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「よい」街ってなんだろう
人と向き合い、人を動かす
街のブランディング

お店や通り、ビルや公園など。

街はさまざまなものでできています。

形あるものも、概念のようなものもある。なかでも、街の個性を生んでいるのは、人の行動や振る舞いかもしれません。

その街で働く人は何がうれしいのか。通りを歩く人はどこにストレスを感じるか。広場をもっと自由に使う人を増やすにはどうしたらいいか。

そんなふうに、人を観察し、関わり、人についてよく考えることから、街のブランディングに取り組んできたのが株式会社バウムです。

個々の仕事を見ていくと、広告会社やデザイン会社のようなこともやっているし、建築や都市計画に分類されるような役割も担っている。多彩な会社だなあという印象があります。

今回募集するのは、クリエイティブプランナーとプロジェクトマネージャー。加えて、プロジェクトごとに業務委託で関わる外部スタッフも募集しています。

あるときは飲食店のコンセプトを考え、またあるときはイベントを企画運営する。ペンキで手を汚しながらDIYする日もあれば、国内外の文献にあたってリサーチし続ける日もある。役割は明確に分かれておらず、その人の経験や適性に応じて決まっていくようです。

形や見栄え、いっときの盛り上がりではなく、本質的に、社会のためになることを。

そのためにとことん考え抜く人たちだと思います。

 

東京メトロの外苑前駅から歩くこと7、8分。

ワタリウム美術館の横に位置するビルの4階がバウムのオフィスになっている。

まず話を聞いたのは、代表の宇田川さん。

これまでさまざまなプロジェクトを手がけてきたバウム。1行のコピーを書くこともあれば、たくさんの人が集うマーケットやイベントを企画運営することもあった。

コロナ禍の影響は、どうですか。

「うちは幸い、そんなに影響を受けていなくて。物理的に場はつくれないですけど、やっぱり人を動かす係であることには変わりないというか」

人を動かす。

「人が動いて何か価値を交換することが、社会をつくっていくと思っています。特にこういう価値観が大きく変わるタイミングには、企業や行政にとっても社会を動かすメッセージが必要になってくる。前例のないなかでたくさん考えることがあるし、つくり手としては難しいけれども、それだけにやりがいのある状況ですね」

たとえば、と紹介してくれたのは、「WALK TOGETHER FOR TOMORROW」と書かれたフラッグ。

緊急事態宣言が解除されたあと、東京・丸の内仲通りに掲出されたメッセージだ。

もともとバウムは、丸の内朝大学の立ち上げや、丸の内仲通りを歩行者空間として活用するアーバンテラスの企画など、社会実験的なプロジェクトを通して10年前から丸の内の街との関わりがある。

およそ4,000社が集積し、28万人もの就業者を抱えるこのエリアは、いわばビジネスの街。働く人にとってどうか?という視点を常に大事にしてきた。

「まだ不安を抱えながらも働く人たちに、エールを送りたい。でも『おかえり』ではないし、『がんばろう』も『ありがとう』も違う。どんな言葉がいいだろうって考えて」

制作当時の5〜6月、世界のどこでも街場にメッセージを発信していたのは、企業でも自治体でもなく、商店やアーティストだった。

その多くは愛や感謝のメッセージ。それらに対して、SNS上で人々がどんなふうに反応しているのかも調べたうえで、前向きだけど過剰に明るすぎない、やさしいアプローチをしたいと考え、最終的に落ち着いたのが先ほどの言葉だそう。

「メッセージを考えること自体は、広告会社やブランディング会社でもやっている。何がバウムらしさかっていうと、言葉やデザインをつくる人たちのなかでも、とくに街のことが好きな人たちが揃っているところだと思います」

デザインの会社の仕事の大半を占めるのは、実はリサーチだという。歴史や背景、人の流れや今まさに起こっている活動など。国内外の文献にあたったり、実際に足を運んだりすることで、いろんな角度から街を知り、新たな視点を発見する。

そして、街に関わるさまざまな立場の人たちと一緒に、街の目指す方向性を考える。それは一軒のカフェの店主のこともあれば、都市開発のデベロッパーのこともある。

「カフェをつくるのも街づくりです。比喩ではなくて。僕たちは、その日その空間がよければいいとはあまり考えません。その前、その後、その横、その上で何が起こるかっていうところに興味がある。やっぱり人をちゃんと見て、人を動かすことがしたいんです」

ブランディングというと、商品パッケージやWebサイトを整えたり、かっこよく刷新したりして、新しい顔をつくるようなイメージがあるかもしれない。

ただ宇田川さんは、「ブランドは納品できない」と言う。

「ブランディングってブランドINGだから、行動の連続によってできていくもの。個体というより液体のような感じです。いくら美しいロゴや膝を打つようなネーミングをつくっても、納品しただけではブランドにならない。毎日の営みのなかでどう機能するのかが大切です」

それはお店でも、会社でも、街の通りでも同じこと。時間がかかるし、言ってしまえば終わりはない。

だから自然と長い付き合いになるプロジェクトも多いという。お客さんとも、クライアントというよりパートナーのような関係性を築いていく。

「今回の募集も、街やヒトについてたくさん考えたいっていう人に来てもらいたいと思います。街づくりやスモールビジネスの仕事が主軸になっていますが、案件は多様で、テック、アート、動物のことなんかも。いろいろやっていますし、こうやって価値観が変わるときこそおもしろい仕事だなと思うので」

ここ数年で、海外の仕事も多く受けるようになってきたバウム。この春からはデンマーク・コペンハーゲンにもオフィスを開設し、より垣根が低くなった。

今回入る人は、海外のプロジェクトにもどんどん関わってほしいという。

「直接担当でなくても、英語はある程度できるといいですね。リサーチするにも、日本語に比べて10倍以上の人が使っている英語のほうが、資料も知識量も多いので」

国籍も問わないし、将来は海外に移住したいという人でもいいかもしれない。現在は欧州在住のメンバーが1人いて、宇田川さん自身コペンハーゲンのオフィスにいることも多いので、海外案件についてはオンラインでのやりとりが基本になると思う。

一方で、感性や温度感を共有するにはオフラインでのコミュニケーションも大切。世の中の状況も見ながら、柔軟に働ける人だといい。

 

バウムで経験を積むなかで、少しずつできることの幅を広げていったというのが、スタッフの林さん。

「バウムってもともと、肩書きとか役割をあまり固めない会社で。わたし自身、最初はプロジェクトマネージャーのような立ち位置が多かったのですが、一つのプロジェクトに1〜2年関わるうちにその場所の文脈が見えてくるんです。新しいアイデアを出せるような関係性にもなってくる。そんなかたちで、クリエイティブプランナー的な仕事もするようになってきました」

一般的に、プランナーは開発的な仕事、マネージャーは進行管理のイメージが強いけれど、バウムではその縦割りはない。経験や関係性が積み重なるほど、役割も広がっていく。

渋谷の宮下町にある複合施設「渋谷キャスト」は、林さんが長期的に関わってきたプロジェクトのひとつだという。

「大きなコンセプトとしては、“クリエイティブの活動拠点”というふうに言っていて。なかにはクリエイター向けのシェアオフィスや住居があって、働いたり住んだりしながらお互いのクリエイティブ活動を高めていく、といった機能をもった場所です」

ビルの低層階にはカフェやレストラン、スーパーマーケットがあり、通りに面した広場もある。

もう少し俯瞰してみると、商業施設に囲まれつつ、裏側には住宅街もあって、実は生活圏としている人が多いエリアなのだとか。

広場では幼稚園帰りの子がかけっこをしていたり、中学生のカップルがおしゃべりしていたり、おじいちゃんが犬の散歩をしていたり。公園のような風景が広がっている。

バウムは3年前の立ち上げ段階から、この施設に携わってきた。

「経常的にやっているのはWebサイトやSNSを通した発信です。対談取材をしたり、ストリートスナップを撮ったり、入居クリエイターに作品をつくってもらったり。いろいろな手法をとって場所の性格を引き出す工夫をしています」

また、広場の使い方を考えるのも大事な役割のひとつ。施設主催で行われるイベントのクリエイティブや企画も担当している。

「働く人、遊びに来る人、生活圏の人。いろんなレイヤーの人たちにとって、このオープンスペースがどんな場所で、どんなことができるといいだろうって考えて」

昨年の冬は、長いこたつを広場に設置。その横ではマーケットや映画の上映会を行なった。

「こたつに座ってずっとしゃべっている学生たちもいれば、猛烈に仕事をしているおじさんもいる。渋谷という都会の中で、こう振る舞わないといけない、っていう雰囲気がないのがいいなと思って」

こたつのアイデアは、代表の宇田川さんによるもの。デンマークの元教会で、毎日開かれるコミュニティディナーを体験したことからヒントを得たという。知らない人とテーブルを共にして得られる、街に帰属している感覚。

一方、映画の上映会は林さんの考案。上映作品は、施設の運営メンバーに投票制で選んでもらった。

「街を散歩していて、ある家の窓からテレビが丸見えで、『こういうの見るんだ…』と中の人の生活を垣間見るみたいな。それと同じように、普段は見えづらい建物のなかにいる人たちの雰囲気が、なんとなく感じられるようにしたかったんです」

こたつは馴染みの建築家さんにお願いして、気軽に入りやすい設計やこたつらしいファブリックデザインなど、試作を重ねて何度も話し合いながらつくった。

こんなふうに、いろんな人のアイデアやスキルを活かしながら場をつくっていくのがバウムのやり方。ひとりで完結せずに、人と関わるなかでクリエイティビティを発揮していきたいという人が向いていると思う。

林さんには、どんなプロジェクトでも大切にしていることがあるという。

「あくまで一市民である、っていう感覚はずっとあって。特につくる側にいると、経験則から机の上でいろいろなアイデアが出せてしまうんですけど、自分含めてまちの人にとってどうなんだろう?ってところに毎回しつこく立ち返らないといけない。でもそれを繰り返すことで、つくる側としても市民としてもグッとくるものに近づいていくんです」

「一日中現場にいて人の流れを見たり、話を聞いたり、都内を自転車でかけ回ったり、DIYして服にペンキがついちゃったりとか。泥臭いことも多いですけど、社内はもちろん、クライアントさんともチーム感を持ってわいわいやることが多いので、純粋にいいと思えるものを突き詰めることができる環境かなと思います」

街の歴史や背景、未来まで見据えて俯瞰する視点と、ひとりの市民としての視点。

そのあいだを何度も行ったり来たりしながら考え、何かをつくり、人を動かしていく。

答えも終わりもないからこそ、おもしろい仕事だと思います。

(2020/2/25 取材 9/9 再編集 中川晃輔)

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