加わるだろうし、お客さんとしても聞いていて気持ちがいい。

車井さんの話からは、SUSgalleryの製品が好きなんだな、ということが伝わってくる。

「ある意味、これってなくても生きていけるものじゃないですか。でも、仕事で疲れて帰った日に『おいしいお酒が飲めるぞ』とか。ちょっとした幸せを与えてくれるものだと思うんです」

「根っこのところでは、自分が何かすることで人の人生に影響を与えられたらなっていうことを思っていて。…言葉にすると、恥ずかしいんですけど。毎日を少し豊かにしてくれるこの商品に、出会えてよかったというか、販売できる喜びはいつも感じていますね」

お客さんは、リピーターが多い。行きつけの店で使われているのを見て…とか、親子2世代で愛用していて…という人も。

使うことでもののよさを実感できるから、一度買うとつい揃えたくなるし、人にもすすめたくなるんだろうな。

 

「ついこのあいだ、2年越しに買ってくださったお客さまもいらっしゃいましたよ」

隣で話を聞いていた店長の山下さんが、そんなふうに話をつないでくれた。

「何度かお店にも来ていて、これだ!って決めていたけど買えなかったそうで。商品についてもかなり詳しいんですよ。一緒に来ていた彼女さんに、いろいろ説明してあげていて」

その方の気持ち、わかる気がします。憧れるけど、価格的に気軽には買えないなと…。

2年経って、ようやく手を伸ばせたんですね。

「やっぱり、最近は自宅で過ごす時間が長いので、生活を豊かにするようなものを求める方は多いように感じます。わたしたちも機能的な部分に加えて、使い心地とか、感覚的な部分をよりお伝えするようになりました」

コロナ禍以前は海外からのお客さんも多かった。

重さひとつとっても、軽くて使いやすいと捉える人もいれば、どっしり感が足りずチープだと捉える人もいる。年代や生活環境、文化圏によって目の付けどころはさまざまなので、その都度柔軟に魅力を伝えていくことが肝心だという。

「でも何より、物怖じしないでコミュニケーションできることが大事かもしれません」

たしかに、シュッとした店構えからすると意外なほど、気さくなスタッフさんが多い。無機質なようであたたかみのある、ブランドの世界観とも似ている感じ。

じつは山下さん自身、ここで働く前からSUSgalleryのことは知っていたものの、ちょっと敷居が高いんじゃないかと感じていたそう。

一歩踏み入れてもらえれば、魅力を伝える自信はある。だから店の前で立ち止まる人がいたら、すっと自然に、声をかけにいくようにしている。

「家族とか友だちに対して『いいものを見つけたから、紹介したい』という感覚に近いのかな。お客さまにも、そんなふうに紹介してもらえたらいいな、と思いつつ接客している気がします」

今年の秋にオープン予定のお店が2店舗目。表参道の交差点から少し路地を入ったところにある路面店で、広さはこのお店の3倍ほどになるそう。

SUSgalleryのテーブルウェアは、置いてあるだけでもオブジェのような存在感があるけれど、実際に使ってみることでその魅力がより伝わる。これまで外部のスペースで行っていたイベントやワークショップも、お店のなかで実現したいと考えているという。

「食を絡めたイベントなどは、今すぐには難しいですけどね。ゆくゆくはやっていけたらいいのかなと思います」

以前は海外ウェディング専門のプランナーや、海外のスキンケアブランドの販売など、海外の魅力を伝えるような仕事をしていた山下さん。

心境の変化があったのは、東京オリンピックが決まったタイミング。そこから、日本製のいいものを扱う仕事がしたいと思うようになったそう。

「正直、チタンという素材のことも、テーブルウェアについても、よく知らなかったんです」

では、なぜこちらに?

「会社のホームページとか求人情報を見たときに、ほかにはない魅力を感じたというか。お店も、いい意味で異質な雰囲気があって。こんなところでお仕事できたらなと思いました」

「あと個人的には、店舗や会社の規模感も見ていましたね。大手でチェーン展開しているようなブランドに比べて、うちはここにしかお店がなくて。みんなでつくりあげていけそうなところにも惹かれたんだと思います」

実際に働きはじめてからも、ギャップはなかったという。

扱うプロダクトは機能的だし、ビジュアルもすぐれている。少人数のチームで働くことも、山下さんの肌には合っていた。

「アパレルとか雑貨の販売だと、シーズンごとに新商品ができて入れ替わっていくじゃないですか。うちはほとんどそういうサイクルがないんですけど、毎日触れていても飽きないんです。それだけ力のあるものを紹介できているという自信はありますね」

話を聞けば聞くほど、いいところづくめな印象。大変なところとか、難しさを感じることってないですか?

「金属や加工の知識は、お客さまのほうがよくご存知なこともあって。そういうときでもちゃんと受け答えできるくらいの知識がないと、店頭に立つのは難しいかもしれませんね」

もちろん、最初のうちはわからないこともたくさんあるだろうし、どれだけ知識を身につけても、思わぬ角度から質問されることもある。

わからないことがあればすぐに調べるとか、いっそお客さんに教えてもらうつもりで聞いてみる。そういった好奇心や素直さが必要なように思う。

「笑顔で、元気な明るい人がいいですね。店構え的に敷居が高そうに見えますけど、基本の部分を大事にしてくださる方なら大丈夫だと思います」

 

ひと通り話し終えて、取材中からずっと気になっていたタンブラーを見せてもらうことに。

同じ型のものでも、一つひとつ色味や表情が違う。光に当てたり、見る角度を変えたりしながら、しばらく眺めて決めました。

日々使っていて、ふと「なくても生きていけるけど、毎日をちょっと幸せにしてくれる」という車井さんの言葉を思い出します。

こういうときだからこそ、あるいはこんなときでも。ちょっとした積み重ねが、自分を支えてくれることがある。

そんなものを届けたい、という人はぜひ応募してください。

(2020/07/15 取材 中川晃輔)

※撮影時にはマスクを外していただいております

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